私が行政書士になった理由

私は建設業の家庭で育ちました。
父は長年、地元で土木工事業を営み、家では母が手書きで帳簿をつける――そんな家族経営の小さな会社でした。

幼いころの私は、父の仕事を誇らしく思いながら、「自分も大人になったら社長になるんだ」と、ごく自然に考えていました。

しかし、高校生の頃、リーマンショック後の公共工事費削減のあおりを受け、父の会社は厳しい経営状況に陥りました。
仕事が減り、資金繰りに苦しむ親の姿を間近で見て――当然、当時の私は経済も政治もわかっていませんでしたが――ただ漠然とした恐怖と無力感を感じたことを、今でも容易に思い起こせます。

この経験は、私の価値観の中心に残り続ける「原体験」となりました。

その後、さまざまな縁があり、私は地元の産廃処理業者に就職しました。
営業マンとして、建設業者の方々を顧客に持ち、現場の最前線で働く職人や経営者の方々と接する機会を得ました。

次々に仕事を受注し、勢いのある人がいる一方で、連絡が取れなくなる一人親方、入口に張り紙一枚を残して倒産してしまう会社――
そんな光景を何度も目にしました。

そんな建設業者の方と話すたびに、私はかつての親の姿を思い出し、いつもこんな言葉が浮かびます。
「自分にできることは何だろうか?」

そして私は、一つの結論にたどり着きました。
「建設業をサポートする行政書士になろう」と。

私は、行政書士として、建設業を営む地元の個人事業主・中小企業の成長と継続を支えることを使命にしています。

許認可の取得・維持は、事業の土台を固めるための第一歩です。
しかし、それだけでは事業は発展しません。
安定した経営基盤を作り、さらにその先の「事業の成長」や「次世代への継承」を見据えたサポートをすることが、本当の支援だと考えています。

だからこそ、三澤行政書士事務所の事業運営指針は、次の通りです。
「建設業を営む、地元の個人事業主や中小企業の成長と拡大の力になる」

幼い頃に思い描いていた「社長」という形とは違いますが、
今、私は行政書士として独立し、過去の自分が何もできなかったあの時の無力感に、答えを出そうとしているのかもしれません。

もし、あの頃の自分がタイムスリップして、父にアドバイスできるとしたら――
そのとき、私は「頼れる行政書士」として、家族を救える言葉を持っているだろうか。

建設業を営む方々を支えたい。
なぜなら、それがかつての父と同じ立場であり、そして、私が最も共感できる人々だからです。