こんにちは、行政書士の三澤です!
「事業年度終了報告って何のために出すの?」「そろそろ決算が終わるけど、何か提出が必要かも…」
そんな疑問やお悩みを感じていませんか?

この記事では、
・建設業許可を持っているけど「事業年度終了報告(決算変更届)」を初めて提出する方
・毎年の提出が義務と聞いて焦っている方
・提出しないとどうなるのか、どんな書類が必要なのか不安な方

といった【愛知県で建設業許可を受けている中小企業・個人事業主の方】向けに、事業年度終了報告の基本から、提出書類、注意点、よくある質問まで、実務経験を踏まえてわかりやすく解説していきます。

【この記事を読むことで得られること】
・提出しないことで起こるリスクや、提出が必要な理由が理解できる
・法人と個人で異なる提出期限や必要書類が整理できる
・工事経歴書や財務諸表の作成ポイント、記載ミスを防ぐ方法がわかる

「うちでも必要なの?」「何をどう準備すればいいの?」と迷われている方の道しるべとなるよう、ポイントを押さえてご紹介します。

それでは、さっそく見ていきましょう!


1. はじめに

  • 「事業年度終了届ってなに?」
  • 「提出しないとどうなるの?」
  • 「提出書類が多すぎてよくわからない…」

そんな風に感じている建設業者の方も多いのではないでしょうか?

愛知県で建設業許可を取得している事業者には、毎年「事業年度終了届(いわゆる決算変更届)」を提出する義務があります。

とはいえ、建設業特有の書式やルールがあり、「何をどう書いたらいいのかわからない」「工事経歴書?貸借対照表?見慣れない書類が多すぎる」と戸惑ってしまう方も少なくありません。

この記事では、そんな悩みを持つ方に向けて、愛知県での事業年度終了届の基本から、必要な書類、提出方法、注意点までをわかりやすく解説していきます。

この記事を読むことで、提出に必要なポイントを正しく理解し、無駄な手間をかけずにスムーズに手続きを終えることができるはずです。

2. そもそも「事業年度終了届」とは?

「事業年度終了届」とは、建設業者が毎年、決算終了後に提出しなければならない重要な届出です。別名「決算変更届」とも呼ばれ、建設業法第11条第2項に基づいて義務づけられています。

この届出の目的は、事業者の経営状況や工事実績などを行政に報告することで、建設業許可の継続に必要な情報を提供することにあります。

提出先は、

  • 愛知県知事の許可を受けた場合 → 主たる営業所の所在地を管轄する建設事務所(例:名古屋市なら県庁都市総務課)
  • 国土交通大臣の許可を受けた場合 → 地方整備局などの国の機関 となっています。

つまり、この届出は建設業を営むうえで「更新のための前提条件」となる、いわば健康診断のようなもの。出さないと、更新ができなくなったり、最悪の場合には許可取消しという事態に至ることも。

「毎年出すのは面倒…」と思われるかもしれませんが、会社の信用維持や元請との取引継続のためにも、とても大切な届出なのです。

3. 提出しないとどうなる?放置NGな理由

事業年度終了届を提出しないと、さまざまなデメリットがあります。単なる“書類提出の遅れ”では済まされない場合もあるため、注意が必要です。

① 建設業許可の更新ができなくなる

建設業許可は、原則として5年ごとに更新が必要ですが、その更新申請の際に過去の事業年度終了届がすべて提出済みであることが前提となります。 未提出のままだと、更新手続きが受理されず、最悪の場合「許可失効」となってしまうことも。

② 行政処分や指導の対象になる可能性

建設業法に基づく義務である以上、提出を怠ると行政からの指導や、場合によっては営業停止などの行政処分を受けるリスクも。 「うっかり忘れた」では済まない厳しさがあります。

③ 元請や発注者からの信用に影響

事業年度終了届は、建設業者の健全性や信頼性を示す書類でもあります。管轄の建設事務所で誰でも閲覧できるため、元請業者や取引先が確認することも。 未提出が続いていると「この業者、大丈夫かな?」と不信感を持たれる可能性もあるため、信用維持のためにも提出は必須です。


次の章では、事業年度終了届の提出期限について、法人と個人事業主で異なる点をわかりやすく整理していきます。

4. 提出期限はいつ?【法人/個人の違いも解説】

事業年度終了届の提出期限は、事業形態によって異なります。うっかり忘れがちなポイントなので、しっかり押さえておきましょう。

◆ 法人の場合:決算月の4ヶ月後の月末まで

たとえば、決算月が3月であれば、提出期限は 7月31日 になります。

【例】

  • 決算月:3月 → 提出期限:7月31日
  • 決算月:12月 → 提出期限:翌年4月30日

この「決算月の4ヶ月後の月末」は、法的に定められているルールなので、遅れると行政指導の対象になることもあります。

◆ 個人事業主の場合:毎年4月末が期限

個人事業主の場合は事業年度が1月1日〜12月31日と固定されているため、毎年 4月30日 が提出期限です。

「今年のゴールデンウィーク前に片付けておこう」と覚えておくと良いでしょう。

◆ よくあるギリギリ事例とその対策

  • 「税理士さんとのやり取りが遅れて、資料が揃わなかった」
  • 「提出書類が多くて途中で止まってしまった」

こうした“提出直前のバタバタ”を防ぐには、早めの準備とスケジュール管理が大切です。 スプレッドシートなどで必要書類の進捗を可視化しておくと、漏れなく対応できます。


次章では、実際にどんな書類が必要になるのか、法人・個人それぞれに分けて一覧形式でご紹介します。

5. 提出に必要な書類リスト【法人・個人の違いも一覧化】

事業年度終了届には、さまざまな書類の提出が必要です。法人・個人で一部異なるため、以下の表でスッキリ整理しました。

書類名法人個人備考
事業年度終了届出書愛知県の専用様式を使用
工事経歴書(様式第2号)完成した工事を記載
直前3年の工事施工金額(様式第3号)許可業種ごとに記載
貸借対照表(様式第15号)建設業会計に基づき作成
損益計算書(様式第16号)同上
株主資本等変動計算書(様式第17号)株式会社のみ必要
注記表(様式第17号の2)株式会社とそれ以外で様式が異なる
事業税の納税証明書(原本)愛知県税事務所で取得
事業報告書株式会社のみ。様式任意
附属明細表(様式第17号の3)資本金1億円超等の大法人のみ
使用人数(様式第4号)変更があった場合のみ
使用人の一覧(様式第7号)法人で変更があった場合のみ
定款・株主総会議事録の写し内容に変更があった場合のみ
健康保険等の加入状況(様式第7号の3)加入状況に変更があった場合のみ
  • 「○」=原則提出が必要
  • 「△」=変更があった場合に限り提出

ご自身の会社が株式会社かどうか、資本金の額、従業員の変更有無などによって必要書類は変わってきますので、しっかり確認しましょう。


次は、これらの書類を作成するうえで注意したいポイントをプロ目線で解説していきます。

6. 書類作成で注意したい3つのポイント

書類の数が多いだけでなく、正確に作成しないと差し戻しや修正指導の対象になってしまう事業年度終了届。ここでは特にミスが多い3つの書類作成ポイントをご紹介します。

① 工事経歴書の書き方のコツ

工事経歴書では、完成した工事を「請負金額の大きい順」に、原則10件(または年間の完成工事高の60%を超えるまで)記載する必要があります。

また、

  • 元請工事と下請工事は区別して記載
  • 注文者や工事名は個人が特定されないよう配慮(例:A様邸、○○ビル新築工事)
  • 配置技術者(主任技術者・監理技術者)の氏名も記載 といった細かいルールもあるため注意が必要です。

② 財務諸表は“建設業会計”で

税務申告用の決算書とは別に、建設業会計に基づいた財務諸表の作成が求められます。

勘定科目が異なるため、たとえば「売上高」は「完成工事高」に、「仕掛品」は「未成工事支出金」に置き換える必要があります。 特に「完成工事原価報告書」の内容は、経営事項審査を受ける場合にも影響するため、正確に作成しましょう。

③ 注文者名や工事名の記載ルール

プライバシー保護の観点から、工事経歴書に記載する「注文者名」や「工事名」は、

  • 個人名はフルネームを避ける
  • 工事名は所在地や氏名を含まない など、個人が特定できないよう記載する必要があります。

書類が揃っていても、こうした細部で差し戻されることもありますので、最後のチェックは慎重に行いましょう。


次の章では、提出先となる愛知県内の建設事務所について、地域別に一覧でご紹介します。

7. 提出先はどこ?愛知県の建設事務所一覧

事業年度終了届は、愛知県知事の許可を受けている場合、主たる営業所の所在地を管轄する建設事務所に提出します。

以下は、愛知県内の主な提出先を地域別にまとめた一覧表です。所在地によって提出先が異なりますので、事前に確認しておきましょう。

営業所の所在地提出先(建設事務所等)
名古屋市内都市・整備局 都市基盤部都市総務課 建設業・不動産業室 建設業第二グループ
〒460-8501
愛知県名古屋市中区三の丸3-1-2(自治センター2階)
瀬戸市、春日井市、小牧市、尾張旭市、豊明市、日進市、清須市、北名古屋市、長久手市、愛知郡及び西春日井郡尾張建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒460-0001
愛知県名古屋市中区三の丸2-6-1(三の丸庁舎5階)
一宮市、犬山市、江南市、稲沢市、岩倉市及び丹羽郡一宮建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒491-0053
愛知県一宮市今伊勢町本神戸字立切1-4
津島市、愛西市、弥富市、あま市及び海部郡海部建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒496-8533
愛知県津島市西柳原町1-14(海部総合庁舎6階)
半田市、常滑市、東海市、大府市、知多市及び知多郡知多建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒475-0828
愛知県半田市瑞穂町2-2-1
岡崎市、西尾市及び額田郡西三河建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒444-0860
愛知県岡崎市明大寺本町1-4(西三河総合庁舎6階)
碧南市、刈谷市、安城市、知立市、高浜市知立建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒472-0026
愛知県知立市上重原町蔵福寺124
豊田市、みよし市豊田加茂建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒471-0867
愛知県豊田市常磐町3-28
新城市及び北設楽郡新城設楽建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒441-1354
愛知県新城市片山字西野畑532-1
豊橋市、豊川市、蒲郡市、田原市東三河建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒440-0801
愛知県豊橋市今橋町6

◆ 提出方法について

提出は、

  • 建設事務所の窓口に直接持参
  • 郵送(追跡可能な方法が推奨) いずれでも可能です。

ただし、不備があると再提出になる可能性があるため、窓口持参のほうが安心という声もあります。


次の章では、「よくある質問(FAQ)」として、現場から多い疑問にひとつずつお答えしていきます。

8. よくある質問(FAQ)

Q1:赤字決算でも提出は必要?

はい、赤字決算であっても事業年度終了届の提出は必須です。 経営が黒字かどうかに関係なく、建設業許可を受けている以上、毎年決算内容を報告する義務があります。むしろ、赤字の場合こそ財務状況を正確に報告することで、信頼性を保つことが大切です。

Q2:電子申請できる?

2025年4月時点では、愛知県では原則として紙での提出が求められています。 ただし、様式のダウンロードや一部の情報確認は愛知県の公式サイトから可能です。今後の制度改正で電子申請が可能になる可能性もあるため、最新情報をチェックすることをおすすめします。

Q3:元請から急に「出して」と言われたけどどうすれば?

元請業者は下請業者の信用状況を確認するため、事業年度終了届の提出状況をチェックすることがあります。 急に提出を求められた場合は、速やかに必要書類を準備し、提出可能な状態にしておきましょう。書類作成が間に合わない・不安がある場合は、行政書士など専門家に相談するのも一つの手です。


次は、「自分でやる?プロに任せる?メリット比較」として、行政書士への依頼を検討する方に向けて、判断材料をご紹介します。

9. 自分でやる?行政書士に任せる?メリット比較

事業年度終了届は、自分で作成・提出することも可能です。ただし、専門的な知識が必要な場面も多く、「手間をかけて作成したけどやり直しになった」というケースも少なくありません。

ここでは、自力提出と行政書士への依頼、それぞれのメリットとデメリットを整理してみましょう。

◆ 自力で作成・提出する場合

メリット

  • コストを抑えられる(外注費が不要)
  • 自社の状況を正確に把握できる

デメリット

  • 書類作成に時間がかかる
  • 建設業会計の知識が必要
  • 書き方に不備があると差し戻される
  • 経営事項審査など、今後の手続きに支障が出る可能性も

◆ 行政書士に依頼する場合

メリット

  • 書類作成・提出をすべて代行してもらえる
  • 不備による再提出リスクを軽減できる
  • 提出期限の管理も任せられる

デメリット

  • 依頼費用がかかる

特に「本業が忙しい」「初めての提出で不安がある」「経審も視野に入れている」といった方には、プロに依頼するメリットは大きいといえます。


三澤行政書士事務所では、愛知県の建設業許可業者様向けに、事業年度終了届の作成・提出を専門的にサポートしております。

ご相談だけでも歓迎しておりますので、「自分でやるか迷っている」という方も、ぜひお気軽にお問い合わせください!


まとめ:正しく出して本業に集中しよう

ここまで、愛知県における事業年度終了届の提出について、基本情報から実務のポイントまで幅広くご紹介してきました。

◆ 要点をおさらい

  • 事業年度終了届は建設業者の義務
  • 提出期限は法人・個人で異なる
  • 書類は複数あり、正確な記載が必要
  • 提出先は所在地により異なる建設事務所
  • 自力対応が不安な場合は行政書士への依頼も選択肢

「正しく出して、余計な手間なく本業に集中する」ことが、事業の成長にもつながります。

三澤行政書士事務所では、建設業界出身の行政書士が、現場目線でサポートいたします。

「ちょっと話を聞いてみたい」「見積だけでも…」という段階でも構いません。

どうぞお気軽にご相談ください!

建設業に関する手続きで、こんなお悩みはありませんか?

・初めての事業年度終了報告で、何をどうすればいいかわからない…
・工事経歴書や財務諸表の作り方が難しくて手が止まっている…
・元請や更新申請の際に「出してないの?」と指摘されて焦っている…

そんなときは、建設系産業廃棄物業界出身の行政書士が対応する
三澤行政書士事務所にぜひご相談ください。

当事務所は、愛知県を中心に、中小企業・個人事業主の建設業者様を対象として、
建設業許可の申請・更新・変更届はもちろん、事業年度終了報告の作成・提出も多数サポートしています。

📌 初回相談は無料
📌 平日夜間・土日もご相談可能(事前予約制)

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そんなお悩みにも、現場を知る行政書士が丁寧に対応します。