こんにちは、行政書士の三澤です!
「愛知県で建設業許可を取得しているけれど、毎年の事業年度終了届(決算変更届)の書き方がよく分からない…」
そんな不安を感じたことはありませんか?

実はこの建設業の事業年度終了届、提出を怠ると許可の更新ができず、最悪の場合は営業停止などの処分を受ける可能性もある、非常に重要な手続きです。
特に、「赤字でも提出が必要か?」「建設業会計の形式で財務書類を出さないといけないのか?」といった疑問は、多くの事業者が抱える悩みです。

この記事では、愛知県で建設業を営む方に向けて、事業年度終了届(=決算変更届)の提出方法・必要書類・提出先・注意点を徹底的に解説します。

✅ 「個人事業主も必要?」「経審とどう違う?」といった基本疑問にも丁寧に対応
建設業の決算変更届で間違いやすいポイントを専門家が解説
✅ 提出先となる愛知県内の建設事務所一覧つきで、すぐに行動できる!

この記事を読むことで、事業年度終了届の書き方に迷うことなく、スムーズに提出できるようになります。
煩雑な書類作成に時間を取られることなく、本業に集中したい方は、ぜひ最後までご覧ください。

それでは、さっそく見ていきましょう!

目次

1. はじめに|「事業年度終了届」が必要な理由とよくある誤解

建設業許可を取得していると、毎年求められるのが「事業年度終了届(いわゆる決算変更届)」の提出です。

「毎年出してはいるけれど、何のために出しているのか正直わかっていない……」「赤字決算の年でも提出しないといけないのか?」そんな声を、多くの事業者様から耳にします。

結論から言えば、この届出は建設業許可を維持する上で絶対に外せない手続きであり、たとえ赤字でも、あるいは売上がゼロであっても“提出しなければならない”と法律で定められています。これを怠ると、次回の更新手続きに支障をきたすだけでなく、悪質と判断されれば指導・監査、最悪は許可取消しの対象にもなり得ます。

また、事業年度終了届の内容は、元請業者や取引先、金融機関などが「この会社は信頼できるか」を判断する材料にもなります。提出内容がずさんであったり、未提出が続いていたりすると、会社の信用に影響するのはもちろん、今後の入札や新規受注にも影を落としかねません。

赤字でも必要?更新とどう関係する?

よくある誤解の一つに「今年は赤字だったから提出しなくてもいいのでは?」という考えがあります。しかし、赤字であっても、事業活動を行っていた限りは必ず提出が必要です。これは、利益の有無にかかわらず「事業を継続しているか」「適正に経営しているか」を確認するための届出であるためです。

この届出が行政庁にとって重要なのは、「この事業者に引き続き建設業の許可を与えてよいか」を判断するための資料だからです。つまり、事業年度終了届は、次回の許可更新の際に必ず確認される資料の一部であり、未提出だと更新そのものができません。

実際、提出を怠っていることで「許可の更新申請ができず、その間工事の受注ができなくなった」という例も見られます。特に公共工事や元請案件に関わる場合、こうした書類の管理状況は受注機会にも直結するため、書類の不備や提出漏れは経営リスクそのものといえます。

「毎年提出しているけれど、実は中身がよく分かっていない」という方こそ、早めに専門家に依頼することで、信頼性の高い書類を維持し、安心して事業継続ができる環境を整えることができます。

個人事業主も必要? よくある誤解を正しく理解

「法人だけでなく、個人事業主でも提出が必要なんですか?」というご質問もよくあります。答えは「はい、必要です」。建設業の許可を取得している以上、法人・個人を問わず、すべての事業者に提出義務があるとされています。

特に個人事業主の場合、「確定申告も終わったし、これで一段落」と思っていると、この届出を忘れがちです。しかし、確定申告と事業年度終了届はまったく別の手続きであり、提出先も書類の形式も異なります。

また、個人事業主でも元請業者との取引がある場合、事業年度終了届を提出していないことで「管理が甘い」と見なされ、信用を落とすケースもあります。小規模な事業者ほど、書類の信頼性で評価を得ることが重要になります。

事業の規模にかかわらず、適切な手続きが求められる今の時代。個人事業主の方こそ、専門家の力を借りて確実な対応を心がけることが、経営リスクの回避につながります。

2. 提出しないとどうなる?|リスクと行政処分の可能性

許可更新に支障が出るケース

事業年度終了届を提出しなかった場合、最も直接的に影響が出るのが「建設業許可の更新手続き」です。

建設業の許可は一度取得すれば終わりではなく、原則として5年ごとに更新が必要です。そして、この更新時には「過去の事業年度終了届がすべて提出されているか」が必ず確認されます。1年でも提出漏れがあると、その時点で更新手続きが受け付けられない、または補正指導が入るというリスクが発生します。

特に注意したいのが、更新申請の直前になって「過去数年分の事業年度終了届が未提出だった」と発覚するケースです。このような場合、まとめて複数年分の書類を急いで整えなければならず、

  • 書類不備や誤記載のリスクが増える
  • 工事経歴書の遡及作成が難航する
  • 提出先の窓口が混み合う時期と重なる といった理由から、最悪の場合、期限内に更新申請が間に合わない=許可が失効してしまうこともあり得ます。

許可を失えば、それ以降は「無許可営業」となり、契約締結すらできません。再取得にも時間とコストがかかり、それまで築いた信頼や受注の流れを一気に失う危険性もあります。

だからこそ、日頃から毎年の事業年度終了届を確実に提出しておくことが、結果的に許可更新をスムーズに進め、事業を安定して継続するための“土台”となるのです。

「毎年のことだから後回しにしていた…」という方こそ、一度専門家のチェックを受けて、過年度の提出状況や記載内容の確認・整理を行うことを強くおすすめします。

過去の指導・監査事例

実際に、事業年度終了届の提出漏れや内容不備によって、指導や行政処分を受けた事例も存在します。

例えばある中小建設会社では、数年間にわたり事業年度終了届の提出を怠っていたことが発覚し、更新申請の際に行政庁から厳重な指導を受けました。結果として、複数年分の届出をまとめて提出することになり、行政庁からの補正指導に追われる中、更新手続きに大幅な遅れが生じました。

また別のケースでは、提出書類に重大な記載ミスがあったにもかかわらず気づかれないまま数年が経過し、経審の審査過程で発覚。過去の信頼性に疑義が生じたことを理由に、元請との契約見送りに繋がったという実例もあります。

これらは決して特殊な事例ではありません。むしろ、届出に対する意識が低くなりがちな中小事業者ほど、こうしたトラブルに巻き込まれやすいのが実情です。

「毎年きちんと提出している」と思っていても、記載ミスや様式の改正を見落としているケースも少なくありません。こうしたリスクを最小限に抑えるには、経験豊富な行政書士にチェックを依頼することが最も確実な対策といえるでしょう。

元請や発注者からの信頼低下も

事業年度終了届の未提出や内容不備は、行政からの指導だけでなく、取引先からの信用低下にもつながります。特に元請業者や公共事業の発注者にとっては、下請事業者の法令順守状況や経営の安定性が重要な判断材料となります。

実際に、「届出が出ていない=業務がルーズ」「提出を忘れている=管理能力に疑問あり」と見なされ、入札参加を断られたり、契約対象から外された事例も少なくありません。

また、建設業界においては、経営事項審査(経審)の評価にもつながる部分であるため、定期的な届出の提出は事業者の透明性・信頼性の象徴とされています。届出の内容に問題があると、過去の実績全体が疑われることにもなりかねません。

つまり、単に「出せばいい」という話ではなく、「正しく・期限内に・信頼される形で出しているか」が問われているのです。信用を積み重ねてきた事業者ほど、日々の事務処理の確実さが大きな差になるといえるでしょう。

こうした事情から、最近では元請業者の方から「事業年度終了届、きちんと提出していますか?」と確認される場面も増えてきています。自社だけの問題にとどまらず、取引関係にも波及するという意識を持ち、確実な対応が求められます。

3. 提出期限はいつ?|法人・個人の違いとスケジュール管理のコツ

法人:決算月の翌日から4ヶ月以内

法人の場合、事業年度終了届の提出期限は、事業年度終了日(=決算月の末日)の翌日から起算して4ヶ月以内と定められています。

たとえば、3月末決算の法人であれば、提出期限は7月末日までとなります。これを過ぎると、法定提出期限違反となり、指導や注意の対象となる可能性があります。

ここで注意したいのは、「税務申告とはスケジュールが異なる」という点です。法人税の確定申告は原則2ヶ月以内であるため、「税務申告が終わったからもう安心」と思ってしまい、建設業の提出期限を忘れてしまうケースが後を絶ちません。

また、夏場(6〜8月)は建設業許可の更新や経審の繁忙期に重なるため、窓口が混雑しがちです。ギリギリで提出しようとすると、ちょっとした記載ミスや添付書類の不足で提出を受け付けてもらえない・再訪を求められるといった事態になりやすく、結果として期限超過のリスクが高まります。

そのため、決算が終わった段階でできるだけ早めに、事業年度終了届の作成・提出に取りかかることが理想です。書類の準備や確認に不安がある方は、早期の段階で行政書士に相談することで、余裕をもって確実に対応できる体制を整えることができます。

個人事業主:毎年4月末まで

個人事業主の場合、事業年度終了届の提出期限は毎年4月末までと定められています。これは、個人事業主の事業年度が暦年(1月1日〜12月31日)と法律で決まっており、年明けから4ヶ月以内の提出が義務付けられているためです。

たとえば、2024年1月1日〜12月31日分の事業年度終了届は、2025年4月30日までに提出する必要があります。これを過ぎると、未提出扱いとなり、許可の更新時や元請との取引で不利益を被る可能性があります。

特に個人事業主の方は、「確定申告が終わったらすべて終わった」と思い込みやすく、建設業独自の届出まで手が回っていないケースが非常に多いです。しかし、税務署への確定申告と、建設業法に基づくこの届出はまったく別のものであり、提出先も書式も異なります。

提出が遅れると、許可更新時の補正対応が必要になったり、過去の実績が信頼されなくなったりするおそれがあります。また、個人での対応が難しいと感じている場合は、建設業許可業務に強い行政書士に事前に相談しておくことで、確実でスムーズな手続きが可能になります。

「小規模だから大丈夫」と思わず、むしろ書類提出の精度が評価を左右する時代だからこそ、提出漏れを防ぐ意識とスケジュール管理の徹底が、将来の信用維持につながります。

よくあるギリギリ事例とその対処法

建設業の現場は日々忙しく、「書類は後回しになりがち」という声をよく耳にします。その結果、事業年度終了届の提出も「気づいたら期限直前だった」というケースが後を絶ちません。

よくあるのが、「決算は終わったけど、届出のことを忘れていた」という法人や、「確定申告で燃え尽きて、4月末の届出を忘れていた」という個人事業主です。これらの事例では、提出期限ギリギリに慌てて書類を揃えようとして、

  • 書類が一部揃わない
  • 工事経歴書の内容に不備がある
  • 添付書類を見落とす といった事態が頻発します。

さらに、提出窓口が混み合う時期と重なると、ちょっとした不備でも再提出を求められ、結果的に期限内に受理されないというリスクもあります。

こうしたギリギリ提出を回避するには、

  • 決算終了後すぐに届出の準備に取りかかる
  • 提出期限の1ヶ月前には下書きだけでも完成させておく
  • 書類チェックリストを作成し、毎年のルーチンにする といった対策が有効です。

また、「時間がない」「不備が心配」という方は、行政書士への依頼を前提に早めに相談しておくことで、安心して期限内提出が可能になります。

特に愛知県内での手続きに精通した行政書士であれば、提出窓口の事情や記載ルールにも熟知しており、提出直前の駆け込み依頼にも迅速・的確に対応できます。

日々の業務に追われる中でも、こうした「書類提出の段取り力」が、事業の信頼性と持続性を守る鍵になるのです。

4. 提出に必要な書類|チェックリスト付き(法人・個人対応)

法人の場合:決算報告書・経歴書等

法人が事業年度終了届を提出する際に必要な書類は、主に以下の5点です。

  1. 事業年度終了届出書(様式第22号の2)
    → 建設業の各業種について、営業の有無を記載する基本資料です。
  2. 工事経歴書(様式第23号の2)
    → 完成工事高の上位10件、または全体の60%以上にあたる工事を記載します。 元請・下請の別、注文者名、工事名、工期、完成工事高などを正確に記載する必要があります。
  3. 直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第23号の3)
    → 各業種別に、元請・下請の区別を記載し、3年分のデータを提出します。
  4. 財務諸表(様式第24号)
    → 損益計算書・貸借対照表・完成工事原価報告書など。 ※「建設業会計」に基づいた様式で作成する必要があります(通常の税務申告用とは異なります)。
  5. 事業報告書(株式会社のみ)
    → 株主総会議事録の写しや、事業概況が記載された報告資料。提出は義務ではないものの、更新時の評価に影響することがあります。

その他、必要に応じて以下の添付書類が求められる場合もあります:

  • 変更届が未提出の内容(商号・所在地など)がある場合:変更届
  • 代表者の身分証明書(本人確認が必要な場合)

これらの書類は、すべて愛知県内の建設事務所ごとに定められた書式や記載要領に沿って作成しなければなりません。

提出直前になって慌てて作成しようとすると、内容の整合性や数字の整列ミス、旧様式の誤使用などによって受理されないケースも散見されます。特に「工事経歴書」と「財務諸表」は専門的な記載が求められるため、実務に慣れていない担当者が独自に作成するのはハードルが高いのが現実です。

そこで、こうした書類作成に不安がある法人の方には、建設業専門の行政書士に依頼することをおすすめします。三澤行政書士事務所では、愛知県内の提出実務に精通しており、書式・記載内容の精査から提出代行まで一貫対応が可能です。

個人の場合:確定申告書類など

個人事業主が提出すべき書類は、法人に比べて若干簡素化されていますが、基本的な構成は同じです。以下が主な提出書類です:

  1. 事業年度終了届出書(様式第22号の2)
    → 各業種の営業状況を報告する基本書類です。
  2. 工事経歴書(様式第23号の2)
    → 完成工事高の上位10件、または60%以上の工事を記載。元請・下請別に記載が必要です。
  3. 直前3年の工事施工金額(様式第23号の3)
    → 各業種について、過去3年分の工事高を記載します。
  4. 確定申告書の写し(青色申告決算書・収支内訳書を含む)
    → 税務署に提出した書類のコピーを添付することで、財務諸表の代わりとします。
  5. 身分証明書(必要に応じて)
    → 本人確認のために運転免許証などが求められる場合もあります。

特に注意したいのは、確定申告書の内容と工事経歴書の記載に齟齬がある場合、整合性を指摘されることがある点です。数字の不一致や記載漏れは、場合によっては補正指導の対象になるため、事前の見直しが重要です。

また、「法人のような正式な財務諸表を用意しなくてもいいから楽」と思われがちですが、記載内容の正確さや経歴の明確さは、法人と同様に厳しく見られます。

提出する工事経歴書の質が、元請業者や金融機関など第三者に与える印象に直結するため、書類の作成に慣れていない方や不安がある方は、専門家のサポートを受けることでリスクを大きく減らすことができます。

三澤行政書士事務所では、個人事業主の方からのご相談も多数対応しており、書類作成から窓口提出まで一貫してサポート可能です。「小規模事業者だからこそ、書類の信頼性で差をつけたい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。

変更がある場合の追加書類(登記簿など)

事業年度終了届の提出時に、前回の届出内容から変更があった場合は、その変更内容に応じた追加書類の提出が必要になります。これを怠ると、受理されなかったり、別途変更届の提出を求められたりすることがあるため注意が必要です。

以下は、よくある変更内容と必要な添付書類の一例です:

変更内容添付が必要な書類
商号・名称の変更最新の履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
所在地の変更同上(変更後の本店所在地が記載されたもの)
代表者の変更履歴事項全部証明書または変更届
営業所の新設または廃止変更届(営業所の位置図・賃貸借契約書等)
業種の変更(追加・廃止)業種追加に関する届出・証明書類

これらの変更は、本来であれば「変更があった都度、速やかに変更届を提出すること」が原則です。しかし、事業年度終了届の提出時に初めて変更が発覚するケースも少なくなく、その場で変更届の同時提出を求められることもあります。

また、愛知県では「変更届を先に提出してからでないと、事業年度終了届が受け付けられない」運用をしている窓口もあるため、変更の有無を事前に確認し、必要な書類を揃えたうえで手続きに臨むことが重要です。

三澤行政書士事務所では、こうした変更点の有無の確認から、必要書類の洗い出し・取得・作成までをトータルでサポートしています。「気づかないうちに変更していた」「どの書類を出せばいいかわからない」といった場合も、事前にチェックを行うことでスムーズな提出が可能になります。

事業年度終了届の必要書類リスト

書類名法人個人
備考
事業年度終了届出書(愛知県独自の書式)愛知県のウェブサイトからダウンロードが必要です
工事経歴書(様式第2号)当該事業年度に完成した工事を記載します。経営事項審査を受ける場合は記載範囲が異なります
直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号)許可を受けている建設業の種類ごとに、元請・下請別に記載します
貸借対照表(様式第15号)税務申告で提出した決算報告書を基に、建設業会計特有の勘定科目に置き換えて作成します
損益計算書(様式第16号)貸借対照表と同様に、建設業会計に基づいて作成します
株主資本等変動計算書(様式第17号)株式会社のみ必要です
注記表(様式第17号の2)株式会社の場合、様式が異なります
事業税納税証明書(原本、納付すべき額及び納付済額の記載のあるもの)愛知県の県税事務所で取得します。知事許可の場合は事業税、大臣許可の場合は法人税(その1)または所得税が必要です
事業報告書(様式任意)株式会社のみ必要です。特に定められた様式はありません
附属明細表(様式第17号の3)株式会社で、資本金が1億円を超えるか、または直前の貸借対照表の負債合計が200億円を超える場合のみ必要です
使用人数(様式第4号)事業年度中に使用人数に変更があった場合のみ提出します
建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表(様式第7号)法人で、事業年度中に令第3条に規定する使用人(支配人など)に変更があった場合のみ提出します
定款または株主総会議事録の写し法人で、事業年度中に定款または株主総会議事録の内容に変更があった場合のみ提出します
健康保険等の加入状況(様式第7号の3)事業年度中に健康保険、厚生年金保険、雇用保険の加入状況に変更があった場合のみ提出します

(△は変更があった場合のみ、〇は原則必要)

5. 工事経歴書の書き方|元請・下請の区分と実例で解説

上位10件 or 年間工事高60%以上ルール

工事経歴書(様式第23号の2)は、建設業者の「実績」を示す非常に重要な書類であり、審査側にとってはその事業者の信頼性や力量を判断する基準となります。

この工事経歴書の記載方法には、次の2つのルールのいずれかに従う必要があります:

  1. 完成工事高の上位10件を記載する
  2. 年間完成工事高の60%以上を超える件数までを記載する

どちらのルールで作成してもよいとされていますが、重要なのは「どちらか一方に統一して記載する」ことです。途中で混在させることはできません。

例えば、上位10件を選ぶ場合は、完成工事高が高い順に並べ、元請・下請の別、注文者名、工事名、工期、工事金額などを正確に記載します。一方、60%ルールを採用する場合は、全体の完成工事高を算出したうえで、そこから60%を超える件数分の工事を抽出して記載します。

この際、注意したいのが「受注工事高」ではなく、「完成した工事の金額」であるという点です。未完了工事は含めず、あくまで当該事業年度中に完成した工事のみが対象となります。

また、工事名は「〇〇邸新築工事」「〇〇アパート外壁改修工事」など、誰が読んでも具体的にイメージできる内容にしておくと、審査側にも親切です。曖昧な名称(例:工事一式、補修工事など)は避けるようにしましょう。

これらのルールに従って正確に記載しなければ、経審や許可更新の場面で不備を指摘されたり、修正を求められたりすることもあります。書類の質が、そのまま企業の信頼性に反映されると考え、丁寧な作成が求められます。

よくある書き方ミスと修正方法

工事経歴書で見受けられる典型的なミスには、次のようなものがあります:

  1. 工事名が不明瞭・抽象的
    →「工事一式」「改修工事のみ」など、具体性に欠ける名称は避けるべきです。誰が見てもイメージできる工事名(例:「〇〇邸耐震補強工事」「××社倉庫屋根改修」)を記載しましょう。
  2. 完成工事高の記載ミス
    →税抜・税込の区別や、完成した工事と未完了工事の混在に注意が必要です。当該事業年度内に完成した工事のみを記載するという原則を守る必要があります。
  3. 元請・下請の区別が不正確
    →「元請」と「下請」の区分は、契約相手が誰かで判断されます。発注者が施主(最終顧客)の場合は元請、元請企業からの受注であれば下請です。契約書や請求書の確認が有効です。
  4. 工期が曖昧、または記載漏れ
    →着工日や完工日が記載されていない、もしくは「〇年〇月」とだけ書かれている場合、正確性を欠くと判断されることがあります。「令和◯年◯月◯日〜令和◯年◯月◯日」まで明記するのが望ましいです。
  5. 金額の整合性がとれていない
    →経歴書に記載した工事高の合計と、財務諸表上の完成工事高とが一致しないケースが見受けられます。これにより信頼性を損ねることにもなりかねません。

これらのミスを防ぐためには、事前に元請・下請の契約内容や工事実績をきちんと整理しておくことが大切です。また、誤記があった場合には、速やかに「訂正印を押して二重線で修正する」または再作成して差し替えるなど、誠実な対応を行いましょう。

三澤行政書士事務所では、こうした記載ミスを未然に防ぐためのチェックリストをご提供し、提出前の書類確認や修正提案までを一貫してサポートしています。自社での記入に不安がある方は、ぜひ早めにご相談ください。

工事名・注文者名の記載ルール

工事経歴書の「工事名」や「注文者名」は、審査担当者や第三者が実績内容を正しく把握するための重要な情報です。曖昧な表現や略称は避け、誰が見ても具体的に内容が分かるように記載することが原則です。

【工事名の記載ポイント】

  • 「工事一式」や「改修工事」などの抽象表現はNG。
  • 地名や物件名、工事の具体的内容を含めるとベスト。
  • 例:
    • 「名古屋市中区〇〇邸 外壁塗装工事」
    • 「豊田市××工場 増築鉄骨工事」

【注文者名の記載ポイント】

  • 個人住宅の場合は「〇〇邸」「△△様」などと記載。
  • 法人の場合は略さず、登記上の正式名称で記載する。
  • 同一元請からの繰り返し受注でも、その都度正式名で明記。

また、元請か下請かの区分と注文者名の整合性にも注意が必要です。たとえば、注文者が民間施主で直接契約した場合は「元請」、ゼネコン経由での受注なら「下請」となり、注文者名はその契約相手に応じて記載します。

これらの情報が曖昧だと、経歴書全体の信頼性を損なうだけでなく、許可更新や経営事項審査において補正指導を受けるリスクが高まります。

6.財務諸表と建設業会計|税務会計との違いに注意

建設業様式での作成が求められる理由

事業年度終了届に添付する財務諸表は、税務署に提出する法人税申告用の書類とは異なり、建設業法に基づいた様式(建設業会計基準)で作成することが義務付けられています

この様式を求められる理由は、建設業が他業種と異なり、工事の「原価管理」「未成工事」「長期契約」など独特の会計処理が必要とされる業種だからです。つまり、財務状況を「建設業の実態に即して」明らかにするため、専用の書式が設けられているのです。

たとえば、

  • 未成工事支出金:仕掛中の工事にかかる原価を管理する勘定科目
  • 完成工事未収入金:完成はしているが未回収の工事代金を示す科目
  • 完成工事原価報告書:各工事の原価構成を明確に示す報告書 など、通常の損益計算書や貸借対照表にはない科目が多数登場します。

税務会計と混同して、一般的な会計ソフトで出力した財務諸表をそのまま提出してしまうと、「建設業会計に準拠していない」と判断され、補正を求められることになります。

さらに、経営事項審査(経審)を受ける予定がある場合は、財務諸表の内容がそのまま評価項目に直結するため、建設業会計様式で正確に記載することが経営力の証明にもなります。

税理士に任せた場合に注意すべき点

多くの中小建設業者では、税務申告を税理士に一任しているケースが一般的ですが、税理士が作成した財務諸表をそのまま建設業許可の提出書類に流用するのは危険です。

なぜなら、税理士が作成する決算書はあくまで「税務申告のため」のものであり、建設業独自の会計様式(建設業会計基準)を意識して作成されていないからです。

たとえば、

  • 未成工事支出金や完成工事原価の区分がなく「仕掛品」などの科目で処理されている
  • 完成工事未収入金や工事進行基準の売上計上が未反映
  • 損益計算書に「一般管理費」などの区分がない といった場合、事業年度終了届への添付書類としては不適切な形式とされ、補正や再作成を求められる可能性が高まります。

また、税理士先生が建設業会計に詳しくなく、「このまま出して大丈夫ですよ」と言われた書類が実は基準を満たしておらず、窓口で差し戻しを受けたというケースも聞いたことがあります。

そのため、たとえ税理士が関与している場合でも、建設業許可に関する提出書類として適切かどうかは、行政書士など建設業に特化した専門家のチェックが不可欠です。

三澤行政書士事務所では、税理士が作成した決算書をもとに、建設業用財務諸表への変換や科目の置き換え、提出用データとしての整備までを一括対応可能です。「税理士に頼んであるから大丈夫」と安心してしまう前に、一度ご相談ください。

経審を予定している場合の作成方法

経営事項審査(経審)を受ける予定がある場合、財務諸表の作成には一層の注意が必要です。なぜなら、経審で求められる財務情報は、建設業様式に則ったかたちで整っていなければ評価対象とならないからです。

まず基本として、事業年度終了届に添付する財務諸表は、そのまま経審の「Y点(財務状況)」や「Z点(技術力)」などの評価に反映されます。したがって、

  • 勘定科目が建設業会計基準に基づいていること
  • 税抜処理で作成されていること
  • 完成工事高や原価、未成工事支出金の区分が明確であること などが、適切な評価を受けるための最低条件です。

特に注意すべきは「税抜・税込」の区分です。経審では税抜ベースでの数値が求められるため、税込処理された財務諸表を提出してしまうと、実際の売上や利益が過大に見積もられ、減点や補正対象になる場合もあります。

また、経審を見据えるのであれば、財務諸表と工事経歴書・施工金額実績との整合性が非常に重要です。数字の食い違いがあると信頼性に疑義が生じ、結果として評価に悪影響を及ぼす恐れがあります。

7. 株式会社の場合の事業報告書|書き方と添付方法

株主構成や事業概況の記載例

株式会社の場合、事業年度終了届の提出時に「事業報告書」を添付することが望ましいとされています。これは義務ではありませんが、法人の経営実態を客観的に示す資料として、提出先に信頼感を与える役割を果たします。

事業報告書には、主に以下のような内容を記載することが一般的です:

  • 会社の目的・業種(建設業の分類や施工実績の分野など)
  • 主な取引先や仕入先(官公庁、ゼネコン、資材業者など)
  • 従業員数や資格保有者の人数(建築士、施工管理技士など)
  • 本店・支店・営業所の所在地と体制
  • 最近の経営概況(前年比較・売上高・利益等)
  • 株主構成の一覧(氏名・持株数・割合など)

とくに「株主構成」は、役員や関係者の資本関係を明確にし、経営の安定性や外部資本の有無を判断する指標になります。例としては、以下のように記載するとよいでしょう:

【株主構成(令和◯年◯月現在)】
氏名    |持株数|持株比率
山田 太郎  |100株 |100%

また「事業概況」の記載には、前年との比較や、受注環境の変化、経営上の課題・改善点なども簡潔に盛り込むと、事業の方向性が伝わりやすくなります。

提出形式としては、A4縦1~2枚程度にまとめ、WordやExcelなどで自作して問題ありません。公的書式ではありませんが、見やすさ・簡潔さ・正確さが求められます。

決算公告の要否と対応法

株式会社であっても、建設業許可の事業年度終了届において「決算公告」を必須とされているわけではありません。ただし、提出を求められる可能性があるケースや、経営の透明性を求められる場面では対応が必要です。

一般的には、会社法で定められた「貸借対照表の公告義務(会社法第440条)」が関係しており、特に大会社や定款に公告方法を定めている場合には、決算公告が必要となります。

建設業における実務上は、

  • 愛知県内では原則として決算公告の写しは提出不要(ただし要確認)
  • ただし、公告義務のある法人で未公告の場合、更新や経審でのマイナス評価となる可能性あり
  • 公告方法は「官報」「日刊新聞紙」「自社Webサイト」等いずれでも可(定款記載に従う)

自社Webサイトに掲載する場合は、PDFファイルをアップロードし、「貸借対照表を掲載しました」といった旨のページとともに継続的に閲覧可能な状態を保つ必要があります。単に一時的に掲載しただけでは公告とは認められない可能性があるため注意が必要です。

8. 事業税納税証明書の取得方法(愛知県)

県税事務所での取得方法

事業年度終了届に添付する「事業税納税証明書」は、県税事務所で取得する必要があります。愛知県では、「県民税および事業税に未納がないことの証明書」として扱われ、建設業許可関連の手続きには重要な添付書類の一つです。

【取得先】

  • 主たる営業所所在地を管轄する県税事務所(総務課)
  • 愛知県内の主要地域には、名古屋中、名古屋東、三河、西三河、知多などの県税事務所があります

県税事務所一覧(納税相談・納税証明書申請用)

管轄区域県税事務所郵便番号所在地電話番号(徴収課直通)
名古屋市千種区・東区・中区・名東区名古屋東部県税事務所〒460-8483名古屋市中区新栄町2-9
(スカイオアシス栄内)
(052)953-7803
名古屋市北区・西区・守山区、清須市、北名古屋市、西春日井郡名古屋北部県税事務所〒451-8555名古屋市西区城西1-9-2(052)531-6303
名古屋市中村区・中川区・港区名古屋西部県税事務所〒454-8503名古屋市中川区中郷1-3(052)362-3213
名古屋市昭和区・瑞穂区・熱田区・南区・緑区・天白区、豊明市、日進市、長久手市、愛知郡名古屋南部県税事務所〒456-8558名古屋市熱田区森後町8-22(052)682-8922
瀬戸市、春日井市、犬山市、江南市、小牧市、尾張旭市、岩倉市、丹羽郡東尾張県税事務所〒486-8515春日井市鳥居松町3-65(0568)81-3192
一宮市、稲沢市西尾張県税事務所〒491-8506一宮市新生2-21-12(0586)45-3168
津島市、愛西市、弥富市、あま市、海部郡海部徴収課〒496-0047津島市西柳原町1-14
(海部総合庁舎内)
(0567)24-2174
半田市、常滑市、東海市、大府市、知多市、知多郡知多県税事務所〒475-8505半田市出口町1-36
(知多総合庁舎内)
(0569)89-8173
岡崎市、西尾市、額田郡西三河県税事務所〒444-8503岡崎市明大寺本町1-4
(西三河総合庁舎内)
(0564)27-2711
碧南市、刈谷市、安城市、知立市、高浜市安城徴収課〒446-8508安城市横山町下毛賀知93
(安城県税センター)
(0566)76-2101
豊田市、みよし市豊田加茂県税事務所〒471-8537豊田市元城町4-45
(豊田加茂総合庁舎内)
(0565)32-7481
豊橋市、豊川市、蒲郡市、田原市東三河県税事務所〒440-8528豊橋市八町通5-4
(東三河県庁
(東三河総合庁舎))
(0532)35-6123
新城市、北設楽郡新城駐在室〒441-1365新城市字石名号20-1
(新城設楽総合庁舎内)
(0536)23-2393

準備書類・手数料など

事業税納税証明書を取得するためには、いくつかの必要書類と手数料が求められます。準備不足によって受理されなかったり、証明書の発行が遅れたりすることを防ぐために、以下を事前に確認しておきましょう。

【準備書類一覧】

  • 納税証明申請書(県税事務所の窓口で入手またはWebからダウンロード可)
  • 本人確認書類(写し):運転免許証、マイナンバーカードなど
  • 委任状:行政書士など代理人が申請する場合
  • 直近の納税通知書や領収証書の写し(任意):納税状況の確認をスムーズにするため

【法人の場合】

  • 法人の代表者印の押印があること
  • 登記上の所在地・名称と一致しているか確認

【手数料】

  • 1通あたり400円(2024年時点)
  • 愛知県収入証紙での納付が原則(郵送の場合は郵便定額小為替でも可)

【注意点】

  • 手数料の過不足や収入証紙の貼り忘れに注意
  • 郵送での申請の場合、返信用封筒(切手貼付・宛名明記)も必須

これらの準備が整っていないと、一度持ち帰りや再申請になるケースがあるため、あらかじめチェックリストを作っておくと安心です。
取得にあたっては、「最新の納税状況に基づいた証明書」である必要があるため、事前に事業税の納税が済んでいることが前提です。もし納税が遅れている場合、証明書が発行されない可能性があるため、注意が必要です。

また、法人の場合には「法人事業税」、個人事業主の場合は「個人事業税」に関する証明が必要となります。事前に県税事務所に確認を入れておくことで、スムーズに取得できます。

三澤行政書士事務所では、これらの証明書の代理取得や、提出タイミングに合わせた事前準備の支援も行っています。「いつまでに取得すればいい?」「納税証明書が必要な手続きって?」という段階からでもお気軽にご相談ください。

9. 提出先はどこ?|愛知県の建設事務所一覧と提出方法

主たる営業所の所在地所管する部署住所電話番号
名古屋市内愛知県庁
都市整備局都市基盤部都市総務課
〒460-0001
愛知県名古屋市中区三の丸3-1-2
(自治センター2階)
052-954-6503
瀬戸市、春日井市、小牧市、尾張旭市、豊明市、日進市、清須市、北名古屋市、長久手市、愛知郡東郷町、西春日井郡豊山町尾張建設事務所〒460-0001
愛知県名古屋市中区三の丸2-6-1
(三の丸庁舎5階)
052-961-4409
一宮市、犬山市、江南市、稲沢市、岩倉市、丹羽郡扶桑町、丹羽郡大口町一宮建設事務所〒491-0053
愛知県一宮市今伊勢町本神戸字立切1-4
0586-72-1465
津島市、愛西市、弥富市、あま市、海部郡大治町、海部郡蟹江町、海部郡飛島村海部建設事務所〒496-8533
愛知県津島市西柳原町1-14
(海部総合庁舎6階)
0567-24-2141
半田市、常滑市、東海市、大府市、知多市、知多郡阿久比町、知多郡東浦町、知多郡南知多町、知多郡美浜町、知多郡武豊町知多建設事務所〒475-0828
愛知県半田市瑞穂町2-2-1
0569-21-3233
岡崎市、西尾市、額田郡幸田町西三河建設事務所〒444-0860
愛知県岡崎市明大寺本町1-4
(西三河総合庁舎6階)
0564-27-2745
碧南市、刈谷市、安城市、知立市、高浜市知立建設事務所〒472-0026
愛知県知立市上重原町蔵福寺124
0566-82-3114
豊田市、みよし市豊田加茂建設事務所〒471-0867
愛知県豊田市常磐町3-28
0565-35-9312
新城市、北設楽郡設楽町、北設楽郡東栄町、北設楽郡豊根村新城設楽建設事務所〒441-1354
愛知県新城市片山字西野畑532-1
0536-23-5111
豊橋市、豊川市、蒲郡市、田原市東三河建設事務所〒440-0801
愛知県豊橋市今橋町6
0532-52-1312
愛知県知事許可の申請書類の提出先、問い合わせ先

10. よくある質問(FAQ)

Q1:赤字でも提出は必要?

はい、赤字決算であっても事業年度終了届は必ず提出が必要です。

建設業許可を維持するためには、利益の有無にかかわらず毎年の事業年度終了届の提出が建設業法で義務づけられています。「赤字だから経営実態がない」「利益が出ていないから提出しなくてもよい」という考えは誤解です。

赤字であっても提出が求められる理由は、主に以下のとおりです:

  • 事業の継続性と法令遵守を確認するため
  • 許可の更新審査において過去の届出状況がチェックされるため
  • 提出漏れがあると更新不可や指導の対象となるリスクがあるため

また、「赤字を出したくないから書類を出さない」といった判断は、かえって行政からの信頼を損ない、後の手続きで不利になる可能性があります。むしろ正直に赤字を申告し、工事経歴や財務状況を正確に示すことで、信頼される企業体としての評価を保つことが重要です。

三澤行政書士事務所では、赤字決算時の書類作成に不安がある方にも対応可能です。「この内容で提出していいのか」「書き方に迷っている」といったお悩みも、お気軽にご相談ください。

Q2:経審との違いは?

はい、事業年度終了届と経営事項審査(経審)はまったく別の制度であり、目的も手続きも異なります。

事業年度終了届は、「建設業許可を持っているすべての業者」が毎年提出する義務がある基本的な報告書です。一方、経審は「公共工事を請け負いたい業者」が、客観的な経営評価を受けるために行う任意の審査手続きです。

以下に主な違いをまとめます:

項目事業年度終了届経営事項審査(経審)
提出義務毎年提出が義務公共工事を希望する場合のみ任意
提出先建設事務所建設事務所+経審担当部局(県・国)
提出内容財務諸表、工事経歴書など財務データ+技術職員、表彰歴、社会保険加入等の詳細情報
目的許可の維持と法令遵守の確認経営力の客観的評価(点数化)

重要なのは、経審を受けるためには、まず「正しく提出された事業年度終了届」が前提条件になるという点です。届出に不備があると、経審を申請しても受理されなかったり、点数に悪影響を及ぼす可能性があります。

三澤行政書士事務所では、経審を予定している方に対して、事業年度終了届から経審申請までを一括して支援する体制を整えております。「何をどこから始めればよいかわからない」という方も、ぜひご相談ください。

Q3:提出を忘れたときの対応は?

はい、提出期限を過ぎてしまった場合でも、速やかに提出することが最優先です。

事業年度終了届は建設業法に基づく届出義務であるため、「うっかり忘れていた」「多忙で手が回らなかった」といった理由であっても、未提出のまま放置していると法令違反とみなされ、指導・監督の対象となる恐れがあります。

【提出を忘れた場合の対応ステップ】

  1. 過去分の事業年度終了届を早急に作成・提出する
    • 1年分でも未提出があると、次回の更新が受理されないケースがあります
    • 2期分以上未提出の場合は「重大な法令違反」として判断される可能性も
  2. 事前に建設事務所へ連絡して指示を仰ぐ
    • 未提出の事実を説明し、どのように提出すべきか確認する
    • 提出書類の記載内容や添付書類に関する指導を受ける
  3. 正直な内容で作成し、再発防止の体制を整える
    • 虚偽の記載は許可取消のリスク
    • 再発防止の体制(スケジュール管理など)を整備することが信頼回復につながります

三澤行政書士事務所では、過年度分の届出作成支援も行っており、「いつから出していないか分からない」「書類が残っていない」といった状況にも対応可能です。少しでも不安を感じたら、早めにご相談いただくことで、重大なペナルティを回避できる可能性が高まります。

自分でやる?行政書士に任せる?|費用感と業務の違い

自力提出のメリット・デメリット

事業年度終了届は、書式やルールを理解すれば、建設業者自身で作成・提出することも可能です。では、実際に「自力で行う場合」と「行政書士に依頼する場合」のメリット・デメリットはどう異なるのでしょうか?

【自分で提出するメリット】

  • コストを抑えられる:外部に依頼しなければ費用は原則ゼロ
  • 業務の流れを自分で把握できる:会社内で知識が蓄積され、社内管理に役立つ
  • スケジュールを柔軟に調整できる:自分の都合で作業を進められる

【自分で提出するデメリット】

  • 書類不備・記載ミスのリスクが高い:特に初回提出時や制度変更時に注意
  • 工事経歴書や財務諸表など専門的な作成が難しい:建設業会計や元請・下請の正しい記載が求められる
  • 提出先の運用・書式変更に気づきにくい:最新情報に常に注意を払う必要がある
  • 結果的に手戻りや再提出で時間を浪費するリスク

「費用をかけたくない」と思って自力対応を選んでも、最終的にミスが原因で行政対応や更新遅延が発生すれば、結果的に大きな損失につながることもあります。

三澤行政書士事務所では、「一度は自力でやってみたがうまくいかなかった」「役所に何度も通って疲弊した」といったご相談も多くいただいています。迷っている方こそ、一度ご相談いただければ、ご自身の状況に合った最適な対応方法をご提案できます。

行政書士に任せる場合のサポート範囲

行政書士に事業年度終了届の作成と提出を依頼する最大のメリットは、「確実性」と「手間の削減」です。特に初めての届出や、工事件数が多い・財務内容が複雑といったケースでは、専門家の力を借りることで大幅にリスクを回避できます。

三澤行政書士事務所では、以下のような業務を一括対応しています:

【書類作成サポート】

  • 工事経歴書の作成(元請・下請の区分判断、60%ルールの適用など)
  • 財務諸表の作成支援(建設業会計基準に準拠)
  • 法人・個人別の必要書類チェックリスト作成
  • 事業報告書・株主構成の整理

【提出・取得サポート】

  • 管轄建設事務所の確認と代行提出
  • 事業税納税証明書の代理取得
  • 提出用封筒の書き方、郵送申請の指導または代行

【継続サポート・アドバイス】

  • 更新時や経審申請に備えた年間スケジュール管理
  • 法改正や様式変更のタイムリーな情報提供
  • 書類控えのデータ化・バックアップサポート

こうした包括的なサポートにより、依頼者は「本業に集中しながら、確実に建設業許可を維持する」体制を築くことができます。

費用感と依頼タイミングの目安

行政書士に依頼する際の費用は、「業務の範囲」「工事件数」「添付書類の整備状況」などによって変動しますが、目安としては3万円〜6万円前後が相場です(あくまで標準的なケースの場合)。

【費用に影響する主な要素】

  • 工事件数が多く、工事経歴書の記載が複雑になる
  • 経審を見据えた書類整備まで含まれる
  • 財務諸表の調整や会計基準に合わせた形式修正が必要
  • 書類の控えや提出管理のデジタル化を依頼する など

【依頼のタイミング】

  • 決算が終わった段階(会計データが揃ったら)
  • 申請期限の1ヶ月前には相談開始できると安心
  • 経審を検討している場合は、事業年度終了届の準備と並行して動くのがベスト

特に提出期限直前になると、

  • 書類不備のまま出して差し戻される
  • 納税証明書など取得が間に合わない
  • 工事経歴書の確認に時間がかかる

といった事態が起きやすくなります。

そのため、早めの相談・早めの準備が最大のコスト削減策であり、結果として手間も時間も削減できるポイントになります。

三澤行政書士事務所では、「今からでも間に合うか?」「どこまで自分で用意すればよいか?」といった段階からでもご相談いただけます。迷ったら、まずはお気軽にお問い合わせください。

まとめ|書類の正確さが信頼と経営安定につながる

書類提出は「作業」ではなく「信頼構築の一環」

事業年度終了届の提出は、単なる義務的な作業ではありません。むしろ、「建設業者としての信用力を高める経営行為」と言えます。書類が整っている企業は、元請や発注者・金融機関からも信頼されやすくなり、公共工事の参入や融資審査などでも優位に立てます。

逆に、届出を怠ると「管理がルーズな会社」「情報開示に消極的な業者」と見なされ、信頼や契約機会を失うリスクが高まります。

正確な届出と記録管理は、自社の経営実態を“見える化”し、成長と安定の土台を築く手段でもあります。

本業に集中するために専門家活用を検討しよう

毎年の提出作業にかける時間とリスクを考えると、「餅は餅屋」に任せるという判断も、経営戦略の一つです。行政書士に任せることで、

  • 書類の不備による差し戻しを防げる
  • 公的な記録としての信用度を確保できる
  • 時間と労力を“本業に集中するための投資”に回せる というメリットが得られます。

三澤行政書士事務所では、単なる「書類作成代行」ではなく、あなたの経営と信頼を支えるパートナーとして、確実で質の高いサポートをご提供します。届出の段階から差がつく経営体制を築くために、ぜひ一度ご相談ください。

建設業に関する手続きで、こんなお悩みはありませんか?

・初めての事業年度終了報告で、何をどうすればいいかわからない…
・工事経歴書や財務諸表の作り方が難しくて手が止まっている…
・元請や更新申請の際に「出してないの?」と指摘されて焦っている…

そんなときは、建設系産業廃棄物業界出身の行政書士が対応する
三澤行政書士事務所にぜひご相談ください。

当事務所は、愛知県を中心に、中小企業・個人事業主の建設業者様を対象として、
建設業許可の申請・更新・変更届はもちろん、事業年度終了報告の作成・提出も多数サポートしています。

📌 初回相談は無料
📌 平日夜間・土日もご相談可能(事前予約制)

「赤字だけど出さなきゃいけないの?」「書類が揃わないけどどうしたら…」
そんなお悩みにも、現場を知る行政書士が丁寧に対応します。