建設業許可取得における経営業務の管理責任者の要件の一つに、「補佐経験6年」による証明というやり方があります。私もこの要件で困っている事業者様のご相談を何度も受け、実際に自分でも申請をしてきました。
この証明の難しさは、まず資料を集めることの難しさ、そもそも資料自体が残っていない難しさにあります(実務経験10年による証明に似た部分があります)。
ですが、それ以上に大きな問題があると思っています。前職が中小・小規模な零細企業であったり、従業員が5名前後の建設業者であったりすると、社内に資料が残っていない、残す文化もない、というか「そんなものを作ったことがない」ということです。
言ってしまえばこれは「あるある」のパターンです。例えば証明書類で求められるような職務分掌規程が存在する会社は、中小・零細の建設会社にはほぼありません。組織図や、下手をするとその方への辞令(任命書)すら残っていないというケースもちらほら見受けられます。日々の業務で忙しいわけですから、そんなものはないのが普通だというのも、実際にお話ししていて個人的に思うところです。
一方で、ここが重要なのですが、現実的にはこの要件に合致している方がかなり多くいるのではないか、というのがこれまで相談を受けてきた中での実感です。
会社の中で実質的にナンバー2としてやってきた、稟議にも自分の判子を押してきた、統括部長などの役職で何年も長く勤めてきた、実質的に社長より会社の業務に詳しかった――という方は結構いらっしゃるのではないでしょうか。
つまり、「要件を満たす実態があり長く働いてきたのに、それを客観的に証明するための証拠書類が残っていないから許可が取れない」という状態です。
私が今まで相談を受けた事業者の方は、ご自身で補佐経験6年の要件について調べたり、詳しい人に聞いたりして、役所や行政書士に相談に行かれているようです。やはりご自身のことなので必死に調べられるのだと思います。
ですが、そこでよく耳にするのが
- 役所に相談しても「雛形などはない」「この要件で通すのは難しい」と言われてしまう
- 行政書士に相談しても「まだ無理だから、独立してから5年経つのを待とう」というアドバイスで終わってしまう
こういったケースです。そうアドバイスしてしまう気持ちも分かります。「現実的に無理ではないか」というのが、正直なところ一般的な認識になっているのだと思います。
もちろん全てではありませんが、私が補佐経験6年の証明で相談を受けたときは、何とかして資料を集められないか、仮に集まらないとしても代わりとなる証明資料を作れないか、ということを考えていきます。
会社によっては注文書と請書だけはしっかり残っていたり、任命書がきれいに揃っていたりすることもあります。状況はケースバイケースですが、「証明書類が何一つない」というケースは実は少ないのではないか、というのがこれまで申請してきた中での印象です。
当然、どうしても難しいケースが存在するのも分かっています。それでも何とか糸口を見つけてあげたいですし、行政書士として作成できる書類を使って補完的な説明材料として提出し、要件を満たせないかと工夫していくことが大切だと思っています。
本当は許可が取れるのに取れないとあきらめてしまわないよう、そして建設業許可業者が減って衰退してしまわないよう、私たち行政書士がいるのだと思っています。
この記事を書いた人
三澤 祐喜|三澤行政書士事務所(愛知県武豊町)
行政書士 / CCUS登録行政書士
産業廃棄物処理業者に10年以上勤めたのち、2024年に行政書士事務所を開業しました。建設業・運送業・廃棄物処理法・農地法が絡み合う現場の内側にいたので、書類だけを見ていては分からないことがあることを知っています。
このサイトの記事は、実際の案件で調べたこと、窓口で確認したことを、そのつど記録したものです。建設業許可を中心に、産業廃棄物・農地転用・運送業・古物商などの許認可を扱っています。
書類を作ることそのものが仕事だとは思っていません。許認可の壁を越えて、事業を前に進める役を引き受けたいと考えています。
愛知県行政書士会 知多支部|登録番号 第24191550号