こんにちは、行政書士の三澤です!

「うちはそろそろ大臣許可が必要かも…」
「愛知県外にも営業所を出したけど、このまま知事許可でいいの?」
そんな疑問やお悩みを感じていませんか?

この記事では、

  • 愛知県を拠点に建設業を営み、他県にも拠点を展開している方
  • 「営業所の定義」がよくわからず、大臣許可が必要か判断に迷っている方
  • 事業の拡大を見据え、許可の見直しや戦略的な対応を検討中の方

といった 中小建設業者の経営者・実務担当者の方向けに、
「一般建設業における国土交通大臣許可の取得方法」について、
法令と実務、両方の視点からわかりやすく丁寧に解説します。

この記事を読むことで、

  • 自社が 「大臣許可」か「知事許可」か を正しく判断できるようになる
  • よくある誤解(営業所の数や工事場所との関係)をスッキリ整理できる
  • 大臣許可取得に必要な 6つの要件と手続きの全体像 がわかる
  • 手続きに伴う リスクや注意点 を事前に把握し、トラブルを回避できる

ようになります。

「このまま進めて問題ないのか不安…」という方も、
「実際に申請するとしたらどうすればいいの?」という方も、
この記事が 安心して判断・行動するための道しるべとなれば幸いです。

それでは、さっそく見ていきましょう!

目次

1. 大臣許可の必要性とその判断基準

1-1. 知事許可との違い:制度の基本構造

建設業許可制度には、主に「誰が許可を出すか」によって【知事許可】と【大臣許可】の2種類があります。
この違いは、どの都道府県で工事を行うかではなく、営業所がどの都道府県に存在するかという点に集約されます。

区分判断基準許可権者工事できる地域
知事許可営業所が1つの都道府県内のみ都道府県知事(例:愛知県知事)全国どこでも可能
大臣許可営業所が複数都道府県に存在国土交通大臣(管轄は地方整備局)全国どこでも可能

つまり、施工地域ではなく「営業所の所在地」が唯一の判断基準です。
「知事許可だから他県の現場では工事できない」というのは完全な誤解です。
この誤解により、許可の選択を誤ると、無許可営業と見なされるリスクもあります。

1-2. 「営業所」が複数都道府県にあると大臣許可が必要

大臣許可が必要となる典型的なケースは、次のような状況です:

  • 愛知県に本社がある
  • 静岡県・岐阜県など愛知県外にも支店や営業所を設置している
  • その支店や営業所で、建設工事の契約・見積・入札等の行為を継続的に行っている

ここで重要なのが、単なる所在地や名称ではなく、その拠点で何をしているか(機能)という実態です。

「営業所」に該当するかどうかの実態判断の目安

該当する可能性が高い該当しない可能性が高い
契約・見積・入札業務を行っている倉庫・資材置場など
他拠点の契約に関して指導・監督を行っている建設現場の仮設事務所
継続的に顧客対応を行っている名称だけの出張所・連絡所

たとえば、「現場に置いてあるプレハブ」「施工管理者が詰めているだけの場所」は、通常「営業所」には該当しません。
一方で、県外の支店で見積書を作って顧客に提出しているような場合、それは明確に「営業所」に該当します。

1-3. 施工地域との関係性(よくある誤解)

❌ 誤解1:「東京都で工事を請けるから大臣許可が必要」

→ 施工場所は関係ありません。営業所がどこにあるかが基準です。

❌ 誤解2:「県外の現場だけど、愛知県の営業所で契約したから知事許可でOK」

→ 実際に契約業務を行っているのが県外の支店であれば、その拠点は営業所とみなされ、大臣許可が必要です。

❌ 誤解3:「軽微な工事(500万円未満)しかやってない営業所だからカウントされない」

→ 金額の大小は無関係です。建設業の契約業務を継続的に行っていれば、それは営業所に該当します。

このような「よくある誤認」を放置してしまうと、
無許可営業(建設業法違反)として指導・処分の対象になることも。
制度の本質は「実態に即した許可の取得」であることを忘れてはいけません。

営業所の実態、見直しが必要かも

「営業所」の定義は登記ではなく“機能”で判断されます。
そのため、知らない間に「無許可営業」状態に陥っているリスクもゼロではありません。

さらに、大臣許可の申請先は愛知県のような都道府県庁ではなく、中部地方整備局です。
必要な書類も多く、審査も厳格なため、準備不足では申請が遅れ、事業機会を逃す可能性すらあります。

「この拠点は営業所にあたるのか?」
「大臣許可が必要なのか?」
そのようなお悩みがあれば、建設業界出身の行政書士である三澤が、
法令・現場・行政運用をふまえて最適な判断をご提案いたします。

どうぞお気軽にご相談ください。

2. 自社は本当に「大臣許可」が必要?|営業所判定チェックポイント

複数県にまたがって営業拠点を持つようになったとき、まず検討すべきなのが「自社は大臣許可が必要か?」という点です。
しかしその判断には、単に“営業所の数”や“県境を越えた施工”だけでは足りません。

この章では、建設業法における「営業所」認定の実務的なポイントを3つに分けて確認します。
重要なのは、登記の有無ではなく、拠点の「実態」にあります。

登記よりも「実態」が重要

「登記していないから営業所じゃない」──これは危険な誤解です。

建設業法上の営業所とは、

「常時建設工事の請負契約を締結する事務所(施行令1条)」
と定義されており、「登記上の支店かどうか」は関係ありません。

つまり、「営業所」に該当するかどうかは、形式ではなく機能で判断されます。

形式的には支店でないが…
・営業担当者が常駐している
・見積書を作成・提出している
・顧客対応や受注活動を行っている
→ 実態で営業所に該当する可能性あり!

この実態があれば、例え「出張所」や「現場詰所」と呼ばれていても、建設業法上は「営業所」と見なされます。
逆に登記されていても、実態がなければ営業所ではありません。

見積もり・契約が行われているか?

「営業所」かどうかを判断する最大のポイントは、契約に関連する業務の有無です。

営業所と判断される業務の具体例:

  • 見積書を継続的に作成・発行している
  • 顧客からの入札や見積依頼に対応している
  • 契約書の取り交わしを拠点単位で行っている
  • 顧客訪問や営業活動の拠点として継続運用している

一方で、たとえば「たまに立ち寄って郵便物を受け取るだけの場所」「在籍者が誰もいない空き拠点」は営業所に該当しません。

他拠点への指導があるか?

もうひとつ見落とされがちなポイントが、「他の営業所を指導・監督する拠点」です。

たとえば、県外拠点が他の支店や現場に対して、

  • 見積や契約内容のチェック・承認を行っている
  • 技術的・契約的なマネジメント指導を継続して行っている

という場合、その拠点は「契約に係る意思決定に関与している=営業所機能を有している」と判断されることがあります。

✔ チェックポイント:

項目該当すれば営業所の可能性大
営業指導や契約監督を行っている
他拠点の契約内容を決裁している
技術職ではなく、営業管理職が常駐している

これらは実態として「請負契約を締結する機能を有する事務所」に当たるため、たとえ形式的な契約が本社で行われていても、営業所と判断される可能性があります。

営業所の定義、思い込みのまま進めないように

建設業法上の営業所は、「登記されたかどうか」ではなく、「契約業務を行っているかどうか」で判断されます。
この誤解は極めて多く、結果として本来大臣許可が必要なケースで知事許可のまま営業を続けてしまい、無許可営業に該当してしまうリスクを抱えることになります。

しかも、大臣許可の申請先は中部地方整備局。愛知県庁ではありません。
書類や手続きも煩雑で、判断や準備を誤れば数ヶ月単位で事業に支障が出る恐れもあります。

「この拠点、営業所に当たるのかな…?」
そんな不安がある方は、建設業出身の行政書士である三澤が、
法令・現場・行政の実務を踏まえて、営業所判断から大臣許可申請までフルサポートいたします。

まずはお気軽にご相談ください。

3. 一般建設業の「大臣許可」取得に必要な6要件

建設業の「大臣許可」は、知事許可よりも広域な営業展開が可能となる反面、申請にあたって満たすべき要件も多岐にわたります。
中でも一般建設業許可の取得に必要な要件は、大きく6つ
それぞれを順番に解説していきます。

3-1. 経営業務の管理責任者(経管)

「経営業務の管理責任者」(通称:経管)は、建設業の経営を適切に行うための体制が整っているかを確認するための要件です。
特に中小企業や個人事業主にとっては、この要件のハードルが最も高いと感じられることもあります。

経管の基本要件(いずれか1つに該当)

区分要件内容
(a)許可業種に関して5年以上の経営業務経験(代表者・役員等として)
(b)他業種含めて6年以上の経営業務経験(代表者・役員等として)
(c)経営補佐体制(令和2年改正要件):経営経験2年以上+補佐者3名体制など

✔ 注意点と実務での落とし穴

  • 名義だけの役員では不可。「実質的な経営責任」を負っていたことが必要です。
  • 補佐体制を採用する場合は、財務・労務・業務それぞれに5年以上の経験を持つ常勤補佐者が必要で、資料も複雑になります。
  • 健康保険証や住民税課税通知書などで「常勤性」を証明する必要があります。

経管の要件は一見シンプルに見えて、証明資料の準備が煩雑です。
中部地方整備局も、この要件には非常に厳格な審査を行っています。

3-2. 専任技術者(専技)

建設工事の実務を技術面から管理できる人材の配置が「専任技術者」の要件です。
原則として、各営業所ごとに1名ずつの配置が求められます。

専任技術者の主な資格区分

区分要件内容
国家資格施工管理技士(1級・2級)、建築士、電気工事士など
学歴+経験指定学科卒業後3年(大卒)or5年(高卒)以上の実務経験
実務経験のみ10年以上の実務経験(証明書類が重要)

実務での注意点

  • 「専任」とは、その営業所に常勤し、兼業していないことを意味します。
  • 他の法人の役員を兼ねている場合や、遠方在住で通勤が困難な場合は不適格と判断されることもあります。
  • 建設業許可の更新時も「専技が辞めた」だけで不許可になる例があるため、継続的な配置管理が必須です。

また、専技は営業所ごとの配置が原則ですが、
1人の技術者が複数業種の専技を兼ねることは可能です(要件を満たせば)。

3-3. 財産的基礎または金銭的信用

建設業は資金が先行する業種です。
そのため、経営基盤として一定の財産力または信用力が必要とされます。

要件(以下のいずれかを満たす)

判定基準内容
自己資本基準直近の決算で自己資本500万円以上
金融証明預金残高証明書等で500万円以上の資金調達能力を証明
継続実績5年以上継続して許可を保持し営業していること(更新・許可換えの場合)

実務上の注意点

  • 新規申請では、残高証明書がもっとも簡便かつ確実な方法(ただし有効期限=1ヶ月以内)。
  • 自己資本の判定には、「純資産合計」や「資本金」だけでなく、負債控除や会計処理の確認も必要です。
  • 書類の形式不備や残高証明の期限切れで、差し戻しになるケースが多発しています。

中小企業で設立間もない場合でも、
銀行からの融資証明などで代替することが可能な場合もあるため、早めの準備と相談が重要です。

3-4. 誠実性

建設業は信頼によって成り立つ業種です。
発注者から高額な工事を請け負い、納期・品質・安全を確実に守るためには、企業としての誠実性が何よりも重要視されます。

そのため、建設業許可(大臣許可を含む)では、「契約の締結や履行において誠実に対応できる事業者かどうか」を事前に確認する必要があります。

✅ 判断基準となる行為

種別内容例
不正な行為詐欺・脅迫・横領など、法令に明確に違反する行為
不誠実な行為工期の遅延、仕様違反、虚偽報告など契約違反に該当する行為

🔍 注意点

  • 過去の行政処分歴裁判記録は厳しくチェックされます。
  • 法令違反歴があった場合でも、その内容・経過年数によっては申請に影響を及ぼす可能性があります。
  • 実態の有無にかかわらず、誓約書に虚偽記載があると不許可の原因に直結します。

つまり「書類だけ整えても、背景に信頼を損なう行為があればアウト」ということです。
誠実性は形式ではなく“実績”によって裏付けられる項目だといえます。

3-5. 欠格要件への非該当

建設業法第8条では、許可を受けることができない人(=欠格者)について明確に定めています。
法人・個人を問わず、代表者、役員、支配人、一定の使用人等が下記に該当する場合は、大臣許可の申請は受理されません。

✅ 欠格要件の主な例(抜粋)

条件詳細内容
成年被後見人・破産者法的な判断能力や信用力に疑義があるとされる
禁錮以上の刑刑の執行終了から5年を経過していない者(執行猶予も含む)
許可取消歴不正取得や営業停止違反により過去5年以内に許可を取り消された者
暴力団関係者暴力団員または過去5年以内に構成員だった者
虚偽申請・無許可営業故意または重過失により建設業法違反を犯した者

✔ 注意点

  • 欠格該当の判断は「個人単位」でなされます。
  • 非常勤役員や委任契約者なども対象となることがあります。
  • 本籍地の身分証明書や法務局での「登記されていないことの証明書」の提出が求められます。

このように、「知らずに登用していた役員が実は…」という事態は、大臣許可取得の障壁になり得ます。
申請直前ではなく、組織構成の段階でチェックを行うことが望ましいです。

3-6. 社会保険への加入

最後に確認されるのが、労働者保護の観点から導入された社会保険の加入状況です。
建設業者には、原則として以下の社会保険に適正に加入していることが義務付けられています。

✅ 対象となる保険制度

保険制度対象
健康保険・厚生年金保険法人または従業員5名以上の個人事業所など
雇用保険労働者を一人でも雇用している場合

✔ 実務上の注意点

  • 保険に未加入のまま申請すると、不許可の対象となります。
  • 加入済みでも、申請時に証明書類の添付がないと審査が止まります
  • 健康保険料の領収書や、標準報酬決定通知書、雇用保険料の納付済通知書などを事前にそろえておく必要があります。

特に、創業間もない法人や家族経営の事業者は、「うちは加入義務があるのか?」という点から慎重に確認すべきです。
義務がない場合はその旨を申告すれば問題ありませんが、義務があるのに未加入のまま進めると、申請全体が無効とされてしまいます。

一つの不備が、申請全体を左右します

ここまで見てきた6つの要件は、それぞれ独立しているようでいて、実は相互に関連し合っています
たとえば:

  • 営業所の定義を誤認 → 専任技術者が不足 → 要件未達成
  • 経営業務責任者の常勤性が疑問視される → 誠実性にも影響
  • 欠格要件に該当する役員がいた → 申請自体が受理されない

建設業許可は形式的な書類提出ではなく、実態重視・実行力重視の審査です。
だからこそ、法令を理解した上での慎重な準備が必要です。

さらに、大臣許可の申請は都道府県ではなく、中部地方整備局(愛知県を含む管轄)への申請となり、
審査期間もおよそ3ヶ月前後と長丁場です。
必要書類も多く、確認事項も多岐にわたるため、申請の遅れはそのままビジネスチャンスの損失に直結しかねません。

「どの要件でつまずきそうか不安」「自社が本当に満たしているか確認したい」
そんな方は、建設業界の現場と法令運用に精通した三澤行政書士が、
丁寧に状況を分析し、要件の充足確認から申請書類の作成・提出まで一貫してサポートいたします。

まずは、お気軽にご相談ください。

4. 許可取得までの流れ|申請から取得までのステップ

一般建設業の大臣許可を取得するには、正確な判断と段取りが不可欠です。
ここでは、愛知県内の建設業者が実際に「大臣許可」を取得する際の具体的な流れを、申請先・書類・手数料・期間の観点から解説していきます。

4-1. 申請先は「中部地方整備局」

まず最初に確認すべきは、申請先が都道府県庁ではないという点です。
知事許可は愛知県庁など各都道府県が窓口となりますが、大臣許可の管轄は国土交通省=中部地方整備局です。

中部地方整備局の基本情報(2025年現在)

  • 所在地:〒460-8514 愛知県名古屋市中区三の丸2-5-1(名古屋合同庁舎第2号館)
  • 電話番号:052-953-8572(建設業係)
  • 担当部署:建政部 建設産業課
  • 対象地域:愛知県・岐阜県・三重県・静岡県に主たる営業所を有する建設業者

提出方法の選択肢

提出方法備考
窓口持参予約制ではないが、混雑を避けて平日午前中が理想
郵送提出返信用封筒を必ず同封。書留またはレターパック推奨
電子申請JCIP(建設業許可・経審電子申請システム)による申請が開始されています。運用ルールに注意が必要です

2020年4月以降、「都道府県を経由して提出する制度(経由事務)」は廃止されています。
必ず中部地方整備局に直接提出するという点に注意してください。

4-2. 提出書類一覧と注意点(よくある不備も)

大臣許可の申請書類は、知事許可に比べて量・精度ともに高いレベルが求められます
中部地方整備局が公開している「建設業許可の手引き」最新版を確認しながら、正確に準備しましょう。

主な提出書類一覧(新規・一般・大臣許可)

書類名備考
建設業許可申請書(様式第1号)基本情報・営業所・業種などを記載
役員等の一覧表(別紙一)非常勤含む全役員の氏名・役職・住所等
営業所一覧表(別紙二(1))全ての営業所の所在地・電話番号等
経営業務の管理責任者証明書(様式第7号)経管に関する詳細な実績証明
専任技術者証明書(様式第8号)専技の資格・実務経験を証明
財務諸表(様式第15号〜19号)貸借対照表・損益計算書等(税抜表記)
誓約書・欠格要件確認書類全役員等分が必要。身分証明書・法務局の証明書など
社会保険の加入確認資料保険料領収書や標準報酬決定通知書の写し等
その他補足資料営業所の写真、法人登記簿謄本、定款、納税証明書など

⚠ よくある不備・ミスとその回避策

不備内容回避策
古い様式を使用最新の手引きから様式をダウンロードする(中部整備局HP)
営業所の記載漏れ実態に基づいて全ての「営業所」を正確に記載
経管や専技の経験証明不足契約書・確定申告・登記簿などで年数・実務内容を裏付け
添付書類の不足や期限切れ残高証明書・納税証明書は「申請日前〇ヶ月以内」に注意
副本や返信用封筒の同封忘れ郵送時は封筒と切手、控えの同封を徹底

提出書類が多いため、事前のダブルチェック体制の構築が極めて重要です。
1つの不備が審査全体の遅延を招くことも珍しくありません。

4-3. 登録免許税の納付と期間の目安(約3ヶ月)

大臣許可申請には「手数料」ではなく、「登録免許税」が課されます。
これは国の許可権限であることに起因する制度的違いです。

登録免許税の基本情報(新規申請)

内容詳細
金額150,000円(1件あたり)
納付方法名古屋中税務署で納付 → 「領収証書原本」を取得
提出方法領収証書を申請書の「別紙三」に貼付して提出

※更新や業種追加など一部申請では「収入印紙」での手数料(50,000円)になる場合もあります。

審査期間の目安

区分標準処理期間
一般建設業・大臣許可約90日(3ヶ月)
  • 書類の不備がある場合、補正対応が必要となり、さらに期間が延びることがあります。
  • 繁忙期(年度末・夏季)や大型案件が集中する時期は、審査に時間がかかる傾向にあります。

したがって、大臣許可を前提に入札や契約を予定している場合は、3〜4ヶ月の準備期間を確保しておくことが極めて重要です。

5. 実務上の注意点と「許可維持」のためのポイント

大臣許可を取得した後も、すべてが終わりではありません。
むしろ大切なのは、取得後も適正に許可を維持し続けること
許可の取消や業務停止といったリスクを防ぐためには、制度上の“落とし穴”を正しく理解し、実務対応を怠らないことが重要です。

以下では、大臣許可取得後によくある問題と、その予防策を紹介します。

「営業所」誤認は最大の落とし穴

実務上で最も多いトラブルのひとつが、「営業所の定義を誤認したまま申請・運営してしまう」ことです。

✅ 営業所の定義(再確認)

請負契約の見積・締結・入札などを常時行っている拠点

この定義を誤解すると、

  • 知事許可のまま他県営業所で契約業務を行っていた
  • 大臣許可の取得時に実態と異なる営業所情報を記載していた
  • 更新や変更届で「営業所でない」と誤って判断し、届出を怠った

といった事態が起こります。

⚠ 結果として生じるリスク

リスク内容概要
無許可営業の扱い知事許可の範囲外で契約を行っていた場合
虚偽申請と見なされる営業所が実態に反して記載されている場合
更新審査で不適格判定営業所情報の相違により不備・調査対象に

とくに愛知県を拠点にする事業者が三重・岐阜・静岡に支店を出すケースでは、営業所の実態把握がカギになります。
制度の文言だけでなく、実務での「行動内容」ベースで判断することが重要です。

書類不備・形式不備による遅延リスク

許可取得時にも同様の注意が必要でしたが、取得後の変更届や更新手続きでも、書類の形式不備が審査の大幅な遅延を招く要因になります。

✅ よくあるミスとその対策

不備の種類対策
最新様式を使っていない中部地方整備局HPの最新版を必ず確認
添付書類の期限切れ例:残高証明書、納税証明書の有効期限に注意
書類の押印漏れ代表者印・実印の押印箇所を確実にチェック
複写・控えの不備副本の作成・返信封筒・切手なども忘れずに準備

また、電子申請(JCIP)においても入力ミスやファイル形式の不適合が審査の差し戻しにつながるため、慣れていない場合は無理に電子化せず、紙ベースで進める判断も現実的です。

更新・変更届の義務とペナルティ

許可は一度取得して終わりではなく、継続的な届出義務が課せられる制度です。
特に忘れがちなのが以下の2点です。

✅ 1. 決算変更届(毎年提出)

| 提出義務 | 毎事業年度終了後4ヶ月以内 |
| 対象書類 | 貸借対照表・損益計算書・完成工事高報告書など |
| 提出しないと? | 経営事項審査を受けられず、公共工事に参加不可/更新拒否の可能性も |

✅ 2. 許可内容の変更届

変更内容届出期限
商号・代表者・役員・営業所の所在地等変更から2週間以内が原則

これらの届出を怠ると、建設業法違反として指導・勧告・最悪の場合は許可の取消処分となるリスクもあります。

許可は“維持”してこそ意味がある制度です

大臣許可は取得すればOKではありません。
むしろ、その後の届出や実態管理が適正でなければ、許可を失うリスクや行政指導の対象となり、信用低下や受注機会の損失に直結します。

しかも「営業所」の定義はあいまいな点が多く、現場実務に通じていなければ判断を誤りやすい領域です。
さらに、提出書類の多さ・煩雑さ・地域ごとの運用違い(愛知県×中部整備局)により、「片手間では乗り越えられない制度」であることは明らかです。

三澤行政書士事務所では、建設業界出身の実務経験を活かし、
許可取得から維持管理、更新届出、変更対応までを一気通貫でサポートしています。

「これから許可を取りたい方」も、「取った後が不安な方」も、
どうぞお気軽にご相談ください。

まとめ:大臣許可は「信頼」と「成長」のための投資

一般建設業の「大臣許可」は、単に営業所の数に応じた行政手続きではなく、
事業の信頼性を裏付け、組織としての発展を可能にする“戦略的ライセンス”です。

とくに愛知県を拠点に、近隣県(静岡・三重・岐阜など)へ展開する建設業者にとっては、
「いつか必要になるかもしれない」ではなく、「いま確実に取得しておくべき許可」といえるでしょう。

本記事で解説したように、大臣許可には以下のポイントが求められます。

  • 「営業所」=登記でなく実態で判断されるという落とし穴
  • 6つの取得要件のクリアとその裏付け資料の整備
  • 中部地方整備局への直接申請と3ヶ月前後の審査期間
  • 取得後も求められる、届出義務と許可維持の継続管理

こうした諸条件を冷静に捉えることで、「今動くこと」が将来的な事業の信頼構築・受注拡大・行政対応リスクの最小化につながります。

大臣許可は、リスク対策であると同時に、企業としての“格”を上げる一手
必要なタイミングで、確実に取得し、そして維持するための体制づくりが大切です。

建設業の大臣許可、こんなお悩みありませんか?

  • うちの支店は営業所に該当するのか判断できない…
  • 中部地方整備局の申請が複雑で不安…
  • 要件はある程度わかっているが、証明資料をどう整えればいいのか分からない…
  • 取得後の維持・届出に対応できるか不安…

そんなときは、建設業専門の行政書士が直接対応する
三澤行政書士事務所にぜひご相談ください。

当事務所は、愛知県を中心に中小企業・個人事業主の建設業者様を対象に、

  • 許可取得(知事許可から大臣許可への切替含む)
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までを一気通貫でサポートいたします。

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