こんにちは、行政書士の三澤です!
「土木一式工事の許可を取りたい」「そろそろ元請として公共工事にもチャレンジしたい」
そんな疑問やお悩みを感じていませんか?

この記事では、
・公共工事や大型案件の受注を目指して、土木一式工事の許可を取得したいと考えている方
・自社が要件を満たしているか不安で、申請に踏み出せずにいる方
・実務経験や保有資格など、許可取得に必要な条件を整理したい方

といった建設業者様向けに、土木一式工事の建設業許可取得をテーマに、初めての方でもわかりやすいよう実務の視点で丁寧に解説していきます。

この記事を読むことで、土木一式工事の許可取得に必要な要件・資格・実務経験の証明方法・注意点など、押さえるべきポイントを一通り理解することができます。

「うちでも取得できるの?」「まず何をすればいいの?」と迷われている方の道しるべとなるよう、ポイントを絞ってご紹介します。

それでは、さっそく見ていきましょう!

目次

はじめに

「うちもそろそろ建設業許可が必要かも?」と思ったら

「今までは小規模な工事しか受けてこなかったけど、そろそろ大きな案件も受けたい」「元請けから『建設業許可はありますか?』と聞かれて焦った」──そんな場面に心当たりがある建設業者の方も多いのではないでしょうか。

特に、道路や橋、造成などインフラ整備に関わるような工事を請け負う場合、「土木一式工事業」の建設業許可が必要になるケースが多くなります。この許可を取ることで、請け負える工事の幅が広がり、信頼性の向上にもつながります。

土木一式工事って何?なぜ「許可」が必要なの?

建設業許可には29の業種があり、その中でも「一式工事」に分類されるのが「土木一式工事業」と「建築一式工事業」です。特に「土木一式工事業」は、道路、トンネル、河川、ダム、造成など、公共性の高い工事を総合的にマネジメントして施工する業種です。

「一式工事」とは、複数の専門工事をまとめて請け負い、全体の企画・指導・調整を行う工事のこと。いわば“現場をまとめる立場”にある工事業者が対象となります。

こうした工事には当然、規模が大きく、責任も重大となるため、国や自治体のルールとして「一定の技術力・経営力・資金力などを備えている業者だけが請け負えるようにしよう」という仕組みが整えられています。これが「建設業許可制度」です。

本記事の目的とゴール

本記事では、愛知県で「土木一式工事業」の一般建設業許可を取得したいと考えている方向けに、

  • どんな許可なのか?
  • どんな人が対象になるのか?
  • どうやって取得するのか?
  • 注意すべき点やつまずきやすいポイントは?

といった疑問に答えながら、許可取得までのステップをわかりやすく解説していきます。

「うちの会社でも取れるの?」「まず何から始めたらいいの?」という疑問をスッキリ解消できるよう、実務目線で情報をまとめました。

ぜひ参考にしていただき、許可取得に向けた一歩を踏み出していただければ幸いです。

1. 土木一式工事業とは?|ざっくり分かる定義と対象工事

土木一式工事と他の建設業との違い

「土木一式工事業」は、建設業法上の29業種のうちの1つで、「一式工事」に分類される特別な業種です。他の多くの建設業(舗装工事、とび・土工工事、管工事など)は「専門工事」と呼ばれ、特定の作業に特化しているのが特徴です。

それに対し、「一式工事」は複数の専門工事をまとめて管理・監督する立場。工事全体の流れを把握し、発注者や下請業者と調整を行いながら、プロジェクトを完遂する“総合的な指揮役”と言えます。

土木一式工事業は、工事の規模が比較的大きく、構造や内容が複雑な工事を請け負うための許可です。「専門工事をいくつか組み合わせたような総合的な工事」が対象になります。

どんな工事が含まれる?具体例でチェック

実際に土木一式工事業に該当する工事には、次のようなものがあります:

  • 道路工事(新設・改良・舗装など)
  • トンネル工事
  • 橋梁工事
  • 河川・海岸工事
  • ダムや砂防ダム工事
  • 空港の滑走路や誘導路整備工事
  • 土地区画整理や造成工事
  • 下水道整備(公道下のもの)
  • 農業土木(用水路や排水施設の整備)

これらは、いずれも広範な知識や複数業種の調整力が必要な工事です。技術だけでなく、工程管理や契約管理の力も問われる分野と言えるでしょう。

よくある勘違い(例:掘削だけなら別業種)

「うちは重機で掘削をやってるから、土木一式の許可がいるよね?」──実はこれ、よくある勘違いです。

掘削や盛土といった作業は、単体では「とび・土工工事業」に該当し、「土木一式工事業」とは別物です。つまり、専門工事だけを行う場合は、それに対応した個別の許可が必要です。

また、上下水道の配管工事を請け負う場合、それが建物の敷地内であれば「管工事」に分類されますし、下水処理場の施設工事などは「水道施設工事」にあたることも。

土木一式工事の許可があればすべてを自由に請け負えるというわけではありません。あくまでも「総合的な工事をまとめる場合」に必要な許可であるという点は押さえておきましょう。

2. 許可が「必要な工事」と「不要な工事」の境目はどこ?

許可が必要な金額ラインと「軽微な工事」の定義

建設業許可が必要かどうかの大きな判断基準となるのが「請負金額」です。土木一式工事業の場合、1件の工事で請負金額(消費税を含む)が500万円以上になると、建設業許可が必要になります。

一方、請負金額が500万円未満の工事は「軽微な工事」として扱われ、建設業許可がなくても請け負うことができます。

たとえば、外構や小規模な造成などで、資材費や運送費を含めて500万円未満の工事であれば、許可は不要です。ただし、同一工事を複数に分けて500万円未満に見せかける「分割請負」は、法律で禁止されていますので注意が必要です。

また、建築一式工事の場合は別の基準(請負金額が1,500万円未満、または木造住宅で延べ面積150㎡未満)となるため、混同しないようにしましょう。

うちは必要?チェックポイント

以下のような状況に該当する場合は、建設業許可を取得しておいた方が安心です:

  • 元請や自治体から「許可はありますか?」と尋ねられることが増えた
  • 見積もりや契約金額が500万円を超える工事を請け負う予定がある
  • 公共工事の入札に参加したい
  • 下請けから元請けにステップアップしたい
  • 会社としての信用力を高めたい

またたとえ500万円未満の工事しか行っていない場合でも、許可を持っていることで得られるメリット(信用・受注機会・社内整備など)は大きいため、取得を前向きに検討する価値はあります。

「今すぐ必要というわけではないけれど、将来的に大きな工事を請けたい」という方こそ、早めに準備を始めておくのが得策です。

3. 土木一式工事業で一般建設業許可を取るための5つの要件

土木一式工事業の一般建設業許可を取得するには、法律で定められた5つの基本的な要件を満たす必要があります。これらは「人」「経営力」「誠実性」「資金力」「社会保険」の5つの観点からチェックされます。

1. 経営業務の管理責任者とは?

まず必要なのが「経営業務の管理責任者」(通称:経管)です。これは、建設業の経営全般に関わった経験を持つ人のこと。

たとえば、建設会社の代表や役員として5年以上の経営経験がある人が該当します。また、経営者でなくても、それに準ずる立場(取締役・個人事業主の補佐役など)で6年以上関わっていた場合もOKです。

この経管は、許可を取る会社や事業所に“常勤”している必要があり、名義貸しなどは一切認められません。

2. 専任技術者とは?どんな資格・経験が必要?

2つ目は「専任技術者」の配置です。これは、実際の工事に関する技術的な判断ができる人を置くことを意味します。

たとえば、以下のような資格・経験があればOKです:

  • 1級・2級土木施工管理技士
  • 技術士(建設部門など)
  • 指定学科を卒業+3〜5年以上の実務経験
  • 10年以上の実務経験のみでも可(資格・学歴がなくても)

この専任技術者も、営業所に“常勤”していなければなりません。現場に出る兼任が可能かどうかは条件次第です。

3. 誠実性って何を見られるの?

「誠実性」とは、ズルや不正をする恐れがないかどうかを見られる要件です。

過去に詐欺や横領などの前科がある、暴力団と関係がある、建設工事で不正な契約をしたことがある──こういった場合には、誠実性の要件を満たさないと判断されることがあります。

つまり「法令遵守や社会的信用があるか?」が問われるわけですね。これに該当するトラブルがなければ、多くの方はクリアできます。

4. 財産的基礎(500万円の壁)

「資金力」も重要なチェックポイントです。

一般建設業許可を取るには、以下のいずれかを満たしている必要があります:

  • 自己資本が500万円以上ある(決算書で確認)
  • 預金残高証明書で500万円以上あることを証明できる
  • 過去5年間、他の建設業許可を受けて継続営業していた実績がある

創業まもない個人事業主や法人は、預金残高で証明するケースが多いです。その場合、金融機関で証明書を発行してもらいましょう。

5. 社会保険加入の義務

最後は「社会保険への加入状況」です。

2020年(令和2年)以降、建設業許可を取るには、

  • 健康保険(協会けんぽや建設国保など)
  • 厚生年金保険
  • 雇用保険

これらにきちんと加入していることが原則義務となっています。法人や従業員がいる事業所は、必ず加入手続きを済ませておきましょう。

これら5つの要件は、どれか一つでも欠けていると許可が下りません。どの要件がネックになりそうかを早めに把握し、準備していくことが大切です。

4. 土木一式工事業でよくある質問・つまずきポイント

建設業許可の取得を目指す中で、実際によくある悩みやつまずきやすいポイントについて解説します。書類上の条件を満たしていても、証明が難しいケースなどは意外と多いものです。

経験年数の証明ができない…

専任技術者や経営業務の管理責任者としての「実務経験」が要件となる場合、その経験を“書類で証明”しなければなりません。

ここで問題になるのが、「昔の工事で契約書や請求書が残っていない」「個人事業時代の実績を証明できる資料がない」といったケースです。

このような場合は、

  • 税務申告書や確定申告書(収支内訳書)
  • 領収書や工事写真、発注者からの証明書
  • 厚生年金の加入記録(被保険者記録照会)

などを組み合わせて補強していくことになります。

一つの書類で証明できない場合でも、複数の資料を組み合わせて「実態として経験がある」ことを示す工夫が大切です。

専任技術者が社長だけどOK?

「一人親方で、自分が社長兼職人なんだけど、専任技術者って自分でもいいの?」

結論から言えば、“要件を満たしていれば”自分自身が専任技術者になることも可能です。ただし注意点もあります。

専任技術者は営業所に常勤していなければならず、原則として現場に常時出ていると「専任」と見なされない恐れがあります。

ただし、工事が少ないときや、現場に短時間しか出ない場合などは例外が認められることもありますので、状況を整理して申請前に行政庁や専門家に相談するのがおすすめです。

法人設立して間もない場合は?

法人を設立したばかりの場合、次のような要件でつまずくことがあります:

  • 経営業務の管理責任者の経験がない(役員経験年数不足)
  • 決算書がまだないため、自己資本を証明できない
  • 社会保険の手続きが完了していない

このような場合でも、以下のような対処が考えられます:

  • 経営経験がある他の役員を追加する(共同代表や役員就任)
  • 預金残高証明書で資金力を証明する
  • 社会保険は速やかに手続きを進める(申請前に証明書類取得)

要は「現時点で要件を満たしていない=取得不可」ではなく、対策を講じることで十分対応できる場合もあるのです。

早い段階で状況を洗い出し、足りない部分を明確にしていくことが、スムーズな許可取得の鍵となります。

5. 愛知県での申請の流れとスケジュール感

申請方法(郵送・仮受付→本申請)

愛知県では、建設業許可の申請は基本的に“事前受付”方式となっており、いきなり窓口で本申請するのではなく、まず書類の提出(仮受付)を行い、内容が整っていることを確認してから本申請に進むという流れです。

提出方法は次の3つから選べます:

  • 郵送
  • 窓口での投函(提出ボックスに預ける形式)
  • 事前予約のうえ持参(簡単な確認のみ)

事前受付後、内容に不備がなければ本申請の案内があり、正式に申請手続きを進めていきます。このとき、申請手数料として「愛知県収入証紙90,000円分」の貼付が必要です。

審査期間と注意点

愛知県の審査期間は、書類が正式に受理されてから約30〜45日程度が目安です(混雑状況によっては前後します)。

注意点として、

  • 不備や不足があると審査が止まってしまう
  • 証明書類の有効期限が厳格
  • 書類の記載内容と添付資料の整合性が重要

といった点に留意しましょう。

また、許可取得後も5年ごとの更新、事業年度終了届の提出など定期的な手続きが必要です。許可は“取得して終わり”ではないという意識も大切です。

どこに出せばいい?窓口一覧(市町村別)

愛知県では、主たる営業所の所在地によって提出先が異なります。

営業所の所在地提出先(建設事務所等)
名古屋市内都市・整備局 都市基盤部都市総務課 建設業・不動産業室 建設業第二グループ
〒460-8501
愛知県名古屋市中区三の丸3-1-2(自治センター2階)
瀬戸市、春日井市、小牧市、尾張旭市、豊明市、日進市、清須市、北名古屋市、長久手市、愛知郡及び西春日井郡尾張建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒460-0001
愛知県名古屋市中区三の丸2-6-1(三の丸庁舎5階)
一宮市、犬山市、江南市、稲沢市、岩倉市及び丹羽郡一宮建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒491-0053
愛知県一宮市今伊勢町本神戸字立切1-4
津島市、愛西市、弥富市、あま市及び海部郡海部建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒496-8533
愛知県津島市西柳原町1-14(海部総合庁舎6階)
半田市、常滑市、東海市、大府市、知多市及び知多郡知多建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒475-0828
愛知県半田市瑞穂町2-2-1
岡崎市、西尾市及び額田郡西三河建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒444-0860
愛知県岡崎市明大寺本町1-4(西三河総合庁舎6階)
碧南市、刈谷市、安城市、知立市、高浜市知立建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒472-0026
愛知県知立市上重原町蔵福寺124
豊田市、みよし市豊田加茂建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒471-0867
愛知県豊田市常磐町3-28
新城市及び北設楽郡新城設楽建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒441-1354
愛知県新城市片山字西野畑532-1
豊橋市、豊川市、蒲郡市、田原市東三河建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒440-0801
愛知県豊橋市今橋町6

6. 実際にかかる費用と必要書類まとめ

土木一式工事業で一般建設業許可を取得するには、費用と書類の準備も大きなポイントです。ここでは、申請に必要なコストと書類の全体像を整理しておきます。

許可申請の費用はいくら?

愛知県で一般建設業許可を申請する場合、費用は以下のとおりです:

  • 許可申請手数料:90,000円(愛知県収入証紙で納付)
  • 添付書類の取得費用(住民票、登記簿謄本、証明書類など):数千円〜1万円程度

つまり、自分で申請する場合は10万円前後が必要になります。

提出書類の全体像とチェックリスト

申請時に必要な書類は多数あります。主なものは以下のとおりです:

基本書類

  • 建設業許可申請書(様式第1号)
  • 営業所の所在地を示す地図・写真

経営業務の管理責任者関連

  • 経営経験を証明する書類(登記事項証明書、確定申告書、契約書等)
  • 経営業務の管理責任者略歴書

専任技術者関連

  • 専任技術者証明書
  • 資格証のコピー、卒業証明書、実務経験証明書

財務関連

  • 決算書(直前の事業年度)
  • 預金残高証明書(500万円以上・申請前4週間以内)

法人・個人事業関連

  • 履歴事項全部証明書(法人)
  • 定款(法人)または開業届(個人)

その他

  • 誓約書、登記されていないことの証明書、身分証明書
  • 社会保険加入を証明する書類(適用通知書など)

これらの書類は、事業形態や実務経験の内容によって多少変動があります。愛知県庁の公式ウェブサイトから最新の「申請の手引き」を確認し、漏れのないように準備しましょう。

不備や書類の不足があると、申請が受理されなかったり、審査が大幅に遅れることもあります。早めの準備とチェックリストでの確認をおすすめします。

7. まとめ|許可取得で広がるビジネスの可能性

許可を取ると何が変わる?

建設業許可を取得することによって、請け負える工事の幅が大きく広がります。たとえば、公共事業や大手ゼネコンの元請からの案件など、一定金額を超える工事への参画が可能になります。

また、許可を取得しているという事実は、取引先からの信頼性にもつながり、営業活動の面でも大きなプラスになります。銀行や信用金庫などの金融機関からの融資においても、許可の有無が判断材料となることがあります。

加えて、適切な経営・技術・財務体制を整えることで、社内の体制強化にもつながり、将来的な事業拡大の礎となります。

スムーズな取得のために行政書士を活用しよう

許可取得には、複雑な書類作成や要件の確認が必要となり、初めての方にはハードルが高く感じられるかもしれません。

そんなときは、建設業許可申請の専門家である行政書士に相談するのがおすすめです。書類の準備や要件のチェック、申請先との調整までトータルでサポートしてくれるため、スムーズかつ確実に手続きを進めることができます。

三澤行政書士事務所では、愛知県での建設業許可申請に関して御社の状況にあわせた丁寧なサポートを行っています。許可取得でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

事業の新たなステージへの第一歩を、共に踏み出しましょう。

建設業に関する手続きで、こんなお悩みはありませんか?

・「土木一式工事」の許可を取りたいけど、何から始めていいかわからない…
・経営業務管理責任者や専任技術者の要件に当てはまるか不安…
・元請業者から許可取得を求められて焦っている…

そんなときは、建設系産業廃棄物業界出身の行政書士が対応する
三澤行政書士事務所にぜひご相談ください。

当事務所は、愛知県を中心に、中小企業・個人事業主の建設業者様を対象として
建設業許可の申請から更新・変更届、関連する各種制度(例:CCUSや経審など)まで幅広くサポートしています。

📌 初回相談は無料
📌 平日夜間・土日もご相談可能(事前予約制)

「自社の体制で土木一式工事の許可が取れるか知りたい」「公共工事を受ける準備をしたい」
そんな方は、まずはお気軽にご連絡ください。