こんにちは、行政書士の三澤です!
「この工事、うちの許可でやっても大丈夫なのか?」
「許可を持っていない業種の工事でも“ついでに”なら請け負っていいのか?」
そんな疑問や不安を感じたことはありませんか?
この記事では、
- 現在、愛知県内で建設業を営んでいる方
- 将来的に建設業許可の取得や業種追加を検討している方
- 許可のない業種の工事を引き受ける際のリスクや対応策を知りたい方
といった皆さまに向けて、建設業許可における「付帯工事」の正しい定義や、具体的な判断基準、実務上の注意点について、行政書士の立場からわかりやすく解説していきます。
📌 この記事を読むと…
- 「付帯工事」として認められる範囲・条件が具体例付きでわかる
- 「軽微な工事」との違いを明確に理解できる
- 適法な範囲で工事を受注するための判断力が身につく
「無許可工事に該当してしまわないか不安…」
「業種追加すべきか迷っている…」
そんな方にとって、法令と実務をつなぐ“道しるべ”になる記事を目指しました。
それでは、さっそく見ていきましょう!
第1章:そもそも「付帯工事」とは?
1-1. 建設業法上の定義
建設業法第4条が定める「付帯工事」の意味
建設業法では、建設工事を請け負うために必要な「許可業種」が細かく分類されていますが、実務では「許可を持たない業種の工事もついでに頼まれる」というケースが少なくありません。
こうした実態に対応するために設けられている制度が、「付帯工事(ふたいこうじ)」です。
その法的根拠となるのが、建設業法第4条です。
建設業者は、許可を受けた建設業に係る建設工事を請け負う場合においては、当該建設工事に**附帯する他の建設業に係る建設工事を請け負うことができる。
(建設業法 第4条 抜粋)
つまり、建設業者は「自社が許可を持っていない業種の工事」であっても、それが許可を持つ工事に付随して必要となる場合に限って、一括で請け負うことが認められているのです。
国土交通省ガイドラインによる補足定義
さらに詳しい判断基準は、国土交通省の「建設業許可事務ガイドライン」に示されています。そこでは「付帯工事」を次のように定義しています。
付帯工事とは、主たる建設工事を施工するために必要を生じた他の従たる建設工事、または、主たる建設工事の施工により必要を生じた他の従たる建設工事であって、それ自体が独立の使用目的に供されるものではないものをいう。
この文章を分解すると、以下のような要点が見えてきます。
「主たる工事に従属する工事」とは?
「付帯工事」であると認められるためには、以下のような条件が含まれます。
項目 | 内容 |
---|---|
主たる工事 | 建設業者が許可を受けている業種に該当する工事(例:電気工事業者が行う電気設備工事) |
従たる工事(付帯工事) | 主たる工事を施工するため、または施工した結果として必要になる、他業種の工事(許可を持たない業種であっても可) |
独立性の否定 | 付帯工事は、それ単独で機能や使用目的を持つ工事ではない(=「ついでの工事」だからこそ許されている) |
例えば、以下のようなケースが「付帯工事」に該当します。
- 電気工事のために天井を開口し、配線後に復旧作業としてクロス張りを行う(内装仕上工事)
- 外壁塗装を行うために足場の組立が必要(とび・土工・コンクリート工事)
こうした例の共通点は、主たる工事の目的を達成するために「結果的に」必要になっていることです。
つまり、工事が“つながっている”ことが、付帯工事であるための本質的な条件なのです。
よくある誤解:「ついでにやる」は全て付帯工事ではない
実務でよくある誤解として、「同じ現場で行うから全部まとめてOK」「顧客の利便のために一括受注した」といった理由で、許可外工事を付帯工事扱いしてしまうケースがあります。
しかし、「付帯工事」として認められるためには、
- 主たる工事との必要性
- 施工工程としての一体性
- 従属的な工事であること
という明確な条件が求められます。
特に、それ自体が独立した価値や目的を持つ工事(たとえば「外構全体の設計・施工」など)は、たとえ同じ顧客からの依頼でも付帯工事としては認められません。
実務におけるポイント
行政書士としての立場から言えば、こうした定義の正確な理解は、
- 「許可の要否判断」を誤らないため
- 「業種追加が必要か否か」の判断を適切に行うため
- 「契約時の説明責任」を果たすため
にも極めて重要です。
特に、愛知県内でも実務上「足場の設置は自社でやっていいか?」「壁の補修も込みで見積もってほしい」といった相談を多くいただきますが、工事の内容・順序・目的を丁寧に確認しないまま受注してしまうと、思わぬ法令違反リスクを招く可能性があります。
1-2. よくある誤解:「付帯工事」=「別途工事費」ではない
「付帯工事」と「別途工事費」は全くの別物です
実務の現場では、「付帯工事」という言葉が建設業法上の意味ではなく、建物本体以外にかかる“その他費用”として使われていることが多くあります。
たとえば、以下のような工事項目は、実務的な見積書や契約書で「付帯工事費」や「別途工事費」としてまとめられることが少なくありません。
実務で「付帯工事」と呼ばれがちな工事 | 法的には… |
---|---|
解体工事(既存建物の撤去) | 多くの場合、独立した工事であり、付帯工事に該当しない |
外構工事(フェンス・舗装・庭など) | 使用目的が明確なため、独立性あり=付帯工事とは言えない |
インフラ引込工事(上下水道、電気など) | 本体工事と別契約・別目的となることが多い |
こうした費用項目は、あくまでコスト分類上の「別途費用」であり、建設業法でいう「付帯工事」とは全くの別概念です。
建設業法上の「付帯工事」はあくまで主たる工事の補完的なもの
建設業法における「付帯工事」とは、主たる建設工事を適切に遂行するために必要不可欠な補助的工事であり、かつそれ自体が独立した使用目的を持たないということが大前提です。
たとえば以下のようなケースが「付帯工事」に該当します。
- 塗装工事を安全に進めるための足場組立・解体
- 電気工事の配線作業に伴う壁の復旧
- 給湯器設置(管工事)に伴う電源接続(電気工事)
これらの工事は、本体工事のために必要とされ、かつそれ単独では意味を持たないことから、「付帯工事」として扱うことができます。
一方、外構工事やインフラ引込工事は、それ自体が独立した使用目的や機能を持つため、主たる工事とは明確に区別されます。
よくある混同パターンとリスク
「付帯工事=ついでの工事=どんな工事でもOK」と解釈してしまうと、思わぬリスクが生じます。特に次のようなケースには要注意です。
- 顧客に一括対応を求められたため、許可を持たない工事も含めて請け負ってしまう
- 金額の大きな工事が「付帯工事」と称して契約されている(従属性が疑われる)
- 本来は業種追加が必要な工事を、「付帯工事だから大丈夫」と誤認して着工してしまう
これらはいずれも建設業法違反となる可能性があるため、慎重な判断が必要です。
実務上の見極めポイント
建設業許可の運用支援に携わっていると、以下のような相談が多くあります。
- 「造成工事も“付帯工事”にできませんか?」
- 「インフラ工事を下請けに頼まず、自社でやりたいのですが…」
- 「業種を追加せずに一括請負にしたいのですが、付帯扱いにできませんか?」
このようなケースでは、工事の目的・規模・工程上の位置づけ・顧客との契約形態などを個別に確認し、付帯工事として成立するかどうかを丁寧に整理することが重要です。
迷った場合は、愛知県庁や管轄行政庁に事前に確認することがリスク回避につながります。
事前相談でリスクを回避しましょう
「これって付帯工事として扱えるのか?」
「許可を取るべきか、それとも現状のままで大丈夫か…」
そんな判断に迷ったときこそ、実務経験と制度理解を併せ持つ行政書士にご相談ください。
建設業許可に関するお悩み、ありませんか?
- 他業種の工事をまとめて請け負いたいが、法的に大丈夫か不安
- 許可を持たない工種について、付帯工事として扱えるか判断したい
- そもそも今の許可で足りているのか、見直したい
そんなときは、建設業出身の行政書士が対応する
三澤行政書士事務所にぜひご相談ください。
愛知県を中心に、建設業者さまの現場に即した視点で、許可・実務の両面からサポートいたします。
第2章:「付帯工事」として認められるための3つの要件
2-1. 必要性:主たる工事のために必要か
「付帯工事」として認められるための第一の要件は、必要性です。
これは、「主たる工事(=許可を受けた工事)を適切に行うために不可欠な工事」であることを意味します。
必要性には大きく分けて、以下の2パターンがあります:
種類 | 具体例 |
---|---|
主たる工事を施工するために必要な工事 | 塗装工事を安全に行うための足場設置工事 |
主たる工事の施工により必要が生じた工事 | 電気工事のために開口した壁を復旧する内装仕上工事 |
いずれのケースでも、「その工事がなければ主たる工事の完了が困難である」という関係が明確であることがポイントです。
2-2. 一体性:工程や技術的に一体不可分か
次に重要なのが一体性です。
これは、主たる工事と付帯工事が技術的・工程的に連続し、一つのプロジェクトとして実施される必要があるということです。
たとえば、次のような場合は一体性があると判断されやすくなります。
- 一つの発注者から一括で受注している
- 同一現場・同一期間内に施工される
- 主たる工事の準備・仕上げ等と密接に関係している
逆に、「同じ現場・同じ依頼者であっても、別の工程・別目的で発注される工事」は、たとえ同時施工であっても一体性があるとは見なされません。
2-3. 従属性:独立目的・独立機能がないこと
3つ目の要件は従属性です。
これは、付帯工事がそれ自体では独立した目的・機能を持たず、あくまで主たる工事の補助的な性質を持っていることを指します。
たとえば以下のような点が判断基準になります。
判断項目 | 注意点 |
---|---|
付帯工事に独立した使用目的があるか? | 「外構工事」や「インフラ引き込み」などは独立性が高く、付帯工事に該当しにくい |
工事の価格比率はどうか? | 一般的に、付帯工事は主たる工事よりも低額であることが望ましい(ただし例外あり) |
❗金額の大小よりも「関係性」が重要
実務では、「金額が小さいから付帯工事として認められるだろう」と誤解されるケースも多いですが、これは危険です。
判断基準は金額ではなく、「主たる工事との関係性」にあります。
たとえ数十万円の小規模工事であっても、それが独立した目的で行われていれば「付帯工事」とは認められません。逆に、技術的に必要不可欠なものであれば、付帯工事として認められる可能性があります。
実務のリアル:どう見分ければいい?
愛知県内の相談でもよくあるのが、「業種追加すべきかどうか迷っている」というケース。
この3要件をもとに、以下のようなチェックポイントで判断するのが実務的です。
- 工程的に自然な流れの中で行われているか?
- それがなければ主たる工事が完成しないか?
- 単独の目的・価値を持っていないか?
行政庁によって微妙な判断が分かれるケースもあるため、事前相談や根拠資料の準備が重要となります。
要件の見極めに不安があるなら、今のうちにご相談を
付帯工事の範囲を見誤ると、無許可工事となるリスクを抱えることになります。
一括請負の利便性と、法令遵守のバランスを取るには、制度の正確な理解と個別の事例判断が不可欠です。
「付帯工事かどうか、自信がない…」と感じたら
- 工事の一部が他業種にまたがっている
- 自社だけで一括対応したいが、許可が足りているか不安
- 許可業種の追加をすべきか、判断に迷っている
そんなときは、建設現場の実態を理解した行政書士が対応する
三澤行政書士事務所へお気軽にご相談ください。
建設業許可の取得・維持・拡張を、安全かつスムーズに進めるためのサポートをご提供しています。
第3章:具体的な「付帯工事」例でイメージを掴む
付帯工事の例
付帯工事は、建設業法上の定義や3要件(必要性・一体性・従属性)に照らして、初めて判断されるものです。
とはいえ、「結局どんな工事が付帯工事として認められるの?」というのは、現場の皆さまにとって最も気になるところだと思います。
ここでは、よくある工事パターンを具体例として紹介しながら、どのような考え方で「付帯工事」として整理されているのかを解説します。
✅ 主たる工事と付帯工事の具体的な組み合わせ例
主たる工事(許可業種) | 主たる工事内容 | 付帯工事の例 | 該当する付帯工事業種 | 認められる理由 |
---|---|---|---|---|
電気工事業 | 屋内配線の改修 | 壁・天井の一部解体と復旧 | 内装仕上工事 | 電気配線のために構造物を開口・復旧する必要性がある |
屋根工事業 | 屋根瓦の葺き替え | 保護・仕上げ塗装 | 塗装工事 | 屋根工事後の防水・美観維持のために必要 |
管工事業 | 業務用エアコン設置 | 冷媒管への断熱材巻き | 熱絶縁工事 | 熱効率維持のために不可欠な補助作業 |
管工事業 | 給湯器の設置 | 電源の接続 | 電気工事 | 主たる管工事に電気接続が必須のため |
塗装工事業 | 外壁塗装 | 足場設置・解体 | とび・土工・コンクリート工事 | 高所作業のための物理的前提として必要 |
これらはいずれも、主たる工事を安全かつ適切に施工するために必要不可欠な作業であること、かつそれ単独での価値・機能がないことから、付帯工事として認められやすい典型例です。
❌ 付帯工事として認められない代表的な工事
逆に、以下のような工事は、たとえ同じ現場・同じ契約であっても「付帯工事」としては認められない可能性が高いため注意が必要です。
工事内容 | 理由 |
---|---|
外構工事(アプローチ、駐車場、フェンス等) | 独立した使用目的・機能があり、従属的とは言えない |
建物解体工事(更地化のための工事) | 解体自体が主目的であるため、付帯ではない |
インフラ引き込み(上下水道・電力) | 公共インフラとの接続は別契約・別目的となるため |
建築一式・土木一式工事 | 一式工事は原則「付帯工事」として扱えない(逆も不可) |
特に「外構工事」や「解体工事」は、見積書や契約書で「別途工事費」「付帯工事費」と表現されることが多いため、用語の使い方に注意が必要です。
建設業法上の「付帯工事」とは意味が異なります。
💡 現場で判断に迷いやすいグレーゾーンもある
以下のような工事は、「付帯工事として認められるかどうか」の判断が微妙になりやすいものです。
- 外構工事のうち、建物に隣接した排水溝の補修
- インフラ引き込みのうち、建物側の最終接続部
- 足場を含む仮設工事が、他現場への流用を前提としている場合
これらは、工程上の位置づけ・発注形態・金額比率・目的などを総合的に判断しなければならないため、事前に愛知県庁などの許可行政庁へ相談するのが確実です。
🔍 チェックすべきポイント
「これ、付帯工事として扱える?」と疑問に思ったときは、次の3つの軸で確認するようにします。
- 主たる工事が何で、許可を受けているか
- その工事が工程的・技術的にどう位置づけられるか
- その工事が独立の目的・金額・契約単位を持っていないか
「現場的には当然一緒にやるもの」として処理されている工事でも、制度上は分けて考えるべき場合があります。
こうした見極めが、コンプライアンス遵守と現場効率の両立に直結するのです。
第4章:「軽微な工事」との違いを誤解しないために
軽微な工事とは金額基準で許可不要となる工事
建設業法では、一定金額以下の工事については、許可を受けていない業種であっても請け負うことができるとされています。
これがいわゆる「軽微な建設工事」です。
📌 建設業法施行令第1条の2に基づく基準
工事の種類 | 許可が不要となる上限金額(消費税込) |
---|---|
建築一式工事 | 1件あたり1,500万円未満 または 延べ面積150㎡未満の木造住宅 |
建築一式以外の工事(専門工事など) | 1件あたり500万円未満 |
この基準以下の工事であれば、たとえその業種について建設業許可を持っていなくても、軽微な工事として請け負うことが可能です。
逆に、この金額を超えると、その業種の許可が必要になります。
「付帯工事」は金額に関係なく、主工事との関係性で判断される
一方、これまで見てきたように、「付帯工事」は金額で判断するものではありません。
💡 付帯工事かどうかは、「主たる工事との必要性・一体性・従属性」によって決まるため、金額が500万円や1,500万円を超えていても許可が不要なケースがあるのです。
たとえば、次のような場合でも許可不要とされることがあります:
- 電気工事(主たる工事)での配線復旧作業(内装仕上工事)が80万円 → 電気工事の一部として「付帯工事」として処理可能
- 屋根葺き替え工事(屋根工事)に伴う補修塗装(塗装工事)が70万円 → 主工事の完了に必要な工程として付帯とみなされる可能性あり
したがって、「金額が小さいから軽微工事扱いで問題ない」というだけでなく、「主工事に付随しているか」という視点でも判断する必要があります。
比較表で違いを整理
比較項目 | 付帯工事 | 軽微な工事 |
---|---|---|
法的根拠 | 建設業法第4条 | 建設業法第3条 及び施行令第1条の2 |
判断基準 | 主たる工事との関係性(必要性・一体性・従属性) | 工事1件あたりの請負代金の金額(500万/1,500万未満) |
許可要否 | 主工事が許可対象であり、付帯性が認められれば許可不要 | 金額が上限未満であれば許可不要 |
独立性 | 単独で機能しないことが前提 | 単独の工事として成立するもの |
主な利用場面 | 業種をまたぐ一括請負の現場 | 小規模リフォームや個人施主からの依頼など |
👨⚖️ 補足:現場では両者を混同しやすい
「500万円未満だから軽微工事」「100万円以下だから許可はいらない」と、形式的な金額だけで判断してしまうのは非常に危険です。
特に一括契約や複数業種が関わる現場では、一部の工事が付帯として認められるのか、軽微として処理できるのかを正確に区別することが求められます。
例えば、ある工事の総額が800万円であっても、内訳のうち500万円が主たる工事、300万円が別業種の工事だった場合、その300万円が付帯工事として認められれば許可不要ですが、そうでなければ許可が必要になります。
この判断を誤ると、結果的に「無許可営業」となり、指導・改善命令・罰則の対象となるおそれがあります。
判断ミスが命取りになる前に。行政書士にご相談ください
- 軽微工事と付帯工事の違いがいまいち自信がない
- 一括請負で業種がまたがっており、法的に問題ないか確認したい
- 業種追加すべきか、現在の許可で対応できるかを明確にしたい
そんなときは、建設業実務に精通した行政書士が対応する
三澤行政書士事務所まで、お気軽にご相談ください。
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第5章:付帯工事にまつわる実務の落とし穴と対策
5-1. 許可のない業種を無理に「付帯工事」とするリスク
現場では「ついでにやっておく」「一括で請け負った方が早い」といった事情から、許可のない業種の工事を無理に付帯工事として処理しようとするケースが少なくありません。
しかし、これには大きなリスクがあります。
⚠ 付帯工事と見なされないと「無許可営業」になる
たとえば、外構工事やインフラ引き込み工事を「主工事に付随しているから付帯工事」と主張しても、それが実質的に独立した契約・目的・機能を持っていれば付帯工事とは認められません。
このような場合、以下のようなリスクが発生します。
- 建設業法違反(無許可営業)と判断される可能性
- 行政指導や業務停止命令の対象になる可能性
- 公共工事の入札資格への影響
「付帯工事」の要件(必要性・一体性・従属性)を安易に解釈せず、客観的な工事実態に基づいて判断する姿勢が不可欠です。
5-2. 経験年数へのカウント不可(実務経験として使えない)
付帯工事を長年行っていても、それをもとに新たな業種の許可を取得しようとしたとき、実務経験としては原則認められません。
✅ 許可要件における「実務経験」は主たる工事が対象
建設業許可の申請において必要とされる実務経験とは、「主たる工事として請け負い、遂行した経験」のことを指します。
たとえば、屋根工事業者が塗装工事を付帯的に行っていた場合、その塗装経験は塗装工事業の許可取得に必要な実務経験としてはカウントされないのです。
この点を誤解したまま許可申請を進めると、経験年数不足で却下されるおそれがあるため注意が必要です。
5-3. 技術者配置の要否と軽微工事基準
付帯工事の施工には、条件に応じて当該業種に対応した技術者(主任技術者など)を配置しなければならないケースがあります。
📌 建設業法第26条の2による規定(抜粋)
- 付帯工事が軽微な建設工事(500万円未満等)でない場合
→ 当該付帯工事業種について主任技術者等の配置が必要 - 付帯工事が軽微である場合
→ 技術者の配置は不要
つまり、付帯工事であっても一定規模を超える場合は技術者が必要になるため、以下の点に注意が必要です。
チェックポイント | 実務上の確認方法 |
---|---|
付帯工事部分の請負金額はいくらか? | 見積書の明細・契約金額で分離する |
その業種に対応する技術者が社内にいるか? | 資格証明や実務経験書類で確認 |
軽微工事として処理できる金額範囲か? | 500万円/1,500万円の上限に収まっているか |
5-4. 契約書や見積書での明確な記載を
付帯工事として処理できるかどうかは、契約書や見積書の記載内容によっても判断に大きく影響します。
トラブル回避のためには、以下のような対策が有効です。
✅ 書面上での整理例
- 工事の内訳(主工事/付帯工事)を明確に分けて記載
- それぞれの業種・金額・施工範囲を明示
- 付帯工事であることを示す備考欄や説明資料の添付
こうした明確な書面によって、「主たる工事との一体性・従属性」を証明しやすくなり、万が一の行政調査時にも正当性を説明しやすくなります。
5-5. 不安な場合は「事前相談」が最も安全
最終的に「これは付帯工事として認められるか?」という判断がつかない場合は、自己判断を避けて、行政庁に事前相談するのが最も確実です。
愛知県内であれば、以下のような窓口に相談することで、事前に方針の確認や解釈の擦り合わせが可能です。
- 愛知県庁 建設業不動産業課(知事許可)
- 中部地方整備局 建設業課(大臣許可)
行政への問い合わせは「敷居が高い」と感じられるかもしれませんが、事前相談を行っておけば、後から違反を指摘されるリスクを未然に防ぐことができます。
また、行政への相談が難しい場合や不安がある場合は、制度と現場を熟知した行政書士を通じて確認することも一つの有効な手段です。
第6章:愛知県での実務ポイント
基本的には全国共通の運用
「付帯工事」に関する判断基準や運用ルールは、建設業法とそれに基づく国土交通省のガイドラインにより全国共通で定められています。
そのため、愛知県でも、基本的には国のガイドラインに準拠した判断がなされると考えて差し支えありません。
たとえば、以下のような判断軸は、どの都道府県でも共通です。
- 主たる工事との必要性
- 工程上の一体性
- 独立性がないという従属性
- 軽微な建設工事の金額基準(500万円/1,500万円)
これらに関するルールや定義は、法令や全国統一ガイドラインに依拠しているため、愛知県特有のルールがあるわけではありません。
ただし個別ケースでは県庁への確認を
ただし、実際の申請や行政指導の現場では、グレーゾーンの判断や運用の「温度感」には地域差が出ることもあります。
たとえば:
- 主たる工事との関係が微妙な場合(塗装と外構、電気と内装の境目など)
- 一式工事と専門工事の間で「付帯」と見なせるかが曖昧な場合
- 業種追加すべきか、付帯工事で処理可能か迷う場合
このようなときは、愛知県庁の担当部署に事前確認を行うことが最も確実です。
実際、行政庁側も「現場の資料や契約内容を見ないと判断できない」というスタンスを取ることが多いため、判断に迷う場合は早めに確認を取ることがリスク回避につながります。
おわりに:制度理解でトラブルを防ぎ、スムーズな施工へ
付帯工事に関するルールは、「主たる工事と一緒ならOK」という単純なものではありません。
必要性・一体性・従属性といった要件を満たして初めて、付帯工事として許可を受けていない業種の工事を行うことが認められます。
また、軽微な工事との混同、実務経験の取り扱い、技術者配置の有無など、
許可制度との正しいつきあい方を知っているかどうかが、トラブルを防ぐカギとなります。
「許可を取らずに請け負ってしまったらどうしよう…」
「業種追加したほうがいいのか、このままでいいのか判断できない…」
そんな不安を感じたら、制度と現場の両方に精通した専門家に相談することで、
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建設業許可に関するお悩み、ありませんか?
・他業種の工事を“ついでに”請け負っても大丈夫か判断できない…
・自社の許可業種で対応可能か、それとも業種追加が必要か迷っている…
・行政の説明が複雑で、結局どうすればいいのかわからない…
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