こんにちは、行政書士の三澤です!

「産廃の許可ってウチにも必要かも?」「建設現場で出る廃材、自社で運べたらコストも手間も減るのに…」
そんな疑問やお悩みを感じていませんか?

この記事では、
・建設業を営んでいて、産業廃棄物も自社で運べるようにしたい方
・元請業者から収集運搬業の許可を求められている方
・初めての申請で、静岡県の独自ルールや審査の流れがよくわからない方
といった、静岡県内の建設業者さまを主な読者として、
「産業廃棄物収集運搬業の許可申請(静岡県版)」について、初めての方でもわかりやすく実務の視点から丁寧に解説していきます。

特に今回は、許可取得において最大のハードルとなりがちな「財務審査(経理的基礎)」に焦点を当て、
・なぜ財務内容が見られるのか?
・どんな財務状況なら通るのか?
・赤字や債務超過でも道はあるのか?
といったポイントを、静岡県特有の運用も踏まえて詳しくご紹介します。

「うちでも許可が取れるの?」「そもそも何から始めればいいの?」と迷われている方の道しるべとなるよう、シンプルに、でも正確にお伝えしていきます。

それでは、さっそく見ていきましょう!

目次

第1章 申請前に知っておくべき3つの許可区分

新規・更新・変更の違いとタイミング

産業廃棄物収集運搬業の許可には、大きく分けて「新規申請」「更新申請」「変更申請」の3種類があります。

  • 新規申請:初めて産廃許可を取得する場合です。講習の受講や財務書類の整備など、最も準備が必要な区分です。
  • 更新申請:許可の有効期間(通常は5年、優良認定の場合は7年)満了後も業務を継続したい場合に行います。更新は期限日の3か月前から40日前までに行う必要があり、期限間近の申請は不利になりがちなので早めの準備が大切です。
  • 変更申請:事業の内容に変更がある場合、たとえば「扱う産業廃棄物の種類を追加したい」「積替え保管施設を設置したい」などが該当します。内容によっては変更届で済む場合もありますが、実質的に新規と同等の審査が行われるケースもあるため注意が必要です。

建設業者にありがちな「変更申請」の盲点

建設業者の方に多く見られるのが、「すでに産廃許可は持っているけれど、廃棄物の種類を追加したい」というパターンです。この場合、変更許可申請が必要になります。

ただし、「ただ一種類増やすだけ」と軽く考えていると落とし穴があります。静岡県では、変更申請であっても経理的基礎(財務審査)を含む全体の見直しが行われます。特に直近の赤字決算や債務超過があると、追加書類(経営改善計画書や中小企業診断士の診断書)の提出を求められるケースも。

つまり、変更だからといって油断は禁物です。「変更」=「簡単な手続き」とは限らず、財務状況に課題がある事業者にとっては“実質的な再審査”になる可能性があると捉えておきましょう。

次章では、許可申請全体の流れと注意点を、図解を交えてわかりやすく解説していきます。

第2章 申請の流れと手続きの全体像【図解付き】

●講習会受講~申請~審査~許可交付までの流れ

申請の流れは、以下の5つのステップに分かれます。

  1. 講習会の受講:日本産業廃棄物処理振興センターが実施する講習会(修了証が必要)を受講します。
  2. 必要書類の準備:財務諸表、納税証明書、運搬車両の情報、講習会修了証などをそろえます。
  3. 事前相談(強く推奨):管轄の健康福祉センターや政令市窓口に予約の上で相談。提出書類の確認や財務面の注意点などを事前に把握できます。
  4. 申請書提出:必要書類をそろえて、予約した日時に窓口で提出します。
  5. 審査・許可交付:審査に通過すると、正式な許可証が交付されます。処理期間は標準で40日程度です(ただし、書類の不備等で延びることも)。

この一連の流れは、準備不足や書類ミスでスムーズに進まないケースも多く、特に初めての方は十分な余裕をもって取り組むことが大切です。

●健康福祉センターと政令市(静岡市・浜松市)の管轄ルール

静岡県では、申請先が地域によって異なります。

  • 静岡市・浜松市で営業する場合:政令市のため、それぞれの市の環境部門が窓口です。
  • それ以外の地域で営業する場合:主たる営業区域(最も仕事の多い地域)を管轄する健康福祉センター(賀茂・東部・中部・西部)が窓口となります。
  • 市をまたいで営業する場合:たとえば静岡市で積み込み、他市で荷下ろしする場合などは、どの地域を主たる営業区域とするかで管轄が変わるため、事前確認が必須です。

【静岡県 健康福祉センター等 問い合わせ先一覧(静岡市・浜松市を除く)】

問い合わせ先所在地電話番号管轄地域申請・届出受付時間(要予約)
賀茂健康福祉センター 環境課〒415-0016 下田市中531-10558-24-2053下田市・東伊豆町・河津町・南伊豆町・松崎町・西伊豆町月~金 10:00-16:00 (12:00-13:00除く)
東部健康福祉センター 廃棄物課〒410-8543 沼津市高島本町1-3055-920-2106熱海市・伊東市・沼津市・三島市・裾野市・伊豆市・伊豆の国市・清水町・長泉町・函南町・御殿場市・小山町・富士市・富士宮市収集運搬業: 月・水・金 9:00-16:00 (12:00-13:00除く)
収集運搬業以外: 月~金 9:00-16:00 (12:00-13:00除く)
中部健康福祉センター 環境課〒426-0075 藤枝市瀬戸新屋362-1054-644-9288焼津市・藤枝市・島田市・牧之原市・川根本町・吉田町月~金 9:00-16:00 (12:00-13:00除く)
西部健康福祉センター 環境課〒438-8622 磐田市見付3599-40538-37-2248掛川市・御前崎市・菊川市・磐田市・袋井市・森町・湖西市月・水・金 10:00-16:00 (12:00-13:15除く)

【政令市 問い合わせ先】

問い合わせ先所在地電話番号管轄地域
静岡市環境局廃棄物対策部 廃棄物対策課許可審査係〒420-8602 静岡市葵区追手町5-1054-221-1363静岡市
浜松市環境部 産業廃棄物対策課〒432-8023 浜松市中央区鴨江三丁目1-10053-453-6110浜松市

●予約制の注意点と「事前相談」を活かすコツ

静岡県内の各窓口では、申請も相談もすべて完全予約制です。

  • 曜日・時間帯が決まっている窓口もあるため、早めに電話等で予約を入れましょう。
  • 事前相談では、自社の財務状況で許可が取れそうかどうかの感触を確認できる貴重な機会です。必要であれば直近の決算書や試算表を持参して相談しましょう。
  • 書類に不備があると再提出になるだけでなく、申請が遅れ許可取得のタイミングにも影響します。事前相談での準備が、許可取得の“スピードと確実性”を大きく左右します。

次章では、いよいよ本記事の核心部分である「財務審査(経理的基礎)」について解説していきます。

第3章 財務審査のキモを押さえる【経理的基礎】

●そもそも「経理的基礎」って何?なぜ見られる?

「経理的基礎」とは、簡単に言えば「この会社は、安定して産廃事業を続けられるだけのお金の基盤がありますか?」という視点です。

産業廃棄物処理業は、適正な処理を長期にわたって継続することが求められる事業です。もしも途中で資金が尽きてしまったら、不法投棄や放置といった重大な環境問題につながりかねません。

そのため、廃棄物処理法では「継続的に事業を行うに足りる経理的基礎を有すること」が許可要件のひとつとされており、申請者の財務内容をチェックするのは、いわば”適正処理の担保”なのです。

審査では、以下のような点が見られます:

  • 3期連続で赤字ではないか
  • 債務超過ではないか(資産より負債が多くないか)
  • 納税に問題がないか(滞納など)

「会社の数字」を通して、将来の安定性を行政が見極めるイメージです。

●静岡県の審査基準を噛み砕いて解説(例:債務超過=診断書)

静岡県では、国の指針を踏まえつつ、独自の運用ルールが定められています。特に財務審査については、以下の点に注意が必要です。

債務超過の判断

  • 法人で「純資産(資本金+利益剰余金等)」がマイナスになっていると、債務超過と判断されます。
  • この場合、原則として「中小企業診断士の診断書」の提出が必要です(ただし設立後3年未満の法人は除く)。

この診断書には、財務分析や改善計画、将来の見通しが記載され、行政はそれを見て「この状態でも許可を出して問題ない」と判断するかどうかを見極めます。

3期連続赤字の判断

  • 経常利益が3年連続でマイナスの場合、「経営改善計画書」の提出が求められます。
  • この計画書では、赤字の原因分析と改善策、将来の数値目標などを具体的に記載する必要があります。

納税状況の確認

  • 法人税や所得税の納税証明書(その1)を提出し、「未納がないこと」を証明します。
  • 滞納があると、基本的には許可が下りません。

これらの情報をもとに、静岡県(および静岡市・浜松市)の担当者が「この会社は、継続してきちんと廃棄物処理ができそうかどうか」を総合的に判断します。

次章では、仮に「債務超過」「赤字」「納税未済」といった状況があっても、どのようにすれば許可取得の可能性を高められるかを、具体的な対策とあわせてご紹介していきます。

第4章 赤字・債務超過でもチャンスはある?対応策ガイド

●中小企業診断士の診断書とは?

債務超過に該当している法人の場合、静岡県では中小企業診断士による診断書の提出が原則求められます。

この診断書は、単なる形式的な書類ではなく、第三者の専門家が「この会社は現状では財務的に厳しいが、今後の改善計画には実現可能性がある」と評価する文書です。

具体的には、次のような内容が含まれます:

  • 現在の財務状況の分析(債務超過に至った原因)
  • 今後の経営改善方針(新たな顧客開拓、資金調達計画など)
  • 今後の見通し(5年間程度の収支予測)

行政はこの診断書の内容を踏まえ、「この会社なら改善できそうだ」と判断すれば、債務超過でも許可が下りるケースがあります。

●経営改善計画書で逆転可能なケースとは?

一方で、3期連続赤字の場合は、「経営改善計画書」の提出が求められます。

この書類は、主に自社で作成するもので、以下のようなポイントを押さえる必要があります:

  • どこに無駄があったか、どんな課題があるかの分析
  • 今後どう改善するか(具体的な施策:経費削減、値上げ、新規事業など)
  • その結果として、いつまでに黒字化を目指すかという数値目標

この計画書の信頼性を高めるためには、数値に裏付けられた現実的な内容が不可欠です。

なお、債務超過と赤字が両方ある場合は、診断書と計画書の両方が必要になることがあります(診断書に改善内容を含めれば、計画書は省略可能なケースも)。

●実際の対策シナリオ紹介(想定事例)

<ケース1:設立5年目の建設会社(法人)/赤字決算が3期連続>

  • 状況:毎年の赤字は数十万円レベル。売上は安定しているが、経費の見直しが甘かった。
  • 対応:経営改善計画書を提出。内容は、外注費の見直しや営業強化による売上アップ策など。
  • 結果:行政側に「改善可能性あり」と判断され、無事に更新許可を取得。

<ケース2:設立10年目の法人/債務超過あり>

  • 状況:初期投資の借入が重なり、純資産がマイナス状態に。
  • 対応:中小企業診断士に依頼して診断書を作成。借入の返済実績や、新たな契約先の確保を踏まえた今後の見通しを示した。
  • 結果:行政より「改善の余地あり」と判断され、新規許可が認められた。

赤字や債務超過だからといって、即NGではありません。ポイントは、きちんとした説明と、今後の見通しを数値で示せるかどうかです。

次章では、個人事業主の場合の注意点や申請書類について解説していきます。

第5章 個人事業主の場合の注意点

●資産調書や納税証明の考え方

個人事業主として申請する場合、法人とは異なる視点での財務審査が行われます。主に以下の書類が必要です:

  • 資産に関する調書(省令様式第6号の2 第9面)
  • 所得税の納税証明書(その1):直近3年分

この審査で見られるのは、ざっくり言えば「借金が多すぎないか」「申告・納税をきちんとしているか」という点です。

もし、直近3年のうちに給与所得者として勤務していた期間がある場合は、所得税の納税証明書が発行されないこともあります。その場合は、源泉徴収票や住民税の納税証明書を代替資料として提出すれば問題ありません。

また、借入金などで資産よりも負債が大きい場合(負債超過)には、

  • 借入金の返済計画
  • 今後の事業収支の見通し などを示す「計画書」の提出が必要になるケースもあります。

個人であっても「安定して事業を続けられるか」という視点は変わらないため、収支のバランスが取れていることを丁寧に説明できるようにしましょう。

●浜松市で積替え保管をする場合の特例

浜松市に限っては、個人事業主が「積替え保管あり」の許可を申請する場合において、財務審査が一段と厳しくなります。

具体的には、次のような取り扱いがされています:

  • 資産よりも負債が著しく多い場合 → 中小企業診断士の診断書の提出が求められる

積替え保管は通常の収集運搬よりもリスクや設備要件が高いため、行政側も財務的な健全性をより厳しくチェックする傾向があります。

そのため、浜松市で積替え保管を検討している個人事業主の方は、早い段階で財務状況の確認を行い、必要に応じて診断士に相談することをおすすめします。

次章では、必要書類を整理しながら、提出時のチェックポイントを解説していきます。

第6章 必要書類まとめとチェックポイント

●財務書類一覧(法人/個人別に表でわかりやすく)

書類名対象提出時期・内容
貸借対照表(B/S)法人直近3期分(確定申告書添付書類)
損益計算書(P/L)法人直近3期分
株主資本等変動計算書法人直近3期分
個別注記表法人直近3期分。リース注記等も含む
法人税の納税証明書(その1)法人直近3期分。納付済額の記載あり
資産に関する調書個人申請時点で最新のもの(省令様式)
所得税の納税証明書(その1)個人直近3年分
源泉徴収票または住民税納税証明書個人(給与所得者期間あり)所得税証明が出ない期間分を補完
経営改善計画書該当者(赤字や負債超過時)具体的な改善策・数値目標を記載
中小企業診断士の診断書該当者(債務超過等)財務分析と改善の見通しを記載

書類の提出は「単にそろえる」だけでなく、中身の整合性・信頼性・最新性が重要です。原本と同一である旨の記載や、受付印付きの申告書類を添えると確実です。

●提出タイミングと「ありがちなミス」

書類を提出するタイミングと内容の整合性には注意が必要です。よくあるミスをまとめました。

  • 申請直前に書類を集め始める → 証明書の発行に時間がかかり、申請期限に間に合わないことも
  • 納税証明書が古い → 実務上は「発行から3ヶ月以内」が目安
  • 中身が最新ではない → 試算表ではなく確定決算ベースの書類が必要
  • 計画書が抽象的 → 行政が「これでは改善の見通しがわからない」と判断するとNGに

提出前には、管轄窓口の「申請書類チェックリスト」を元にダブルチェックを行うことをおすすめします。

次章では、行政書士に依頼することで得られるメリットと、特に静岡県のような厳格な運用におけるサポートの価値についてお伝えしていきます。

第7章 行政書士に依頼する3つの合理的理由

●財務の判断は専門的。診断書や計画書は“勝負所”

産廃許可の審査において、特に「財務審査(経理的基礎)」は最重要ポイントのひとつです。債務超過や赤字といった状況に対して、どのような追加資料が必要かを判断するには、行政の審査基準と現場感覚の両方を理解している必要があります。

行政書士であれば、

  • どのような場合に中小企業診断士の診断書が必要か
  • 経営改善計画書には何をどう書くべきか といった点を的確に判断し、“審査に通る”資料作成をサポートできます。

●書類作成の手間とミスのリスクを回避

産廃許可申請には、財務書類だけでなく、講習修了証、車両写真、誓約書など多岐にわたる書類が必要です。記載ミスや不備があると、受理されなかったり、何度もやり直しが発生したりと、非常に非効率。

行政書士に依頼すれば、

  • 必要書類のリストアップ
  • 書類ごとの注意点の把握
  • 申請様式の正しい記載 といった作業を一括で任せることができ、申請までのスピードと確実性が大きく向上します。

●更新も見据えた継続的サポートが受けられる

許可は取得して終わりではありません。5年(優良認定で7年)ごとの更新申請、事業内容変更時の変更許可申請、必要に応じた変更届や講習の管理など、維持にも対応が求められます。

行政書士に継続的に依頼しておけば、

  • 許可更新の期限管理
  • 状況変化に応じたアドバイス
  • 新しい審査基準や法改正への対応 といった面でも、安心して事業を継続できるサポート体制が整います。

次章では、これまでの内容を簡単に整理し、サポート案内とお問い合わせ先をご案内します。

まとめ

この記事では、静岡県で産業廃棄物収集運搬業許可を取得するにあたり、特に注意すべき「財務審査(経理的基礎)」を中心に、申請の流れや必要書類、債務超過・赤字時の対応策までを詳しく解説しました。

建設業者が自社で廃棄物を運べるようになることは、コスト削減・管理効率の向上といった大きなメリットがあります。その反面、申請のハードルは決して低くなく、特に財務関連は「読み方・見せ方・準備のしかた」が鍵を握ります。

事前相談の段階から対策を講じることで、リスクを最小限に抑えた申請が可能になります。


産業廃棄物に関する手続きで、こんなお悩みはありませんか?

  • 初めての許可申請で何から始めていいかわからない…
  • 行政の説明が複雑で、自分に当てはまるか不安…
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そんなときは、建設系産業廃棄物業界出身の行政書士が対応する 三澤行政書士事務所にぜひご相談ください。

当事務所は、愛知県を中心に中小企業・個人事業主の建設業者様をサポートしており、 許可申請から更新・変更届、関連する各種制度(例:CCUSや経審など)まで幅広く対応可能です。

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