こんにちは、行政書士の三澤です!
「配置技術者って何をする人?」「そろそろ主任技術者や監理技術者の配置が必要かも…」
そんな疑問やお悩みを感じていませんか?

この記事では、
・建設業許可を取ったばかりで、配置技術者の制度をよく理解できていない方
・元請業者や発注者から「主任技術者や監理技術者の選任が必要です」と言われて困っている方
・公共工事や下請工事を請ける際に、配置義務のある技術者について正しく理解したい方

といった【建設業許可業者様】向けに、配置技術者とは何か、主任技術者・監理技術者の違いや要件、配置が必要となる工事の基準や注意点について、初めての方でもわかりやすいよう実務の視点から丁寧に解説していきます。

【この記事を読むことで得られること】
・配置技術者の種類とその役割(主任技術者/監理技術者)の違いが理解できる
・配置義務が生じる工事の条件や、資格・経験など技術者の選任要件が明確になる
・実務で注意すべきポイントや、トラブル回避のポイントも押さえられる

「うちの現場に必要なの?」「誰を配置すればいいの?」と迷われている方の道しるべとなるよう、ポイントを絞ってご紹介します。
それでは、さっそく見ていきましょう!


1. なぜ“配置技術者”のことを知る必要があるのか?

「元請から『主任技術者を配置してください』って言われたけど、正直よくわからない……」

こんな経験、ありませんか?特に、愛知県内で建設業を営んでいる中小の事業者さんや個人事業主の方にとって、こうした“配置技術者”という言葉は、聞きなじみがないかもしれません。しかし、実はこれ、建設業を営むうえでとても大切なキーワードなのです。

建設業許可を取得し、その後も適切に更新していくためには、「この現場にはこういう技術者を置いていますよ」と証明できる“配置技術者”の存在が必要不可欠です。

配置技術者は、工事の施工計画や品質・安全管理など、現場の技術的な責任を担う人。きちんとした資格や経験を持っていないと務まりませんし、「誰をどこに配置するか」が許可維持の大前提となります。

特に、愛知県では建設業者の数が多く、地元の中小業者同士での下請け・元請け関係も活発です。その中で、「配置技術者って誰を指すの?」「主任技術者と監理技術者ってどう違うの?」といった疑問が出るのは当然のこと。

本記事では、そうした疑問を解消するために、配置技術者の基礎から要件、実務上の注意点までをわかりやすく解説していきます。この記事を読めば、「配置技術者」のことがクリアに理解でき、自信をもって現場対応や許可申請ができるようになります!

2. 配置技術者って誰?(ざっくり定義)

まずは、「配置技術者」という言葉の意味をシンプルに押さえておきましょう。

配置技術者とは、工事現場において施工の技術的な管理を行う人のことです。現場の安全、品質、工程、そして施工の適正さを確保するという重要な役割を担います。

この配置技術者には、主に次の2種類があります:

  • 主任技術者(しゅにんぎじゅつしゃ):一般建設業許可で必要になる技術者。
  • 監理技術者(かんりぎじゅつしゃ):特定建設業許可で、一定規模以上の工事を請け負う際に必要になる技術者。

このように、どちらも“技術者”であることには変わりませんが、求められる資格や経験、配置義務のある工事の規模が異なります。

配置義務がある工事とは?

主任技術者は、請負金額に関係なく、許可を受けた建設工事すべてに配置しなければなりません。一方で、監理技術者が必要になるのは、元請として請け負った工事で、下請契約の総額が4,500万円以上(建築一式工事は7,000万円以上)となるケースです。

また、配置義務があるからといって、必ずしも常に現場に常駐しなければいけないというわけではありません。法律上の“配置”とは、工事の状況に応じて適切な技術管理ができる体制を整えることを意味します。

このあたりは、現場ごとに柔軟な対応が求められる部分でもありますので、次章以降でさらに詳しく見ていきましょう。

3. 主任技術者とは?どんな人がなれるの?

主任技術者は、一般建設業許可で行うすべての建設工事に配置が義務付けられている技術者です。請負金額に関係なく、工事を適正に進めるためには必ず現場に配置しなければなりません。

では、誰でも主任技術者になれるのでしょうか?実は、ある程度しっかりとした資格や経験が求められます。

主任技術者になれる人の3つのパターン

主任技術者となるためには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります:

  1. 関連する国家資格を持っている人
    • 例:2級施工管理技士、2級建築士、木造建築士など
    • 業種により必要な資格は異なります(例:土木、建築、電気、管など)
  2. 指定学科を卒業して一定年数の実務経験がある人
    • 高校卒業なら5年以上、大学卒業なら3年以上の経験が必要です
  3. 10年以上の実務経験がある人
    • 資格や学歴がなくても、同一業種で10年以上の経験があればOKです

どの条件でも、実務経験が「申請する建設業の種類と直接関連している」必要があります。たとえば、電気工事の経験だけでは、建築工事の主任技術者にはなれません。

よくある誤解と注意点

  • 「専任技術者」と同一人物でもいいの?」
    • 原則はNGです。専任技術者は営業所に常勤する必要があるため、現場に出る主任技術者とは兼ねにくいのが現実です。
    • ただし、小規模工事や営業所と現場が近い場合など、一部条件付きで兼務が認められるケースもあります。
  • 「資格さえあればOK?」
    • 資格は大前提ですが、それだけで主任技術者になれるわけではありません。たとえば資格取得後の実務経験が足りないとNGです。
  • 「派遣社員を使ってもいい?」
    • 派遣や短期雇用では基本的に認められません。配置技術者は原則として自社との直接的・恒常的な雇用関係が必要です。

主任技術者は、現場にとって“技術の責任者”。その要件を満たすことは、ただのルールではなく、事業の信頼や工事の安全・品質にも直結する大切なポイントです。

4. 監理技術者とは?どんな時に必要?

監理技術者は、特定建設業の許可を受けた事業者が、大きな工事を元請として請け負うときに必要となる技術者です。具体的には、1件の工事において、下請契約の総額が4,500万円以上(建築一式工事の場合は7,000万円以上)となる場合に配置が義務づけられています。

これは、主任技術者よりもさらに大きな工事に対応する“上位の技術者”といえる存在です。

監理技術者になれる人の条件

監理技術者になるためには、次のような条件を満たす必要があります:

  1. 1級国家資格を保有していること
    • 例:1級施工管理技士、1級建築士、第一種電気工事士、技術士など
  2. 一定の実務経験があること
    • 上記の資格に加えて、4,500万円以上の工事において、2年以上の“指導監督的実務経験”が必要です。
  3. 特定建設業の専任技術者としての要件を満たしていること
    • 国土交通大臣の認定を受けたケースも含まれます。

なお、特定建設業の中でも「指定建設業(7業種)」については、さらに厳格な条件が課されているため、注意が必要です。

主任技術者との違いは?

項目主任技術者監理技術者
必要な許可一般建設業許可特定建設業許可
必要な工事の規模全ての工事(請負金額に関係なく)下請総額4,500万円以上(建築は7,000万円以上)
主な資格2級施工管理技士など1級施工管理技士など
実務経験要件資格や学歴により異なる指導監督的立場で2年以上の経験

監理技術者は、元請けとして責任を持って下請け業者を管理・統括する立場です。そのため、求められるスキルや経験もより高度になります。

また、監理技術者は現場への“専任”が求められるケースも多いため、現場の兼務や移動に関する制限も主任技術者以上にシビアになる点も注意しておきましょう。

5. 兼務はできるの?配置技術者の柔軟運用(専任特例)

近年、建設業界では技術者不足が深刻化しています。特に中小規模の事業者では、「現場ごとに専任の技術者を確保するのが難しい」という声も少なくありません。

こうした状況を踏まえ、法律や運用ルールも少しずつ柔軟化されてきています。その代表的なものが、主任技術者・監理技術者の“兼務”を条件付きで認める特例(専任特例)です。

主任技術者の兼務が認められるケース

以下のような条件を満たす場合、主任技術者が複数現場を兼務することができます:

  • 同一の建設業者が、近接した場所で密接に関連する複数の工事を行っている
    • 工事現場の距離が概ね10km以内
    • 相互に調整を要するような工事
    • 「主任技術者兼務届」の提出が必要
  • 専任を要しない小規模工事であれば、営業所の専任技術者が現場の主任技術者を兼ねることも可能です(例:営業所と工事現場が近く、常時連絡が取れる体制があるなど)。

監理技術者の兼務が認められるケース(愛知県の特例)

監理技術者の兼務は主任技術者よりも厳しい条件が課されていますが、以下のような専任特例があります:

特例1号:一定の金額以下の工事を2現場兼務

  • 各工事の請負代金が1億円未満(建築一式工事は2億円未満)
  • 現場間の移動時間が概ね2時間以内
  • 下請次数が3次以内
  • 各現場に連絡員を配置

特例2号:監理技術者補佐の配置

  • 各現場に「監理技術者補佐(例:1級施工管理技士補など)」を専任で配置
  • 愛知県では、現場間の距離はおおむね10km以内が目安
  • 同一建設事務所管内または県内が基本

ICTを活用した兼務の工夫も進んでいます

近年では、情報通信技術(ICT)を活用した現場管理が進められており、兼務の条件緩和につながる動きもあります。

たとえば:

  • 遠隔地とのビデオ通話やリモート点検
  • ドローンによる進捗確認
  • クラウド型施工管理ツールの活用

こうしたICT活用があれば、物理的な常駐にこだわらず、複数現場の効率的な管理が可能となります。

もちろん、これらの特例を活用する場合には、必要な届出や体制整備、そして「兼務でも技術管理が十分に行える体制であること」が前提です。愛知県では、独自に細かい運用ルールを定めている場合もあるため、事前に県庁の建設業担当窓口などに確認することをおすすめします。

6. 許可申請時に必要な書類は?(実務編)

配置技術者を現場にきちんと配置するためには、建設業許可の申請・更新時に「この人が要件を満たしていますよ」と証明する必要があります。

特に重要なのが、専任技術者の資格や経験を証明する書類の提出です。ここをクリアできなければ、許可自体が下りません。

提出が必要な主な書類

愛知県で一般建設業許可を申請する際に必要な書類は、以下のとおりです:

  • 専任技術者証明書(様式第八号)
    • 専任技術者の氏名、生年月日、担当する建設業の種類、資格区分などを記載します。
  • 資格を証明する書類
    • 該当する国家資格の証明書(資格者証の写し)や、卒業証明書・卒業証書の写しなど
  • 実務経験証明書(様式第九号)
    • 学歴や資格で要件を満たさない場合、実務経験で補う場合に提出。期間や業務内容などを詳細に記載する必要があります。
  • 常勤性を証明する書類
    • 健康保険証の写しや雇用契約書など、「その技術者が営業所に常勤していること」を証明します。

これらの書類をしっかり準備し、要件に適合していることを客観的に示すことが大切です。

実務経験の証明方法と注意点

実務経験を証明する場合は、単に「○年働きました」という申告だけでは不十分です。

次のような資料をセットで準備すると、よりスムーズに審査が進みます:

  • 雇用期間がわかる書類(源泉徴収票、給与明細、退職証明など)
  • 工事内容がわかる資料(契約書、施工実績表など)
  • 経験業務の詳細を記載した一覧表

注意したいのは、経験業種が申請する業種と“同一または類似”である必要があるという点です。たとえば「電気工事」での経験が「管工事」では認められない可能性があります。

よくある不備と注意点

  • 記載漏れや誤記
    • 特に証明書類に不備があると、補正対応で大きく手間がかかります。
  • 常勤性の証明が不十分
    • 社会保険に加入していないケースなどは要注意。自営業や家族経営でも、書類で明確に常勤性を証明する必要があります。
  • 実務経験の裏付け資料が曖昧
    • 特に10年以上の経験で申請する場合、細かい証明が求められるので要注意です。

きちんと準備しておけば、それほど難しいものではありませんが、「どこまで証明すれば十分なのか」は判断が分かれるところでもあります。悩んだ場合は、行政書士などの専門家に相談するのが安心です。

7. よくある質問(Q&A)

ここでは、実際によく聞かれる疑問をまとめて解説します。建設業許可を申請する際や、現場で配置技術者に関する対応を求められた際にぜひ参考にしてください。

Q1. 専任技術者と主任技術者は同一人物でもいいの?

原則として不可です。専任技術者は営業所に常勤することが求められる一方、主任技術者は工事現場の技術的管理を担うため、外出が多くなるのが一般的です。

ただし、例外として兼務が認められるケースもあります

  • 小規模な工事(専任を要しない工事)
  • 営業所と工事現場が近接しており、常時連絡が取れる体制が整っている

このような条件を満たす場合には、同一人物での兼務が可能です。

Q2. 現場代理人と配置技術者はどう違うの?

現場代理人は、工事現場で元請けの代表として契約・事務処理などを担当する人です。対して、配置技術者(主任技術者・監理技術者)は工事の技術的な管理を担当する人であり、役割が異なります。

なお、資格を有していれば、同一人物が兼務することも可能です。ただし、業務上の負担が大きくなるため、実態に即した体制が求められます。

Q3. 下請業者にも配置義務はあるの?

はい、あります。建設業許可を受けている下請業者も、自らが請け負った工事においては主任技術者の配置が必要です。

「元請の現場に入っているから、技術者は不要」と思われがちですが、これは誤解です。あくまでも自社が責任を持って請け負った工事には、適切な技術者の配置が義務づけられています。

Q4. 派遣社員を配置技術者にしてもいいの?

原則として不可です。主任技術者・監理技術者ともに、配置する事業者との直接的かつ恒常的な雇用関係が求められます。

  • 派遣社員や業務委託、短期契約の職員では要件を満たさない
  • 雇用契約書や保険加入状況などで、継続雇用関係があることを証明する必要があります

現場の体制を柔軟にする工夫は必要ですが、法的な条件をしっかり満たしておくことが、許可維持やトラブル防止の基本です。

8. まとめ:配置技術者を押さえることは“現場力”を高める一歩

建設業を営むうえで、「配置技術者」は決して形式的な存在ではありません。

主任技術者・監理技術者の適切な配置は、現場の品質を守り、安全を確保し、取引先や発注者からの信頼を得るための土台です。

そして何よりも、これらの配置は建設業許可の取得・更新の根幹をなす要件でもあります。配置技術者がいなければ、そもそも許可の申請ができなかったり、更新が認められなかったりするケースもあるため、非常に重要です。

一方で、要件は非常に細かく、誤解されやすいポイントも多くあります。「実務経験の年数は足りている?」「資格証明の書類はこれで大丈夫?」など、不安を感じることもあるでしょう。

そんなときは、建設業許可の実務に詳しい専門家(行政書士など)に相談するのが安心です

とくに愛知県では独自の運用ルールや届出様式があるため、地域のルールに即したアドバイスを受けることで、よりスムーズに申請・対応ができるようになります。

本記事が、配置技術者についての理解を深め、より確実で信頼される現場運営に役立つことを願っています。

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