こんにちは、行政書士の三澤です!

「この工事、建設業許可がなくても請け負っていいのかな…」
「500万円未満だから軽微な工事ってことで大丈夫だよね?」
そんな疑問や不安を感じたことはありませんか?

実はこの「軽微な工事」、一見すると単純なようでいて、
消費税の扱いや面積基準、工事区分の誤認など、思わぬ落とし穴がたくさんあるテーマです。

この記事では、

  • 許可はまだ取っていないが、実務上の判断に困っている方
  • 小さなリフォームや修繕を請け負っていて、許可が本当に不要か心配な方
  • 今後の許可取得も視野に入れて、制度の全体像を整理しておきたい方
    といった 愛知県で建設業を営む方 に向けて、

建設業法における「軽微な工事」の定義と実務上の判断ポイントを、
現場経験と法律知識をあわせもつ行政書士の視点から わかりやすく解説します。

この記事を読むことで、

  • 自社の工事が許可不要かどうかを見極める基準がわかる
  • 見落としやすい誤解・トラブルの回避方法がわかる
  • 今後の許可取得に向けた備えとして何をすべきかが明確になる
    といった 安心材料と実務知識の両方 を得られます。

「許可が不要なはずなのに、後から行政処分に…」という事態を防ぐためにも、
ぜひ最後までチェックしてみてください。

それでは、さっそく見ていきましょう!

目次

1. 建設業許可と軽微な工事の関係とは?

建設業法の原則:「許可がなければ工事請け負いはできない」

建設業を営もうとする場合、原則として国土交通大臣または都道府県知事から「建設業許可」を受ける必要があります(建設業法第3条第1項)。
この許可制度の目的は、建設工事の品質と安全性を確保し、発注者保護を図るとともに、建設業界全体の健全な発展を促進する点にあります。

つまり、建設業の許可は「信頼と法令遵守の証明」でもあるのです。

特に、

  • 元請・下請を問わず
  • 法人・個人を問わず
  • 一定規模以上の工事を反復継続して請け負う場合

には、許可が必要です。ここでのポイントは「一定規模」という条件であり、この規模感の線引きが“軽微な工事”との境界になります。

ただし例外として「軽微な工事」は許可不要

建設業法では、すべての工事に許可を要求しているわけではありません。
許可制度があまりにも厳格だと、小規模な改修工事や修繕工事を生業とする事業者に過度な負担がかかってしまいます。

このような現実的な事情に配慮し、建設業法第3条第1項のただし書きにおいて、「政令で定める軽微な建設工事」のみを請け負う場合には許可が不要とされています。

この「軽微な工事」という例外があるからこそ、事業の立ち上げ初期などでも柔軟に営業を開始できるのです。

ただし、「軽微かどうか」の判断を誤ると、無許可営業とみなされてしまうため注意が必要です。
金額基準や工事内容の実態に照らして、慎重に判断する必要があります。

この制度の趣旨と重要性

「軽微な工事」の例外規定は、事業者保護と法令実務のバランスをとるための制度です。
しかし、これはあくまで「小規模な工事に限定した営業の自由」を認めるものであり、制度を誤解して中規模以上の工事を請け負ってしまうと、建設業法違反となります。

この違反は非常に重大で、以下のようなリスクを伴います。

  • 無許可営業による行政処分(営業停止・指導・罰則)
  • 元請からの契約解除や信頼失墜
  • 将来的に許可を取得する際の障害にもなりうる

たとえば、愛知県内でも「500万円未満だと思っていたが、消費税込で基準を超えていた」「面積制限を忘れていた」という実例もあります。
特に建築一式工事に関しては“延べ面積150㎡未満”という基準も併せて確認する必要があり、金額だけで判断すると誤る可能性があります。

ポイント

  • 建設業を営むには原則として許可が必要
  • ただし、政令で定める「軽微な工事」に該当する場合は例外
  • 「軽微な工事」の判断は金額・面積・工事内容を踏まえて慎重に
  • 制度の趣旨は、事業者保護と法令遵守のバランスにある

まずは「許可が必要かどうか」を、行政書士と一緒に判断しませんか?

「この工事は軽微に当たるのか?」
「500万円ギリギリだけど、税込だとどうなる?」
「建築一式か専門工事か判断がつかない…」

こうした疑問を、行政書士が実務の視点で丁寧にお手伝いいたします。
三澤行政書士事務所では、愛知県を中心に中小建設業者さまの法令遵守と事業の安定をサポートしています。

小さな疑問からでも大歓迎です。
ぜひお気軽にご相談ください。

2. 軽微な工事の法的定義と基準

2-1. 法的根拠

建設業許可が不要となる法的根拠とは?

建設業許可が不要となる「軽微な工事」について、その根拠は建設業法の中に明確に規定されています。
この例外規定は、建設業法第3条第1項ただし書と、それを具体化した建設業法施行令第1条の2により定められています。

建設業法第3条第1項の条文

建設業を営もうとする者は、国土交通大臣又は都道府県知事の許可を受けなければならない。
ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負って営業する場合においては、この限りでない。

ここで明記されている「政令で定める軽微な建設工事」が、建設業許可を必要としない例外条件になります。
つまり、「軽微な工事」という制度は法律の本文が直接的にその存在を認めた制度であり、軽視すべきではありません。

建設業法施行令第1条の2の規定内容

この法律の「ただし書き」を受けて、より具体的な基準を定めているのが建設業法施行令第1条の2です。
この施行令では、以下のように工事の種類ごとに金額や面積の基準が定められています。

工事の種類許可不要となる軽微な工事の基準
建築一式工事請負代金が1,500万円未満かつ延べ面積が150㎡未満
建築一式以外の専門工事請負代金が500万円未満

※いずれも税込金額で判断されます。

法と政令の連携によって成り立つ制度

このように、「軽微な工事」は以下のような構造で制度化されています。

  • 建設業法(法律):原則として許可が必要であること、および例外として軽微な工事を認めることを規定
  • 建設業法施行令(政令):その「軽微な工事」の基準(金額・面積)を具体的に定める

この法律と政令の二層構造によって、「どのような工事が許可不要か」を明確に判断できる仕組みが構築されているのです。

なぜこのような構造になっているのか?

建設業法の条文だけでは、工事の金額や種類といった細かな事情に対応できません。
そのため、具体的な基準は政令レベルで柔軟に運用できるように委任されているのです。

この構造のメリットは、たとえば物価の上昇や業界の動向に応じて、政令を改正することで基準額の見直しがしやすい点にあります。

一方で、現場の事業者にとっては「どこまでが軽微なのか」という判断が難しい場面も多く、
制度全体の構造を理解したうえで慎重に判断することが求められます

実務の現場ではどう判断される?

法律や政令の条文だけを読んでも、「自社の工事がどの基準に該当するか」まではなかなか判断しきれません。
たとえば以下のような場面では、専門的な判断が必要です。

  • 建築一式工事か、複数の専門工事の集合体かの判断がつかない
  • 面積が150㎡に近い木造住宅で、金額も微妙なライン
  • 材料費の提供があるなど、請負代金の算定方法が複雑

このようなケースでは、行政窓口や行政書士などの専門家と連携しながら判断することが、安全な営業の第一歩となります。

2-2. 工事の種類別の基準

「軽微な工事」に該当するかの判断基準は2種類ある

「軽微な工事」に該当するかどうかを判断する際は、工事の種類ごとに異なる2つの基準を確認する必要があります。

建設業法施行令第1条の2では、以下の2つに分類して基準を定めています:

  • 建築一式工事
  • 建築一式工事以外の専門工事

この違いを正しく理解することが、誤認による無許可営業を防ぐ第一歩になります。

建築一式工事以外(専門工事)の基準:税込500万円未満

大工工事、電気工事、管工事、塗装工事、内装仕上工事などの専門工事については、以下の基準が適用されます:

  • 税込の請負代金が500万円未満

たとえば次のようなケースが該当します:

  • 戸建住宅の外壁塗装(請負代金:税込480万円)
  • 小規模飲食店の内装改修工事(請負代金:税込430万円)

※注意点として、請負代金は税込で判断します。税抜価格で判断してしまうと、思わぬ無許可営業と見なされる可能性があります。

建築一式工事の基準:税込1,500万円未満 かつ 延べ面積150㎡未満

一方で、建築一式工事に該当する場合は、より複雑な判断基準となります。

建築一式工事とは、住宅の新築や大規模な改修など、建物全体を請け負う総合的な工事を指します。
この場合は以下の2つの条件を“両方”満たす必要があります:

  • 請負代金が 1,500万円(税込)未満
  • 延べ面積が 150㎡未満

たとえば次のような場合は軽微な工事に該当します:

  • 木造住宅(延べ面積:120㎡、請負代金:税込1,400万円)
  • 店舗の新築(延べ面積:90㎡、請負代金:税込1,000万円)

どちらか一方でも基準を超えると、建設業許可が必要になります。

軽微な工事の比較表

以下に、建築一式工事とそれ以外の専門工事の基準を比較した表を掲載します。

工事の種類請負代金の基準延べ面積の基準両方必要か?
建築一式工事1,500万円未満(税込)150㎡未満両方必要
専門工事(建築一式以外)500万円未満(税込)制限なし金額のみ

※請負代金には、材料費や運送費などを含むことに注意してください。

よくある誤解と実務上の注意点

  • 工事を2件に分けて見積もればOK? → ×ダメです
     →形式的に分割しても、実質1件の工事なら全体で判断されます(脱法的分割は無効)
  • 「リフォームだから軽微」と思っていませんか?
     →名称ではなく、実際の金額と面積、工事の性質で判断されます
  • 建築一式かどうかの判断が曖昧な工事も多い
     →複数の専門工事を一括で請け負う場合など、建築一式と見なされるリスクもあります

これらのリスクは、実務経験のある行政書士や建設業法に詳しい専門家に確認することで、安全に回避できます。

複雑な基準に迷ったら、行政書士にご相談を

「500万円未満のはずだったのに、実は基準を超えていた」
「延べ面積ってどこまで含めるの?」
「うちの工事、建築一式工事に該当するの?」

こうした疑問や不安をお持ちの方は、ぜひ建設業専門の行政書士である三澤行政書士事務所にご相談ください。
当事務所では、愛知県内の中小建設業者様に特化したサポートを行っており、現場目線と法令解釈の両面から、最適な判断と手続きをご案内しています。

不安を抱えたまま営業を続けるよりも、一度確認することでリスクをゼロにするほうが、事業の安定にもつながります。

まずはお気軽にご相談ください。

3. 実務で見落としがちな注意点

3-1. 「消費税」も含めて判断!

建設業許可が不要となる「軽微な工事」の基準として最も知られているのは、

  • 建築一式工事以外で請負代金が500万円未満
  • 建築一式工事で請負代金が1,500万円未満かつ延べ面積が150㎡未満

といった金額基準です。
しかしこの金額の判定において“消費税の有無”を誤るケースが非常に多く、行政処分に直結するリスクがあります。

税込金額で判断するのがルール

軽微な工事に該当するか否かの判断は、必ず“税込金額”で行う必要があります。
税抜きで計算してしまうと、以下のような誤解が生じます。

例:

  • 工事請負金額:460万円(税抜)
    → 消費税10%を加えると 506万円(税込)
    → 500万円を超えるため、許可が必要

こんな実例も…

「税抜表示で見積書を出していたために、実際には軽微工事の上限を超えていた」
「下請業者として工事を請け負ったが、消費税込で基準超過と見なされ、元請から是正指導を受けた」

このように、軽微な工事か否かの境界ラインにある工事では、消費税の扱い一つでリスクが大きく変わることがあります。

なぜ税込で判断するのか?

国土交通省や各都道府県の「建設業許可の手引き」では、以下のように明記されています。

「請負代金額とは、消費税及び地方消費税相当額を含めた総額(いわゆる税込金額)をいいます」

つまり、軽微かどうかの基準は、発注者が実際に支払う金額の総額で判断されるため、
税抜表示での判断はそもそも許容されないというわけです。

3-2. 材料費の提供がある場合の取り扱い

もう一つの注意点として、材料費を発注者(施主)が無償で提供する場合の取り扱いも見落とされがちです。

「うちは材料をもらっているから、請負金額は400万円で軽微だよ」
──果たして本当にそう言い切れるでしょうか?

実質的な工事価値=材料費も含めて判断

建設業法では、「請負代金」は単なる契約金額ではなく、実質的な工事全体の価値(対価)で評価します。
したがって、次のようなケースでも「材料費分を含めて基準額を超えるかどうか」を判断する必要があります。

例:

  • 施主から支給された建材(市場価格:150万円分)
  • 請負契約金額:400万円(税込)

→ 実質的な請負対価:550万円相当
→ 軽微な工事には該当せず、許可が必要

契約書や見積書での記載が重要

こうした判断は、契約書や見積書の記載方法によっても大きく影響します。

  • 材料費が「施主提供」であり、工事請負の範囲外であることを明確に記載しているか?
  • 支給材の内容や数量、相場価格が不明瞭ではないか?

明記していないと、後から「その材料費も含めた対価と見なされる」可能性があります。
結果として、無許可営業と判断されてしまうケースもあります。

ポイント:金額の判断は“実態ベース”で考える

判断基準判断のポイント
消費税の扱い税込金額で判断する(税抜不可)
材料費の提供がある場合提供材料の市場価格も加算して判断

これらはすべて、「工事の実質的な経済的価値に基づいて許可の要否を決める」という建設業法の趣旨に沿った考え方です。

金額だけを見て「500万円未満だからOK」と考えるのではなく、税込か? 材料費を含めているか?
といった実務的な目線で丁寧に判断することが、法令違反を未然に防ぐカギとなります。

3-3. 契約の分割はNG(脱法行為に該当することも)

軽微な工事の判断基準を下回るように見せるために、1つの工事を複数の契約に形式的に分割する行為は、法的に認められません。
これは、建設業法の趣旨を逸脱する「脱法行為」として違法と判断される可能性が非常に高いため、絶対に避けるべきです。

例:形式的な契約分割のケース

例えば、本来1件800万円相当の内装工事を次のように2件に分けた場合:

  • 契約①:壁紙と天井 = 480万円
  • 契約②:床仕上げと建具 = 450万円

→ 合計:930万円
→ 一見、どちらも「500万円未満」に見えますが、実質的には1件の工事と見なされるため、許可が必要です。

正当な分割との違い

もちろん、以下のような実質的な理由がある分割契約は例外です。

  • 工期が明確に異なる(第一期工事・第二期工事など)
  • 施工場所が異なる(別棟や別敷地など)
  • 発注者自体が異なる

こうした合理的な背景がない限り、契約の分割によって軽微な工事のように見せることは、意図的な基準逃れ=無許可営業の疑いとして、厳しく問われることになります。

3-4. 建築一式工事の「誤認」が多発

軽微な工事の判断において、特に注意が必要なのが「建築一式工事の誤認」です。
実務の現場では、「これは専門工事の集合体だから500万円未満でOK」と思い込んでいたが、実は建築一式工事に該当していた──というケースが少なくありません。

建築一式工事とは?

建築一式工事とは、以下のような特徴を持つ総合的な建築工事です。

  • 建築物の新築、改築、増築、移転など
  • 複数の専門工事を統括し、元請が全体を管理する形態
  • 工事内容が「一連の完成された建築物」を形成する

例えば、住宅のフルリノベーションや、店舗全体の改装など、構造躯体にも手が入るような工事が該当する可能性があります。

よくある誤認例

誤認ケース本来の判断
複数の専門工事(電気・内装・給排水)をまとめて請け負った →「それぞれ500万円未満だからOK」総合管理下の一式工事と見なされ、1,500万円+150㎡の基準で判断すべき
建物全体の増築工事(100㎡程度、1,300万円) →「増築だから専門工事」構造・外壁・設備全体に及ぶなら、建築一式工事と解釈される可能性あり

このように、「建築一式工事かどうか」の判断を誤ると、1,500万円+150㎡の基準を超えており、知らぬ間に無許可営業となってしまうことがあります。

実務での見極めポイント

建築一式工事に該当するかどうかを見極めるには、次の観点が重要です:

  • 工事内容に「構造」「設備」「意匠」の全体的な調整が含まれるか?
  • 複数の工種を元請業者が総合的に指揮・管理しているか?
  • 工事の目的が「建築物としての完成形の提供」にあたるか?

これらの判断は、現場経験や法令理解を要するため、迷ったら行政書士や建築士などの専門家に早めに確認することが重要です。

許可基準の誤認を防ぐために、行政書士の視点を活用しませんか?

「契約の分割ならセーフだろう」
「これは専門工事の集合体だから500万円基準でOKなはず」
──そんな思い込みが、実は“脱法行為”や“誤認による無許可営業”として、大きなリスクに変わる可能性があります。

三澤行政書士事務所では、建設業に特化した行政書士として、こうした実務で見落としやすい判断ミスを事前に防ぐためのサポートを行っています。
元建設業出身者としての現場経験を活かし、法的根拠と実務感覚の両面から、最適な判断をお手伝いします。

ご相談は初回無料。
「判断がつかない」「ちょっと不安」その時点で、ぜひお気軽にご相談ください。

4. 軽微な工事の具体例と判断のポイント

よくある「内装」「リフォーム」「解体」などの例と注意点

軽微な工事かどうかを判断する際、業者が陥りやすいのが「業種名だけで判断してしまうこと」です。
たとえば「内装工事」「リフォーム工事」「解体工事」などの言葉だけを見ると、一見小規模な印象を受けますが、実態によっては軽微な工事の基準を超える場合が多々あります。

よくある工事と注意すべきポイント

工事の種類軽微に該当する条件(例)注意すべき点
内装仕上工事数部屋のクロス張替え、床のフローリング張替え等で500万円未満施工面積が広くなると500万円を超えやすい。複数の工種が含まれると建築一式工事の可能性も
リフォーム工事水回りの部分交換、小規模な間仕切り変更など工事内容が複雑・総合的になると建築一式に該当する可能性あり
解体工事物置やカーポートなどの小規模な構造物(工事費500万円未満)建築物の一部または全部を解体する場合は規模・構造に注意。産業廃棄物処理の届出義務も関係
塗装工事外壁や門扉の部分塗装など外壁全体や複数面にわたる場合、金額が500万円を超える可能性が高い
防水工事ベランダやバルコニーの補修程度建物全体に及ぶ防水改修になると許可対象に

実際の見積もりで軽微かどうか判断する際の着眼点

  • 税込金額であるか?(税抜で500万円を切っていても、税込では超えるケースあり)
  • 工種は単一か、複数の組み合わせか?
  • 工事の発注形態が一括かどうか?(下請への発注であっても、元請の判断が問われる)
  • 施主からの材料支給があるか?(支給された建材も請負金額に加算される場合あり)

金額だけでなく「実態」をみるべき理由

建設業法では、軽微な工事に該当するかどうかを判断する際、単に請負金額を見るだけではなく、「工事の実態」を重視します。

実態で判断される具体例

  • 「500万円未満に抑えてそれぞれを契約したが、実際には複数工種を含む建築一式工事だった」
  • 「発注を2件に分けたが、内容的に一体の工事だったため、全体で判断され許可が必要とされた」

このようなケースでは、たとえ形式的には軽微に見えても、実質的に一定規模を超える工事を反復継続して行っていれば、建設業を営んでいると見なされ、許可が必要になります。

実態重視の背景にある制度趣旨

これは、建設業許可制度が単なる事務手続きではなく、工事の品質・安全・発注者保護を目的とした法制度であるためです。
制度の趣旨に反して形式だけを整えても、それは法律上の評価対象になりません。

誤認のない判断と事前チェックは行政書士に

「うちは小規模な内装工事だけだから大丈夫」
「500万円以下で見積もってるから許可はいらないよね?」

──そう思っていても、実態を見れば建築一式工事だったり、複数契約が一体工事と判断されたりするケースは少なくありません。
こうした判断ミスが、行政処分や取引停止、最悪の場合は刑事罰につながることもあります。

三澤行政書士事務所では、建設業経験のある行政書士が、現場感覚と法的観点の両面からサポートいたします。
不安な点やあいまいな案件があれば、事前にご相談いただくことで、トラブルを未然に防ぎ、許可取得の見通しも立てやすくなります。

「軽微な工事の範囲かどうか」を確認することは、事業の安心と信用の第一歩です。
ぜひお気軽にご相談ください。

5. 許可不要でも守るべきルール

「軽微な工事だから許可は不要」と判断された場合でも、建設業法その他関連法令の一部義務から免除されるわけではありません。
あくまでも「建設業許可が不要になるだけ」であって、法令遵守義務や元請業者としての責任は引き続き発生します。

本章では、許可不要であっても必ず守るべきルールについて解説します。

丸投げ禁止(建設業法第22条)

建設業法第22条では、元請業者が請け負った工事の「全部または主要部分」を一括して下請に任せること(いわゆる丸投げ)を原則禁止しています。
これは、元請業者が「実質的に施工に関与せず、責任も果たさない」状態を防止するための重要な規定です。

軽微な工事でも対象になる

この規定は、建設業許可の有無を問わず、「建設工事を請け負って営む者すべて」に適用されます。

例)
「外壁塗装を軽微な工事として受注し、全て下請に丸投げ」
→ 法第22条違反となる可能性あり

認められる場合は?

  • 下請に任せる範囲が一部であり、元請業者が設計・監理・現場管理等に関与している
  • 特別な理由(技術力不足や特殊工法)を正当化できる

契約書作成義務

建設業法第19条では、建設工事の契約にあたって、契約書の作成と交付が義務付けられています。

許可がなくても義務は発生

たとえ軽微な工事であっても、

  • 工事の内容
  • 請負代金
  • 工期
  • 支払条件
  • 瑕疵担保責任

などが明記された契約書を双方で取り交わすことは、発注者保護の観点から非常に重要です。
契約トラブルのリスクを避ける意味でも、口約束や曖昧な書類ではなく、建設業法に準拠した契約書の整備を行いましょう。

安全管理や技術者配置の責任

建設業法第26条では、工事現場における主任技術者または監理技術者の配置義務が規定されています。

許可業者には原則義務あり

許可を取得している業者は、一定以上の工事金額に対して、国家資格保持者などの技術者配置が義務づけられます。

許可が不要な工事でも注意

許可を要しない工事であっても、例えば、

  • 公共工事や元請案件での下請として工事を行う場合
  • 高所作業や重量物作業を含む工事内容の場合

には、安全配慮義務・現場管理責任・法令上の技術基準遵守が強く求められます。
事故やトラブル時に「無資格・無配置」が問われると、元請・発注者からの信用失墜や損害賠償請求に発展する可能性もあります。

廃棄物処理やリサイクル法など、関連法への対応

軽微な工事であっても、解体・改修・リフォームなどの作業に伴って発生する産業廃棄物の処理や再資源化は、以下の法律によって規制されます。

建設リサイクル法(資源の有効な利用の促進に関する法律)

一定規模以上の建築物に関する解体・新築・改修工事では、

  • 事前届出
  • 分別解体
  • 再資源化処理

などが義務付けられています。

廃棄物処理法(廃掃法)

廃材や解体材が発生する場合、たとえ軽微な工事であっても、

  • 廃棄物の適正処理
  • 産業廃棄物管理票(マニフェスト)の発行
  • 委託業者の許可確認

などが必要になる場合があります。
特に解体業者を兼ねていない施工業者が廃棄物処理まで担う場合、無許可処分・不適正処理による刑事責任リスクがあるため注意が必要です。

法令遵守の基本を押さえ、安心して工事を続けるために

「軽微な工事だから法的な責任は軽い」と思っていませんか?
実際には、許可が不要でも、守るべき法律・契約・責任は多岐にわたります。

  • 丸投げは禁止
  • 契約書は必須
  • 安全管理と技術者の適正配置
  • 廃棄物処理・リサイクルの法令対応

これらはすべて、トラブルを未然に防ぎ、事業の信用と持続性を守るために欠かせないルールです。

三澤行政書士事務所では、建設業専門の行政書士として、愛知県内の中小業者さまに法令遵守のアドバイスと手続きサポートをご提供しています。

「うちは許可はいらないはずだけど、他に気をつけることはある?」
「元請から契約書を求められたけど、どう書けばいいかわからない」
──そんなときこそ、ぜひお気軽にご相談ください。

6. よくある誤解とリスク

軽微な工事は、建設業許可を取得していなくても受注・施工できる「例外規定」ですが、判断を誤ると重大な法令違反(=無許可営業)に該当するリスクがあります。

ここでは、実務現場で特によく見られる誤解を3つ取り上げ、それぞれのリスクと回避方法を解説します。

「金額はOKだが面積を見落としていた」

建築一式工事の場合は、「1,500万円未満(税込)」という金額基準だけでなく、「延べ面積150㎡未満」という面積基準も併せて満たす必要があります。

誤解の例:

  • 「請負金額は1,200万円(税込)だから軽微に当たると思っていた」
  • 「でも、建物の延べ面積が160㎡あり、基準を超えていた」

→ 結果として、建設業許可が必要な工事を無許可で施工してしまったことに。

面積の定義にも注意!

  • 延べ面積とは、建物の各階の床面積の合計です。
  • 屋根付き車庫、ベランダなども条件次第で含まれるケースがあります。

金額だけを見て「大丈夫」と判断するのは非常に危険です。

「建築一式工事かどうか判断がつかない」

建築一式工事に該当するかどうかは、「複数の専門工事を総合的に管理して行うかどうか」がポイントになります。

よくあるケース:

  • 内装・水道・電気などを一括して請け負い、全体の完成を目的とする工事
  • 見積もり上は分かれていても、実際には元請が全体を管理している

これらは建築一式工事に該当する可能性が非常に高いため、許可の有無が問題となる可能性があります。

判断基準に迷うなら

  • 自社が総合的に現場を指揮しているか?
  • 一連の工事が建築物の「完成形」を目指しているか?
  • 単なる部分補修・改修ではないか?

といった観点から検討しましょう。あいまいな場合は、専門家に事前確認を取るのが安全です。

「複数工種にまたがっている場合の判定」

軽微な工事の金額基準(500万円/1,500万円)は、「1件の工事」ごとに適用されます。
このため、複数の工種が含まれていても、それらが一体として受注・実施される場合は、全体金額で判断されます。

NG例:

  • 内装:300万円、電気:250万円 → 合計550万円
  • 工種ごとに契約していても、工期や現場、発注者が同じなら「1件の工事」と見なされる可能性あり

このように、形式的に分けていても、実質的には一体的な施工であれば、許可基準を超えていると評価されます。

誤認が生むリスクは重大

  • 行政処分(営業停止・指導・許可取得不可)
  • 元請との契約解除
  • 信用の失墜・金融機関対応への悪影響

工事内容が複雑で複数にまたがる場合こそ、実態ベースで慎重に確認することが重要です。

その判断、不安であれば行政書士がチェックします

「金額だけ見てOKだと思ったのに、面積でアウトだった」
「これは一式工事なのか専門工事の組み合わせなのか、自分では判断できない」
「工種別で契約したけど、実質的に一体の工事になっていないか不安」

こうした“つもり違い”が、重大な法令違反や営業リスクにつながることが少なくありません。

三澤行政書士事務所では、建設業出身の行政書士が、元現場目線と法令解釈の両面から軽微な工事の判断や許可取得の可否について丁寧にサポートしています。

不安な点を事前に確認し、安心して営業を継続できる体制を整えることが、事業の信頼と継続性につながります。
「許可が必要かどうか」のグレーゾーンこそ、専門家に一度ご相談ください。

7. 誤認・違反を防ぐには専門家の判断が不可欠

法令違反による行政処分・信用失墜・将来の許可取得への影響

軽微な工事の判断を誤って無許可営業に該当した場合、単なる「うっかりミス」で済む話ではありません。
建設業法に違反した場合、次のような深刻なリスクが伴います。

主なリスク一覧

リスク内容詳細
行政処分営業停止、指導命令、将来の許可申請における不利な取扱いなど
刑事罰の可能性故意または重大な過失がある場合は、罰金や懲役の対象に
信用失墜元請や顧客、取引先からの信頼喪失。業界内での評判低下
公共工事への影響無許可履歴があると、公共工事の入札資格に大きく影響
金融機関との関係悪化法令違反歴があると、融資・保証・リース契約などに不利

たった1件の誤認が、数年にわたる事業成長の足かせとなることも珍しくありません。

自社で判断するには限界がある

「500万円未満なら軽微でしょ」「このくらいの工事なら許可いらないと思う」──
こうした“自己判断”が、トラブルの発端になるケースは非常に多くあります。

自社判断で誤りやすいポイント

  • 消費税を含めた金額かどうか
  • 面積の計算方法(延べ床面積の定義)
  • 建築一式工事に該当するか否か
  • 複数の工種が絡む工事の一体性の判断
  • 材料支給や契約の分割など特殊要因の影響

実務上の判断は“法的知識×現場理解”の両輪が不可欠

建設業許可制度は、形式だけでなく「工事の実態」で判断されます。
そのためには、建設業法や政令の理解だけでなく、実務現場の感覚や行政の運用方針を踏まえた解釈が求められます。

これは、多くの建設業者にとって専門外であり、法的判断を自社だけで正確に行うのは非常に難しいのが実情です。

“正しく安全に受注できる体制”を整えましょう

建設業許可が必要かどうか、軽微な工事に該当するかどうか——
その判断が“なんとなく”になっていませんか?

三澤行政書士事務所では、建設業に特化した行政書士として、愛知県を中心とした中小建設業者様のリスク対策を徹底サポートしています。
元現場経験のある行政書士が、法令・運用・実務を総合的に判断し、トラブルを未然に防ぐためのチェックやアドバイスを提供いたします。

  • 今の工事、本当に軽微といえるのか?
  • 面積や金額の考え方が正確かどうか?
  • 今後の許可取得に向けた準備をどう始めるか?

無料相談も受付中です。 事業の“安全運転”の第一歩として、どうぞお気軽にお問い合わせください。

8. 迷ったら、行政書士へ相談を

正しく理解していれば許可不要でスムーズに受注できる

建設業法における「軽微な工事」の制度は、正しく理解していれば、許可取得前でも合法的かつスムーズに営業を開始できる重要な制度です。
特に開業初期や小規模事業者にとっては、許可取得までの準備期間を支える柔軟な運用が可能となります。

  • 500万円未満(税込)の専門工事
  • 1,500万円未満かつ延べ面積150㎡未満の建築一式工事

このような基準を満たす工事であれば、適法に建設工事を請け負うことができるのです。

誤認しているとリスクが高い

一方で、基準の誤認や判断ミスは、思わぬリスクを招くことになります。

  • 消費税を除いた金額で判断してしまう
  • 面積要件を見落としてしまう
  • 建築一式工事であることに気づかず500万円基準で判断してしまう
  • 複数の専門工事を一括で請け負いながら、軽微と見なしてしまう

こうした“つもり違い”が蓄積すると、無許可営業に該当し、行政処分・信用失墜・将来の許可取得に悪影響を及ぼす可能性が出てきます。

正確な判断と書類整備で、安全な受注体制を

建設業を継続・拡大していくには、「許可がいるか・いらないか」だけでなく、その根拠を明確にし、説明責任を果たせる状態を整えておくことが大切です。

  • 見積書や契約書に明確な金額(税・材料費含む)を記載
  • 工事内容に応じた分類(建築一式or専門工事)の確認
  • 曖昧な部分は専門家に相談し、文書化・記録化しておく

これらの対応を通じて、正確な法令理解と信頼性のある取引体制を構築することができます。

「よく分からないまま進めていた…」という状況は、早めに見直しておくべきポイントです。
次章の総まとめでは、こうした判断に迷ったときの頼れるサポートについて、改めてご案内します。

軽微な工事の判断で、こんなお悩みはありませんか?

  • 「500万円未満なら許可はいらないよね?」と何となくで判断している…
  • 建築一式工事か専門工事か、自社の工事がどちらに該当するのか不安…
  • 契約金額・面積・材料費など、判断要素が多すぎてよくわからない…
  • 「グレーゾーン」のまま営業を続けていて、将来の許可取得に不安がある…

そんなときは、建設業界出身の行政書士が対応する
三澤行政書士事務所にぜひご相談ください。

当事務所は、愛知県を中心に活動する中小建設業者様の
「軽微な工事の法的判断」や「許可取得に向けた準備支援」に特化しています。

  • 📌 初回相談は無料
  • 📌 平日夜間・土日相談も可能(事前予約制)
  • 📌 現場実務を理解した行政書士が対応します

許可が必要か迷っている段階でも大丈夫です。
まずはお気軽にご相談ください。リスクを未然に防ぎ、安全な営業体制づくりを一緒に進めましょう。

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