こんにちは、行政書士の三澤です!
「建設業許可を取りたいけど、うちの体制で大丈夫?」「そろそろ許可取得を考える時期かも…」
そんな疑問やお悩みを感じていませんか?

この記事では、
・これから建設業許可の取得を検討している中小企業や個人事業主の方
・「経営業務の管理責任者」や「社会保険の加入状況」など、体制面で不安を感じている方
・公共工事の受注や事業拡大に向けて、きちんと許可を取得しておきたい方

といった方に向けて、「適切な経営体制とは何か?」をテーマに、初めての方でもわかりやすいよう実務の視点で丁寧に解説していきます。

この記事を読むことで、建設業許可における「経営体制」の要件や注意点、よくある失敗例、必要な書類などがしっかり理解でき、スムーズに準備を進めるための具体的な対策もわかります。

「うちでも取得できるの?」「まず何をすればいいの?」と迷われている方の道しるべとなるよう、ポイントを絞ってご紹介します。

それでは、さっそく見ていきましょう!


1. はじめに

建設業許可とは?なぜ必要?

建設業を営むためには、一定の規模を超える工事を請け負う場合、都道府県知事や国土交通大臣から「建設業許可」を取得する必要があります。

たとえば、税込500万円以上の建設工事(建築一式工事は1,500万円以上)を請け負うには、建設業許可が必須となります。この許可を持っていることが、発注者にとっては「この会社は法律に基づいた基準を満たしている」という安心材料になります。

つまり、建設業許可は単なる手続きではなく、

  • 信頼性の証明
  • 受注できる仕事の幅を広げる
  • 公共工事などの案件に参加できる

といった、会社の成長に直結する重要な要素なのです。

「適切な経営体制」ってなに?なぜ重要?

建設業許可の取得には、いくつかの要件があります。その中でもとりわけ重要なのが「適切な経営体制を有していること」です。

これは簡単に言えば、

この会社には、建設業を継続的かつ安定的に経営できる人と組織がありますか?

ということを審査される項目です。

「経営業務の管理責任者」が適切に配置されているか、社会保険に加入しているか、経験や知識を持った人材が社内にいるか、などが見られます。

この体制が整っていないと、そもそも許可が取れないだけでなく、仮に許可を取れても、その後の運営で問題が生じやすくなります。

本記事では、こうした「適切な経営体制」について、愛知県で一般建設業許可を取得したい方のために、どんな要件があるのか、どう準備すればいいのかをわかりやすく解説していきます。

2. 【基本】「適切な経営体制」とは?|わかりやすく解説

法律で求められる意味

「適切な経営体制」とは、建設業を安定的に継続するための組織や人材が整っている状態を指します。建設業法では、これを明確に求めており、具体的には次のような条件を満たす必要があります。

  • 経営業務の管理責任者がいること(=建設業の経営に関して十分な経験と責任を持つ人がいる)
  • 常勤の役員や管理者が組織に存在していること
  • 社会保険に適切に加入していること

これらは、ただ“会社を作っただけ”では不十分で、「実際に経営できる力があるのか?」という点がチェックされます。

どんな会社に「適切」と判断されるのか?

では、どういう会社が「適切な経営体制がある」と判断されるのでしょうか?

以下のような条件を満たすことで、審査の際に「適切」と評価されやすくなります:

  • 常勤の役員が、建設業に関する経営経験を5年以上持っている
  • 社会保険(健康保険・厚生年金・雇用保険)にきちんと加入している
  • 経営業務を担う人材が、実態として日常的に会社の経営に関与している
  • 経験を証明できる契約書・通帳・組織図などが整っている

また、2020年の法改正によって、“一人のベテラン経営者”がいなくても、チーム体制によって「適切な経営体制」と見なされる仕組みも整えられました。

つまり、社内に財務・労務・業務運営の各分野に強い人材が揃っていれば、それぞれの力を組み合わせて許可が認められるケースもあるのです。

このように、「適切な経営体制」は会社ごとに最適な形があります。大事なのは、会社の体制や人材の経験・役割を正しく整理し、必要な証明書類をしっかり揃えることです。

3. 【条件編】この条件をクリアしよう!

「適切な経営体制」と判断されるためには、いくつか具体的な条件をクリアする必要があります。ここでは、その中でも特に重要な3つのポイントを解説します。

経営業務の管理責任者の設置

最も基本となるのが「経営業務の管理責任者」の存在です。
このポジションの人は、建設業の経営に関して十分な経験を持ち、会社の経営に実際に関与していることが求められます。

たとえば、以下のような要件のいずれかを満たす必要があります:

  • 建設業に関して5年以上の経営経験を持つ役員等が常勤している
  • 経営業務の責任者を補佐した経験が6年以上ある
  • 2020年の法改正に基づく「チーム体制」で必要な役割・経験年数を満たしている

常勤性の確認(社会保険の加入など)

「常勤していること」を証明するには、社会保険の加入状況が重要なポイントとなります。健康保険証や厚生年金の加入実績、雇用契約書などが確認資料として使われます。

特に注意すべきなのは、

  • 他の会社の役員を兼務している場合
  • 実際に会社で勤務していない「名義だけの役員」の場合 などは、常勤と認められない可能性があるという点です。

法人・個人で異なる要件の違い

経営業務の管理責任者を誰が担うのか、という点は、法人か個人事業主かによって異なります。

  • 法人の場合:代表取締役や取締役などの役員が該当(監査役は対象外)
  • 個人の場合:事業主本人、または登記された「支配人」などが対象

また、法人であれば組織体制(役員一覧や定款など)の整備が求められ、個人事業主であれば確定申告書などから事業の実態が判断されることになります。

このように、形態ごとに審査ポイントが異なるため、自社の体制に合った準備が必要です。

4. 【書類編】提出しなければいけない主な書類

ここでは、適切な経営体制を証明するために必要な主な書類について紹介します。これらは、申請時にしっかり整えて提出する必要があります。

会社の登記簿謄本や定款など

法人の場合、以下の書類が基本となります:

  • 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
  • 定款(会社の基本ルールを定めた書類)
  • 役員一覧表

これらの書類は、会社の組織体制や代表者・役員の構成を明らかにするために提出します。

経営経験を示す資料

経営業務の管理責任者や補佐者としての経験を証明するために、以下のような書類が必要になることがあります。

  • 建設業許可を受けていた会社の登記簿謄本
  • 確定申告書(個人事業主の場合)
  • 雇用契約書、辞令、組織図など
  • 建設工事の契約書や請求書
  • 入金が確認できる通帳の写し

これらを組み合わせて、経営経験や建設業に関与していた証拠を提示します。

チーム体制での申請時に必要な書類(2020年法改正に対応)

2020年の法改正により、経営業務の管理体制を「チーム」で担うことが可能となりました。これに対応する場合、以下の書類も追加で必要です:

  • 常勤役員等及び直接補佐する者の証明書(様式第7号の2)
  • その略歴書(様式第7号の2 別紙一、二)
  • 担当業務ごとの経験年数・役割を証明する資料(組織図、実務報告書など)

このように、申請時には多岐にわたる書類の準備が必要となります。最新の様式や必要書類は、愛知県の公式サイトで必ず確認しましょう。

5. 【よくあるミス】ここでつまずく!申請者の失敗事例

建設業許可の申請において、特に「適切な経営体制」に関する部分では多くの方が同じようなミスをしてしまいます。ここでは、実際に見られる典型的な失敗例を紹介します。

常勤性の誤解(他社の役員兼務など)

よくあるのが、「常勤性」についての誤解です。

たとえば、経営業務の管理責任者が別会社の役員を兼務している場合、たとえ毎日出勤していたとしても「常勤している」とは認められないことがあります。

また、実際に業務に関与していない「名義だけの役員」も、当然ながら常勤とはみなされません。社会保険の加入状況や出勤実態など、総合的に見て「実態があるか」が問われます。

経験年数の勘違い(職人経験と経営経験の違い)

次によくあるのが、「経営業務の経験」と「現場での職人経験」を混同してしまうケースです。

たとえば、大工や現場監督として長年働いていたとしても、それは「経営業務の経験」にはカウントされません。あくまで会社の経営に携わっていたことが必要であり、経営判断・契約締結・資金管理といった業務に関与していたかがポイントになります。

書類の不備や記載内容の曖昧さ

最後に多いのが、証明書類の不備や内容の不明確さです。

たとえば、契約書に工事内容がはっきり書かれていない、請求書に期間が記載されていない、通帳に入金の名義が記載されていない——こうした細かな不備があると、審査が進まず差し戻される原因になります。

また、様式の間違いや記載漏れもよく見られるため、提出前にチェックリストを使って書類を確認することが大切です。

6. 【対策編】どうすれば要件を満たせるか?

ここでは、建設業許可の「適切な経営体制」要件をスムーズにクリアするための実践的な対策を紹介します。

組織の作り方のポイント

まず、会社の組織体制は「役割が明確であること」が最も重要です。役員や管理者がどの業務を担当しているのかがはっきりしていないと、申請時に「誰が経営を担っているのか」が不明確になってしまいます。

組織体制を整えるうえでのポイント:

  • 経営に関与する人を「常勤の役員等」として登記・明記する
  • 組織図や業務分掌表で、誰が何を担当しているかを可視化する
  • 書類上だけでなく、実態として日常業務を行っていることを示せる体制にする

役員会議の記録や業務日報などがあると、実態の補強にもつながります。

経営経験の証明に使える資料リスト

経営業務の管理責任者や補佐者としての経験を示すには、以下のような書類が証拠として有効です:

  • 確定申告書(青色・白色)
  • 事業税や所得税の納税証明書
  • 建設工事の契約書や請求書、発注書
  • 入金の確認ができる通帳の写し
  • 雇用契約書、辞令、職務分掌表、業務報告書
  • 登記簿謄本(過去の会社も含む)

これらの書類は、期間・内容・関与の程度が具体的に分かるように整理するのがポイントです。

チーム体制の活用方法

2020年の法改正により、「経営業務の管理責任者は一人でなければならない」という考え方が緩和されました。

「チーム体制」で許可要件を満たすためには、以下のような構成が必要です:

  • 常勤役員等が、2年以上の建設業役員経験と、5年以上の財務・労務・業務運営のいずれかの経験を持っている
  • その常勤役員等を補佐する者が、それぞれの分野で5年以上の実務経験を持っている

この場合も、それぞれのメンバーが実際に会社内でその役割を果たしていることを示すために、以下のような資料を用意すると安心です:

  • 組織図
  • 各人の職務経歴書
  • 担当業務に関する業務報告書や実績表

この制度をうまく使うことで、ベテラン経営者がいない新設法人でも、許可取得の道が開けるようになります。

7. 【おまけ】許可後の「適切な経営体制」の維持も大事!

建設業許可を取得できたからといって、そこで安心してはいけません。「適切な経営体制」は、許可取得後も継続して維持していく必要があります。

許可を取って終わりじゃない理由

建設業法では、許可取得後も「引き続き適切な経営体制を保持していること」が求められます。つまり、許可は一度取ったら終わりではなく、継続的に管理・維持しなければならないのです。

もし体制に重大な変更があり、許可要件を満たさなくなった場合、以下のようなリスクが生じます:

  • 許可の更新ができない
  • 経営業務の責任者が不在となり、是正指導や業務停止命令を受ける
  • 最悪の場合、許可取消処分を受けることも

これらのリスクを回避するためには、「経営体制に変化があったときの速やかな対応」が非常に重要です。

経営業務の責任者が退任したらどうする?

実務上、最もトラブルになりやすいのが、経営業務の管理責任者が退任・退職してしまうケースです。

このような場合、次のような対応が求められます:

  1. 後任者の選定
    • 要件を満たす人材が社内にいるかを確認する
    • 条件に合う補佐者とのチーム体制での再構成も検討
  2. 必要書類の準備と届け出
    • 新たに経営業務の管理責任者となる人物の経験を証明する書類を準備
    • 変更届や変更認可申請を速やかに提出
  3. 行政への相談
    • 要件を満たせるか不安な場合は、愛知県の相談窓口や行政書士に事前相談することがおすすめです

体制の変化は、事業の成長や人事異動に伴って必ず起こりうるものです。だからこそ、常に「要件を満たす体制」を意識し、事前に備えておくことが経営の安定につながります。


8. まとめ

「適切な経営体制」は、建設業許可を取得する上で最も重要な要件の一つです。要件は多岐にわたりますが、

  • どんな人材が必要か
  • どんな書類を用意すべきか
  • よくあるミスとその対策

などを事前に知っておけば、対応は決して難しいものではありません。

万が一、申請に不安がある場合は、迷わず専門家に相談してください。愛知県内で建設業許可を取得したい方にとって、本記事が少しでも参考になれば幸いです。


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