こんにちは、行政書士の三澤です!この記事では、

  • 新たに愛知県で建設業許可を取得したい
  • 元請から建設業許可を取るように言われた
  • 将来的に入札参加資格をとって事業拡大したい
  • 銀行融資を受けるために必要

という、建設業を営む方へ向けて、どうしたら許可を得られるか網羅的に解説していきます。
許可を取得することで元請や銀行からの信用が得られるのはもちろん、事業拡大のためのチャンスをつかむきっかけになりますよね!
また、建設業許可はとって終わりではなく、その後の更新や、変更があった際の届出も必要です。
どんなことが必要になるのかをあらかじめ知っておき、これからの経営計画に役立てていきましょう!

目次

建設業許可とは

そもそも建設業許可ってなに?

建設業許可とは、建設業法に基づき建設工事の請負営業を行うために必要な許可です。
建築・土木など建設工事には29種類の業種があり、その業種ごとに許可を受ける必要があります。
許可を取得することで、一定規模以上の工事を適正に遂行できる経営能力や技術力を備えていることを国や都道府県から認められたことになります。

なんで許可が必要なの?

許可制度が設けられている目的は、無資格・無能力な業者による手抜き工事やトラブルを防止し、発注者の保護や工事の安全確保を図るためです。
許可を取得するには後述する様々な要件を満たす必要があり、逆に言えば許可業者は一定の経験・財産・技能などが保証された存在として信用力の向上にもつながります。

許可って具体的にどういうもの?(知事・大臣許可、一般・特定建設業許可ってなに?)

建設業許可には管轄と業務範囲に応じて種類があります。営業所が一つの都道府県内にのみある場合はその都道府県知事の許可、複数の都道府県に営業所がある場合は国土交通大臣の許可が必要です。
特定許可は元請として工事を受注し、下請に出すようなケースで必要となる許可で、一般許可よりも厳しい要件(後述の技術者要件が一段上の資格等になるなど)が課されます。
多くの中小建設業者は一般許可で足りる場合がほとんどですが、自社の受注形態に応じて適切な種類の許可を選びましょう。

知事許可国土交通大臣許可
一般建設業許可・愛知県内のみに営業所を置く場合
(この記事ではここを解説!)
・愛知県に加え、ほかの都道府県にも営業所を置く場合
特定建設業許可・愛知県内のみに営業所を置き、元請として下請け業者と一定規模以上の契約をする場合・複数営業所を置き、元請として下請け業者と一定規模以上の契約をする場合

イメージでいえば、地元の大手ゼネコンは愛知県知事の特定建設業許可を持っていて、全国に支店があるようなスーパーゼネコン・準大手、中堅ゼネコンは国土交通大臣の特定建設業許可を持っている、と考えるとわかりやすいかと思います。

この記事ではまだ建設業許可を持っていない愛知県で建設業を営む方へ向けての記事になりますので、愛知県知事の一般建設業許可を取るにはどうしたらいいか、について解説していきます!

建設業許可はそもそも必要?不要?どんな工事なら許可がいるの?

建設業許可が必要なケース

建設業許可が必要となるケースは、一言でいえば「一定規模以上の建設工事を請け負う場合」です。
具体的には、次のような金額基準を超える工事は許可が必要になります。

建築一式工事の場合次の(1)、(2)のいずれかに該当する場合
(1)1件の工事請負代金が税込1,500万円以上の工事
(2)請負代金の額に関わらず木造住宅で延べ面積150㎡以上の工事
建築一式以外の建設工事の場合1件の工事代金が税込500万円以上の工事
建設業許可が必要となるケース

建築一式工事以外の、例えば土木工事、あるいは内装・電気工事などの専門工事業種については、この税込500万円の金額以上の工事にはそれぞれ許可が必要になります。

注意点として、上記金額には材料費や消費税も含まれます。
また、「500万円以上」「1,500万円以上」の基準は税込金額で判断されますので注意してください
したがって、500万円ちょうどの工事は許可が必要、税込499万円なら不要というラインになります。
ただし、故意に契約を分割して金額を基準未満に見せかけるような行為は認められません。

建設業許可が不要なケース(「軽微な建設工事」であれば許可は不要)

逆に言えば、これらの基準未満の工事しか請け負わない場合は許可がなくても営業可能です。
例えば小規模なリフォーム工事のみを行う一人親方や小さな塗装店など、請負代金500万円未満の工事しか扱わないのであれば無許可でも違法ではありません。
このような許可不要でできる工事を「軽微な建設工事」といい、建設業法上許可の対象外とされています。

結局いるの?いらないの?あった方がいいの?

事業拡大や元請けからの発注条件などを考えると、将来的に500万円以上の工事を請け負う可能性がある場合は早めに許可を取得しておくことが望ましいでしょう。
実際、建設業許可を持っていることで受注機会が大きく広がったり、許可業者でないと取引しないという発注者も存在するため、一人親方や小規模事業者であっても許可取得のメリットは大きいと言えます。

それでは次に、具体的に愛知県で建設業の許可を取得するための要件について解説します。

愛知県の建設業許可の要件

建設業許可を取得するためには、法律で定められたいくつかの要件をすべて満たす必要があります。
主な許可要件は次のとおりです 。

  1. 経営業務の管理責任者に関する要件(経営経験)
  2. 専任技術者の設置
  3. 財産的基礎
  4. 誠実性
  5. 適正な社会保険への加入

1.経営業務の管理責任者に関する要件(経営経験)

これは一言でいうと、建設業の経営を適正に行う能力があること、といえます。
具体的には、申請者(法人の場合は常勤の役員のうち一人)が建設業に関して5年以上の経営業務管理責任者としての経験を有していること、またはそれに準ずる地位で一定期間(5年もしくは6年以上)建設業の経営に携わった経験があること等が求められます。

2020年の法改正により、必ずしも過去に建設業の代表や役員を務めていなくても、適切な経営体制を有すればよいという緩和措置も導入されました。(例えば5年以上の建設業実務経験者が財務管理・労務管理などを担当する体制を整えるケース等)。
いずれにせよ、自社に建設業の経営経験者を確保することが必要です。

2.専任技術者の設置

これは要するに、その業種についての専任の技術者を営業所ごとに配置してくださいね、ということです。
専任技術者とは各営業所で工事請負契約の締結や履行を技術面で統括する担当者です。
例えば建築一式工事業の許可を取得したいケースでは、その営業所に建築一式工事に関する一定の資格・経験を持つ技術者を置かなければなりません。
一般建設業許可の場合、専任技術者は国土交通大臣指定の資格試験合格者(例:二級建築士、2級施工管理技士など)や大学・高校の所定学科卒業後一定年数の実務経験者、もしくは10年以上の実務経験者など、いずれかの条件を満たす必要があります。
なお特定建設業許可ではこれに加え、1級資格の保持や大規模工事の指導監督経験など、より厳しい条件が課されます。

3.財産的基礎

これはつまり、工事途中に資金がショートしないだけの、十分な財産または金銭的信用がありますか?ということです。
具体的には直前期の決算において自己資本が500万円以上あること、または500万円以上の資金調達能力があることのいずれかで条件を満たせます。
自己資本500万円以上とは貸借対照表の純資産額で判断されます。
新規創業などで決算がまだない場合や自己資本が不足している場合は、金融機関から発行される500万円以上の残高証明書や融資証明書を用意することで資金要件をクリアすることが可能になる場合もあります。

4.誠実性

請負契約の履行にあたって不正や不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと、簡単に言えば、暴力団関係者や契約に関して著しく不誠実な行為経歴のある者ではないことが求められます。
企業の場合は役員等が該当しないかもチェックされます。過去に許可の取消処分を受けてから一定期間経過していない場合などもNGです(いわゆる欠格要件に該当しないことが必要)。

5.適切な社会保険への加入

建設業許可では申請者が健康保険・厚生年金保険・雇用保険の社会保険に適切に加入していることも要件とされています。
法人であれば従業員数に関係なく社会保険加入義務がありますし、個人事業主の場合でも従業員を常時5人以上使用している場合は社会保険(厚生年金・協会けんぽ等)に加入しなくてはなりません。
適切に加入していない業者には許可申請時に是正指導が行われ、未加入のままでは許可は下りません。
「社会保険未加入業者は現場に入れない」という取り組みも進んでおり、建設業界では社会保険加入は事実上必須の条件となっています。

許可を満たせない場合は絶対に無理なの・・・?

許可要件を満たす人材や財務状況が自社にない場合でも、諦める必要はありません。例えば他社で5年の経営経験を持つ人を役員に迎える、資格を持つ技術者を雇用または外注して専任技術者に充てる、増資や融資により自己資本を充実させる、など対策を講じることで要件クリアを目指すことができます。
要件充足の方法について不安がある場合は行政書士などの専門家に相談してみると、よいアドバイスが得られるかもしれません。

建設業許可の取得手続き(申請の流れ、提出書類、手数料)

愛知県知事許可を取得するための手続きは、おおまかに以下の流れで進みます。

  1. 申請書類の準備
  2. 申請書類の提出(仮受付)
  3. 本受付・審査
  4. 許可証の交付

1. 申請書類の準備

所定の様式による許可申請書(正本・副本)と多くの添付書類を用意します。
添付書類には、経営経験や実務経験を証明する書類(例えば工事請負契約書や確定申告書の写し)、資格証明書のコピー、残高証明書や決算書類、法人の登記事項証明書、役員全員の身分証明書・住民票・誓約書など多岐にわたります。
必要書類は法人と個人で若干異なりますが、愛知県都市総務課のウェブサイトで申請手引きや様式のダウンロードが可能です。
準備すべき書類が多いため、手引きをよく確認しチェックリスト(提出票)を使って漏れなく揃えましょう。

2.申請書類の提出(仮受付)

愛知県では現在、窓口での対面審査を行わず郵送または窓口預かりによる仮受付方式を採用しています。
まず必要書類一式を管轄窓口に郵送または持参し提出します。
この段階では愛知県証紙(手数料)を貼らずに提出します。
窓口持参の場合でも書類の内容チェックは行われず、必要書類が揃っているかの確認のみで仮受付となります。
仮受付後、担当部署で書類内容の審査が行われ、不備や不足があれば連絡が来て修正・追加対応を行います。

3.本受付・審査

書類の不備が解消し受理される段階になると、担当者から連絡があり本受付の日程を調整します。
申請者は窓口に出向き、申請1件あたり9万円分の愛知県収入証紙を購入して申請書に貼付し提出します。この9万円が新規許可申請の行政手数料です(内訳: 知事許可・一般の場合)。
許可業種を追加する場合は5万円、許可の更新も5万円の手数料となります。
収入証紙の代わりにキャッシュレス決済が可能な場合もあります。
本受付が完了すると正式に申請書類の審査が開始されます。

4.許可証の交付

本受付後、役所での審査期間は概ね1か月程度です。
要件を満たしていれば許可が下り、許可通知書(許可証)が交付されます。
許可が下りると愛知県知事名で「○○工事業」の許可番号が付与され、有効期間は5年間となります。
許可取得後は営業所に許可票(標識)を掲示し、名刺や請求書などにも許可番号を表示して営業することになります。

許可申請書類の提出先、問い合わせ先

愛知県知事許可の場合、申請者の主たる営業所所在地を管轄する県の土木事務所や建設業担当課が窓口になります(名古屋市内なら自治センター2階の都市総務課など)。
郵送提出の場合は書留など追跡可能な方法で送り、返信用封筒(切手貼付)も同封しておくと副本の受領証印後の返送が郵送で受け取れます。

主たる営業所の所在地所管する部署住所電話番号
名古屋市内愛知県庁
都市整備局都市基盤部都市総務課
〒460-0001
愛知県名古屋市中区三の丸3-1-2
(自治センター2階)
052-954-6503
瀬戸市、春日井市、小牧市、尾張旭市、豊明市、日進市、清須市、北名古屋市、長久手市、愛知郡東郷町、西春日井郡豊山町尾張建設事務所〒460-0001
愛知県名古屋市中区三の丸2-6-1
(三の丸庁舎5階)
052-961-4409
一宮市、犬山市、江南市、稲沢市、岩倉市、丹羽郡扶桑町、丹羽郡大口町一宮建設事務所〒491-0053
愛知県一宮市今伊勢町本神戸字立切1-4
0586-72-1465
津島市、愛西市、弥富市、あま市、海部郡大治町、海部郡蟹江町、海部郡飛島村海部建設事務所〒496-8533
愛知県津島市西柳原町1-14
(海部総合庁舎6階)
0567-24-2141
半田市、常滑市、東海市、大府市、知多市、知多郡阿久比町、知多郡東浦町、知多郡南知多町、知多郡美浜町、知多郡武豊町知多建設事務所〒475-0828
愛知県半田市瑞穂町2-2-1
0569-21-3233
岡崎市、西尾市、額田郡幸田町西三河建設事務所〒444-0860
愛知県岡崎市明大寺本町1-4
(西三河総合庁舎6階)
0564-27-2745
碧南市、刈谷市、安城市、知立市、高浜市知立建設事務所〒472-0026
愛知県知立市上重原町蔵福寺124
0566-82-3114
豊田市、みよし市豊田加茂建設事務所〒471-0867
愛知県豊田市常磐町3-28
0565-35-9312
新城市、北設楽郡設楽町、北設楽郡東栄町、北設楽郡豊根村新城設楽建設事務所〒441-1354
愛知県新城市片山字西野畑532-1
0536-23-5111
豊橋市、豊川市、蒲郡市、田原市東三河建設事務所〒440-0801
愛知県豊橋市今橋町6
0532-52-1312
愛知県知事許可の申請書類の提出先、問い合わせ先

自力でやる?行政書士に依頼する?

建設業許可申請は提出書類が多岐にわたり、こういった役所への書類に慣れていない方や初めての方には、大変負担が大きい手続きです。
役所に何度も通わされる時間や申請書類を書き直す手間を考えると、行政書士にまるごと任せてしまうのもよいアイデアでしょう。
もちろん自力申請も不可能ではありませんが、実際経験された方は非常に大変だったと口をそろえておっしゃいます。

私が過去に相談を受けたお客様のケースをご紹介します。
その会社では、社長ご自身は日中ずっと現場に出ており時間が取れないので、奥様が許可取得のために書類の作成をやっておられたようです。
ただ、

・わからないところを窓口まで聞きに行ったり
・書類を作成して提出に行った時点で不備を指摘され、その度に書類を作り直したり、足りない書類を集めて再提出したり
と、結局受け付けてもらうまで7回も窓口に行く羽目になったそうです。
5年後の許可更新では、奥様から「もう二度とやりたくない」と突っぱねられたということでした。
その後は弊所にて許可更新や変更手続きのお手伝いをさせていただいております。

行政手続きに慣れた事務員を既に自社で雇用している場合や、とにかく節約したい場合は自ら申請を行うもの良いアイデアだと思います。状況に合わせて検討してみてください。

個人事業主と法人(株式会社等)、どっちで建設業許可を取ればいいの?

建設業許可に関する相談を受ける中でよくある質問に、法人にした方がいいのか、個人事業主のままでも許可が取れるのか、といったものがあります。
その答えは、建設業許可は個人事業主(個人名義)でも法人(会社名義)でも取得可能です。
もちろん許可そのものの効力や要件にそこまで大きな差もありません。
ただ個人と法人でいくつか違いがあるポイントがあります。それぞれの特徴を理解した上で、自身の事業形態に合った選択をしましょう。

  • 許可の名義・承継
  • 経営上の信用力
  • 社会保険の加入義務
  • 税務面・経営面

許可の名義・承継

個人事業主が取得した許可はあくまで「その個人」に紐づく許可であり、法人の許可は「その法人」に紐づくものです。
以前は、個人で許可を取った後に法人化すると、改めて法人で新規に許可を取り直す必要がありました。
しかし令和2年の法改正により、一定の要件の下で個人許可を新設法人に引き継ぐ事業承継制度が創設され、無許可期間を生じさせずに許可を承継することも可能になりました。
とはいえ承継には事前に行政庁の認可を得る手続きが必要で、新法人側も許可要件を満たす必要があります。
将来法人化を見据えている場合は、この制度も踏まえて計画すると良いでしょう。

経営上の信用力

一般的に法人の方が対外的な信用度が高い傾向があります。
取引先によっては「個人事業主には発注しない」という方針の会社もあり、法人格を持っていることで受注機会が拡大するケースがあります。
また金融機関からの融資面でも、法人で代表者が連帯保証する形なら融資が下りやすいが、個人事業主だと別途保証人が必要になることもある、という指摘もあります。
このように信用力・資金調達力の面では法人の方が有利です。

つまり個人で細々とやっていきたい場合を除けば、事業を拡大のチャンスをつかむためにも早めに法人化したほうが良いと言えます。

社会保険の加入義務

前述のように、建設業許可要件として適正な社会保険加入が求められますが、その前提としての法定加入義務に個人・法人で違いがあります。
法人は従業員が一人でもいれば厚生年金・協会けんぽ(健康保険)への加入義務が生じますが、個人事業主は従業員が常時5人未満であれば厚生年金・協会けんぽへの加入義務はありません (国民健康保険・国民年金は加入)。
そのため社員数が少ない間は個人事業で社会保険のコストを抑え、従業員が増えてきたら法人化して社保加入…といった選択をする事業者もいます。
ただし現在は元請から社会保険加入状況のチェックが厳しくなっており、たとえ個人でも実質的に加入が求められる場面が増えていますので、この点ではもはや実質的な差はないとも言えます。

税務面・経営面

これは許可制度から離れた話ですが、事業規模が拡大して利益が大きくなれば法人化による節税メリットが生じることもあります。
また法人にすると代表者個人と事業の会計が明確に分離され、責任範囲も有限責任となるメリット(個人事業は無限責任)もあります。
一方で法人設立・維持には登記費用や法人住民税、決算申告の手間などコストもかかります。
許可の取りやすさ自体は個人・法人で大差ありませんが、事業運営全般を見据えてどちらで許可を取るか決めると良いでしょう。

※なお、税務に関する相談は行政書士では受けられません。税理士等の専門家へご相談ください。

事業拡大を見据えて法人化の検討を

まとめると、小規模で機動的に始めたい場合はまず個人で許可を取り、事業拡大に合わせて法人化を検討するのが一つの方法です。
逆に最初からある程度の信用力が必要だったり将来的に相続・承継も視野に入れるなら、最初から法人で許可を取っておく方がスムーズな場合もあります。
それぞれのメリット・デメリットを踏まえ、自社にとってベストな形態を選んでください。

建設業許可取得のポイントと注意点(スムーズに進めるコツ、よくある落とし穴)

それでは実際の許可申請で、どんな点に注意すればよいでしょうか?
建設業許可の申請では要件の証明書類の不備や認識不足によるミスがよく見られます。
スムーズに審査を通過するためのポイントや、つまずきやすい点をまとめます。

  1. 必要書類の漏れに注意
  2. 経営経験の証明方法
  3. 専任技術者の確認
  4. 財務要件の対策
  5. 社会保険の未加入に注意
  6. スケジュールに余裕を

1.必要書類の漏れに注意

申請書類一式は非常に多いため、チェックリストを活用して漏れを防ぎましょう。
特に見落としがちなのが、役員等全員の身分証明書(本籍地の市区町村が発行する証明)や登記されていないことの証明書(法務局発行)です。
これら欠格要件確認書類を一人でも忘れると受理されません。
また専任技術者の実務経験証明として「工事経歴書」や「証明書(実務経験証明書)」を用いる場合、工事ごとの契約書や注文書のコピーを年別に揃える必要があります。
証明資料の裏付けまで含めて万全に準備しましょう。

2.経営経験の証明方法

「経営業務5年」の要件を証明するには、在籍証明や確定申告書などが必要です。
例えば個人事業で5年の実績を証明するには、過去5期分の確定申告書控えや工事請負契約書の継続提出が一般的です。
法人の役員経験なら在籍した法人の登記簿(役員欄に就任日・退任日が載る)で証明します。
不足する場合は取引先からの証明書をもらうことも検討しましょう。
証拠が不十分だと経営経験年数として認められないので注意が必要です。

3.専任技術者の確認

専任技術者は他の会社等と兼務できません。
申請者本人が他社の役員をしている場合などは、その人を専任技術者にすることが原則できないケースがあります(一つの人物が二つの営業所で専任になることは不可。)。
また技術者が資格証でなく実務経験10年で証明する場合、期間中の工事に関与した契約書など多数の資料提出が必要です。
専任予定者が本当に常勤で勤務できるか(住所が遠すぎないか、他に本業がないか)も審査で見られますので、要件を満たす人材をしっかり確保しましょう。

4.財務要件の対策

資本金や自己資本が足りない場合は、残高証明書の取得で要件クリアが可能です。
ただし残高証明書は申請直前の残高が500万円以上であることを示す必要があるため、申請前に一時的にでも500万円以上の預金残高を用意する必要があります。
金融機関によっては発行に数日~1週間程度かかる場合もありますので、資金移動と証明書発行のタイミングに注意してください。
また残高証明書は原則1通の証明で500万円以上を満たすよう求められます(複数口座の合算は不可の場合あり)。

5.社会保険の未加入に注意

許可要件として社会保険加入がチェックされます。
法人で未加入は論外ですが、個人事業でも従業員がいるのに未加入の場合は指導対象です。
申請前に年金事務所やハローワークで適切な加入手続きを済ませ、健康保険・年金保険の加入証明書や労働保険番号を用意しておきましょう。未加入だと許可は取得できません。

6.スケジュールに余裕を

許可取得までには申請準備から考えると半年程度みておくのが安全です。
特に繁忙期は仮受付から本受付まで時間がかかることもあります。
工事の着工や入札参加に間に合わせたい場合は、逆算してとにかく早めに準備を開始しましょう。

これらのポイントに留意すれば、許可取得の手続きは格段にスムーズになります。わからない点は愛知県の担当窓口に事前相談するか、経験豊富な行政書士に相談して適切な助言を受けると安心です。

許可取得後の義務と更新手続き(維持するために必要なこと)

建設業許可を取得した後も、許可業者として守るべき義務や定期的な手続きがあります。
許可を継続維持するために以下の点に注意しましょう。

  • 許可の有効期間と更新
  • 事業年度終了届
  • 各種変更届
  • 許可票の掲示
  • 経営事項審査

許可の有効期間と更新

建設業許可の有効期間は5年間です。有効期限の更新を受けずに期限を迎えると許可は失効してしまいます。
更新手続きは、有効期限の約2〜3か月前から受付が可能で、少なくとも30日前までには申請を提出することが推奨されています。
愛知県では期限間近(残り30日以内)の更新申請は郵送不可で窓口受付になるなど締め切り厳守が求められます。
更新時も基本的には新規と同様の書類を提出し、引き続き要件を満たしていることの確認を受けます。
経営管理責任者や専任技術者が不在になっているなど要件を欠いていると更新できませんので、5年の間に人事異動があった場合は要件を満たす人員で補充しておく必要があります。

事業年度終了届

事業年度終了届出書(いわゆる決算変更届)を提出する義務があります。
提出期限は決算終了後4か月以内です。
この届出では、直近期の財務諸表(貸借対照表・損益計算書)や工事経歴書、法人の場合は株主総会資料(定款変更があれば議事録写し)等を提出します。
毎年の決算内容を報告することで、許可要件(財務基盤や社会保険加入状況等)に大きな変化がないか行政が把握する仕組みです。
未提出のままだと更新申請が受理されないこともありますので注意してください。

各種変更届

許可内容に関わる事項に変更があった場合、所定の期限内に変更届を提出する必要があります。主な変更事項と届出期限は以下のとおりです。

変更内容届出期限
商号や代表者の変更、法人役員の就任・退任等変更後30日以内
営業所の新設・廃止、所在地変更、営業所名称変更変更後30日以内
常勤役員等(経営責任者)や支配人の変更変更後2週間以内
専任技術者の変更(交替・追加・氏名変更等)変更後2週間以内
資本金額の変更(増資等)変更後2週間以内
健康保険・厚生年金・雇用保険の加入状況に変更があったとき変更後2週間以内
許可業種の廃業(やめる場合)廃業後30日以内

変更届を怠ると行政から指導を受けるだけでなく、前述のとおり更新時に困ることになります。
変更が生じたら速やかに届出することを習慣づけましょう。届出様式は愛知県のサイトからダウンロードでき、提出方法は許可申請時と同様に郵送・仮受付方式で行えますが、実際はその届出が必要だということ自体を忘れてしまう方が多くいらっしゃいます。
そのような忘れてしまいがちな手続きも、普段から行政書士に依頼しておけば、届出ミスもなくなり安心して事業運営に専念できますね。

許可票の掲示

許可を取得したら、営業所ごと及び工事現場ごとに「建設業の許可票」(金看板)を見やすい場所に掲示する義務があります。
許可票には許可番号や有効期限、許可業種などを記載します。これは建設業法施行規則で定められた義務で、無許可業者との差別化と許可業者であることの周知を図るためのものです。
取得したら忘れずに準備・掲示しましょう。

経営事項審査

これは公共工事を受注する際に必要となる経営力評価制度で、全ての許可業者に義務ではありません。
しかし公共工事入札に参加予定がある場合は、許可取得後に経営事項審査(経審)の申請も検討が必要です。
経審を受けるには事業年度終了届を提出していることが前提になるので、まずは許可取得後きちんと決算届を出しましょう。

以上のように、建設業許可は取得して終わりではなく、取得後の維持管理も重要です。特に5年ごとの更新と毎年の決算報告は忘れずに行い、常に許可業者として適切な状態を保ってください。
何か不明点があれば行政窓口に問い合わせるか、提携している行政書士のサポートを受けると安心です。

許可取得に関するよくある質問(FAQ)

  1. 個人事業主でも建設業許可を取れますか?要件は違いますか?
  2. 「知事許可」と「大臣許可」はどう違うのですか?
  3. 「一般建設業許可」と「特定建設業許可」の違いは何ですか?
  4. 許可が下りるまでどれくらい時間がかかりますか?
  5. 許可を持っていないと絶対に仕事を受けられないのですか?
  6. 建設業許可を取るのに資格試験は必要ですか?
  7. 許可取得にはいくら費用が掛かりますか?
  8. 専門工事業種ごとに許可を取らないといけませんか?
  9. 許可を取った後に守るべきことはありますか?
  10. 許可取得のために行政書士に依頼するべきでしょうか?

Q1. 個人事業主でも建設業許可を取れますか?要件は違いますか?

A1. はい、個人事業主(一人親方)でも建設業許可を取得できます。
要件自体は法人の場合と基本的に同じです。経営業務管理責任者は本人または支配人で証明し、専任技術者も本人または従業員で確保します。
社会保険加入要件については、従業員が4人以下の個人事業主であれば厚生年金・協会けんぽの加入義務はありませんが、許可申請時には国民健康保険・国民年金に加入していることを示す必要があります。
また許可取得後に法人化する場合、2020年の法改正により個人許可を新法人へ承継する制度ができました(事前に認可申請が必要)。
個人・法人で要件に大きな差はありませんので、自身の事業形態に応じて申請してください。

Q2. 「知事許可」と「大臣許可」はどう違うのですか?

A2. 知事許可は営業所が一つの都道府県内のみにある場合にその都道府県知事から受ける許可です。
大臣許可は営業所が複数県にまたがる場合に国土交通大臣から受ける許可になります。
例えば愛知県内にのみ営業所があれば愛知県知事許可、名古屋と東京に営業所があるなら大臣許可となります。
許可を出す主体が異なるだけで、許可の効力や要件基準は同じです(大臣許可でも各都道府県で手続きします)。
将来他県に営業所を設置する予定があるなら、最初から大臣許可を取得することも可能です。

Q3. 「一般建設業許可」と「特定建設業許可」の違いは何ですか?

A3. 一般建設業許可は原則として全ての建設業者が取得する通常の許可で、元請・下請を問わず請負金額の範囲内で工事を請け負えます。
特定建設業許可は、元請として大規模工事を行う際に下請業者を統括する立場の業者に必要な許可です。
特定許可を受けるには一般許可より厳しい要件(例:専任技術者が1級施工管理技士等の資格保有者であること等)を満たす必要があります。
中小規模の工事しか扱わない業者は一般許可で問題ありませんが、将来的に大きな元請工事を狙う場合は特定許可の取得を見据えた事業運営をしてください。

Q4. 許可が下りるまでどれくらい時間がかかりますか?

A4. 愛知県の場合、書類がすべて揃って本受付をしてもらってから許可通知が出るまで、おおよそ1〜2か月程度と考えてください。
申請書を提出(仮受付)してから内容チェック・補正に数週間、本受付後に約1か月の審査期間があります。ただし書類不備で補正が長引くとその分延びます。
事前準備にかかる時間も含めると、トータルでは半年程度は見積もっておくのが安全です。
余裕を持って手続きを進めましょう。

Q5. 許可を持っていないと絶対に仕事を受けられないのですか?

A5. 基準未満の軽微な工事(500万円未満、建築一式は1,500万円未満)であれば無許可でも請け負えます。
したがって小規模なリフォームなどは許可なしでも可能です。
ただし上限を超える工事は許可なしには受注できませんし、無許可で請け負うと違法となります。
また元請から「許可業者であること」を求められるケースも多いため、例え500万円未満が主力でも許可を持っていることで信頼性が上がり仕事の幅が広がります 。
将来的に事業を拡大する意思があるなら、早めに許可を取得しておくことをおすすめします。

Q6. 建設業許可を取るのに資格試験は必要ですか?

A6. 許可自体には試験はありません。
建設業許可は学科試験などを課すものではなく、前述した実務経験や国家資格の有無などで要件を確認する制度です。
したがって、例えば建築士や施工管理技士の資格がなくても10年の実務経験があれば専任技術者になれますし、経営経験も試験で測るのではなく実績書類で判断されます。
ただし資格があると要件を満たしやすくなるのも事実です。
無資格の場合は長い実務経験を証明する必要があるため、可能であれば関連資格の取得も視野に入れると良いでしょう。

Q7. 許可取得にはいくら費用が掛かりますか?

A7. 行政に支払う手数料は新規許可申請で9万円、更新や業種追加は5万円です。この他に証明書の発行手数料(登記されていないことの証明書300円等)や郵送費が数千円程度かかります。
自分で手続きする場合は10万円程度の実費が必要になります。
また行政書士に依頼する場合はここに行政書士報酬として10~15万円程度の報酬を払うことが多いようです。

Q8. 専門工事業種ごとに許可を取らないといけませんか?

A8. はい、建設業許可は29業種それぞれについて与えられるものなので、請け負いたい工事ごとに該当する業種の許可を取得する必要があります。
例えば大工工事と内装仕上工事を営業したい場合、「大工工事業」と「内装仕上工事業」の2業種の許可が必要です。
複数業種の許可を同時に申請することも可能ですが、専任技術者要件など各業種ごとに満たす必要があります。
将来的に扱う工事の幅が広がりそうなら、主力以外の業種も追加で許可を取っておくと受注機会が増えます。

Q9. 許可を取った後に守るべきことはありますか?

A9. はい、許可業者には毎期の事業年度終了届(決算報告)や各種変更届、5年ごとの更新など継続的な義務があります。
特に決算後4か月以内の決算報告は法律で義務付けられており、未提出だと更新ができません。
また経営業務管理責任者や専任技術者が辞めて空席になった場合、早急に後任を立てないと許可維持が危うくなります。
常に許可要件を満たす状態を維持し、変更があれば期日内に届出を行うことが大切です。

Q10. 許可取得のために行政書士に依頼するべきでしょうか?

A10. 行政書士に依頼することをお勧めします。
許可というものは仕事をするうえで絶対に必要なのに、うっかり忘れてしまいがちなものです。
そして用意する書類は多岐にわたり、複雑で、5年もするとやり方が変わっていたりします。
そういったことは、普段からその手続きを専門に行っている行政書士に外注するのが賢い経営者のやり方です。
実際事務員を雇って手続きをやってもらうにしても、育つまでに時間がかかり、またやめてしまえばまた採用活動からやり直しとなりますが、行政書士であれば(よほど高齢でない限り)その心配も必要ありません。
コスト的で比較しても、行政書士に単発で5年おきに報酬数十万円程度払うのと、事務員を雇って年間数百万かけるのとでは、明らかに行政書士に依頼したほうが安く済みます。

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