こんにちは、行政書士の三澤です!

「産業廃棄物の収集運搬業許可って、建設業でも必要なの?」「そろそろ元請けから許可取得を求められそう…」 そんな疑問やお悩みを感じていませんか?

この記事では、
・これから産廃の収集運搬も手がけたい建設業者の方
・元請けや発注先から「許可証の提示」を求められて焦っている方
・今後の業務拡大を見据えてコンプライアンス体制を整えたい方
といった建設業者の皆さま向けに、愛知県における「産業廃棄物収集運搬業(積替え保管を含まない)」の新規許可取得について、初めての方でもわかりやすいよう実務の視点で丁寧に解説していきます。

この記事を読むことで、
・建設業者がなぜ産廃許可を取る必要があるのか
・愛知県での申請ステップや必要書類の流れ
・現場でよくある勘違いや注意点
がスッキリと理解でき、自社にとって許可取得が本当に必要かどうかを判断できるようになります。

「うちでも取得できるの?」「まず何をすればいいの?」と迷われている方の道しるべとなるよう、ポイントを絞ってご紹介します。

それでは、さっそく見ていきましょう!

目次

1. なぜ建設業者が許可を取る必要があるのか?

「建設現場で出た廃材を自分で運んで処理場に持っていく」──これは一見、効率的でコスト削減にも見えますが、実は法律違反にあたる可能性があるのです。

というのも、建設現場から出る廃棄物の排出者は、原則として元請業者とされています。つまり、下請け業者が廃棄物を「自分の出したものだから」と運搬するのは、法律上は「他人の廃棄物を運ぶ行為」に該当します。

このように、元請けから委託されて運ぶ場合には、たとえ自社が廃棄物を出したとしても、「産業廃棄物収集運搬業許可」が必要なのです。

そして、無許可で運搬を行った場合、

「5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、またはその両方」

という非常に重い罰則が科される可能性があります。

実際、最近では元請業者のコンプライアンス意識が高まっており、「産廃の許可証を提示してほしい」といった要請が急増しています。

こうした背景から、

  • 安定した受注先を確保したい
  • 現場での指名停止や信用失墜を防ぎたい といった建設業者にとっては、もはや「産廃の許可は必須の備え」といっても過言ではありません。

次章では、愛知県でこの許可を取得するためのステップを、わかりやすくご紹介していきます。

2. 許可取得までの5ステップ【全体像を先に提示】

ここでは、愛知県で「産業廃棄物収集運搬業(積替え保管なし)」の許可を取得するまでの流れを、5つのステップに分けてご紹介します。

ステップ①:講習会の受講

まず最初に必要なのが、(公財)日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が実施する「収集運搬課程」の講習会を受講し、修了証を取得することです。

この修了証がなければ、どんなに他の準備が整っていても申請が受理されません。 代表者本人、または政令使用人と呼ばれる事業場責任者が対象となります。

ステップ②:必要書類の準備

講習会の修了証を得たら、次は添付書類の収集です。 法人か個人かによって内容が異なりますが、たとえば以下のような書類が必要になります:

  • 財務諸表(法人の場合)
  • 確定申告書や資産調書(個人の場合)
  • 運搬車両の車検証や写真
  • 駐車場の見取図と使用権限を示す書類

漏れがあると補正がかかるため、チェックリストを使って確実に揃えることが大切です。

ステップ③:申請書の記入

次に、愛知県の様式に従って申請書や事業計画書を作成します。 特に、取り扱う廃棄物の種類や運搬ルート、処理施設の情報などは具体的に記載しないと、補正の対象になります。

ステップ④:窓口に提出

申請書類が完成したら、事業所所在地を管轄する県民事務所等の窓口に持参して提出します。 郵送やオンライン申請はできません。 また、提出時には正本と副本の2部を準備しておきましょう。

ステップ⑤:審査・許可証の交付

書類が受理されると審査が始まり、標準処理期間は39営業日です(※補正期間は含まれません)。 審査に通過すれば、正式に許可証が交付され、晴れて収集運搬業者として事業を開始できます。


このように、許可取得には準備すべきことが多く、慣れていないと時間と労力を要します。 次章からは、各ステップをさらに詳しく解説し、注意点や実務的なアドバイスをお届けしていきます。

3. 各ステップの具体的な流れと注意点【図解・チェックリストで整理】

3-1. 講習会を受けよう(JWセンター)

まず最初に受講が必要なのが、「産業廃棄物収集運搬課程」の講習会です。 この講習は全国各地で開催されており、愛知県での申請であっても他県での受講修了証が有効です。

誰が受講すべき?

  • 法人の場合:代表取締役、廃棄物業務担当の常勤役員、または政令使用人
  • 個人の場合:本人または政令使用人

政令使用人とは、現場ごとの実質的な責任者(支店長や現場責任者など)で、法律上申請者と同等に扱われる存在です。

講習会修了証の有効期間は5年間ですが、直前の更新申請に使用した証明書は再利用できないので注意しましょう。

予約のコツ:早期の取得を目指すなら、全国の会場を対象に空き状況を検索し、最短で受講できる日程を確保するのがおすすめです。


3-2. 書類の準備で失敗しないために

必要書類の準備は、許可取得の中でもっとも労力のかかるパートです。

法人と個人で異なる書類も多いため、以下のようなチェックリストで管理しましょう。

【主な必要書類チェックリスト】

  • 講習会修了証の写し
  • 車検証の写しと車両写真(ナンバー・社名明示)
  • 駐車場見取図と使用権限証明書類
  • 財務諸表や確定申告書類(3期分)
  • 登記事項証明書・住民票・誓約書
  • 欠格要件非該当を証する書類

よくある補正ポイント

  • 車両写真が不鮮明 or 必要情報が写っていない
  • 財務諸表の数値と申請書内容に矛盾がある
  • 納税証明書や住民票の「有効期限切れ」

準備はできる限り申請に近いタイミングで最新の書類を揃えるようにしましょう。


3-3. 申請書の書き方と補正されがちな項目

申請書類の記載ミスや曖昧な表現は、補正指示の原因になります。

ポイント①:事業計画の「具体性」

例:「〇〇市各所」→× 
  「〇〇市△△工業団地内の建設現場」→○

例:「がれき類等」→× 
  「がれき類、廃プラスチック類(石綿含まず)」→○

ポイント②:車両・駐車場情報の正確性

  • 車両情報は車検証と完全一致するよう記載
  • 駐車場の賃貸契約書や所有証明と住所の整合性確認
  • 見取図に「車両配置」「出入口の位置」などを記載

行政から見て、「実態が不明確」と感じるとすぐ補正対象になります。記載例を見ながら、根拠のある記載を心がけましょう。


3-4. 窓口はどこ?【地域別一覧表】

愛知県では、2025年5月時点で申請は郵送不可・オンライン不可で、必ず窓口に持参提出します。

窓口は所在地により次のように分かれています:

愛知県機関(名古屋市、豊橋市、岡崎市、一宮市、豊田市を除く)

エリア市町村収集運搬業許可
審査担当部署名
住所電話番号
尾張地区
※名古屋市・一宮市を除く
瀬戸市・春日井市・犬山市・江南市・小牧市・稲沢市・尾張旭市・岩倉市・豊明市・日進市・清須市・北名古屋市・長久手市・東郷町・豊山町・大口町・扶桑町尾張県民事務所
廃棄物対策課
許可・調整グループ
〒460-8512
愛知県名古屋市中区三の丸2−6−1
(三の丸庁舎4階)
(代表)052-961-7211
(直通)
052-961-8341
知多地区半田市・常滑市・東海市・大府市・知多市・阿久比町・東浦町・南知多町・美浜町・武豊町知多県民事務所
環境保全課
廃棄物対策グループ
〒475-8501
愛知県半田市出口町1−36
(知多総合庁舎2階)
(代表)0569-21-8111
海部地区津島市・愛西市・弥富市・あま市・大治町・蟹江町・飛島村海部県民事務所
環境保全課
廃棄物対策グループ
〒496-8531
愛知県津島市西柳原町一丁目14番地
(海部総合庁舎1階)
(代表)0567-24-2111
(直通)
0567-24-2132
西三河地区
※岡崎市・豊田市を除く
※みよし市は下記
碧南市・刈谷市・安城市・西尾市・知立市・高浜市・幸田町西三河県民事務所
廃棄物対策課
許可・調整グループ
〒444-8551
愛知県岡崎市明大寺本町1−4
(西三河総合庁舎7階)
(代表)0564-23-1211
(直通)
0564-27-2877
みよし市みよし市西三河県民事務所
豊田加茂環境保全課
環境保全グループ
〒471-8503
愛知県豊田市元城町4−45
(豊田加茂総合庁舎2階)
(直通)
0565-32-7494
東三河地区
※豊橋市を除く
※新城市、設楽町、東栄町、豊根村は下記
豊川市、蒲郡市、田原市東三河総局
県民環境部環境保全課
廃棄物対策グループ
〒440-8515
愛知県豊橋市八町通5−4
(東三河総合庁舎3階)
(代表)0532-54-5111
(直通)
0532-35-6114
新城市、設楽町、東栄町、豊根村新城市、設楽町、東栄町、豊根村東三河総局新城設楽振興事務所
環境保全課
環境保全グループ
〒441-1365
愛知県新城市字石名号20−1
(新城設楽総合庁舎1階)
(代表)0536-23-2111
(直通)0536-23-2117
愛知県機関(名古屋市、豊橋市、岡崎市、一宮市、豊田市を除く)
※愛知県の所管区域に事業所が存在しない場合は、希望する事務所で申請を行ってください。

政令市機関(名古屋市、豊橋市、岡崎市、一宮市、豊田市)

市町村収集運搬業許可
審査担当部署名
住所電話番号
名古屋市名古屋市役所
廃棄物指導課
産業廃棄物審査担当
〒460-8508
愛知県名古屋市中区三の丸三丁目1番1号
(名古屋市役所本庁舎4階)
(代表)052-961-1111
(直通)052-972-2391
豊橋市豊橋市役所
廃棄物対策課
〒440-8501
愛知県豊橋市今橋町1番地
(豊橋市役所西館5階)
(代表)0532-51-2111
(直通)0532-51-2407
岡崎市岡崎市役所
廃棄物対策課
許可監視係
〒444-0022
愛知県岡崎市朝日町三丁目2番地
(福祉会館5階)
(代表)0564-23-6000
(直通)0564-23-6876
一宮市一宮市役所
廃棄物対策課
一宮市環境センター内
〒491-0201
愛知県一宮市奥町字六丁山52番地
(一宮市環境センター内)
(直通)0586-45-5374
豊田市豊田市役所
廃棄物対策課
〒471-8501
愛知県豊田市西町三丁目60番地
(豊田市役所環境センター3階)
(代表)0565-31-1212
(直通)0565-34-6710
ただし名古屋市・豊橋市・岡崎市・一宮市・豊田市長へ収集運搬業の許可申請を行うのは、積替え保管を行う場合と当該政令市内でのみ収取運搬業を行う場合に限られます。

より詳しく知りたい方は「愛知県の産業廃棄物に関する届出先や問い合わせ先はどこ?|5つの質問で簡単に判断!」の記事をご覧ください。

4. 建設業者ならではの注意点

産業廃棄物収集運搬業の許可申請において、建設業者が特に気をつけたいポイントを整理しておきます。

下請けが運ぶなら許可が必須

建設現場で発生する廃棄物の排出事業者は、原則として「元請業者」とされます。

そのため、たとえ自社の作業で出た廃棄物であっても、下請け業者が運搬する場合は『他人の廃棄物を運ぶ行為』となり、許可が必須です。

「うちは解体工事をやってるから自分の出した廃棄物だ」──この認識で無許可運搬をすると、重大な法令違反になってしまいます。

建設系7品目+α(汚泥・水銀使用製品産業廃棄物等)の申請漏れに注意

建設業から出る廃棄物は非常に多岐にわたります。

許可申請の際は、収集運搬する可能性のある品目をすべて漏れなく申請する必要があります。

代表的な建設系7品目:

  • 廃プラスチック類
  • 紙くず
  • 木くず
  • 繊維くず
  • 金属くず
  • ガラス・コンクリート・陶磁器くず(いわゆる「ガラ陶」)
  • がれき類

さらに、業種によっては現場で発生する次のような廃棄物も忘れずにチェックしましょう:

  • 汚泥(掘削汚泥、カッター汚泥など)
  • 水銀使用製品産業廃棄物(蛍光灯や電池など)

現場保管と積替え保管の違い(積替えをするなら別許可)

建設現場では、廃棄物を一時的に置いておく「現場保管」は一般的です。

これはあくまで排出事業者(元請)の責任下での保管であり、一定の基準(囲い、掲示板、飛散防止など)を守れば許可は不要です。

一方で、現場から運び出し、中間処理業者などへ運搬途中に自社のヤードなどで一時的に保管・別の車両に積み替える場合は「積替え保管」に該当し、 別途の許可が必要かつ審査が厳格になります。

この違いを理解せずに自社ヤードに廃棄物を仮置きするのは非常に危険です。運搬ルート上で保管の必要がある場合は、積替え保管の許可取得も視野に入れましょう。

5. よくある質問(Q&A形式で安心感)

ここでは、実際に相談現場でよく聞かれる質問を3つピックアップしてご紹介します。

Q1. 許可取得までどれくらいかかりますか?

A. 標準処理期間は39営業日(約2か月)とされていますが、これはあくまで「書類が完全に整っている場合」の目安です。

実際には、講習会の受講・書類準備・補正対応も含めて、申請準備から許可証交付まで2〜3か月程度を見込むのが現実的です。 事業開始時期が決まっている場合は、逆算して早めに動きましょう。


Q2. 債務超過でも申請できますか?

A. 申請することはできます。ただし、許可が下りるかどうかについては別です。経理的基礎の要件に適合している必要があり、診断書の提出が必要になるケースが多いです。

たとえば、直近3期のうちの赤字や債務超過、納税実績の有無などで判断されます。 債務超過の状態でも、「改善可能な事業計画」が診断書で示されていれば、許可される可能性があります。

専門家による診断書がカギになるため、税理士や中小企業診断士、行政書士と相談しながら進めるのが安心です。


Q3. 他県にも運びたい場合はどうすれば?

A. 愛知県の許可だけでは、他県で積み込み or 他県へ運搬はできません。

たとえば、岐阜や三重で積み込む予定がある場合は、その地域ごとの「収集運搬業許可」が必要になります。

また、運搬先が県外の中間処理施設である場合も、その県の許可が必要です。

運搬する全ての都道府県(および政令市)で許可を取得するのが原則となりますので、運搬ルートに応じた申請計画を立てましょう。

6. まとめ:自社で申請 vs 行政書士に依頼、どちらが得か?

ここまでの内容を踏まえたうえで、最後に「申請を自社で行うべきか」「行政書士に依頼すべきか」の判断ポイントを整理します。

自社申請の難しさ

収集運搬業の許可申請は、

  • 書類の量が多く、記載ミス・添付漏れが起きやすい
  • 内容が複雑で、記載の“あいまいさ”が補正指示の原因になりやすい
  • 補正対応や行政とのやりとりに時間が取られる といった点で、慣れていない方にとっては「かなりの負担」になります。

また、講習会の受講から許可証交付まで2〜3か月を要するため、少しの遅れが事業開始スケジュール全体に影響を与えてしまうリスクもあります。

行政書士に依頼するのは「コスト」ではなく「リスク回避」

確かに、行政書士への依頼には報酬が発生します。 しかし、それ以上に

  • 書類不備による補正や不許可のリスクを避けられる
  • 時間と労力を別業務に振り向けられる
  • 許可取得までのスケジュールを逆算して対応してもらえる という「安全・確実・スピード感」が得られるメリットがあります。

特に、

  • 債務超過で経営診断書が必要な場合
  • 他県とまたがる申請を並行する場合 などは、専門知識を持つ行政書士のサポートが有効です。

建設業に強い行政書士なら、講習の予約段階からフルサポート

当事務所では、

  • 講習会の空き日程調査・予約サポート
  • 書類作成の代行と補正対策
  • 提出窓口への同行・代行提出(※エリア条件あり) まで、ワンストップで支援しています。

建設業に従事していた経験を活かし、現場や業界の事情にも精通していますので、安心してお任せください。

「許可は取っておくべき」と思ったときが動き出しのタイミングです。次章では、お問い合わせにつながるご案内をご用意しています。

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そんなときは、建設系産業廃棄物業界出身の行政書士が対応する 三澤行政書士事務所にぜひご相談ください。

当事務所は、愛知県を中心に中小企業・個人事業主の建設業者様をサポートしており、 許可申請から更新・変更届、関連する各種制度(例:CCUSや経審など)まで幅広く対応可能です。

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