こんにちは、行政書士の三澤です!
機械器具の据付や設置といった作業を日々行う中で、こんな疑問を感じたことはありませんか?
- 「この仕事って建設業許可が必要なのかな?」
- 「元請から“許可業者じゃないとダメ”って言われたけど、どういうこと?」
- 「そもそも“機械器具設置工事業”って何?」
愛知県は、自動車や航空宇宙、エネルギー関連といった製造業が盛んな地域です。そのため、プラント設備や搬送機器などの“機械器具”を扱う業者が多く、関連する工事需要も高い傾向にあります。そして、その多くの工事が、実は「建設業許可」が必要な対象工事に該当している可能性があるのです。
特に、機械器具を現場で組み立てたり、建物に取り付けたりする作業については、「機械器具設置工事業」として明確に区分されており、請負金額が500万円(税込)以上になると、許可がなければ工事を請け負うことができません。
さらに、
- 元請業者からの信頼性アップ
- 金融機関からの融資の受けやすさ
- 公共工事・大手案件への参入機会の増加
といった【許可を持つことのメリット】も見逃せません。
つまり、事業拡大を目指す上で、「許可の有無」は一つの分岐点とも言えるのです。
この記事では、
- 機械器具設置工事業とはどんな工事なのか?
- どのような条件を満たせば許可が取れるのか?
- 愛知県での申請手続きの流れ
など、実務の現場でよくある疑問や不安に答えるかたちで、わかりやすく解説していきます。
「うちも対象かもしれない」「でも自分ではよくわからない」
そんな事業者様の判断の助けになるよう、専門家の視点でしっかりナビゲートしていきます。
それでは、詳しく見ていきましょう。
第1章|そもそも「機械器具設置工事業」とは?
定義(建設業法上の意味)
「なんとなく設置している」だけでは許可対象にならない
建設業許可を検討する際、「うちの業務は“機械器具の設置”をやっているから、機械器具設置工事業の許可が必要だろう」と考える事業者様も少なくありません。
しかし、建設業法における「機械器具設置工事業」は、単なる“設置”作業とは異なり、明確な定義と技術的な範囲が定められています。
法的定義(建設業法施行令 第2条)
「機械器具設置工事業」とは、機械器具を建設現場で組み立てて工作物を建設したり、既存の工作物に取り付ける工事をいいます。
この定義の中で、特に重要なキーワードは以下の3つです。
- 建設現場での作業
- 組み立てを伴うこと
- 工作物に取り付けること
つまり、単に機械を運び込んで据え付けるだけの作業や、工場でプレ組立されたものを配置するだけの作業は、原則としてこの業種には該当しません。
誤解されやすいポイント
誤解されやすいケース | 建設業法上の判断 |
---|---|
工場の搬送機器設置 | → 組立・据付があれば対象に該当する可能性あり |
配線済みの機器を配置するだけ | → 組立を伴わなければ対象外 |
室内にボルト止めのみで設置 | → 工作物の一部にならなければ対象外 |
該当する具体例と該当しない例
なぜ「事例の理解」が大切なのか?
建設業許可の中でも、機械器具設置工事業は定義が抽象的で、対象となる工事かどうかの判断が難しい業種です。しかも、この誤判断が許可申請の否認や要件不充足につながるケースは少なくありません。
この節では、実際の現場でよく見られる工事のうち、どれが該当し、どれが該当しないのかを、一覧表で明確に比較しながら解説します。
機械器具設置工事業に該当する工事の例
以下は、建設業法上「機械器具設置工事業」に該当すると判断されやすい代表的な工事例です。
工事内容 | 概要 | 該当する理由 |
---|---|---|
発電プラントの据付 | 発電所のボイラーやタービン等を現地で据え付ける工事 | 機械の組立・固定を伴い、工作物の一部になるため |
クレーン・ベルトコンベア設置 | 工場のラインに設置される搬送機械の組立 | 動力設備であり、安全性や機能性に技術を要するため |
サイロ設置工事 | 穀物貯蔵用タンクの現地施工 | 工作物の一部として機能する構造物の組立 |
舞台装置・遊技機械の設置 | 劇場・ゲーム施設の大型機構設置 | 固定式で複雑な構造物に分類されるため |
機械式立体駐車場の設置 | 自動車を機械で昇降・収納する設備 | 組立・設置工事として技術的な専門性があるため |
上記はいずれも「機械器具を現地で組み立て、据付し、固定して機能させる」という点で、建設業法上の許可対象となる典型的な業務です。
機械器具設置工事業に該当しない工事の例
一方で、次のような工事はよく誤解されがちですが、実際には別の業種に該当するか、そもそも許可不要なケースが多いです。
工事内容 | 実際の区分 | 該当しない理由 |
---|---|---|
空調機の設置工事 | 管工事業 | 配管接続が主であり、機械組立ではない |
自動ドアの設置工事 | 建具工事業 | 建物の開口部に設置する建具の扱い |
室内照明機器や換気扇の設置 | 電気工事業 | 電気配線が中心で、機械組立を伴わない |
工場ラインでの搬入・配置のみ | ―(建設業対象外) | 据付や固定作業が伴わないため |
ビル一体型の立体駐車場建設 | 建築一式工事 | 建物と一体で設計・施工されるため |
上記のような工事は、見た目は「機械器具を扱っている」ように見えても、本質的に建設業法で定める機械器具設置工事の範囲には入らないことに注意が必要です。 |
よくある混同パターンと実務の注意点
以下は、実務上とても混同されやすいパターンです。
- 機械搬入作業全般 → 「建設工事ではなく、運送や設置業務」扱い
- 機械をボルトで止めただけの作業 → 固定されていても「建設的な組立作業」に該当しない場合が多い
- 製品製造ラインの設置 → 他業種(とび・土工・コンクリート工事等)に該当する場合がある
行政庁も「現場での施工実態」を重視するため、書類上だけでなく写真・図面等で説明できるかが鍵になります。
行政書士の視点:申請前に“グレーゾーン”を洗い出すべき
申請前のご相談で多いのは、「この仕事って、どの許可が必要なのかがわからない」という声です。これはまさに“グレーゾーン”に該当する工事であることが多く、許可取得に向けて慎重な判断が求められます。
私の行政書士としての実務でも、下記のような対応を重視しています。
- 工事内容のヒアリングと写真・契約書類の確認
- 複数業種にまたがる可能性がある場合の優先順位付け
- 審査官の判断基準を踏まえた業種の特定と根拠整理
他業種との違い(管工事やとび・土工工事との境界)
「設置しているから“機械器具”」とは限らない
建設業許可の申請現場で、もっとも混乱を招きやすいのが業種の“境界線”です。
特に、機械器具設置工事業と、管工事業・とび・土工・コンクリート工事業との違いは非常に曖昧に見えることがあり、申請を検討する事業者にとって判断の難所となります。
ここでは、それぞれの業種と何がどう違うのかを明確に整理し、実務での判断基準を示していきます。
機械器具設置工事業と「管工事業」の違い
比較項目 | 機械器具設置工事業 | 管工事業 |
---|---|---|
主な内容 | 機械器具の組立・据付・固定 | 配管の接続・水や空気の流通系統の構築 |
例 | ベルトコンベア、プラント設備の据付 | 空調設備、給排水配管、ダクト工事 |
判断基準 | 動力を伴う機械の機能的設置か? | 流体を流すための管の設置か? |
ポイント:
「装置自体の据付」が主なら機械器具設置工事業、
「配管接続」や「流体を流す設計」が主なら管工事業です。
機械器具設置工事業と「とび・土工・コンクリート工事業」の違い
比較項目 | 機械器具設置工事業 | とび・土工・コンクリート工事業 |
---|---|---|
主な内容 | 機械装置の据付・構造的固定 | 仮設工事、基礎工事、足場やアンカーの設置 |
例 | クレーン・発電機・エレベーターの据付 | コンクリート打設、機器のアンカーボルト留め |
判断基準 | 工作物の中に機械が“機能として組み込まれているか” | 装置は外部から持ち込まれたものか?単なる施工補助か? |
ポイント:
「機械の本体を組立・設置」するのが機械器具設置工事業、
「その基礎や足場、固定金具のみを設置」するのはとび・土工工事業に該当することが多いです。
現場でよくある“曖昧ゾーン”の判断ポイント
事例 | 許可業種(傾向) | 解説 |
---|---|---|
建屋内に製造ラインを設置 | ケースバイケース(要確認) | ライン全体を構築する場合は機械器具、部品搬入・配置のみなら対象外 |
ダクトを通すために装置を移動・再設置 | 管工事 or 機械器具設置工事 | 配管作業がメインか装置据付がメインかで判断が分かれる |
配線済みの制御盤を現場に設置 | 電気工事業 or 建設業対象外 | 据付がなく“置くだけ”なら建設工事に該当しない |
このように、現場作業の“主目的”と“施工手順”がどの業種に該当するかの鍵になります。
行政書士の視点:誤申請は許可取消・指導リスクに
行政書士の立場から申し上げると、誤った業種で許可を取得してしまったケースは、後々重大なリスクとなることがあります。
- 審査時に実務経験が不足と判断され不許可
- 許可取得後に「業種不一致」で業務停止・行政指導
- 元請や金融機関から「不適切な許可」と見なされ信用低下
だからこそ、業種選定の段階でプロの判断を仰ぐことが非常に重要なのです。
✅ まずは「何の工事をしているか」を言語化することから
本章では、機械器具設置工事業の定義と、具体例、そして他業種との違いを明確にしてきました。
こうした分類は、建設業許可の申請における“最初で最大の関門”であり、ここを曖昧にしたまま進むと後戻りが難しくなります。
産業用設備の据付・設置で、こんなお悩みはありませんか?
- うちの業務がどの業種に該当するのかわからない…
- 技術者の経験を証明できるか不安…
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三澤行政書士事務所にお気軽にご相談ください。
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第2章|愛知県での許可取得に必要な3つのポイント
2-1 経営業務の管理責任者(経管)
建設業許可の“出発点”は「経営の実績がある人がいるかどうか」
建設業許可を取得するにあたり、最初に立ちはだかるのが「経営業務の管理責任者」、通称「経管(けいかん)」の要件です。
これは、事業者に建設業の経営経験があり、経営全体を管理・統括できる責任者がいるかをチェックするための制度で、法律上必須の人的要件とされています。
とくに愛知県では、経験の実態や証明資料の厳格さが全国的にも高い傾向にあり、「役員に名前がある=OK」では通用しない場面も多くあります。
経営業務の管理責任者に該当するための要件一覧
要件区分 | 要件内容 | 想定される人物像 |
---|---|---|
【1】建設業の常勤役員等として5年以上の経営経験 | 代表取締役や取締役として5年連続で従事 | 中小建設業者の社長や専務 |
【2】経管を補佐する立場で7年以上の経営補佐経験 | 取締役補佐や事業部長などの地位で、実質的に経営業務を担っていた | 支店長や営業統括責任者 |
【3】他業種で7年以上の経営経験 | 別業種で経営業務の管理経験がある | 内装業→機械器具設置業などへの転業パターン |
※いずれも「常勤であること」「期間が連続していること」「社会保険・税務等の裏付け資料があること」が基本条件です。
よくある“NG事例”と対策
失敗例 | 理由 | 解説 |
---|---|---|
名義上は取締役だが、実際に経営に関わっていなかった | 経営実態が求められる | 代表者印の押印履歴や契約締結の記録などが問われることも |
個人事業主としての開業届は出していたが、建設業の実績が乏しい | 業種が異なる、請負実績が証明できない | 見積書・契約書・請求書の3点セットが必要になる |
法人の役員をしていたが、他の会社に常勤していた | 他社の役員兼任は「常勤」と見なされない | 健康保険の被保険者証の会社名や雇用保険の適用事業所で確認される |
愛知県では特に、「経営業務に関与していたかどうかの立証」に厳しく、事実と異なる書類や説明は即座に不許可や是正指導の対象となるため注意が必要です。 |
専門家の視点:「経管の証明」は設計と戦略の勝負
行政書士として申請支援を行う中で、経管の要件は最も慎重な設計が必要な工程だと感じています。
- 誰を経管として立てるべきか?
- どの証明書類をどう組み合わせれば審査を通過できるか?
- 経管がいない場合、どう育成計画を立てて許可取得を延期するか?
このような設計は、単なる書類作成ではなく、会社の将来戦略と直結する意思決定です。
補足:経管がいないと許可は取れないのか?
はい、経営業務の管理責任者がいない場合は、建設業許可は取得できません。
ただし、以下のような代替案・対処法もあります。
- 外部の経管候補を招聘する(取締役として登記+常勤要件を満たす)
- 経管を目指す社員を昇格させ、経験年数を積ませる(5年待つ)
- グループ会社で経管経験のある人物を転籍・兼任させる(条件付き)
いずれも早期の判断と計画が鍵になります。
必要な経験年数と具体例(図解つき)
経営業務の管理責任者(以下「経管」)には、一定期間以上、建設業の経営業務に従事していた実績が必要です。
ここでは、許可要件に該当する「経験年数」と「どんな人が対象になるのか」を、わかりやすく表にまとめます。
要件区分 | 経験年数 | 具体例 | 備考 |
---|---|---|---|
建設業の常勤役員等 | 5年以上 | 代表取締役・取締役・個人事業主 | 同一法人での連続した在籍が求められる |
経営補佐ポジション | 7年以上 | 営業部長・工事部長・支店長など | 資金調達・契約・人事などの総合管理経験が必要 |
他業種の経営業務管理経験 | 7年以上 | 飲食・運送・内装業等の経営者 | 建設業以外でも認められるが審査はやや厳格 |
イメージ図:対象になるかどうかの整理フロー
▼ 現在 or 過去に建設業に在籍していた
├─ 経営者(法人役員 or 個人事業主) → 【5年】
├─ 管理者(実質的に経営補佐) → 【7年】
└─ 単なる従業員 → ✕対象外
▼ 建設業ではないが会社経営をしていた
└─ 【7年】以上の実績があれば検討可(審査書類必須)
「5年」や「7年」という数字だけで判断せず、「どういう立場で、どのような判断・管理をしてきたか」が問われる点に注意が必要です。
よくあるNG例(例:名ばかり役員)
経験があると思っていても、実際は審査で認められないパターンも多く存在します。
以下に、よくあるNGケースを紹介します。
ケース | なぜNGか? | 解説 |
---|---|---|
登記上は取締役だが、別会社に常勤していた | 常勤性がない | 他社の社会保険加入記録があるとNGになる場合あり |
個人事業主として開業していたが、実際に工事を請けていなかった | 請負実績なし | 見積書・請求書・契約書で業務内容の裏付けが必要 |
役職名はあるが実態が不明 | 名義貸しに近い | 銀行口座管理や取引契約の締結権限がなければ不利 |
役員になってから5年未満だが、以前は社員で工事管理をしていた | 経管の実績とは別物 | 経営業務の「責任者」経験とは認められない |
このように、“名ばかり役員”や“過去の肩書き”だけでは通らないのが、経管の審査の厳しいところです。
補足:実績をどう証明するか?
審査の際は、以下のような書類によって実績を立証していきます。
- 商業登記簿謄本(法人の場合)
- 開業届・青色申告書(個人の場合)
- 工事請負契約書・見積書・請求書のセット
- 組織図や社内規定などで役割を示す資料
- 健康保険・雇用保険の加入状況証明
これらをどのように組み合わせるかは、申請者の経歴や体制によって戦略的に設計すべき部分です。
2-2 専任技術者|該当する資格・学歴・経験年数(表形式で)
技術を証明できる“人材”がいるかが審査のカギ
建設業許可を取得するには、事業所ごとに専任技術者を配置する必要があります。
これは、請負契約の履行に関して、技術的な指導や監督ができる人材がいるかを証明するための制度です。
とくに「機械器具設置工事業」は、専門性が高く他業種との区別も難しいため、適切な資格・学歴・実務経験の証明が不可欠です。
専任技術者の該当要件一覧表
要件の種類 | 詳細 | 必要な経験年数等 | 該当例 |
---|---|---|---|
国家資格保有者 | 技術士(機械部門) 技術士(総合技術監理・機械部門) | なし(資格だけでOK) | 上位技術資格保有者 |
学歴+実務経験 | 大卒(機械・電気・建築系)+3年 高卒(同系)+5年 | 指定学科卒業+該当年数 | 工業高校や理系大学出身者 |
実務経験のみ | 資格や学歴に関係なく、10年以上の機械器具設置工事経験 | 10年以上 | 現場経験の長い職長・責任者 |
施工管理技士+実務経験(※2023年改正) | 一級 or 二級建築/電気/管施工管理技士の一次試験合格 +所定年数の実務経験 | 3~5年 | 試験合格済の実務者(第二次試験未合格でも可) |
※「指定学科」とは、機械工学・建築学・電気工学等の学科を指します。
よくある質問:「どの実務経験が対象になるの?」
機械器具設置工事に該当する実務経験とは、以下のような実際に施工・監督・設計管理に関与した業務を指します。
- プラント設備、立体駐車場、クレーン、昇降機などの据付工事
- エンジニアリング業務に付随する現場指導や設計管理
- 元請または下請として工事請負に関与した実績
一方で、次のような経験は該当しないか、証明が困難な場合があります。
- 単なる機械の搬入・運搬作業
- 修理やメンテナンス業務のみ
- 工場の内部作業(=建設工事ではない)
経験年数は“重複カウント不可”に注意
複数の工種で経験がある場合でも、同一期間の経験は重複カウントできません。
例:機械器具設置工事と管工事を同時に担当していた場合でも、その1年間は「1年」としてしか加算されません。
行政書士の視点:「証明の壁」をどう乗り越えるかが勝負
専任技術者の審査では、「経験の事実」だけでなく、「経験を証明する資料」が求められます。
- 工事経歴書
- 契約書・請求書・写真・発注書
- 雇用証明・在籍証明・工事台帳など
これらをどう組み合わせ、申請書類に落とし込むかは、経験豊富な行政書士の手腕が問われる部分です。
実際、「10年やってきたけど証明できない」「卒業証明書が見つからない」といったケースも少なくありません。
そうした場合でも、別ルートでの立証方法を模索することができるため、諦める前に行政書士に相談するのが鉄則です。
「10年経験ならOK」は本当か?(注意点)
実務経験「10年」=即合格…とは限らない
建設業許可における専任技術者の資格要件の一つに「10年以上の実務経験」があります。
この条件は特別な資格や学歴がない方にとって、実績だけで許可要件を満たせる現実的なルートとして知られています。
しかし、現場ではしばしばこのような誤解が生じています。
「うちの社員は10年以上現場で働いてるから、それで出せばいけるでしょ?」
この考え方は半分正解・半分間違いです。
ここでは、「10年経験」の要件が実際にどう扱われているのか、行政の審査基準や実務的な注意点とあわせて解説します。
専任技術者の「10年経験」とは何を意味するか?
建設業法における“10年の実務経験”とは、以下のような条件を満たす必要があります。
- 請負契約に基づく建設工事の実務経験であること
- 専任技術者の対象業種(今回は機械器具設置工事)に該当する工事であること
- 常勤勤務として関与していたことが証明できること
- 10年分が通算でなく、重複期間がない連続したカウントであること
このため、「勤務年数は足りているが、請負ではなかった」「設置作業のみで建設工事に該当しなかった」などの理由で、不許可となるケースが存在します。
よくある「10年経験」のNGパターン
NGケース | なぜ不許可になるのか? | 対応策 |
---|---|---|
物流会社での機械設置補助を10年 | 建設工事としての請負でない | 設置対象や契約形態を確認・証明する必要あり |
内装業の中で空調や設備取付を担当 | 他業種(管工事や内装仕上)と判断される | 経験業種の明確化が必要 |
建設会社での勤務だが、証明書が出せない | 実務証明ができないため審査不可 | 契約書・請求書・写真・作業日報の提出が求められる |
10年間在籍したが施工管理ではなかった | 技術者ではなく単純作業員と判断される | 技術的関与(指導監督)の記録が重要 |
2-3 財産要件とその他の条件
許可取得には「経営者」「技術者」だけでは足りない
建設業許可の取得に必要な3つの要件は、
- 経営業務の管理責任者(経管)
- 専任技術者
- 財産要件とその他の法令遵守
の3つです。
ここでは、意外と見落とされがちな「財産的要件」と「法令遵守に関する要件(社会保険・欠格事由など)」について詳しく解説します。
自己資本500万円 or 預金残高証明書
資金的な裏付けがなければ許可は出ない
一般建設業許可を新規取得する際には、資金面の安定性を証明する書類の提出が義務づけられています。
要件 | 内容 | 必要書類 |
---|---|---|
自己資本500万円以上 | 貸借対照表の純資産額が500万円以上あること | 税理士作成の直近期決算書、残高証明など |
預金残高証明書 | 法人または個人事業主名義の預金口座に500万円以上があること | 金融機関が発行する残高証明書(原本) |
どちらか一方を満たせばOKですが、自己資本が500万円未満の赤字決算法人などは、預金残高証明の提出が現実的な手段となります。
よくある注意点
- 法人名義ではなく、代表者個人名義の預金口座は基本NG(※個人事業主を除く)
- 複数の口座を合算して500万円にする場合は、全ての口座の残高証明書が必要
- 証明書は原則発行から1ヶ月以内のものが必要
社会保険加入義務・欠格要件などの法令遵守
社会保険未加入は「申請自体が不受理」に
建設業法の改正により、社会保険・雇用保険・労災保険への適正な加入が、許可取得の前提条件になっています。
対象 | 必須の加入制度 |
---|---|
法人・5名以上の個人事業主 | 厚生年金・健康保険(協会けんぽ等) |
従業員を1名でも雇用する場合 | 雇用保険・労災保険 |
「加入はしているが、未届け」「支払っていない」などの状態も不適正と判断されることがあるため、事前に整備しておくことが大切です。
欠格要件に該当しないかも必ずチェック
以下のいずれかに該当する場合、申請自体が不可能になります。
- 5年以内に建設業法違反などで処分を受けている
- 破産手続中で復権していない
- 暴力団関係者が経営に関与している
- 法人の代表者または役員が禁錮以上の刑に処されている
法人だけでなく、役員・支店長・技術者・事業主本人(個人事業主)まで含めて対象となる点に注意が必要です。
行政書士の視点:「資金と法令遵守」こそ見落としがちな落とし穴
許可申請のご相談では、「経管」「技術者」はある程度候補が揃っていることが多いのですが、預金残高や社会保険の整備状況が不備だったために申請が延期になるケースが非常に多く見受けられます。
また、近年では金融機関からの融資や元請との取引条件として「建設業許可があるかどうか」が問われることも増えており、財務・法令面を整備しておくこと自体が信頼性の証明になる側面もあります。
✅ まとめ|3つの要件がそろってこそ、許可申請のスタートラインに立てる
ここまでお読みいただいたように、建設業許可の取得には以下の3要素すべてが必要です。
- 経営の経験と証明 →【経営業務の管理責任者】
- 技術の実績と裏付け →【専任技術者】
- 財産の安定性と法令遵守 →【財産要件とその他】
一つでも欠ければ、許可は取得できません。
建設業許可の取得で、こんなお悩みはありませんか?
- 社員に10年経験があるけど、証明になるか不安…
- 決算が赤字だけど、資金面の証明はできる?
- 技術者と経管の両方をどう確保すべきかわからない…
そんなときは、許可要件に精通した行政書士が、現状からの最短ルートをご提案します。
三澤行政書士事務所では、事前無料相談で許可取得の可能性を診断し、要件の整理から書類作成・申請までを丁寧にサポートいたします。
第3章|実際の申請ステップ【愛知県版】
準備 → 仮受付 → 補正 → 本受付 → 審査 → 許可通知
「初めての方はここでつまずく」注意点
申請手続きは“流れを知ること”が第一歩
建設業許可は、単に書類を出せば終わるものではなく、「どこで何が求められるか」を把握しておくことが、スムーズな取得の鍵を握ります。
ここでは、愛知県で建設業許可(一般・機械器具設置工事業)を取得する場合の典型的な流れと、初めての方がよくつまずくポイントを整理して解説します。
ステップ①|申請準備(資料収集・要件確認)
- 必要な要件(経管・技術者・財産など)を満たしているか確認
- 経歴証明書類、契約書・請求書、資格証明、登記簿などを収集
- 申請書類一式を作成
📌 注意点:
「とりあえず書けばいい」と考えると危険。要件を満たしていても、証明できるかどうかが審査のポイントです。実績を「見える化」する資料構成が必要です。
ステップ②|仮受付(事前確認)
- 愛知県庁 建設業室へ電話予約(完全予約制)
- 事前に提出予定の申請書一式を窓口で確認してもらう
📌 注意点:
この時点で要件不足や記載ミスが発見されると補正指示が出ます。
補正までに時間がかかる場合は本受付が数週間先にずれ込むことも。
窓口対応も丁寧な反面、細部まで見られるため準備不足は致命的です。
ステップ③|補正対応(必要書類の追加・修正)
- 不備や不明点を指摘された部分を再整理
- 再度必要資料を揃えて提出準備
📌 注意点:
補正に応じずに放置すると、仮受付が無効となるケースも。
特に「経験年数の証明」や「契約書・請求書の整合性」でつまずく方が多く見られます。
ステップ④|本受付(正式提出)
- 補正完了後、県庁で正式受付
- 受付印が押されることで“審査のカウントダウン”が始まる
📌 注意点:
ここでようやく「申請が受理された」状態。本受付前では審査が開始されません。
仮受付と本受付を混同して「もう進んでいる」と誤解しがちなので要注意。
ステップ⑤|審査期間(約4週間~8週間)
- 書類審査が行われ、不明点があれば電話照会や追加提出要請あり
- 問題がなければ予定期間内で許可へ
📌 注意点:
審査期間中に追加資料を求められた場合は即対応が鉄則。対応の遅れ=審査期間の延長です。
特に決算書類・残高証明・登記内容の不備が原因になることが多いです。
ステップ⑥|許可通知
- 建設業者一覧に掲載(インターネットで公開)
📌 注意点:
「許可が下りた=すぐに使える」ではありません。
標識(建設業者票)・帳簿・契約書面の整備義務が即時に発生します。許可後の対応も事前に準備しておきましょう。
よくあるつまずきポイントまとめ
つまずき場面 | 原因 | 対策 |
---|---|---|
仮受付が通らない | 要件誤認 or 証明不足 | 要件を満たしていても「証明できる形」に整える |
補正が繰り返される | 書類の整合性が取れていない | 経管・技術者の証明書類を早めに専門家と設計 |
審査が止まる | 審査中の追加照会に対応遅れ | 審査中の連絡は即日対応が基本 |
許可後の対応が遅れる | 標識・帳簿等の整備を知らなかった | 許可が下りる前に“次の行動”も準備を |
申請は「段取り8割」。だからこそ行政書士に任せる価値がある
建設業許可は、制度としてはシンプルに見えますが、実際には確認・調整・補正・応答の連続です。
だからこそ、段取りと事前準備が成否を分けます。
建設業許可の申請、こんなお悩みはありませんか?
- 要件は満たしてるはずなのに、書類が通らない…
- 窓口で補正ばかり求められ、申請が進まない…
- 自分で進めたが、時間も気力も限界…
そんなときは三澤行政書士事務所が、あなたの許可取得を“最後まで伴走”します。
第4章|よくある質問と誤解
Q1:「据付ってボルト止めじゃないの?」
据付=ボルト止めだけ…では不十分です
建設業許可の相談を受ける中で、最もよく寄せられる質問のひとつがこの問いです。
「据付作業って、床にボルトで止めてるんだから“設置工事”でしょ?」
一見もっともらしく聞こえるこの考え方ですが、建設業許可の「機械器具設置工事業」に該当するかどうかの判断としては極めて不正確です。
許可制度上の“据付”とは、単なる固定ではなく、「建設的な機能統合」が伴うものを指します。
据付の本質=工作物との一体性と機能性
「機械器具設置工事業」として認められる「据付」とは、以下のような要素を含みます。
判断基準 | 説明 | NG例との違い |
---|---|---|
現地組立があるか | 工場完成品ではなく、現場で複数部材を組み立てる | 既製品を“ポン置き”するだけではNG |
建設的な機能統合があるか | 機械が建物や設備と一体化して機能する | 単体で動作する可搬式機械は該当しにくい |
工作物の一部とみなされるか | 建物やインフラの構成要素として社会的認知がある | 単なる什器・備品とみなされるものは対象外 |
📌 ポイント:
「ボルトで固定してるから=設置工事」ではなく、
固定の目的が“安定のため”か、“機能統合のため”かが問われます。
実務例:該当/非該当の判断を分ける「据付作業」
工事内容 | 許可対象か? | 判断の理由 |
---|---|---|
工場にベルトコンベアを設置し、ラインを構成 | ○ | 現地組立あり・設備一体型 |
医療施設にCTスキャナをボルト留め | △ | 建築との一体化が認められればOK、機種・施設により異なる |
店舗に冷蔵ショーケースを搬入し固定 | × | 建設的工事ではなく備品設置扱い |
自動車整備工場に2柱リフトを設置 | ○ | 土間アンカー打設+固定+操作機能統合が前提 |
つまり、「何を」「どこに」「どう設置し」「何の機能を果たすか」を総合的に評価されるということです。 |
よくある誤解:据付の「作業内容」ではなく「工事の性質」で判断される
「現場でアンカー打って固定してるから“工事”でしょ?」
といった感覚的な判断は、許可審査では通用しません。
審査官は、
- 工事契約の内容
- 設置対象の構造や機能
- 建物との一体性の有無
- 必要書類(図面・写真・工程表・機械仕様書 など)
をもとに、“据付”が単なる施工か、それとも建設的行為かを判断します。
特に愛知県では、施工実態を証明できるかどうかが審査通過の分かれ目となるため、単純なボルト止め作業の写真だけでは許可を得られない可能性があります。
行政書士の視点:据付の“言葉の定義”に引っかかる相談は多い
実際のご相談でも、
- 「工場でやってる作業と同じだから大丈夫」
- 「とりあえず設置してるから許可は出るでしょ」
- 「設計書はないけど、施工写真だけ出せばOKでしょ」
といった認識のまま申請を進めようとされるケースは非常に多いです。
ですが、据付=建設工事であるためには「設置された機器が、構造物として社会的に認知されるレベルの一体性」が求められることを忘れてはなりません。
“据付”の正確な理解が、許可の可否を分ける
- ボルト止め=許可対象とは限らない
- 組立・統合・機能性が伴って初めて「建設工事としての据付」
- 機械器具設置工事業の対象かどうかは、単なる現場作業の様式ではなく、施工の“構造と目的”で決まる
「うちは据付やってる」と思っていても、いざ証明となると厳しいのが現実です。
だからこそ、定義・工事の性質・証明資料まで含めて、プロの視点で整理する必要があるのです。
Q2:「管工事との違いがよくわからない…」
「機械器具を扱ってるんだから、どっちの許可でもいいのでは?」
これは、機械器具設置工事業に関して多く寄せられる質問のひとつです。
とくに、工場や設備系の施工を行う事業者の方から、
「うち、空調機器を取り付けてるけど、機械器具設置ですか?それとも管工事?」
「配管もするし、機械も固定するし、どう判断すればいいのかわからない…」
という声をよくいただきます。
結論から言えば、機械器具設置工事業と管工事業は“重なる部分があるが、判断基準は明確に異なる”ため、それぞれの工事の目的と構造を理解する必要があります。
判別のポイントは「主目的」と「施工構造」
そもそも“管工事”とは?
建設業法上、管工事とは、
「冷暖房、給排水、衛生、ガス、ダクトなどの設備に関する配管工事」
と定義されており、主に液体や気体を“流すための管”の施工がメインになります。
一方で機械器具設置工事業は、
「機械器具を建設現場で組み立て、工作物を建設、または工作物に取り付ける工事」
であり、“機械”自体を据付・組立てし、機能的に構造物に統合する工事を指します。
比較表:管工事と機械器具設置工事の違い
比較項目 | 機械器具設置工事業 | 管工事業 |
---|---|---|
目的 | 機械装置の組立・据付 | 配管を通して液体・気体を流す |
主体となる施工物 | 機械設備(昇降装置、立体駐車場、搬送機械など) | 配管、冷暖房設備、ダクト、衛生設備 |
現場作業の内容 | 現地での機器の組立、アンカー固定、機能テストなど | 配管敷設、接続、流体試験 |
対象工事の例 | クレーン、コンベア、舞台装置の据付 | エアコン・給湯器・浄化槽・冷却水循環装置の配管工事 |
実務の中で“境界線が曖昧”な工事もある
下記のような工事は、管工事なのか機械器具設置なのか、判断が難しいグレーゾーンです。
事例 | 判断基準のポイント |
---|---|
工場に空調機器を設置し、ダクトと配管も施工 | 配管・ダクトの方が主なら管工事、機械据付が主なら機械器具設置 |
医療施設で大型装置(MRI、CT等)を搬入・固定 | 装置の据付が主か、配線・配管が主かを確認 |
クリーンルーム設備を施工(空調・装置一体) | 構造物の一部となる装置の据付が主なら機械器具、空調系統が主なら管工事 |
📌 ポイント: | |
どちらの許可を取得すべきかは、契約内容と工事の主目的によって決まります。 |
行政書士の視点:混同による“申請ミス”が意外に多い
許可申請では、対象工事を間違えて申請してしまうと、以下のようなリスクが発生します。
- 審査段階で「業種が違う」として不許可になる
- 許可取得後に実際の工事が業種外とされ、是正指導や罰則の対象になる
- 元請業者からの信用を失う(契約打ち切り事例も)
私の実務経験でも、「管工事業で許可を取ったが、実は対象外だった」という相談は少なくありません。
“どんな作業か”より“何を目的にしているか”で判断を
- 機械器具設置工事業は、「機械そのものの据付」が主目的
- 管工事業は、「配管による流体移動」が主目的
- 境界事例では、施工目的と工事契約の中身を確認することが重要
- 許可種別を誤ると、審査否認・営業停止などのリスクがある
Q3:「自社で経管も技術者も兼ねられる?」
小規模事業者によくある疑問
建設業許可の取得を検討する際、次のような声をよく耳にします。
「今は一人でやってるんだけど、経営業務の管理責任者(経管)も専任技術者も自分でやれるの?」
「人手が足りないから、役員が技術者を兼ねてもいいの?」
この質問は非常に多く、結論から言えば――
✅ 「兼ねることは可能」です。ただし条件があります。
経管と専任技術者の兼務は“原則OK”
法令上の取り扱い
建設業法では、「経管」と「専任技術者」は別々の役割として定められていますが、同一人物が兼ねることを禁じる規定はありません。
つまり、要件さえ満たしていれば一人二役での許可取得も可能です。
よくある兼務パターン
役職 | 経管としての要件 | 技術者としての要件 |
---|---|---|
代表取締役(法人) | 建設業の経営経験5年以上 | 資格または実務経験10年以上など |
個人事業主 | 建設業の請負実績あり | 同様に10年経験 or 資格等 |
📌 ポイント:要件が両方そろっており、それぞれ証明資料が用意できるかどうかがカギになります。
兼務で問題になる“3つの注意点”
① 専任性の確認(特に複数事業所を持つ場合)
「専任技術者」は営業所ごとに常勤している必要があります。
- 1人で複数営業所を担当することは不可
- 経管と兼ねる場合も「1ヶ所」に専任している実態が必要
たとえば、営業所が本社と支店に分かれているのに、経管として全体統括・技術者として現場常駐を主張すると、専任性が崩れて不許可になる可能性があります。
② 証明資料の二重管理
経管と専任技術者の兼務をする場合、それぞれの証明書類を個別に用意する必要があります。
- 経管 → 登記簿、契約書、請求書、決算書 等
- 技術者 → 資格証明、工事台帳、施工実績 等
「代表者としてやってきたんだから両方証明できるでしょ」では通用せず、審査官が納得する書式と中身の分離が必要です。
③ 実態に即した“勤務実態”の説明
兼務は可能ですが、実際に一人で経営・技術の両方を担っていたかの実態が審査で確認されます。
- 社会保険の加入状況
- 雇用保険・給与支払いの記録
- 会社運営と現場管理の両立体制(現場監督記録・役員会議録など)
特に「経管はしていたが、現場経験は下請任せだった」と見なされると、専任技術者としての要件を満たさない可能性もあります。
行政書士の視点:「兼ねる=お得」ではない。リスクも見ておくべき
兼務は可能ですが、申請書類の設計が複雑になることは間違いありません。
- 小規模法人でよくある「実態は1人で全部やっていた」ケースは、立証が難航しやすい
- 証拠不足で片方しか通らず、申請がやり直しになるリスクあり
- 許可取得後に人員増で専任性が崩れ、行政指導を受けるケースも
ですので、兼務で申請する場合こそ、事前の要件整理と証明計画が重要です。
兼ねられるかより、「証明できるか」がすべて
- 経管と専任技術者の兼務は可能(法令上の制限なし)
- ただし、それぞれの要件を個別に証明できるかが最大のポイント
- 「実際にやっていた」だけでは足りず、「やっていたことを、審査で通る形式で示せるか」が問われる
- 兼務のまま許可取得し、その後の体制変更にも備えるには、プロのサポートを得るのが安心
Q4:「許可を取ったら終わりじゃないの?」
建設業許可は「取って終わり」ではありません
建設業許可の申請支援をしていると、許可が下りた瞬間に
「これで一安心!もう書類の心配も終わりですね」
といった声をいただくことがあります。
しかし、これは半分正解で半分誤解です。
建設業許可は“取得して終わり”ではなく、許可を維持・活用していくための「管理・運用フェーズ」が始まるタイミングでもあるのです。
許可取得後に必要な「義務と対応」
年次・定期的に行うべき届出一覧
区分 | 内容 | 提出時期 | 対応のポイント |
---|---|---|---|
事業年度終了届(決算変更届) | 決算後、財務状況や工事経歴などを報告 | 決算終了後4ヶ月以内 | 赤字でも提出義務あり。未提出は大きなマイナスに |
各種変更届(役員・技術者など) | 組織や体制が変わったとき | 変更後2週間以内 | 遅れると行政指導や許可更新に影響 |
建設業許可の更新 | 許可の有効期限は5年間 | 有効期限満了30日前まで | 忘れると「失効扱い」となり、無許可状態に |
これらの事後管理を怠ると、せっかくの許可が「失効」や「営業停止」になるリスクもあるため、注意が必要です。
現場での義務:「標識の掲示」「帳簿の整備」
- 建設業者票(標識)の掲示義務
⇒ 本社・営業所ごとに見やすい場所への掲示が必要 - 工事帳簿・契約書の整備保管
⇒ 工事ごとの契約内容、請負金額、実施状況を記録し、5年間保管
📌 ポイント:
こうした義務は、労働基準監督署や元請業者による現地調査でも確認されるため、「見られる前提」で日々の管理が求められます。
放置がもたらす“3つのリスク”
リスク | 内容 | 影響 |
---|---|---|
更新忘れによる許可失効 | 気づいたら期限切れ → 無許可状態 | 元請との契約解除・再申請で数ヶ月の営業停止リスク |
未届出による信用低下 | 役員変更・決算未報告など | 審査でマイナス評価。大手案件から外される可能性 |
税務・社会保険面での指摘 | 帳簿不備や工期ずれが発覚 | 税務調査や労基署調査での突合に影響することも |
行政書士の視点:許可取得後の“伴走支援”こそが真価
行政書士として実務に携わっていると、許可を取った後の方が相談が増えるというのが実感です。
- 決算報告の仕方がわからない
- 技術者が退職してしまった
- 更新時期を忘れていた
- 親会社との契約で「許可の最新情報提出を求められた」
こうした“実務の悩み”を放置すると、経営の現場に直接悪影響を及ぼすため、許可を取ったからこそ、長期的に体制を支えてくれる専門家の存在が重要になります。
許可取得は“スタートライン”。維持・活用が本当の勝負
- 許可取得後も「毎年の届出」「変更届」「帳簿整備」など、継続的な管理が必須
- 更新を忘れれば即“無許可業者”に逆戻り
- 大手との取引や入札では「適正な管理状況」そのものが信頼評価になる
- プロに任せて、本業に集中できる環境をつくるのが、経営者にとっての正解
許可取得後の対応で、こんなお悩みはありませんか?
- 決算変更届を毎年出さないといけないって知らなかった…
- 更新時期が近づいて焦っているが、書類が整っていない…
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そんなときは、建設業を専門にする行政書士が、許可取得後も“あなたの右腕”としてサポートいたします。
まとめ
機械器具設置工事業は他業種と比べても判断が難しい
機械器具設置工事業は、建設業許可29業種の中でも特に判断が難しい業種です。
- 「機械の据付」=すべて対象、ではない
- 「据付」なのか「運搬・設置」なのかの違い
- 他業種(管工事、とび・土工、建築一式)との境界があいまい
実際、愛知県でも審査にあたっては「機械の機種・施工方法・一体構造の有無」など、工事内容の実態と提出資料の整合性が細かくチェックされます。
📌 一見すると単純に見える作業でも、「建設業の工事」として認められるには根拠と説明力が必要なのです。
書類不備・要件ミス=不許可になることもある
許可申請においては、
- 経営業務の管理責任者の“証明書類が足りない”
- 専任技術者の“経験内容が業種外と判断される”
- 財産的基盤を“証明できない”
といった些細な不備でも、そのまま審査不合格(=不許可)につながるケースが珍しくありません。
ありがちな不許可原因 | 実際の影響 |
---|---|
経管・技術者の実務証明が曖昧 | 補正指示→再提出→審査遅延、最悪は却下 |
業種判定ミス(例:管工事と誤認) | 違う業種で出してしまい不許可 |
財務要件の誤認(預金残高証明の不備など) | 証明できず再申請へ |
📌 特に初めての方にとって、「自社の経験や実績をどう資料に落とし込むか」が最も難しいポイントです。 |
「今動くかどうか」が次の工事獲得に直結
建設業界では、元請からの「許可がないと契約できない」という声が年々強くなっています。
- 元請の選定基準が厳格化
- 官公庁・大型案件では許可業者が前提
- 許可がないと“指名外し”に遭うことも
つまり、建設業許可があるかどうかで、ビジネスチャンスを逃すか掴めるかが決まる時代です。
✅ 取得にかかる期間は最低でも1〜2ヶ月
だからこそ、「いつか取ろう」ではなく、「次の案件が来る前に動く」ことが、経営の武器になるのです。
行政書士の視点:許可取得は「スタートライン」。最初から最後まで伴走します
私たち行政書士の仕事は、書類を作ることだけではありません。
- 要件の見極め(許可取得が可能かを判断)
- 経管・技術者の経験をどう立証すべきかを整理
- 補正対応や行政とのやり取りを代行
- 取得後の届出・更新・維持管理まで一貫サポート
とくに機械器具設置工事業のように判断の難しい業種では、「通る書類」を最初から逆算して構築する視点が求められます。
許可取得、こんなお悩みはありませんか?
- 自社の工事が本当に「機械器具設置工事」に該当するのかわからない…
- 経験はあるけど、資料の集め方が難しい…
- 自分でやるのは不安だし、本業に集中したい…
そんなときは、建設業界出身・現場感覚をもった行政書士が、
あなたの“申請から実現まで”をサポートします。
建設業許可は、「取ること」が目的ではなく、「活かして次につなげる」ことが最大の目的です。
その第一歩を、確実に、そして効率的に踏み出せるよう、まずはお気軽にご相談ください。
📌 初回相談は無料
📌 平日夜間・土日もご相談可能(事前予約制)
「自社の工事が対象になるのか判断がつかない…」
「専任技術者や自己資本など、許可要件がクリアできるか心配…」
そんな方にも、現場経験を踏まえた視点で丁寧にアドバイスいたします。
まずはお気軽にご連絡ください。