こんにちは、行政書士の三澤です!
「内装工事でも建設業許可が必要になるの?」「そろそろ元請や発注先から許可を求められるかも…」
そんな疑問やお悩みを感じていませんか?

この記事では、
・クロス張替え・床貼り・間仕切り設置などを請け負っている内装工事業者の方
・元請や役所から「建設業許可を取ってください」と言われて困っている方
・将来、公共工事や大手取引先からの依頼にも対応できる体制を整えたいと考えている方

といった【内装仕上工事業者様】向けに、建設業許可(内装仕上工事業)取得に必要な条件・申請の流れ・つまずきやすいポイントを、初めての方でもわかりやすいよう実務の視点で丁寧に解説していきます。

【この記事を読むことで得られること】
・自社の工事が建設業許可の対象になるかどうか判断できる
・専任技術者や経営業務管理責任者など、許可取得に必要な「5つの条件」が明確になる
・愛知県での申請ステップ・書類準備・審査の流れがわかる

「うちでも取得できるの?」「まず何をすればいいの?」と迷われている方の道しるべとなるよう、ポイントを絞ってご紹介します。

それでは、さっそく見ていきましょう!


目次

第1章|内装仕上工事業とは?(業種の定義と対象工事)

定義と業種コード(190)

「内装仕上工事業」とは、建設業法上の専門工事29業種のうちのひとつで、業種コードは「190」に該当します。
この業種は、建築物の内部空間において、木材や壁紙、床材、天井材などを使って内装を仕上げる作業全般を指します。

建物の新築・改修・リフォームの現場で、内装の意匠性や居住性、機能性を整えるための仕上げ工程は、まさにこの「内装仕上工事業」の範疇に含まれます。

たとえば、内装リフォーム専門の業者や、店舗やマンションの原状回復工事を請け負う業者などが、この業種に該当する可能性が高いと言えます。

なお、許可申請時には「内装仕上工事業(業種コード190)」として明示的に申請する必要があります。他の類似業種(塗装工事業や大工工事業など)とは区別される点に注意が必要です。


対象となる代表的な工事一覧(例:クロス・天井・軽鉄・ふすま など)

内装仕上工事業に該当する工事は多岐にわたります。以下は建設業法および各種実務解説に基づいて整理された、代表的な工事の例です。

壁・天井関連の工事

  • 壁紙(クロス)貼り工事:ビニールクロス、織物壁紙などの施工
  • 石膏ボード貼り:軽鉄下地に石膏ボードを貼り付ける工事
  • 軽量鉄骨下地工事(LGS工事):間仕切り壁の下地として軽量鉄骨を組む作業
  • 吸音板や化粧ボード貼り:音響や意匠性を高めるための内装施工
  • 天井仕上工事:ジプトーンや岩綿吸音板などの天井材設置

床材関連の工事

  • タイルカーペット貼り
  • 塩ビシート貼り
  • 長尺シート貼り
  • カーペット敷設
  • フローリング施工(※施工方法によっては大工工事業との境界に注意)

建具・畳などの仕上げ工事

  • ふすま工事:ふすまの張替え、枠の設置など
  • たたみ工事:採寸・製造・加工・敷き込みまでの一貫作業
  • 建具設置工事:内装建具の取り付け(例:室内ドアや引戸)
  • 造り付け家具の設置工事:現場で組立・設置を行う収納家具など

その他の工事

  • 防音工事:スタジオや集合住宅などでの遮音・吸音対応(※ホールなどの音響設計を伴うものは除く)
  • インテリア工事全般:装飾仕上げ・内装意匠のトータル対応

こうした工事を請負金額500万円(消費税・支給材料費込み)以上で施工する場合は、原則として「内装仕上工事業」として建設業許可が必要です。

また、他業種との境界に関する注意点として、例えば「木製の造作工事」や「塗装を伴う内装施工」などは、大工工事業や塗装工事業の許可が必要となる可能性もあるため、事業内容が複合的であれば、はじめから複数業種の取得を検討することも重要です。

関連業種(塗装工事・大工工事)との違いと重複性

建設業許可の取得を検討する際、「内装仕上工事業」だけで足りるのか?という疑問は非常に多く寄せられます。特に内装工事は、塗装工事や大工工事と作業内容が一部重複することがあるため、「自社の施工内容がどの業種に該当するか」を明確に理解しておく必要があります。

許可業種を誤って選ぶと、無許可工事として行政指導や罰則の対象となるおそれがあるため、正確な判断が求められます。

塗装工事業(業種コード170)との違い

【塗装工事業】は、塗料や塗材を建築物に吹き付け・塗り付け・貼付ける作業を専門とします。

✅ 主な対象工事:

  • 内壁・外壁・天井へのペンキ塗装
  • 錆止めや防水目的の塗装
  • 床や天井の塗装(ウレタン、エポキシ等)
  • ブラスト工事や下地調整

一方で、内装仕上工事業で扱う「クロス貼り」や「石膏ボード貼り」には塗装を伴わないため、塗装工事業の許可は不要です。

しかし、例えば「石膏ボードを貼った後にペンキを塗る」といった作業まで一括で請け負う場合、その塗装部分の請負金額が500万円を超えるならば、塗装工事業の許可も必要になります。


大工工事業(業種コード030)との違い

【大工工事業】は、木材の加工や取付けを通じて建築物を構成する工事全般を指します。

✅ 主な対象工事:

  • 木造建築物の骨組み工事
  • 下地づくりや構造的な木工事
  • 木製枠・造作材の取付け
  • 型枠工事など

一見、軽量鉄骨下地やフローリング施工といった「木を扱う作業」が被っているように見えますが、内装仕上工事業の対象はあくまで仕上げや装飾の工程です。
ただし、以下のようなケースは注意が必要です:

  • 木下地を組む工程そのものが請負対象となっている
  • 造作工事で木材を加工して構造的に組み上げる作業が中心

このような場合は、「大工工事業」としての建設業許可が必要になる可能性が高くなります。


✅ 重複する作業を一括請負する場合の注意点

内装工事においては、塗装・大工・内装仕上の各工程が一体的に行われることが多いため、以下のような対応が実務上は求められます。

工事内容500万円を超えるか必要な業種許可
クロス貼りのみ超えない不要(軽微工事)
クロス+床+塗装工事合計で超える内装仕上+塗装工事業
木造の間仕切り壁+クロス貼り合計で超える大工工事業+内装仕上工事業
店舗全体の内装工事(塗装・造作家具・床仕上げ等)超える内装仕上+必要に応じて大工・塗装も

業種の線引きに迷ったら、まずはご相談を

建設業許可は、工事の内容や金額、支給材料の有無などで要否が決まるため、「ついでにやる作業」でも無許可になってしまうことがあるのが落とし穴です。

  • 自社の工事は本当に内装仕上工事業だけで足りるのか?
  • 塗装工事・大工工事と重なる作業が含まれていないか?
  • まとめて許可を取っておいた方が将来的に安心では?

こうしたお悩みや不安を感じたら、建設業許可に精通した行政書士の視点で一度整理してみることをおすすめします。

三澤行政書士事務所では、愛知県での建設業許可取得に強みを持ち、業種ごとの違いやリスクも丁寧に説明いたします。

第2章|建設業許可が「必要」なケースとは?

軽微な工事の定義(500万円基準)

「自分の工事はそんなに大きくないから、許可はいらない」とお考えではないでしょうか?
実は、建設業法上では「軽微な工事」に該当するかどうかによって、許可が必要か否かが明確に定められています。ここではその境界線となる「500万円基準」について詳しく解説します。


■ 許可不要となる「軽微な工事」とは?

建設業法第3条では、軽微な建設工事については、許可を受けなくても請け負うことができると規定されています。
具体的には、次のいずれかに該当する工事が「軽微な工事」として扱われます:

  • 建築一式工事以外の工事(=専門工事)であって、
    → 1件の請負金額が500万円未満(税込)
  • 建築一式工事の場合は、
    → 1件の請負金額が1,500万円未満(税込) または
    → 木造住宅で延べ面積150㎡未満

本記事のテーマである「内装仕上工事業」は専門工事に分類されるため、1件あたり500万円(税込)以上の工事を請け負う際には、原則として建設業許可が必要となります。


■ 「税込500万円未満」とは?見落とされがちな注意点

この「500万円」はあくまで税込の総額です。消費税抜きでの契約や、材料の支給を受けるような工事では、実際の金額判断に注意が必要です。

たとえば次のようなケースです:

税抜金額消費税(10%)合計請負額許可の要否
480万円48万円528万円必要
450万円45万円495万円不要(軽微)

計算上の注意点(消費税・支給材料費の扱い)

建設業許可が必要かどうかを判断する際、「500万円」という金額基準がひとつの判断材料になることはよく知られています。しかし、この「500万円」は“税込・支給材料費込み”で計算するという点を見落としている事業者は少なくありません。

「税抜で契約しているから大丈夫」
「材料は支給されてるからうちの工事は安い」
そう考えていると、実は500万円を超えていて、許可が必要だった…という事態になりかねません。


税抜契約でも「税込」で判断される

建設業法における「500万円未満」という基準は、消費税込みでの金額です。
つまり、たとえ契約書上では「税抜価格」が記載されていても、実際の請負金額には消費税相当額を加算して判断されるのです。

具体例

税抜契約金額消費税(10%)合計金額許可の要否
470万円47万円517万円必要
495万円49.5万円544.5万円必要
450万円45万円495万円不要(軽微)

契約分割の合算ルール

建設業許可の要否をめぐって、特に注意が必要なのが契約の「分割」とその合算判断です。
「1件の工事が500万円を超えると許可が必要なら、複数に分けて契約すればいいのでは?」と考える方もいますが、これは非常にリスクの高い判断です。


■ 「形式ではなく実質」で判断される

建設業法では、許可が必要かどうかを判断する際に、契約書の形式よりも“実質的な工事の一体性”が重視されます。

つまり、次のような要素があると、たとえ契約を分けていても「一体の工事」とみなされ、金額が合算される可能性があります。

実質一体とみなされる要素

  • 工事場所が同一
  • 工期が重なっている
  • 工事の目的・発注者が同一
  • 工事内容が連続・一体的
  • 一括発注が前提だったことが明らか(口頭契約・見積内容等)

このようなケースでは、複数契約であっても請負金額は「合算」して判断されるため、合計が500万円(税込)を超えていれば、建設業許可が必要になります。


■ 合算ルールの具体例

契約A契約B工事内容合計金額許可要否
クロス貼り 300万円フローリング施工 250万円同一店舗内装・同時施工550万円必要
1期工事 270万円2期工事 260万円同一現場・1ヶ月以内に連続施工530万円必要
トイレ内装 230万円会議室内装 220万円フロア別・施工時期も異なる450万円不要(軽微)

具体例での許可要否判断表

ここまで、「500万円基準」「消費税や支給材料の扱い」「契約の合算ルール」と、建設業許可の要否判断にかかわる重要なポイントを見てきました。

しかし、実務では「理屈はわかったけど、結局ウチのケースはどうなのか?」と感じる方も多いはずです。
そこで本節では、実際の内装仕上工事業にありがちなシチュエーションを想定した判断例を一覧表でご紹介します。


■ 内装仕上工事の許可要否判断表

ケースNo工事内容契約形態金額(税抜)消費税支給材料合計金額(換算)許可要否
クロス+床工事一括契約480万円48万円無し528万円必要
クロス工事のみ単独契約450万円45万円無し495万円不要(軽微)
クロス+天井工事分割契約(2通)300万円+250万円55万円無し605万円(合算)必要
クロス工事+施主支給床材設置一括契約450万円45万円70万円相当565万円必要
クロス+床工事(別フロア・別時期)分割契約(時期別)300万円+250万円55万円無し実質別工事扱い不要(条件付)

■ 読み解きのポイント

  • ケース①・④のように、500万円超+税や材料含むケースでは許可が必要。
  • ケース②のように税込でも500万円未満であれば、原則軽微工事として許可不要。
  • ケース③のように、実質一体の工事を分割しても合算扱いとなる。
  • ケース⑤のように、別フロア・別目的・別時期など明確な区分がある場合は、個別契約として扱われる余地あり。

まとめ|「許可が必要かどうか」自己判断せず専門家に確認を

内装仕上工事では、工事の性質上500万円を超えやすく、また材料支給や契約分割などで金額判断が難しい場面も多くあります。

しかも、行政の判断は「書類上の契約」ではなく「実質の工事内容」で行われます。

「軽微だと思ってたのに…」
「税抜きならセーフのはずが…」
そんな判断ミスが、違法な無許可営業につながってしまうリスクは決して他人事ではありません。


その判断、本当に合っていますか?一度、行政書士に相談を

もし、次のようなお悩みがあれば──

  • 500万円を超える工事が増えてきたが、許可を取るべきか不安
  • 材料支給や工事分割が絡んでいて、金額の判断が難しい
  • 自社の工事が「内装仕上工事業」だけで足りるのか分からない

そんなときは、建設業許可に精通した行政書士に一度ご相談ください。

三澤行政書士事務所では、

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第3章|【要件①】専任技術者の確保と「10年実務経験」証明の壁

資格 or 学歴 or 実務経験の3パターン

前章までで、内装仕上工事業において「どの工事が許可対象となるか」について具体的に見てきました。
では実際に建設業許可を取得しようとしたとき、まず最初に立ちはだかるのが「専任技術者の要件を満たせるかどうか」という壁です。

この専任技術者の配置は、営業所ごとに1名以上を常勤で確保することが義務づけられており、許可申請の審査において最もチェックされるポイントです。


■ 専任技術者になるには?3つのルート

専任技術者として認められるためには、大きく以下の3つの要件のいずれかを満たす必要があります。

パターン①:指定の国家資格等を保有している場合(資格要件)

たとえば、以下のような資格を取得していれば、無条件で要件を満たします。

資格名内装仕上工事業で該当する主な例
一級建築士すべての業種に対応
二級建築士一部の業種に対応(都道府県によって内装工事対応可)
建築施工管理技士(一・二級)指定学科卒業者に限るケースあり
内装仕上施工技能士1級:合格後3年以上/2級:合格後5年以上の実務経験が別途必要

ここでの「実務経験」は、内装仕上工事に関する工事に従事した年数でなければならず、他業種の経験や間接業務(営業・事務など)はカウントされません。


パターン③:10年以上の実務経験(経験要件)

最も多いのがこのケースです。特に個人事業主や職人出身の方で、資格や学歴がない場合でも、「10年以上の実務経験」が証明できれば、専任技術者として認定されます。

ただし、この「10年経験ルート」が最も証明資料の準備が大変であり、「壁」と言われる理由の中心でもあります。

この点については、次節で詳しく解説しますが、たとえば以下のような資料を10年分そろえる必要があります。

  • 工事請負契約書・注文書・請書
  • 請求書控えとその入金通帳
  • 確定申告書(青色申告決算書など含む)
  • 健康保険証・厚生年金記録など

これらの書類を、「工事に従事していたこと」と「常勤で継続的に関与していたこと」の両面から証明する必要があるため、非常に労力がかかります。


■ どのパターンでいけるかの見極めが重要

いずれのパターンも一長一短があります。
「資格を持っていない」「学歴が工業系ではない」「資料が揃っていない」など、どの要件で満たすのが最もスムーズかを初期段階で正しく見極めることが、許可取得をスムーズに進める鍵です。

実務経験証明の書類一覧(チェックリスト式で掲載)

前節でご紹介したように、資格や学歴がない場合でも、10年以上の実務経験があれば専任技術者として認められる可能性があります。

しかしこのルートの最大の課題は、「経験の裏付けとなる資料をいかにそろえるか」。
行政は「工事に10年関与していた」という申立てだけでは認めてくれず、裏付けとなる書類を時系列で整えて提出する必要があります

■ 実務経験証明に必要な書類一覧|チェックリスト形式

以下は、10年実務経験ルートでの許可申請に際し、一般的に求められる書類です。すべてを揃える必要があるわけではありませんが、できるだけ多くの書類を組み合わせて信頼性を担保することが重要です。

【1】工事実績を証明する書類

書類名内容必要年数分の収集が望ましいか
請負契約書(元請・下請)発注者と交わした工事契約書◎(時系列的に10年分)
注文書・請書書面での受発注関係の証明
見積書控え金額・工事項目の裏付け資料
工事写真工事中の施工内容・作業様子
工事台帳・工程表・報告書現場関与を示す内部資料

※すべてが10年分そろわない場合でも、できる範囲で継続性を証明することが大切です。

【2】報酬・収入を証明する書類

書類名内容備考
請求書控え施工に対する請求の証拠業務の対価性を示す上で有効
入金通帳の写し工事代金の入金履歴証拠能力が高い
青色申告決算書/収支内訳書売上・経費・事業実態の証明毎年分必要
確定申告書(第一表)所得の申告実績税務署受付印付きが望ましい

※個人事業主の場合は、帳簿類と通帳をセットで提示できると信憑性が高くなります

【3】在籍・所属の継続性を示す書類(個人・法人どちらにも)

書類名内容備考
雇用保険加入証明/離職票従業員としての所属を証明雇用されていた期間の証拠に
健康保険証の写し勤務先・本人の継続確認に表面・裏面を両方提出
在籍証明書事業主による証明書元勤務先から取得が可能なら有力資料に
職務経歴書経験内容の補足資料他書類と併用すれば有効

※法人で役員として関与していた場合は、登記簿謄本や役員在任証明書などが有効です。

■ 書類収集のポイント

  • 書類単体よりも、複数を組み合わせて「整合性」と「継続性」を示すことが重要
  • 必要なのは「過去10年間のうち、通算で10年以上」ではなく、「連続した10年分」である点に注意
  • 同じ工事を証明する場合も、契約書+請求書+通帳入金+現場写真といった「4点セット」方式にできるとベスト

■ 実務経験証明のチェックリスト

以下の簡易チェックリストを使って、まずはご自身でどの程度資料がそろっているかを確認してみてください。

✅ 実務経験証明書類チェックリスト

  • 請負契約書が10年分そろっている
  • 注文書・請書が保存されている
  • 請求書と通帳入金の記録がある
  • 工事内容がわかる写真や報告書がある
  • 青色申告決算書や確定申告書を保管している
  • 健康保険証や在籍証明書で勤務状況が示せる
  • 工事内容の説明が可能な職務経歴書を用意できる

一人親方や個人事業主の注意点と自己証明方法

前節でご紹介した「実務経験証明書類のチェックリスト」からもわかるように、10年の実務経験を証明するには、公的な裏付けのある客観的資料が求められます。
この点において特に注意が必要なのが、一人親方や個人事業主として働いてきた方です。

■ なぜ一人親方の証明が難しいのか?

一人親方や個人事業主の場合、元請や取引先から工事を受注していたとしても、

  • 契約書を交わしていない
  • 現場写真を撮っていない
  • 請求書や帳簿を保管していない
  • 収支内訳書は提出していたが、工事内容が曖昧

といった理由で、10年分の「連続した」「内装工事に従事した」証明が困難になることが多く見受けられます。

建設業許可の審査では、「経験があること」ではなく、「経験を客観的に証明できること」が求められるため、
いくら現場歴が長くても、証拠書類が不十分であれば要件を満たさないという判断になる可能性があるのです。

■ 一人親方が用意すべき代表的な自己証明書類

以下は、行政が重視する「客観的な資料」として有効なものです。

書類名ポイント
確定申告書(第一表+収支内訳書)業種欄に「内装工事」「建設業」等と明記されているか
請求書の控え毎年継続的に内装工事として発行しているか
入金通帳の写し請求書と一致する日付・金額が確認できるか
注文書・請書形式は簡易でもよいが、年月日・工事内容・金額が明記されているか
現場写真対象物件・施工中の様子・自分が写っているなど証拠性があるか
工事一覧表(自主作成)年ごとの主な工事名・金額・発注者を一覧化し提出する(裏付け資料があれば有効)

これらを毎年分、少なくとも10年分積み上げていくことが理想です。難しい年がある場合も、部分的な補強資料を加えることで、一定の評価を得られる場合があります。

■ 自分で書いた「実務経験証明書」は通用しない?

行政が求めるのは、客観的に第三者が認められる証明資料です。
したがって、「本人が自分で記載した職務経歴書」だけでは原則として認められません。
職務経歴書は、あくまでも補助資料として提出し、他の書類とセットで整合性を持たせる形で活用することが大切です。

■ 審査で「落ちる」ケースとは?

実際に不許可になる例では、次のようなパターンが多く見られます:

  • 工事実績が10年分なく、断続的である
  • 金額や工事内容が特定できない請求書ばかり
  • 契約書類が存在しない(もしくは金額が不自然)
  • 収支内訳書の業種が「内装業」ではなく「清掃業」や「雑務」になっている

これらのケースでは、行政が「内装仕上工事業に10年従事した」と認定できないため、申請が却下されることになります。

■ 専門家に依頼すべき理由

このように、一人親方の許可取得には、

  • 書類の整理と時系列化
  • 足りない部分の補完ロジック
  • 書類の説得力を高める提出方法

など、高度な文書構成力と制度理解が求められます

「自分では大丈夫だと思っていたのに、不備でやり直しになった」
「後から資料が足りず、不許可になった」
という事例は決して少なくありません。

10年の実務経験があっても「証明できなければ」許可は取れない

ここまで見てきたように、専任技術者として認定されるための「実務経験ルート」は、最も多くの人が該当する一方で、最も書類上のハードルが高い方法でもあります。

特に一人親方や個人事業主の方は、

  • 契約書を交わさずに業務を行っていた
  • 書類の保存を十分にしていなかった
  • 記録があっても整理されていない

という理由で、本来は要件を満たしているにもかかわらず、不許可となってしまうこともあるのです。

「何年もやってきたから、許可なんてすぐ取れるだろう」
そう考えていた方こそ、実際に書類を集め始めてから不安になることが少なくありません。

  • どの資料をどう組み合わせればいいのか?
  • 自分の経験がどの要件に該当するのか?
  • 申請書類はどう作るべきか?

三澤行政書士事務所では、内装仕上工事業に特化した豊富な経験をもとに、書類収集から申請までを徹底的にサポートいたします。

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第4章|【要件②】経営業務の管理責任者・財産的基礎・誠実性

それぞれの簡易解説+必要書類の例

前章では、建設業許可において最もハードルが高いとされる「専任技術者」の要件とその証明方法について詳しく見てきました。
しかし、許可を取得するためにはそれだけでは不十分で、追加で3つの要件を満たす必要があります。

  • 経営業務の管理責任者(通称:経管)
  • 財産的基礎
  • 誠実性

ここでは、それぞれの要件についての概要と、申請に必要な書類例を簡潔にご紹介します。

■ 経営業務の管理責任者とは?

【要件の内容】

「経営業務の管理責任者」とは、営業所に常勤し、建設業の経営全般について総合的に管理した経験を有する者をいいます。
2020年10月の制度改正以降、要件の柔軟化が図られたことで、役員以外の者や共同経営者的立場の従業員も対象になっています。

【認められる経営経験(例)】

  • 法人の役員として5年以上、建設業の経営管理を行っていた
  • 個人事業主として5年以上、建設業を営んでいた
  • 建設業者の補佐的立場(取締役・事業部長など)で6年以上の実務がある
  • 上記の経験を組み合わせた通算でも可(例:役員3年+個人2年)

【提出書類例】

書類名備考
役員在任証明書・履歴事項全部証明書法人役員の在任期間を証明
確定申告書・開業届・青色申告決算書個人事業主時代の経営経験を証明
組織図・業務分掌表・辞令・職務経歴書補佐的立場での実務経験を証明

■ 財産的基礎とは?

【要件の内容】

建設業許可を受けるには、一定の資金的な裏付けも求められます。
これは、継続的な施工を行えるだけの経営基盤があるかどうかを見るための審査です。

【一般建設業許可の場合の要件】

  • 自己資本が500万円以上ある
  • または、直前5年以内に許可を受けていた実績がある
  • または、500万円以上の資金調達能力を示せる

【提出書類例】

書類名備考
貸借対照表個人事業主なら決算書(青色申告決算書など)
預金残高証明書金融機関発行の500万円以上の残高証明
納税証明書・資産明細書財務状況の補完資料として提出

■ 誠実性とは?

【要件の内容】

「誠実性」とは、法令違反を起こさず、健全な事業活動を行っていることを意味します。
特に重視されるのは、暴力団関係者でないことや、過去に許可取消・刑罰歴がないことです。

【チェックされる主な項目】

  • 過去に建設業法違反や許可取消処分を受けていないか
  • 現在進行中の破産手続・税金滞納・民事訴訟がないか
  • 許可取得予定者や役員が、暴力団等の反社会的勢力に該当しないか

【提出書類例】

書類名備考
誓約書(様式あり)申請者・役員全員分を提出
身分証明書市区町村で取得。破産・禁治産等の有無を確認
登記されていないことの証明書法務局で取得。後見等の記録がないことの証明

■ 経営者本人がすべて該当する必要があるのか?

いいえ。申請者自身がすべての要件を満たしている必要はありません。
たとえば次のような役割分担型の構成でも許可取得は可能です。

役割担当者要件の例
経営業務の管理責任者経営者本人または取締役過去に建設業を営んでいた経験
専任技術者工事部長などの従業員資格または10年経験
財産的基礎法人の財務状況で判断預金残高・自己資本など

「技術者」だけでなく「経営の実績」も審査される

建設業許可の取得においては、単に「現場の技術者が優秀」であるだけでは不十分です。

  • 経営の実績(経営業務の管理責任者)
  • 財務の安定性(財産的基礎)
  • 法令順守と信頼性(誠実性)

この3つがバランスよく整って初めて、許可が与えられるのです。

「法人を立ち上げたばかりで財務基盤が不安」
「経営経験に該当するかどうか曖昧」
「誠実性のチェック項目に不安がある」

そんなときも、自己判断せずに一度ご相談ください。

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第5章|愛知県での申請手続きと流れ

知多建設事務所など管轄一覧(表形式)

前章では、建設業許可において必要な要件を一通り確認しました。
ここからは、実際にどこで申請を行うのか、どんな流れで手続きが進むのかを具体的に確認していきましょう。

まず押さえておきたいのが、「許可申請先は営業所の所在地を管轄する建設事務所ごとに決まっている」という点です。


■ 愛知県内の主な建設事務所一覧

下記は、愛知県の中で建設業許可(知事許可)申請を受け付けている各建設事務所と、その主な管轄市町村の一覧です。

✅ 建設事務所の管轄一覧(2025年時点)

営業所の所在地提出先(建設事務所等)
名古屋市内都市・整備局 都市基盤部都市総務課 建設業・不動産業室 建設業第二グループ
〒460-8501
愛知県名古屋市中区三の丸3-1-2(自治センター2階)
瀬戸市、春日井市、小牧市、尾張旭市、豊明市、日進市、清須市、北名古屋市、長久手市、愛知郡及び西春日井郡尾張建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒460-0001
愛知県名古屋市中区三の丸2-6-1(三の丸庁舎5階)
一宮市、犬山市、江南市、稲沢市、岩倉市及び丹羽郡一宮建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒491-0053
愛知県一宮市今伊勢町本神戸字立切1-4
津島市、愛西市、弥富市、あま市及び海部郡海部建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒496-8533
愛知県津島市西柳原町1-14(海部総合庁舎6階)
半田市、常滑市、東海市、大府市、知多市及び知多郡知多建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒475-0828
愛知県半田市瑞穂町2-2-1
岡崎市、西尾市及び額田郡西三河建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒444-0860
愛知県岡崎市明大寺本町1-4(西三河総合庁舎6階)
碧南市、刈谷市、安城市、知立市、高浜市知立建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒472-0026
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新城市及び北設楽郡新城設楽建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
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豊橋市、豊川市、蒲郡市、田原市東三河建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒440-0801
愛知県豊橋市今橋町6

■ 知多地域の事業者は「知多建設事務所」で申請

三澤行政書士事務所が所在する知多半島地域においては、知多建設事務所(半田市)が申請窓口となります。
内装仕上工事業を営む中小事業者の多くがこの地域に営業所を構えているため、管轄を間違えずに申請を行うことが非常に重要です。

■ 他府県に支店がある場合はどうなる?

たとえば、本店が愛知県内にあり、他府県にも支店がある場合は、「知事許可」ではなく「大臣許可」が必要になるケースもあります。
営業所の数と場所によって、許可の種類・申請先が異なるため、組織形態が複数拠点にまたがる場合は、事前に確認をしておきましょう。

■ 各建設事務所の提出方法・受付日にも注意

建設事務所によっては、

  • 完全予約制
  • 月・水・金のみ受付
  • 書類事前チェックの必要あり
  • 郵送不可、持参のみ対応

など、受付の運用に違いがある場合があります
提出前には、各建設事務所の公式サイトまたは電話で、受付日時・提出形式の確認を行うことが確実です。

準備から許可証受領までの流れ(時系列図解)

ここでは、実際の申請の流れを「準備段階」から「許可証の受領」まで時系列で追いながら、全体のスケジュール感と必要なアクションを把握していきましょう。


■ 内装仕上工事業で許可を取るまでの標準的なスケジュール(一般知事許可・新規)

以下は、実務上の平均的な流れと所要日数を示した例です。個別の事情や申請内容によって多少前後します。

⏱ 時系列フロー(目安)

フェーズ主な内容所要日数担当
① 事前準備要件確認・必要書類の洗い出し1〜3日申請者+行政書士
② 書類収集実務経験・経管・財務・誠実性などの証明資料収集1〜3週間申請者中心
③ 書類作成申請書・添付資料の作成および整理3〜7日行政書士が主導
④ 事前相談建設事務所での書類確認(予約制)1〜2週間先が多い行政書士または本人
⑤ 正式提出窓口持参による申請書提出当日行政書士または本人
⑥ 審査期間内容審査(不備対応・追加資料要請含む)約30〜45日建設事務所側
⑦ 許可通知・許可証交付郵送で通知・原本の交付通知後1週間前後建設事務所から

※全体で【約1.5〜2.5ヶ月】が目安
※「大臣許可」や「業種追加・更新」とは異なる流れになることがあります


■ フローチャートで見る許可取得の流れ

【START】
 ↓
要件確認(経管・専技・財産・誠実性)
 ↓
必要書類の収集(経験・学歴・申告資料等)
 ↓
行政書士による書類作成・不備チェック
 ↓
建設事務所で事前相談(面談/書面確認)
 ↓
正式申請
 ↓
建設事務所での審査(1〜1.5ヶ月)
 ↓
【許可通知】
 ↓
許可証の交付(営業所で保管義務あり)
【GO! 許可業者としての営業開始】

■ 知多建設事務所での注意点(愛知県・知多地域向け)

  • 完全予約制で、事前相談をしないと受付できない場合が多い
  • 提出書類の細かな表現や記載様式に地域ごとのローカルルールがある
  • 時期によって申請が集中し、受付予約が取りづらいことも

これらを踏まえ、「急いで取りたい」場合でも、逆算して早めに準備を始めることが必須です。

必要期間(1.5~2.5ヶ月)と費用(行政手数料・実費)

ここでは、実務で特に関心の高い「期間」と「費用」について、内装仕上工事業で一般知事許可を新規取得する場合を前提に、詳細を見ていきます。

■ 許可取得までにかかる期間(所要目安)

内装仕上工事業における新規許可取得には、以下の2段階で期間がかかります。

⏱ 準備期間(書類収集・作成)

内容目安期間備考
必要書類の収集1〜3週間専任技術者や経管の資料次第で変動大
申請書作成・行政対応3〜7日行政書士が行う場合は短縮可能

✅【準備期間】… 2〜4週間


⏱ 行政審査期間(建設事務所)

内容目安期間備考
書類提出日〜審査完了約30〜45日書類に不備がなければ。
許可通知〜証明書交付1週間前後通知後に交付日程の案内あり

✅【審査期間】… 1〜1.5ヶ月


🕓 全体所要期間のまとめ

区分準備〜許可取得までの合計期間(目安)
最短ケース約1.5ヶ月(書類がすべて揃っている)
標準ケース約2ヶ月(3〜4週間の準備+審査)
時間がかかるケース約2.5ヶ月(実務経験証明に時間を要する)

■ 許可申請にかかる費用(愛知県の場合)

建設業許可の申請にかかる費用は、大きく「行政手数料」と「実費・代行費用」に分けて考えることができます。

【1】行政手数料(愛知県への支払)

項目金額備考
一般建設業 許可申請(知事・新規)90,000円愛知県収入証紙で納付

※建設業種を追加する場合や、大臣許可の場合は金額が異なります。


【2】実費・その他費用(書類取得など)

費目概算備考
登記簿謄本(法人)約600円/通インターネット取得も可
住民票/身分証明書等約300〜400円/通役員全員分必要
登記されていないことの証明書300円法務局で取得
郵送費・コピー代数百円〜書類提出・郵送控え用

✅【実費合計目安】… 1,000円〜3,000円前後


【3】行政書士報酬(依頼時)

区分相場感(愛知県内)
一般知事許可(新規)100,000〜150,000円前後(税込)
実務経験証明の対応あり上記に加算あり(+2〜3万円)

※三澤行政書士事務所では、明瞭な料金体系で初回相談無料・見積提示ありです。


費用・期間を「無駄にしない」ためにできること

建設業許可の取得は、時間もお金も決して小さくない投資です。
特に、以下のようなリスクを避けるために、初期段階からの専門家関与が鍵になります。

  • 書類不備による申請却下・再提出
  • 期間超過で営業機会を失う
  • 実務経験証明の不十分による不許可
  • 必要書類の取り違えによるやり直し
  • 書類準備から許可取得までは最短でも1.5ヶ月以上
  • 申請時には9万円の行政手数料と、その他実費数千円が必要
  • 専門家の関与によって時間短縮・不備防止・トータルコストの削減が可能に

「急ぎで許可が必要になった」
「書類の準備が面倒で後回しにしていた」
「要件が曖昧で手が止まっている」

そうしたときこそ、まずは一度ご相談ください。

三澤行政書士事務所では、

✅ 許可取得までのスケジュール逆算
✅ 必要な要件の整理と診断
✅ 書類収集の段取り・取得サポート
✅ 愛知県特有のローカル実務にも完全対応

▶「まずは無料相談」から、お気軽にご連絡ください。建設業許可を確実に・最短で取得したい方をサポートいたします。

第6章|複数業種の同時申請は可能?将来を見据えた許可戦略

内装工事に付随する塗装・大工業の許可も視野に

前章までで、内装仕上工事業における許可取得の流れや費用、期間などを一通り確認してきました。
しかし実務では、内装工事を行うだけでなく、塗装や木工造作などの付随工事も一体で請け負うケースが多いのではないでしょうか?

このような場合、「内装仕上工事業」の許可だけでは不十分になる可能性があります。
ここでは、内装業者が将来的に視野に入れておくべき“複数業種の許可取得”について解説します。

■ 内装業者が取りがちな「よくある追加業種」

✅ 塗装工事業(業種コード170)

  • 【主な内容】内装の壁・天井・建具などに対する塗装(ペンキ・ウレタン・エポキシ等)
  • 【よくある例】クロス貼り後の壁面にペンキを塗装/下地の防錆処理を含む施工

内装仕上工事と同時に施工されやすい塗装作業ですが、塗装部分の請負金額だけで500万円(税込)を超える場合は、塗装工事業の許可が別途必要になります。

✅ 大工工事業(業種コード030)

  • 【主な内容】間仕切り壁や造作家具などの木工施工、下地の骨組み
  • 【よくある例】軽鉄ではなく木材で下地を組む/カウンター・棚などを木材から製作

「壁紙を貼る前の下地を木材で組んでいる」
「現場加工で木製造作家具を設置している」
といった場合は、大工工事業に該当する可能性が高くなります。

■ 「まとめて請け負う」ことが多いなら、複数業種取得が合理的

現実の現場では、次のような工事パターンが増えています:

工事構成備考
クロス貼り+床貼り+壁面塗装内装仕上+塗装工事業が必要
間仕切り壁(木造)+天井仕上げ大工工事業+内装仕上工事業が必要
店舗改装一式(内装+塗装+造作家具)内装仕上・塗装・大工の複数許可が必要な可能性大

もし一括請負する内容の中で別業種の金額だけで500万円を超える要素があるなら、その業種の許可も視野に入れる必要があります。

■ 同時申請は可能か?→「一括での申請」はむしろ推奨

建設業許可は、同時に複数業種をまとめて申請することが可能です。
しかも、申請手数料(90,000円)は「業種ごと」ではなく「1回の申請ごと」に発生するため、後から追加するより初回でまとめた方がコスト面でも合理的です。

【例】初回申請時に3業種を同時申請

申請内容行政手数料備考
内装仕上工事業のみ90,000円許可1業種
内装+塗装+大工(3業種)90,000円業種数が増えても同額

✅ 書類作成は若干煩雑になりますが、業種ごとに別日で申請するよりもトータルでははるかに効率的です。

■ 許可業種を戦略的に選ぶ視点とは?

短期的に必要な許可だけでなく、「将来的にどこまでの工事を請け負う予定か?」という観点で許可業種の取得戦略を考えることが重要です。

  • 今はクロスと床だけでも、いずれ原状回復一式を請けたい
  • 大工・塗装の職人を外注ではなく社内化したい
  • 複数業種を持っていた方がゼネコン・不動産業者からの信頼が上がる

このような方針があるなら、早期に複数業種を取得しておくことで営業面でのアドバンテージにもつながります。

業種追加の費用と手続き

前節では、内装工事業者が実務で関わることの多い塗装工事業や大工工事業の同時取得のメリットについて解説しました。
しかし、現時点で他業種の工事を請け負う予定がなく、まずは内装仕上工事業だけで申請したいというケースも当然あります。

そのような場合でも、後から「業種追加」という形で別業種を追加することが可能です。
この節では、その業種追加の費用・手続きの流れ・注意点について詳しく解説します。

■ 業種追加はできる?→「もちろん可能。ただし費用は再発生」

建設業許可を取得後に、業種を1つ追加することは制度上明確に認められています
ただし、以下の点に注意が必要です。

✅ ポイント

  • 「新たな申請」となるため、新規と同じような審査・書類が必要
  • 専任技術者の要件は、追加する業種ごとに別途必要
  • 行政手数料は1回の申請ごとに発生する

■ 業種追加の流れ(一般知事許可の場合)

フェーズ内容所要期間(目安)
① 要件確認新たな業種の専任技術者が確保できるか1〜3日
② 書類収集・作成申請書+技術者の証明資料など1〜2週間
③ 建設事務所に申請原則予約制・書類チェックあり即日提出可
④ 審査期間内容審査(不備対応含む)約30〜45日
⑤ 許可通知・許可証変更登録情報に追加業種が反映される通知後1週間前後

✅ 全体で約1.5ヶ月程度を見込んでおくと安心です。

■ 業種追加の費用感(愛知県の場合)

【1】行政手数料(収入証紙)

区分金額
一般建設業:業種追加(知事許可)50,000円(2025年時点)

※同時に複数業種を追加しても、1回の申請であれば50,000円に変わりありません。

【2】実費・行政書士報酬(目安)

費目金額(概算)備考
登記簿謄本・住民票など約1,000〜2,000円必要な分のみ取得
行政書士報酬80,000〜120,000円技術者証明の難易度で変動

✅ 技術者証明が「資格保有」などでスムーズな場合は比較的低コストで済みます。

■ 後から追加するより同時申請が有利な理由(再確認)

タイミング行政手数料技術者証明時間コメント
新規時にまとめて申請90,000円(固定)各業種必要まとめて準備コスト・効率ともに◎
後から業種追加50,000円/回各業種必要別途1.5ヶ月手間・費用が別途発生

つまり、「迷っている業種」があるなら、先に取ってしまった方が結果的に安く、早く、確実です。

✅ まとめ|許可業種は「今」だけでなく「未来」を見据えて設計を

  • 内装工事だけでなく、塗装や大工などの複数業種が必要になる場面は多い
  • 許可取得時にまとめて申請すれば手数料は90,000円で固定
  • 後から業種を追加する場合は、手続きも費用も“再度発生”

許可取得は一度きりではありません。事業の成長を見据えた中長期視点で、必要業種を見極めておくことが重要です。

  • 「まずは内装業だけで…」と思っていたけど、実際には塗装や大工の工事も多い
  • いざ業種追加しようとしたら、書類が揃わない・人が辞めていた…
  • 初回でまとめて申請しておけばよかったと後悔…

そんな声を、私たちは何度も聞いてきました。

三澤行政書士事務所では、現在の事業内容だけでなく、将来の展開や営業スタイルまで見据えた「許可戦略設計」をご提案いたします。

✅ 現場実態と許可業種のマッチング診断
✅ 初回での複数業種同時申請にも対応
✅ 内装業に強いからこそ提案できる「実務ベース」の許可戦略

▶ まずは初回無料相談から、あなたの許可取得プランを一緒に描きましょう。

第7章|建設業許可を取得する5つのメリット

建設業許可の取得は、単なる「法律上の義務を満たすための手続き」ではありません。
実は、許可を持つことで得られる事業上のメリットは非常に大きく、経営戦略においても重要な意味を持ちます

ここでは、特に内装仕上工事業を営む中小建設事業者にとって実感しやすい、「許可を取る5つのメリット」について具体的に見ていきましょう。


500万円以上の案件受注

✅ 許可がなければ「受けられない工事」がある

建設業法では、内装仕上工事業などの専門工事であっても、税込500万円以上の工事を請け負うには許可が必要です。

例えば次のようなケースでは、許可がなければ違法になる可能性があります:

  • テナント原状回復工事一式:600万円(税込)
  • 商業施設の内装施工:850万円(税込)
  • 複数フロアの内装リニューアル:1,200万円(税込)

✅ 許可を取得することで、500万円以上の案件を合法的かつ堂々と請け負うことが可能になります。これは売上規模の拡大に直結します。


信用力UPと金融機関の評価

✅ 許可業者=公的に信頼された「事業者」

建設業許可を受けるには、

  • 一定の技術力(専任技術者)
  • 経営管理能力(経営業務の管理責任者)
  • 財務基盤(500万円の資産)
  • 法令順守姿勢(誠実性)

など、事業者としての基本能力があることを行政により認定される必要があります
そのため、許可を取得していることで次のような評価が得られやすくなります。

  • 金融機関からの融資審査でプラス評価
  • 不動産オーナーや元請企業からの信頼度向上
  • 官公庁・大手ゼネコンからの業者登録要件クリア

公共工事参入(経審の前提)

✅ 経審(経営事項審査)には許可が必須

公共工事(役所や自治体からの発注)に参入するには、「経営事項審査(経審)」を受ける必要があります。
この経審の申請には、建設業許可を持っていることが大前提です。

また、公共工事での受注実績は以下のような効果もあります。

  • 自社の技術力と信頼性の証明
  • 民間顧客への営業ツールとして活用可能
  • 同業他社との差別化

愛知県内でも、内装業者の公共案件(学校・公共施設の内装更新など)は一定数あり、これに参入するための第一歩が「建設業許可の取得」です。


受注単価UPの可能性

✅ 「無許可業者」は価格競争に巻き込まれやすい

許可を持っていない業者は、法令上の制限だけでなく、市場からの見え方にも大きな影響を受けます。

  • 「無許可=規模が小さく信用力が低い」という先入観
  • 「とりあえず安くやってくれそう」という価格重視の発注先ばかり
  • 入札や見積もりの段階で除外されるケース

これに対して、許可を持っている業者は「安心して任せられる業者」として認知され、単価の低い価格競争から脱却できる可能性があります。


競合他社との差別化

✅ 許可取得の有無は選ばれる分岐点になる

内装工事業界は参入障壁が低いため、「個人事業者・一人親方」のまま営業している業者も少なくありません。
しかし、元請けや発注者の目線から見ると、「許可の有無」は発注判断の明確な基準になります。

  • 同じ実力なら「許可あり」を選ぶ
  • 元請企業は社内基準で「許可あり業者しか発注できない」場合も
  • ウェブサイトや名刺、見積書に「許可業者」と明記できることの安心感

✅ 将来、法人化や拡大を見据えるなら、許可の有無がブランド構築の鍵にもなり得ます。


✅ まとめ|建設業許可は「攻めの経営戦略」につながる

ここまで、内装仕上工事業者が建設業許可を取得することによる5つのメリットを見てきました。

メリット意味すること
500万円以上の案件受注法令違反リスクなしで売上拡大
信用力UP金融機関・元請からの評価向上
公共工事参入安定した受注源への第一歩
受注単価UP安売り脱却・価値で選ばれる業者へ
他社との差別化将来のブランディング強化に

許可を取ることは、単なる「作業」ではなく、中長期的な経営の選択肢を広げる“武器”になるのです。


「今はまだ早い」ではなく、「今がその時」かもしれません

  • 最近、500万円を超える案件が増えてきた
  • 規模を広げていきたいと考えている
  • 元請から「許可ないの?」と聞かれることが増えた

そんなあなたへ。
三澤行政書士事務所では、あなたの状況に合わせた「建設業許可取得の最適解」をご提案いたします。

✅ 現場と法令の両面からの丁寧なヒアリング
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第8章|内装工事業者が許可を取るべき理由まとめ

「売上拡大」「信用力」「法令遵守」の三拍子を図解で整理

建設業許可は単なる“お役所の手続き”ではありません。
これまでの記事で見てきた通り、内装仕上工事業者が成長していくうえで、「売上拡大」「信用力」「法令遵守」という3つの軸において、極めて重要な役割を果たします。

ここではその関係性を、図解とともに整理してみましょう。


✅ 許可取得による3つのメリット関係図

メリット具体的な効果①具体的な効果②
売上拡大500万円以上の案件を受注可能公共工事や一括請負案件の獲得
信用力金融機関の融資判断でプラス評価元請・不動産会社からの信頼向上
法令遵守建設業法違反のリスクを排除安心して営業活動を拡大できる

この3つがそろうことで、「受注の幅が広がり」「信頼され」「継続的に事業が伸ばせる」状態が生まれます。
つまり、建設業許可は“攻め”と“守り”の両面を支えるライセンスだということです。


許可取得はコストではなく“投資”

「まだ売上が少ないから…」
「費用や手間が心配で…」
そうした理由で、建設業許可の取得を後回しにしている事業者様も多く見られます。

しかし、現場でチャンスが訪れるとき、許可がないことで“断らざるを得ない”状況になることこそが、本当の機会損失です。

  • 見積もり依頼が来たけど、金額が500万円を超えるから断った
  • 元請けから「許可がないなら発注できない」と言われた
  • 融資や助成金の申請で「許可証が必要」となりチャンスを逃した

これらはすべて、「取っておけば防げた損失」です。
裏を返せば、許可を取得することでそれらのチャンスを“取りに行ける”状態になるのです。


✅ 許可取得は「守り」だけでなく「攻め」の武器

スタンス内容
守りの視点無許可営業リスクの排除、法令遵守、安全性
攻めの視点受注機会の拡大、事業の信頼性向上、ブランディング

許可取得は、未来の事業成長への“投資”であり、確かな武器です。
「まだ早い」ではなく、「今から取るからこそ、未来を掴める」のです。


まとめ

三澤行政書士事務所では、
建設業許可の取得を「面倒な手続き」ではなく、「事業戦略」として一緒に設計することを目指しています。

✅ 現状の事業内容・将来の展開をヒアリング
✅ 必要な業種の選定・複数同時申請の可否を診断
✅ 書類作成から提出、許可取得まで一貫サポート

▶ 「今が動き出すタイミングかもしれない」と感じた方は、初回無料相談からぜひご相談ください。 あなたの事業に合った“許可戦略”を一緒に描いていきましょう。


建設業に関する手続きで、こんなお悩みはありませんか?

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そんなときは、建設系産業廃棄物業界出身の行政書士が対応する
三澤行政書士事務所にぜひご相談ください。

当事務所は、愛知県を中心に、中小企業・個人事業主の建設業者様を対象として、
建設業許可の新規申請から更新・変更届、関連制度(CCUS・経審など)まで幅広く対応しています。

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