こんにちは、行政書士の三澤です!

「道路を使う工事のたびに、何の許可が必要なのかわからない…」「そろそろ足場を設置する現場があるけど、警察?市役所?どこに相談すればいいの?」
そんな疑問やお悩みを感じていませんか?

この記事では、
・道路上に足場や仮囲いを設置したいと考えている建設業者の方
・資材置場や高所作業車の使用を予定している現場監督の方
・道路の使用に関して役所や警察とのやりとりを求められることが増えてきた下請け業者の方
といった、実務の現場で許可申請が必要になることの多い方々に向けて、

「道路使用許可」と「道路占用許可」の違いについて、初めての方でもわかりやすいように実務の視点から丁寧に解説していきます。

この記事を読むことで、
・それぞれの許可の目的や申請先の違いが明確にわかる
・自分の工事がどちら(あるいは両方)の許可対象になるか判断できる
・申請の流れや注意点、手続きの負担感もイメージできる
ようになります。

「うちの工事でも本当に許可がいるの?」「間違えると罰則はあるの?」「自分で申請すべき?それとも専門家に頼んだ方が早い?」
そうした悩みをお持ちの方の道しるべとなるよう、建設業界経験者として、要点を絞ってご紹介していきます。

それでは、さっそく見ていきましょう!

目次

「道路使用許可」とは?(道路交通法の許可)

道路使用許可とは、道路交通法第77条に基づいて、警察署長が発行する許可です。道路は本来、歩行者や車両の通行のためにあるものですが、工事やイベントなどで一時的に本来の使い方以外の目的で使用する場合、この許可が必要となります。

定義と目的(交通の安全・円滑を守るため)

道路使用許可の目的は「交通の安全と円滑な流れ」を守ることです。例えば、工事中に歩行者の安全が確保されていないと事故のリスクが高まり、結果として地域住民の不安や行政対応が必要になるなどの支障が生じかねません。そのため、警察が事前に審査し、必要な安全対策が講じられていることを確認するためにこの制度が存在します。

許可が必要となる行為(道路交通法第77条第1項)

道路交通法第77条第1項では、以下のような行為を道路上で行う場合、事前に警察署長の許可を得る必要があると定められています。これらはいずれも、交通の安全または円滑な通行を妨げる可能性があると判断されるため、許可制が敷かれています。

1号許可:道路で工事や作業をする行為

  • 道路舗装工事、掘削工事、マンホール工事
  • クレーン車・高所作業車・ダンプ等を用いた作業
  • 建設資材や重機の搬入・搬出に伴う作業

2号許可:道路に工作物を設ける行為

  • 電柱、街灯、看板、仮設アーチ、横断幕などの設置
  • イベントに使用する仮設ステージや飾り付け
    ※道路占用許可と併せて必要となるケースが大半です。

3号許可:場所を移動せずに道路上で露店等を出す行為

  • お祭りでの屋台や露店
  • 路上での物品販売(固定されたテント等)

4号許可:道路で祭礼・イベント・撮影等を行う行為

  • 神輿や山車、パレード、デモ行進
  • マラソン大会、ロケ撮影、募金活動、広報活動
  • 公道上での実証実験や集客イベントなど

これらの行為は「一時的なものであるかどうか」に関係なく、「交通の妨げになるか」が許可の判断基準となります。また、都道府県ごとに定める道路交通規則によって細部の運用が異なる場合があるため、実際には管轄警察署での確認が必須です。

特に建設業においては、足場の設置や資材置場の確保、作業車両の出入りなど、日常的な作業の中にこれらの許可対象行為が含まれていることが多く、現場ごとに的確な判断が求められます。

許可基準と条件

警察署長は、以下のいずれかに該当するときに許可を出します:

  1. 交通の妨げにならないと認められる場合
  2. 許可条件を付すことで、交通の妨げを回避できると認められる場合
  3. 一定の交通の妨げが予想されるが、社会的・公益的にやむを得ない場合

このように、警察の審査では「妨げの有無」よりも「安全対策の実施」で通るかどうかが決まる実務的な傾向があります。

実際の許可には、次のような条件が課されることが一般的です:

  • 保安資材(カラーコーン、バリケードなど)の設置
  • 夜間照明や警告灯の使用
  • 交通誘導員の配置(作業帯の前後など)
  • 歩行者用の安全通路の確保(バリアフリー配慮含む)
  • 工事時間の制限(交通量の多い時間帯は避ける)
  • 迂回路や案内標識の設置

これらの条件は、実務担当者にとって非常に重要です。なぜなら、違反した場合には許可の取り消しや事故対応の責任が発生するからです。

「道路占用許可」とは?(道路法の許可)

道路占用許可は、道路法第32条に基づいて道路管理者が発行するもので、道路空間(地上・地下・上空を含む)を継続的・排他的に使用するために必要な許可です。公共物である道路の機能を保ちながら、特定の目的のためにその一部を使うことを法的に認める制度です。

定義と目的(道路という公共空間の継続的使用管理)

道路占用許可の目的は、「道路の機能と安全を守りつつ、合理的な利用を認めること」です。特定の工作物や設備などを一定期間道路上に設ける場合、それが道路の本来の目的(通行など)に支障を与えない範囲で、適切に管理される必要があります。

対象となる物件の具体例(足場、電柱、埋設管など)

道路法施行令第7条では、占用の対象となる物件が定められています。建設業に関連する具体例としては、以下のようなものが挙げられます:

  • 工事用足場や仮囲い、朝顔、防護施設
  • 電柱、街灯、標識柱、郵便ポスト、公衆電話ボックス
  • 上下水道管、ガス管、通信ケーブル等の地下埋設物
  • 建物に付属する突出看板、日よけ、アーケードなど
  • 仮設の資材置場や詰所、建設機材の仮置き

一時的な設置であっても、物理的に道路空間を継続的に占有する場合は、占用許可が必要です。

管理者ごとの違い(国道・県道・市道)

占用許可の申請先は、占用対象となる道路の「管理者」によって異なります。

  • 指定区間の国道:国土交通省(地方整備局・国道事務所)
  • 指定区間外の国道・県道:都道府県(建設事務所など)
  • 市町村道:市町村(道路課・土木課など)

現場が複数の道路種別にまたがる場合は、それぞれの管理者に確認・申請が必要です。どの管理者が担当か不明な場合は、まず市役所・町役場の土木課に問い合わせるのが確実です。

許可の基準(道路法第33条)

道路管理者は、占用許可申請があった場合、以下の基準に適合するかどうかを審査します。

  • 占用物件の適合性:申請された物件が、道路法第32条第1項各号および関連政令に定められた占用可能な物件であること。法令に記載されていない物件については、原則として許可が下りません。
  • 占用の必要性(やむを得ないこと):道路の敷地外に物件を設置する余地がなく、やむを得ず道路を使用しなければならない場合に限られます。これは、不要な道路の侵害(encroachment)を防ぐための基本的な考え方です。
  • 政令基準への適合:占用の期間、設置場所、物件の構造が、道路法施行令などに基づく技術的な基準(交通の安全確保、道路構造の保全等)に適合している必要があります。例としては、上空占用物件に対する最低地上高(歩道上2.5m、車道上4.5m)や、突出幅の制限(1m未満)、耐風・耐震性などが挙げられます。

これらに加え、道路管理者は審査の中で、占用の公共性(営利目的に偏っていないか)、都市計画や将来の道路整備との整合性、安全性といった観点も考慮します。

なお、占用許可は当然に与えられる権利ではありません。特に「必要性」の基準を満たすかどうかは重要で、たとえば足場を敷地内だけで組めない理由が合理的に説明できなければ、許可されない場合もあります。また、技術基準を満たすことが前提であるため、占用物件の設計段階からこれらの要件を反映させることが、スムーズな許可取得に直結します。

許可の条件と占用者の義務

道路占用許可には、次のような条件と占用者の責任が伴います:

  • 占用者の責任:占用者(許可を受けた者)は、占用物件の維持管理を行い、常に安全な状態を保つ義務を負います。
  • 原状回復義務:占用期間が満了した場合や許可が取り消された場合には、占用物件を速やかに撤去し、道路を原状に回復する必要があります。
  • 権利譲渡の禁止:原則として、占用に関する権利を第三者に譲渡したり、貸与することは禁止されています。
  • 許可の取消し:以下のような場合には、許可が取り消される可能性があります:
    • 許可条件に違反した場合
    • 占用料を納付しない場合
    • 道路工事や維持管理の必要が生じた場合
    • 道路構造や交通に著しい支障が生じた場合
    • その他、公益上必要と認められる場合

これらの条件や義務に違反した場合、罰則や損害賠償の責任が発生することもあるため、占用者には高い遵法意識と管理能力が求められます。

「両方必要なケース」とは?

道路使用許可と道路占用許可は、それぞれ「行為(使用)」と「物件(占用)」に対して必要とされる許可制度ですが、実務においては両方の許可が必要となるケースが非常に多く存在します。

足場設置など、両方必要な典型的なケース

たとえば建設現場でよく見られる「足場の設置」。

  • 足場という“物件”が道路空間を物理的に占めるため → 道路占用許可
  • 足場を設置・撤去する“作業”を道路上で行うため → 道路使用許可

このように、物件の存在とそれに伴う作業が同時に発生する場合は、どちらか片方の許可では不十分です。

実務で混乱が起きやすい事例

他にも、以下のようなケースで許可の混同・不足が起きやすくなります:

  • 既設の埋設管のメンテナンス:占用許可はすでに取得済だが、掘削作業のために改めて使用許可が必要になることを見落としやすい
  • イベント設営:一時的なステージや看板などを設ける際に、物件の占用扱いとなるかどうかの判断があいまいで、結果的に許可が不足する
  • 警察署と市役所の間で申請内容の連携が取れていない:それぞれの窓口で異なる書類や説明を求められることがあり、申請者が混乱する

一括申請制度とその限界

道路法第32条第4項および道路交通法第78条第2項に基づき、両方の許可が必要な場合でも、一方の窓口で同時に申請することが可能とされています(「一括受付制度」)。

例えば、警察署の窓口で使用許可と占用許可の申請書を同時に提出すれば、警察が道路管理者に申請書を転送する形が取られます。これにより、窓口訪問の手間を減らすことができます。

ただし、この制度はあくまで「提出窓口の一本化」に過ぎず、

  • 実際の審査は各機関が個別に実施
  • 書類の不備や追加提出はそれぞれの機関とやり取りが必要
  • 処理期間が短縮されるとは限らない

といった限界もあるため、複雑な案件では結局、両方の窓口に事前相談を行う方が確実で早いケースが多く見られます。

このように、使用と占用の両制度を正しく理解し、両方の許可が必要かどうかを適切に判断することが、工期の遅延や手戻りを防ぐ鍵となります。

以下は、道路使用許可と道路占用許可の主な違いをまとめた比較表です。

比較項目道路使用許可道路占用許可
目的交通の安全と円滑の確保道路空間の管理、継続的な物理的占有の許可
根拠法道路交通法道路法
許可権者所轄警察署長道路管理者(国、都道府県、市町村)
対象交通に影響を与える「行為」(工事、作業、イベント等)道路空間を継続的に占める「物件・施設」(足場、看板、管路、乗入れ等)
性質一時的または継続的な「活動」に対する許可継続的な「物理的占有」に対する許可(排他的使用権)
期間行為の期間に応じて設定(例:足場1ヶ月程度、更新必要あり)法定上限あり(例:5年/10年)、更新必要あり
費用申請手数料(一括、都道府県毎に規定)占用料(継続的、物件・面積・場所・期間・条例で算出)
主な具体例道路工事、高所作業、資材搬入、祭礼、パレード、ロケ撮影、露店出店足場、仮囲い、突出看板、日よけ、電柱、上下水道管、ガス管、乗入れ施設
両方必要な場合占用許可が必要な物件の設置・撤去工事を行う場合など、非常に多い占用物件の設置・撤去工事を行う場合(使用許可も必要)

許可取得の流れと注意点【手続き実務】

道路使用許可と道路占用許可のどちらも、適切に取得するためには手続きの流れを把握しておくことが重要です。ここでは、申請のステップや注意点について簡潔に整理します。

道路使用許可(警察署対応)の流れ

  1. 事前相談(推奨):特に大規模工事や交通量の多い場所では、警察署の交通課に事前相談をしておくとスムーズです。
  2. 申請書の作成
    • 道路使用許可申請書
    • 見取図(位置図)
    • 作業帯図、交通整理図、安全対策図など
    • 工程表や設計図面(必要に応じて)
  3. 申請書の提出:使用場所を管轄する警察署へ提出します。書類の正確性が求められます。
  4. 手数料納付:都道府県によって異なりますが、愛知県では2,500円(収入証紙等で納付)
  5. 審査と許可証の交付:標準処理期間は7日程度(実働日)とされます。

道路占用許可(道路管理者対応)の流れ

  1. 事前相談(強く推奨):対象となる道路管理者(市役所、県、国など)の担当部署へ早期に相談し、必要書類や条件を確認します。
  2. 申請書の作成
    • 道路占用許可申請書
    • 位置図、平面図、立面図、横断図、構造図など
    • 占用面積求積図、現況写真、復旧計画図、工程表
  3. 申請書の提出:原則窓口での提出ですが、自治体によっては郵送・電子申請も一部可能です。
  4. 審査と協議:技術基準や道路構造、交通安全、公共性などの観点で審査されます。使用許可が必要な場合は警察との協議も入ります。
  5. 占用料の納付と許可書交付:許可が下りると納入通知書が発行され、占用料を納付します。

よくあるミスとその対策

  • 書類不備や添付漏れ:図面の縮尺や記載内容、提出部数など細かなミスで補正が必要になり、申請が遅れます。 → チェックリストで事前確認を行い、事前相談を活用する。
  • 申請タイミングの遅れ:必要な処理日数を見誤り、工期に間に合わないケース。 → 工事予定日の2〜3週間前には申請を済ませる計画を立てる。
  • 期間管理の漏れ:使用許可(特に足場等)は最長1ヶ月など期間制限があるため、更新を忘れると無許可状態になる。 → 申請時に更新時期も含めて工程管理表に組み込む。
  • 申請先の誤認:県道と市道が交差するなど複数管理者にまたがる場合、申請先を誤ると時間をロスする。 → 管轄確認を最優先に行い、必要であれば両方に申請する準備を。

正確でスムーズな許可取得は、現場の進行と安全管理の要です。特に初めての申請や複雑な現場では、専門家である行政書士のサポートを受けることで、ミスや手戻りを未然に防ぐことができます。

行政書士に依頼するメリット

道路使用許可・占用許可の取得には、工事の内容や設置物の性質に応じて異なる判断や申請が求められ、申請者にとって負担の大きい業務です。そこで頼りになるのが行政書士です。ここでは、行政書士に依頼することで得られる具体的なメリットをご紹介します。

複雑な判断や書類作成をまとめて任せられる

どの許可が必要なのか、どこに申請すべきなのかといった判断は、道路法・道路交通法・地方の条例や運用実務にまたがる知識を要します。行政書士に依頼すれば、必要な許可の選定から申請先の特定、各種書類作成までワンストップで対応できます。

また、図面の精度や添付書類の整合性も審査の通過に直結するため、専門家に任せることで手戻りのリスクを大きく軽減できます。

工期遅延リスクの回避や現場集中のための合理的選択

建設現場では、申請の遅れや補正対応によって工期が後ろ倒しになることは致命的です。行政書士に任せることで、申請業務にかかる人員を本業に集中させつつ、並行して許可取得の準備を進めることができます。

特に、道路使用許可は「最長1ヶ月」での許可が多いため、スケジュール管理の面でも専門家のサポートが有効です。

専門家ならではの対応力(「両方必要なケース」や「市境・県境」の場合)

許可取得の実務では、足場などの“両方の許可が必要なケース”や、現場が市境・県境にまたがるような複雑な案件に直面することがあります。行政書士はそのような事案にも対応経験が豊富で、関係機関との調整・折衝にも慣れています。

また、地域の道路管理者や警察との信頼関係がある行政書士であれば、スムーズな申請進行にもつながりやすくなります。

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