産業廃棄物の「処分業」の許可は、収集運搬業の許可とは別に取得する必要があります。処分業は、廃棄物を焼却・破砕・脱水・中和などにより処理する「中間処理」と、最終的に埋め立てる「最終処分(埋立処分)」に大別され、それぞれで求められる施設が異なります。本記事では、処分業許可の基本的な考え方を整理します。

処分業の許可は、業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の許可で、収集運搬業と同じく、①施設、②申請者の能力(知識・技能、経理的基礎)、③欠格要件の3つの観点から審査されます(廃棄物処理法第14条第6項・第10項)。要件を満たせば必ず許可しなければならず、都道府県知事に許可するかどうかの裁量はないとされている点も収集運搬業と共通です(「産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務等の取扱いについて(通知)」(令和2年3月30日環循規発第2003301号。以下「許可事務通知」)第1の2)。

なお、排出事業者が自らその産業廃棄物を処分する場合や、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみを処分する場合などは、処分業の許可は不要です(廃棄物処理法第14条第6項ただし書、施行規則第10条の3)。

許可の「事業の範囲」は処分方法と品目で決まる

処分業の申請に係る事業の範囲は、「中間処理か最終処分か」の区分、「焼却処分、埋立処分等の処分の内容」、「取り扱う産業廃棄物の種類」によって示されます(許可事務通知第1の1)。申請に係る施設によっては取り扱えない性状の廃棄物もあるため、必要に応じて「汚泥(含水率何パーセント以下の無機性のものに限る。)」のように限定して許可される点に注意が必要です(同)。

処分の方法ごとに求められる施設基準

産業廃棄物処理業の許可を受けようとする者は、その事業の用に供する処理施設が、産業廃棄物の処分に関する計画に適合し、かつ生活環境の保全上支障が生じないような構造・規模を有していることが求められます。廃棄物処理法施行規則では、中間処理を業として行う場合と、埋立処分を業として行う場合とで、それぞれ別の条項(施行規則第10条の5第1号イ、第2号イ)により構造基準が定められています。

中間処理の場合(施行規則第10条の5第1号イ)

品目ごとに、次の処理施設を有することが求められます。

処分する産業廃棄物求められる処理施設
汚泥脱水施設、乾燥施設、焼却施設その他の処理施設
廃油油水分離施設、焼却施設その他の処理施設
廃酸・廃アルカリ中和施設その他の処理施設
廃プラスチック類破砕施設、切断施設、溶融施設、焼却施設その他の処理施設
ゴムくず破砕施設、切断施設、焼却施設その他の処理施設
その他の産業廃棄物その種類に応じ、処分に適する処理施設

※いずれも特別管理産業廃棄物であるものを除きます。

また、保管施設を有する場合には、産業廃棄物が飛散・流出・地下浸透せず、悪臭が発散しないように必要な措置を講じた保管施設であることが求められます(同(7))。

最終処分(埋立処分)・海洋投入処分の場合(施行規則第10条の5第2号イ)

埋立処分を業として行う場合は、産業廃棄物の種類に応じ、埋立処分に適する最終処分場及びブルドーザーその他の施設を有することが必要です。海洋投入処分を業として行う場合は、自動航行記録装置を装備した運搬船を有することとされています。

一定規模以上の処理施設(焼却施設等)については、処分業許可とは別途「産業廃棄物処理施設設置許可」が必要になる点にも注意が必要です(廃棄物処理法第15条第1項)。対象となる施設は政令で定められており、例えば次のようなものが該当します(施行令第7条)。

  • 汚泥の脱水施設で、1日当たりの処理能力が10立方メートルを超えるもの
  • 廃油の油水分離施設で、1日当たりの処理能力が10立方メートルを超えるもの
  • 廃酸・廃アルカリの中和施設で、1日当たりの処理能力が50立方メートルを超えるもの
  • 廃プラスチック類の破砕施設で、1日当たりの処理能力が5トンを超えるもの
  • 木くず(建設業等から生じたもの)またはがれき類の破砕施設で、1日当たりの処理能力が5トンを超えるもの
  • 産業廃棄物の焼却施設で、1時間当たりの処理能力が200キログラム以上または火格子面積が2平方メートル以上のもの
  • 産業廃棄物の最終処分場

建設業者ががれき類や木くずの破砕による中間処理を始める場合は、「日量5トン」が設置許可の要否の分かれ目になります(設置許可の手続きは別記事で詳しく解説します)。

実務上、許可されない・注意すべき処理方法

審査基準上、海洋投入処分を業として行うことは原則として認められていません(愛知県「産業廃棄物処分業の審査基準」(令和6年1月31日改正)3)。また、油圧ショベルやブルドーザー、ホイールローダーなどの重機については、処分に適する処理施設とは認められないため、重機による処理のみを内容とする処分業許可は取得できないとされています(ただし、事業場内での廃棄物の移動に重機を使用すること自体が禁止されるわけではありません)(愛知県「廃棄物関係の許可及び自動車リサイクル法 手続きQ&A」Q27)。

代表的な処分方法としては、廃棄物を砕く「破砕」、混合廃棄物を単品目ごとに分ける「選別」、汚泥中の固形分と液体分を分離させる「脱水」、廃棄物を燃焼させる「焼却」などがありますが、処理対象の廃棄物、目的、施設の構造等により個別に判断されるため、必ず事前に所管の窓口へ相談することが求められています(同Q26)。

選別施設の具体的な基準(愛知県の運用例)

選別施設(混合廃棄物を単品目ごとに分ける施設)を処分の用に供する施設とする場合、愛知県では次の基準が示されています(同Q29)。

  • 機械的作用を伴って混合廃棄物を単品目ごとに分けることができる施設であること。ベルトコンベア型であれば、ベルトコンベア、投入装置、磁選機等で構成される必要がある
  • 作業員1人あたりの選別品目は2品目まで
  • ベルト幅が75cmを超える場合は、作業員の手が届く範囲が限られるため、原則として両側に作業員を配置する
  • 選別ベルトコンベアの搬送速度は10m/分以下
  • 積み上げ高さは、フラットコンベアの場合、ベルト幅90cm未満なら側角20°まで、90cm以上なら10°まで

処理能力は「能力計算書」で示す

処理能力については、メーカーのカタログ・パンフレットの記載ではなく、構造・仕様に基づいて計算した能力計算書の提出が求められ、係数を用いる場合にはその根拠を明記する必要があります(同Q28)。

環境保全措置の記載例

申請書に記載する環境保全設備・措置については、処理施設の特性、用途地域や周辺の土地利用状況を踏まえ、周辺の施設・住宅・環境へ影響がないようにすることが求められます。一般的な例として、次のような措置が挙げられています(同Q30)。

  • 粉じん対策:集塵機の設置、散水
  • 騒音対策:防音壁の設置、低騒音型機器の導入
  • 振動対策:防振ゴムの設置
  • 悪臭対策:脱臭設備の設置
  • 降雨時・散水に伴う汚水対策:沈砂池の設置(排水が生じる場合は排水処理施設)
  • 油が付着している場合:防油堤や油水分離槽の設置
  • 地下浸透防止:床面のコンクリート舗装

処分業者の保管量には上限がある

処分業者が処分・再生のために保管する場合、保管量は原則として「その処理施設の1日当たりの処理能力×14」を超えてはならず(施行令第6条第1項第2号ロ(3))、保管期間も適正な処分・再生を行うためにやむを得ないと認められる期間に限られます(同(2)、施行規則第7条の6)。

ただし、建設工事に伴って生じた木くず、コンクリートの破片、アスファルト・コンクリートの破片で分別されたものを再生する処理施設では、処理能力×28(アスファルト・コンクリートの破片は×70)まで保管できる特例があります(施行規則第7条の8第1項第4号)。申請書にも保管場所の所在地・面積・保管する廃棄物の種類・処分等のための保管上限・積み上げ高さを記載するため(施行規則第10条の4第1項第6号)、処理能力と保管計画はセットで設計する必要があります。

申請者の能力に関する基準

収集運搬業と同様に、処分業についても申請者に知識・技能および経理的基礎があることが要件とされています(施行規則第10条の5第1号ロ、第2号ロ)。

知識・技能については、(公財)日本産業廃棄物処理振興センターが実施する処分に関する講習の修了証(新規許可講習・更新許可講習)の取得が確認方法として位置づけられています(愛知県「産業廃棄物処分業の審査基準」2(2)ア)。受講すべき者は、法人の場合は代表者、業務を行う役員(監査役を除く)、または施行令第6条の10に規定する使用人(業を行おうとする区域における処分業に係る契約を締結する権限を有する者)で、有効期間の考え方(新規:申請日から5年前まで、更新:有効期限翌日から5年前〜有効期限日まで、ただし直前の更新申請で修了したものを除く)は収集運搬業と共通です(同2(2)イ)。新規許可申請でも、既に特別管理産業廃棄物処分業の許可を持っている場合や、他の行政庁で処分業の許可を持っている場合などは、更新許可講習の修了証で足りるとされています(同2(2)イ(ア)b)。

経理的基礎については、収集運搬業よりも施設への投資額が大きくなる傾向があるため、資金計画の妥当性が審査上重要なポイントになります。

処分業の経理的基礎の審査基準

愛知県の審査基準では、営業実績3年以上の法人について、「直前3年の経常利益金額等(経常利益+減価償却費)の平均額が0以上」「直前事業年度の経常利益金額等が0以上」「直前事業年度において債務超過でない」のいずれかに該当することを求めたうえで、次のような場合は中小企業診断士または公認会計士による経営診断書(今後5年間の収支計画に基づくもの)を添付し、5年以内に健全な経営の軌道に乗ることを証明する必要があるとしています(愛知県「産業廃棄物処分業の経理的基礎に関する審査基準」(令和3年9月6日改正)第1)。

  • 直前事業年度において債務超過である
  • 3年平均または直前期の経常利益金額等がマイナスで、かつ直前事業年度の自己資本比率が0以上10%未満である
  • 3年平均と直前期がともにマイナスで、自己資本比率が10%以上であっても、経常利益金額等の伸び率が一定の基準(前期黒字から赤字に転じ伸び率がマイナス200%未満など)に該当する

営業実績3年未満の法人・個人は、一律に経営診断書の添付が必要です(同第3)。

国の通知が示す処分業特有の確認事項

国の通知では、処分業の経理的基礎について、次のような点を確認するよう求めています(許可事務通知第1の4)。

  • 「事業の開始に要する資金の総額」には、資本金のほか、施設整備費用、最終処分場の埋立終了後の維持管理費用、損害賠償保険の保険料、事業の継続的運営に支障を来すおそれのある抵当権等の登記を抹消する費用なども含まれる(同(3))
  • 資金調達を記載した書類には、借入先(融資条件を含む)、借入残高、年間返済額、返済期限、利率など一切の事項を記載する(同(4))
  • 中間処理業者は未処理の廃棄物の適正処理に要する費用が留保され、最終処分業者は埋立終了後の維持管理費用が計上されているか(同(6)②)
  • 多額の設備投資を要する場合は、当初は利益を計上できないことが多いため、減価償却に応じた損益の減少などを勘案して判断する(同(6)⑤)
  • 事業規模が大きい場合や自己資本に比して多額の設備投資を要する場合には、設備投資額が資金調達額と当期純利益の合計額を超えないかを確認できる事業収支計画書の提出を求めることがある(同(6)⑥)

申請書類の部数など実務上の留意点

処分業の許可申請書は、実務上「正本・副本・写し」の3部を提出することが求められる例が一般的です(収集運搬業は2部)(愛知県「産業廃棄物処分業の審査基準」1(1))。また、焼却施設や最終処分場など縦覧手続きを要する処理施設の設置許可申請では、さらに多くの部数(愛知県では50部)が必要になることもあり(愛知県「手続きQ&A」Q10)、収集運搬業の申請に比べて準備の負担が大きくなる点は事前に把握しておきたいところです。

処分業の申請で特有の記載事項・添付書類としては、次のようなものがあります(施行規則第10条の4)。

  • 事業の用に供する施設の種類、数量、設置場所、設置年月日、処理能力(最終処分場は埋立地の面積と埋立容量)(第1項第4号)
  • 処理施設の設置許可を受けている場合はその許可年月日・許可番号(第1項第5号)
  • 施設の処理方式、構造及び設備の概要(第1項第7号)
  • 中間処理の場合は、処分後の産業廃棄物の処理方法を記載した書類(第2項第4号)
  • 最終処分場の場合は、周囲の地形、地質及び地下水の状況を明らかにする書類・図面(第2項第2号)

このほか、愛知県の運用として次の点も押さえておきましょう。

  • 処分業の標準処理期間は52日(収集運搬業は39日)。行政庁の執務日(土日祝日を除く)で数え、不備の補正期間は含まれない(愛知県「手続きQ&A」Q6)
  • 申請手数料は、新規許可100,000円、更新許可94,000円、変更許可92,000円(同Q9)
  • 処分業の更新許可申請は、許可期限の4か月前から許可期限日までに行う(収集運搬業は3か月前から)(同Q7)
  • 処分業は受付時に県民事務所等で形式審査が行われ、実質的な審査は本庁(資源循環推進課)で行われるため、本庁から内容について指摘が入る場合がある(同Q1〜4の注記)

まとめ

処分業の許可要件は、取り扱う廃棄物の処分方法によって求められる施設が大きく異なるのが特徴です。次の点を事業計画の初期段階で確認しておくことをおすすめします。

  • 予定している処分方法・品目に「適する処理施設」を用意できるか(重機のみの処理は不可)
  • 処理能力が設置許可の基準(例:破砕施設は日量5トン超)を超え、処理施設設置許可も必要になるか
  • 処理能力と保管上限(原則14日分、建設系再生の特例あり)を踏まえた保管計画になっているか
  • 設備投資額と資金計画、将来の維持管理費用まで含めて経理的基礎を説明できるか

出典:

  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(第14条、第15条)
  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(第6条、第6条の10、第7条)
  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(第7条の6、第7条の8、第10条の3、第10条の4、第10条の5)
  • 産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務等の取扱いについて(通知)(令和2年3月30日環循規発第2003301号)
  • 愛知県「産業廃棄物処分業の審査基準」(令和6年1月31日改正)
  • 愛知県「産業廃棄物処分業の経理的基礎に関する審査基準」(令和3年9月6日改正)
  • 愛知県「廃棄物関係の許可及び自動車リサイクル法 手続きQ&A」