産業廃棄物収集運搬業の許可申請では、多岐にわたる書類の準備が必要です。「何をどこまで揃えればよいのか分からない」というお声を多くいただくため、本記事では申請時に一般的に求められる書類の全体像と、実務上の注意点を整理します。
申請書の様式・記載事項・添付書類は、廃棄物処理法施行規則第9条の2で定められています。そのうえで、各都道府県・政令市が独自の様式や記載例、添付書類一覧を公表しています(愛知県の場合、「あいちの環境」ホームページから申請書・届出書・添付書類一覧・記載例をダウンロードできるとされています(愛知県「廃棄物関係の許可及び自動車リサイクル法 手続きQ&A」Q5))。
申請の窓口と手数料・審査期間(愛知県の例)
愛知県では、次のような運用が示されています(愛知県「手続きQ&A」Q1〜4の注記、Q6、Q9、Q10)。
- 新規許可は、施設(積替え保管施設など)を設置する市町村を所管する県民事務所等が窓口。愛知県外の事業者で積替え保管施設を有しない収集運搬業の場合は、いずれの県民事務所等でも手続き可能
- 既に愛知県の許可を持っている場合は、必ず許可を取得した県民事務所等で手続きを行う
- 政令市(名古屋市、豊橋市、岡崎市、一宮市、豊田市)に施設を設置する場合は各市へ問い合わせる
- 申請手数料は、収集運搬業の新規許可81,000円、更新許可73,000円、変更許可71,000円(届出は手数料不要)
- 標準処理期間は、収集運搬業が39日(処分業は52日)。土日祝日を除く行政庁の執務日で数え、不備を補正する期間は含まれない
- 提出部数は、収集運搬業関係が2部(うち1部は申請者控えとして返却)、処分業・処理施設関係が3部
申請書に添付する主な書類
廃棄物処理法施行規則および関係通知では、産業廃棄物収集運搬業の許可申請にあたり、おおむね次のような書類の添付が求められています。
- 事業計画の概要を示す書類(取り扱う廃棄物の種類、運搬の方法・区域等)
- 事業の開始に要する資金の総額およびその資金調達方法を記載した資金計画書
- 直前3年間の各事業年度における貸借対照表・損益計算書等の財務関係書類(法人の場合)
- 定款または寄附行為および登記事項証明書(法人の場合)
- 住民票の写しおよび欠格要件に該当しないかどうかを審査するために必要と認められる書類
- 産業廃棄物の収集運搬に関する講習会の修了証の写し
- 車両・容器等、運搬施設の概要を示す書類(車検証の写し等)
これらは申請者の状況(個人か法人か等)や、許可を出す都道府県・政令市によって様式や取り扱いが異なる場合があるため、事前に管轄行政庁への確認が必須です。申請書は正本・写しの2部(処分業は正本・副本・写しの3部)を揃えるのが一般的な運用です(愛知県「産業廃棄物収集運搬業の審査基準」(令和6年1月31日改正)1(1))。
申請書に記載する事項(施行規則第9条の2第1項)
申請書(様式第6号)には、次の事項を記載します。
- 氏名または名称、住所、法人の場合は代表者の氏名
- 事業の範囲(取り扱う産業廃棄物の種類、積替え保管の有無)
- 事務所及び事業場の所在地
- 事業の用に供する施設の種類及び数量
- 積替え・保管を行う場合は、その場所の所在地、面積、積替え・保管を行う産業廃棄物の種類(石綿含有産業廃棄物・水銀使用製品産業廃棄物・水銀含有ばいじん等が含まれる場合はその旨)、積替えのための保管上限、積み上げ高さの最高のもの
- 他に産業廃棄物・特別管理産業廃棄物の処理業の許可を受けている場合は、その許可番号(申請中の場合は申請年月日)
- 申請者が未成年者の場合は、法定代理人の氏名及び住所
- 法人の場合は、役員の氏名及び住所
- 発行済株式総数の5%以上の株式を有する株主または出資額の5%以上を出資している者がいる場合は、その氏名または名称、住所、株式数または出資金額
- 施行令第6条の10に規定する使用人がいる場合は、その氏名及び住所
8〜10の「役員」「5%以上の株主」「政令使用人」は欠格要件の審査対象にもなるため、漏れなく記載する必要があります。
添付書類の全体像(施行規則第9条の2第2項)
条文上、添付書類は次のとおりです。
| 号 | 添付書類 | 対象 |
|---|---|---|
| 1 | 事業計画の概要を記載した書類 | 全員 |
| 2 | 施設(積替え・保管の場所を含む)の平面図・立面図・断面図・構造図・設計計算書、付近の見取図 | 全員 |
| 3 | 施設の所有権(または使用権原)を証する書類 | 全員 |
| 4 | 事業を行うに足りる技術的能力を説明する書類 | 全員 |
| 5 | 事業開始に要する資金の総額と調達方法を記載した書類 | 全員 |
| 6 | 直前3年の貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表、法人税の納付すべき額及び納付済額を証する書類 | 法人 |
| 7 | 資産に関する調書、直前3年の所得税の納付すべき額及び納付済額を証する書類 | 個人 |
| 8 | 定款または寄附行為、登記事項証明書 | 法人 |
| 9 | 住民票の写し、欠格要件に該当しないかを審査するために必要と認められる書類 | 個人 |
| 10 | 欠格要件に該当しない者であることを誓約する書面 | 全員 |
| 11 | 法定代理人の住民票の写し等 | 未成年者 |
| 12 | 役員の住民票の写し等 | 法人 |
| 13 | 5%以上の株主・出資者の住民票の写し等(法人株主は登記事項証明書) | 該当者がいる法人 |
| 14 | 政令使用人の住民票の写し等 | 該当者がいる場合 |
| 15 | 優良認定の基準に適合することを誓約・証明する書類 | 優良認定での更新時 |
「欠格要件に該当しないかどうかを審査するために必要と認められる書類」について、国の通知は、心身の故障に関する欠格要件の審査書類の具体例として医師の診断書、認知症に関する試験結果、登記事項証明書等を挙げています(「産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務等の取扱いについて(通知)」(令和2年3月30日環循規発第2003301号。以下「許可事務通知」)第1の5(2))。
法人の納税関係書類については、税務署の受付印または電子申請等証明書のある確定申告書の写し、確定申告書の別表の写し等と、納税証明書(その1)納税額等証明書の内容を審査するとされています(許可事務通知第1の4(1))。
5%以上の株主が外国法人の場合
5%以上の株主・出資者が外国法人で、日本国内で登記事項証明書が発行されない場合は、外国の公的機関(政府、地方政府、大使館等)等が発行するその法人の設立に関する書類とその日本語訳を、登記事項証明書として取り扱うとされています。日本の登記事項証明書の記載事項がすべて記載されていなくても差し支えなく、複写でもよいとされています(許可事務通知第1の9)。
政令使用人が登記上の支店代表者でない場合
政令使用人を置く場合で、その人が履歴事項全部証明書に登記されている支店等の代表者でないときは、使用人であることの証明書を添付する必要があります(愛知県「手続きQ&A」Q15)。
添付書類を省略・代替できるケース
次のような場合は、添付書類の一部を省略したり、別の書類で代替したりできます。
- 先行許可証の活用:平成12年10月1日以降に住民票の写し等を添付して受けた処理業・処理施設の許可で、許可の日から5年を経過していないものの許可証を提出すれば、住民票の写し等(第9号〜第14号の書類)の全部または一部に代えることができる(施行規則第9条の2第8項)。ただし、先行許可そのものの更新申請の際にその先行許可証を使うことはできない(許可事務通知第1の10(2)②)。提出した許可証は、その場で複写したうえで直ちに返還される(同④)
- 有価証券報告書:直前の事業年度の有価証券報告書を作成している場合は、財務書類(第6号)と定款・登記事項証明書(第8号)に代えて添付できる(施行規則第9条の2第7項、許可事務通知第1の8)
- 更新申請で内容に変更がない場合:事業計画の概要、施設の図面、使用権原を証する書類(第1号〜第3号)の添付は不要(施行規則第9条の2第9項)
- 優良基準に適合すると認められる場合:事業計画の概要、財務書類、定款の添付を要しないとすることができる(同条第6項)
なお、先行許可証の添付省略は都道府県知事の判断によるため、人的要件の審査が必要と認められる場合は省略させないこともあるとされています(許可事務通知第1の10)。
証明書類の有効期限に注意
納税証明書、履歴事項全部証明書、住民票の写し、土地・建物の登記事項証明書といった証明書類は、申請日より3か月以内に取得したものであることが求められるのが一般的です。優良認定を受ける場合の税金・社会保険料・労働保険料の未納がないことの証明書についても、同様に3か月以内の取得が必要とされます(愛知県「手続きQ&A」Q12)。時間を空けて申請書類を集めていると、先に取得した書類の有効期限が切れてしまうことがあるため、収集の順序やスケジュールに注意しましょう。
原本照合が必要な書類
愛知県では、次の書類は申請時に原本の持参が必要とされています(愛知県「手続きQ&A」Q11)。
- 講習会修了証(提出はコピー、申請時に原本と照合)
- 納税証明書、履歴事項全部証明書、住民票の写し(外国在住者は除票、戸籍抄本)、残高証明書、源泉徴収票、土地・建物の登記事項証明書、経営診断書(原本またはコピーを提出。コピーの場合は原本と照合)
- 先行許可証(使用する場合は原本を確認)
- 優良認定の場合のISO14001登録証、エコアクション21認定書等(コピーを提出し原本と照合)
- 優良認定の場合の国税・県税・市町村税・社会保険料・労働保険料の未納がないことの証明書(原本またはコピー)
決算書類(直前3期分)の考え方
法人の場合、法人税法上、決算日から2か月以内に確定申告を行うことが義務付けられているため、直近の決算日から2か月以上経過していれば、直近の決算日までの1年間が「直前期」となります。申請日が直近決算日から2か月以内で確定申告がまだの場合は、1期前の決算日までが直前期として扱われます。事業年度が1年に満たない場合でも、6か月以上あれば1期とみなされる運用が一般的です。個人の場合は1月から12月までの1年間が1期に該当し、直近で確定申告が終わっている期が直前期となります(愛知県「手続きQ&A」Q14-1)。
法人設立から3年未満で決算書類が3期分揃わない場合は、その旨を記載した理由書と、中小企業診断士・公認会計士による経営診断書をあわせて添付する必要があります(同Q14-2)。
個別注記表の記載事項
財務書類のうち個別注記表は、会社計算規則の規定により、会社の区分に応じて記載すべき注記が異なります。愛知県の手続きQ&Aでは、会計監査人を置かない非公開会社(多くの中小企業が該当)の場合、「重要な会計方針に係る事項に関する注記」と「株主資本等変動計算書に関する注記」が記載必須とされています(同Q14-4)。国の通知でも、個別注記表の内容確認にあたって、重要な会計方針、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、リースにより使用する固定資産に関する注記を確認することとされています(許可事務通知第1の4(1))。
兼業している場合の経理区分
建設業などと兼業している場合、国の通知は、できる限り廃棄物処理部門の経理区分を明確にして書類を提出させることとしています(許可事務通知第1の4(5))。資金計画書にも、資本金の調達方法、借入先、借入残高、年間返済額、返済期限、利率など資金調達に関する一切の事項を記載し、利益を資金に充てる場合はその見込み額を記載することとされています(同(4))。
講習会の受講が事実上の前提となる
前述のとおり、知識・技能の基準を満たしていることの確認資料として、産業廃棄物処理業の許可申請者向け講習会の修了証が使われるのが一般的です。講習は原則として新規許可講習を受講しますが、既に他の許可を持っている場合などは更新許可講習の修了証でも足りるケースがあります(愛知県「産業廃棄物収集運搬業の審査基準」2(2)イ)。講習会は開催日程が限られているため、許可取得のスケジュールを立てる際は、講習会の受講時期から逆算して準備を進めることが重要です。なお、更新許可申請の場合は、更新のたびに新たに講習を受講する必要があり、直前の更新申請で使用した修了証を再利用することはできません。
2026年度の講習会スケジュールの概要
(公財)日本産業廃棄物処理振興センターの公表によれば、2026年度の講習会は次のように運営されています(同センター「2026年度講習会 開催日程公表等の予定について」「2026年度講習会の開催日程の公表について」)。
- 処理業の許可申請に関する講習会(新規・更新)の申込受付は2026年3月24日9:00から、特別管理産業廃棄物管理責任者講習会は3月25日9:00から
- 申込みは同センターホームページからのWeb申込のみで、郵送による申込はできない
- 開催形式は、事前にパソコン等で講義ビデオを視聴し会場で修了試験のみを受ける「オンライン講習会」と、会場で講義を受けた後に修了試験を受ける「対面講習会」の2種類
- オンライン形式の試験は4月下旬から、対面形式は7月から順次開始
収集運搬課程と処分課程を同時に受講する課程(産収処課程など)もありますが、別々の日程で受講する場合は同時受講の料金は適用されないとされています(同センター「各講習会の概要と受講料」)。
車両の登録に関する実務ポイント
運搬車両については、車検証の使用者欄が申請者名になっているか(自己所有車か借用車か)、営業用ナンバー(緑ナンバー)の車両を借りる場合は運転手なしの車両のみの貸借であることが賃貸借契約書上明らかになっているか(運転手付きの貸借は名義貸しに該当するおそれがあります)、レンタカーであれば1年以上の契約期間があるかなど、細かな確認事項があります。また、がれき類・鉱さいなど、土砂運搬禁止車両では運搬できない品目もあるため、車両の種類と取り扱う廃棄物の組み合わせにも注意が必要です(愛知県「手続きQ&A」Q24-3〜Q24-6)。
このほか、愛知県では次の点も示されています(同Q24)。
- 車両写真は、正面と真横から1枚ずつ、全体が写るように撮影する(縦横比を変えない)
- 法人の場合、車検証の使用者が会社名なら自己所有車、代表取締役等の個人名なら借用車として扱う
- 原則として乗用車は使用できない
- 駐車場がNOx・PM法対策地域内にある場合、同地域で使用できない車両は使用できない
- 許可取得後に車両のナンバーを変更した場合は変更届出書の提出が必要
申請後の審査の流れ
申請書類が受理されると、行政側では次のような手続きが進められます。
- 固有番号の確認・付与:申請書類が形式的に整った段階で、審査を実施する前に、環境省の産業廃棄物行政情報システムで申請者が全国統一の「固有番号」を既に持っているかを確認し、持っていなければ固有番号の申請が行われる(「産業廃棄物処理業者及び特別管理産業廃棄物処理業者に係る許可番号等取扱要領について(通知)」(平成30年3月30日環循規発第18033022号)別添4(1)、別紙2)
- 欠格要件の照会:刑罰に関する欠格要件は、個人の場合は本籍地の市町村、法人の場合は本店所在地を管轄する地方検察庁への照会により調査される(許可事務通知第1の5(4))
- 警察本部長への意見聴取:新規・更新の許可をするときは、暴力団員等に関する欠格要件について、都道府県警察本部長の意見を文書で聴取する(同5(6)、廃棄物処理法第23条の3第1項)
- 施設の実地確認:申請に係る施設は必ず実地に確認するとされている(同3(1))
こうした照会・確認が行われるため、標準処理期間には一定の日数が見込まれています。
まとめ
産業廃棄物収集運搬業の申請は、事業計画書・資金計画書・財務書類・欠格要件確認書類など多くの書類を揃える必要があり、講習会修了証の取得や証明書類の有効期限管理にも一定の時間がかかります。特に次の点を意識して準備を進めましょう。
- 役員・5%以上の株主・政令使用人の全員が、記載事項と欠格審査書類の対象になる
- 証明書類は申請日前3か月以内に取得し、原本照合が必要なものは原本を持参する
- 先行許可証や有価証券報告書の活用で書類を省略できる場合がある
- 講習会はWeb申込のみで、年度初めに日程公表・申込受付が始まる
余裕を持ったスケジュールで準備を進めましょう。
出典:
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(第14条、第23条の3)
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(第9条の2)
- 産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務等の取扱いについて(通知)(令和2年3月30日環循規発第2003301号)
- 産業廃棄物処理業者及び特別管理産業廃棄物処理業者に係る許可番号等取扱要領について(通知)(平成30年3月30日環循規発第18033022号)
- 愛知県「産業廃棄物収集運搬業の審査基準」(令和6年1月31日改正)
- 愛知県「廃棄物関係の許可及び自動車リサイクル法 手続きQ&A」
- 公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター「2026年度講習会 開催日程公表等の予定について」「2026年度講習会の開催日程の公表について」「各講習会の概要と受講料」
