本記事は令和8年法律第43号に基づく制度で、施行日は現時点で未定です。
本記事は、令和8年6月19日に公布された「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の改正(令和8年法律第43号)のうち、施行日が「公布の日から起算して二年六月を超えない範囲内において政令で定める日」とされている部分について、改正後の条文の内容を解説するものです。執筆時点で当事務所が確認した資料の範囲では、施行日を定める政令は確認できていません。また、許可が不要となる面積要件、更新期間、施設・能力の基準、保管の基準など、政令・環境省令に委ねられている事項も示されていません。以下の内容は「成立した改正法の条文ではこう定められている」という説明であり、現時点で施行されている制度ではない点にご注意ください。

こんにちは!行政書士の三澤です。

「スクラップヤードが許可制になるって聞いたけど、法律は成立したの?」
「産廃の許可を持っていれば、新しい許可は要らないの?」
「いつから許可が必要になるの?」

2026年4月の閣議決定の段階では、当ブログでも「【4/10速報】スクラップヤードが「許可制」へ移行」として法案の内容をお伝えしました。その後、改正法は令和8年6月19日に公布されています(令和8年法律第43号)。

この記事では、成立した改正法の条文(改正後の廃棄物処理法)に沿って、新しい「要適正保管使用済金属・プラスチック物品保管業」「要適正再生使用済金属・プラスチック物品再生業」の許可制度の内容を整理します。あわせて、施行前でもできる準備(許可申請の準備行為)について解説します。

第1章|何が変わるのか:届出制から許可制へ

現行制度:有害使用済機器の届出制度

現在(令和8年9月16日施行の廃棄物処理法時点)は、エアコン・冷蔵庫・テレビなど政令で定める32品目の「有害使用済機器」の保管・処分を業として行う者に、都道府県知事への届出が義務付けられています(廃棄物処理法第17条の2第1項、施行令第16条の2)。届出をせずに業を行った場合の罰則は30万円以下の罰金です(同法第30条第6号)。

改正後:第4章の2の新設

改正後の廃棄物処理法では、第4章の2「要適正保管使用済金属・プラスチック物品及び要適正再生使用済金属・プラスチック物品」が新設され、現行の第17条の2(有害使用済機器の届出制度)の規定は置かれていません。改正法の施行後は、届出制に代わって許可制が導入されることになります。

第2章|新しく定義される3つの「物品」

改正後の廃棄物処理法は、次の3つの用語を定義しています(改正後第2条第7項〜第9項)。

用語定義
使用済金属・プラスチック物品使用を終了し、収集された物品で、その全部または一部が金属またはプラスチックから成るもの(廃棄物並びに放射性物質及びこれによって汚染された物を除く)
要適正保管使用済金属・プラスチック物品使用済金属・プラスチック物品であって、適正でない保管(譲渡のためのものに限る)が行われた場合には人の健康または生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるため、廃棄物の適正な保管と生活環境の保全上同等の保管(譲渡のためのものに限る)を要するもの
要適正再生使用済金属・プラスチック物品使用済金属・プラスチック物品であって、適正でない再生及び当該再生のために行う保管が行われた場合には人の健康または生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるため、廃棄物の適正な再生及び保管と生活環境の保全上同等の再生及び保管を要するもの

ポイントは、定義上「廃棄物を除く」とされていることです。つまり、廃棄物として処理料金を受け取って引き取るものは、これまでどおり廃棄物処理業の許可の問題であり、この新制度は「廃棄物ではない」とされる使用済みの金属・プラスチック製品(いわゆるスクラップ等)を対象とするものです。

第3章|許可が必要になる事業

保管業の許可(改正後第24条の7)

要適正保管使用済金属・プラスチック物品の保管(譲渡のためのものに限る)を業として行おうとする者は、業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の許可を受けなければなりません(改正後第24条の7第1項本文)。

ただし、次の者は許可が不要です(同項ただし書)。

  • 保管の用に供する事業場の敷地面積が政令で定める面積以下である者
  • その他、保管を適正かつ確実に行うことができる者として政令で定める者

面積要件などの具体的な基準は政令で定めることとされており、執筆時点では示されていません。

再生業の許可(改正後第24条の15)

要適正再生使用済金属・プラスチック物品の再生及び当該再生のために行う保管を業として行おうとする者も、都道府県知事の許可が必要です(改正後第24条の15第1項)。ただし、完成品の製造における工程の一部として行われる再生及び保管は除かれ、事業場の敷地面積が政令で定める面積以下の者なども許可不要とされています(同項)。

許可の有効期間と更新

いずれの許可も、「五年を下らない期間であつて当該許可に係る事業の実施に関する能力及び実績を勘案して政令で定める期間」ごとに更新を受けなければ効力を失います(改正後第24条の7第2項、第24条の15第2項)。更新申請中に有効期間が満了した場合の取扱い(処分がされるまで従前の許可が有効)など、産廃処理業の許可と同様の仕組みが設けられています(同条第3項・第4項)。

第4章|許可の基準と欠格要件

施設・能力の基準

都道府県知事は、①事業の用に供する施設と申請者の能力が、事業を的確かつ継続して行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合し、②申請者が欠格要件に該当しない場合でなければ、許可をしてはならないとされています(改正後第24条の7第5項、第24条の15第5項)。具体的な施設・能力の基準は環境省令に委ねられています。

欠格要件

欠格要件は、産業廃棄物処理業とほぼ同様の構成です(改正後第24条の7第5項第2号)。

  • 心身の故障によりその業務を適切に行うことができない者として環境省令で定めるもの
  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  • 拘禁刑以上の刑に処せられ、執行を終わる等から5年を経過しない者
  • この章の規定や生活環境の保全を目的とする法令、暴力団対策法に違反し、または刑法の傷害・暴行・脅迫・背任等の罪を犯し、罰金刑に処せられ、執行を終わる等から5年を経過しない者
  • この章の規定により許可を取り消され、取消しから5年を経過しない者(法人の場合は聴聞通知前60日以内の役員を含む)
  • 取消処分の聴聞通知後に事業の全部廃止の届出をした者で、5年を経過しないもの 等
  • 業務に関し不正または不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者
  • 暴力団員等、暴力団員等がその事業活動を支配する者
  • 法人で役員または政令で定める使用人に上記に該当する者がある者 等

許可をしようとするときは、暴力団員等に関する欠格要件について、都道府県警察本部長の意見を聴くこととされています(改正後第24条の29第1項)。

許可の条件

許可には、生活環境の保全上必要な条件を付すことができます(改正後第24条の7第6項)。

第5章|許可業者に課される義務

許可を受けた要適正保管使用済金属・プラスチック物品保管業者には、次のような義務が課されます。

義務内容条文
保管基準の遵守政令で定める保管基準に従い保管する改正後24条の7第7項
帳簿帳簿を備え、環境省令で定める事項を記載し、保存する同条第8項・第9項
変更許可事業の範囲を変更しようとするときは許可が必要(一部廃止を除く)改正後24条の8第1項
変更・廃止の届出事業の全部・一部の廃止、住所その他環境省令で定める事項の変更を届け出る同条第3項
欠格要件該当の届出一定の欠格要件に該当するに至ったときに届け出る同条第4項
名義貸しの禁止自己の名義で他人に保管業を行わせてはならない改正後24条の11

再生業者にも、再生・保管基準の遵守、帳簿、変更許可、名義貸しの禁止など、同様の義務が定められています(改正後第24条の15第7項・第8項、第24条の16、第24条の18)。

行政による監督として、報告徴収・立入検査(改正後第24条の22、第24条の23)、事業停止命令・許可取消し(改正後第24条の9、第24条の10)、基準に適合しない保管等に対する改善命令・措置命令(改正後第24条の24、第24条の25)の規定も設けられています。無許可で業を行った者が基準に適合しない保管を行っている場合などにも、保管等に係る命令を行うことができるとされています(改正後第24条の26)。

輸出の規制

国内で収集された対象物品のうち、特定有害廃棄物等に該当するもの(特定要適正保管使用済金属・プラスチック物品等)の保管・再生は、なるべく国内において適正に行われなければならないとされ、これを輸出しようとする者は環境大臣の確認を受けなければなりません(改正後第24条の13、第24条の14、第24条の20、第24条の21)。

第6章|産廃処理業の許可業者は「新たな許可不要」の特例

産廃関係の許可業者にとって重要なのが、既存の許可による特例です。

保管業の特例(改正後第24条の12)

次の者は、新たな保管業の許可を受けないで、それぞれの許可に係る廃棄物の保管と「生活環境の保全上同等の」要適正保管使用済金属・プラスチック物品の保管(譲渡のためのものに限る)に該当する行為を行うことができます(改正後第24条の12第1項)。

  • 一般廃棄物収集運搬業者・一般廃棄物処分業者
  • 一般廃棄物処理施設の設置者(設置許可を受けた者)
  • 産業廃棄物収集運搬業者・産業廃棄物処分業者
  • 特別管理産業廃棄物収集運搬業者・特別管理産業廃棄物処分業者
  • 産業廃棄物処理施設の設置者

この特例により保管を行う者も、保管基準・帳簿・名義貸しの禁止・改善命令等の規定の適用については、保管業者とみなされます(同条第2項)。

再生業の特例(改正後第24条の19)

再生業については、特例の対象が処分業者等に限られています(改正後第24条の19第1項)。

  • 一般廃棄物処分業者
  • 一般廃棄物処理施設の設置者(設置許可を受けた者)
  • 産業廃棄物処分業者
  • 特別管理産業廃棄物処分業者
  • 産業廃棄物処理施設の設置者

収集運搬業者は、保管業の特例の対象には含まれますが、再生業の特例の対象には含まれていません。また、いずれの特例も「その許可に係る廃棄物について行う保管(処分)と生活環境の保全上同等の」行為に限られる点に注意が必要です。自社の許可の範囲(品目、積替え保管の有無、処分方法)と、実際に扱う物品・行為が対応しているかを確認する必要があります。

行政書士の実務ポイント

積替え保管を含まない収集運搬業の許可しかない場合、その許可に係る「保管」がどこまで想定されているかは、許可の内容によって変わり得ます。特例の適用範囲は、今後示される政令・省令や行政の運用を確認したうえで判断する必要があります。スクラップの保管・再生を行っている、または今後行う予定の事業者様は、自社の許可の内容を早めに棚卸ししておくことをおすすめします(積替え保管の有無は「積替え保管あり・なしの違いとは?」参照)。

第7章|罰則

改正後の廃棄物処理法では、新制度に関する罰則も定められています。

違反の内容罰則条文
許可を受けずに保管業・再生業を行った5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその併科改正後25条1項17号・24号
不正の手段で許可・変更許可を受けた、変更許可を受けずに事業を行った同上改正後25条1項18号〜20号・25号〜27号
事業停止命令・措置命令に違反した同上改正後25条1項21号
名義貸し同上改正後25条1項22号・28号
確認を受けずに輸出した(未遂も処罰)同上改正後25条1項23号・29号、2項
改善命令・保管等に係る命令に違反した3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその併科改正後26条7号
欠格要件該当の届出をしなかった6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金改正後29条8号
帳簿義務違反、変更・廃止の届出違反、報告拒否、立入検査拒否30万円以下の罰金改正後30条9号〜12号

法人に対しては、無許可営業(第17号・第24号)、不正の手段による許可取得等(第18号〜第20号、第25号〜第27号)、違法な輸出(第23号・第29号)などについて、3億円以下の罰金が科されます(改正後第32条第1項第1号)。

第8章|施行前にできること:準備行為と経過措置

施行日前に許可を申請できる

改正法の附則には、施行日前でも許可の申請ができる「準備行為」の規定が置かれています(令和8年法律第43号附則第2条)。この規定は公布の日から施行されています(同附則第1条第1号)。

チェック
– 保管業・再生業の許可を受けようとする者は、施行日前においても、改正後の規定の例により許可の申請をすることができる(附則第2条第1項・第4項)
– 都道府県知事は、施行日前においても許可を与えることができ、その許可を受けた者は施行日に許可を受けたものとみなされる(同条第2項・第5項)
– 施行日前にされた申請について、施行の際に処分が行われていない場合は、処分が行われるまでの間、許可を受けたものとみなされる(同条第3項・第6項)

つまり、施行日前に申請しておけば、施行日時点で審査が終わっていなくても、処分が出るまでは許可を受けたものとして扱われることになります。施行日前の申請の受付時期や方法は、今後の政令・省令や各都道府県の案内を確認する必要があります。

その他の経過措置

このほか、改正法の施行前にした行為に対する罰則の適用については従前の例によること(附則第5条)、施行に関し必要な経過措置は政令で定めること(附則第6条)が規定されています。現在、有害使用済機器の届出をして事業を行っている事業者が施行後にどのように扱われるかなど、具体的な経過措置は政令で定められることになります。

第9章|今のうちに確認しておきたいこと

施行日や政令・省令の内容は未定ですが、条文から読み取れる範囲で、次の点は今のうちに確認しておくことができます。

  • 自社が扱う物品が「使用済金属・プラスチック物品」に当たるか、それとも廃棄物として扱うべきものか
  • 保管が「譲渡のため」の保管か、再生(及びそのための保管)を行っているか
  • 産廃処理業の許可を持っている場合、特例の対象(保管業は収集運搬業者・処分業者等、再生業は処分業者等)に当たるか
  • 役員・政令使用人に欠格要件に該当する者がいないか
  • 保管場所の敷地面積(政令で定められる面積要件の確認に備えて)
  • 現在、有害使用済機器の届出が必要な事業を届出なしで行っていないか(現行法でも罰則の対象)

第10章|新制度への備えは行政書士へ

ポイントをまとめます。

  • 令和8年法律第43号により、使用済金属・プラスチック物品の保管業・再生業の許可制度が設けられた。施行日は現時点で未定
  • 「廃棄物を除く」使用済みの金属・プラスチック製品の、譲渡のための保管や再生を業として行う者が対象。面積要件等は政令で定められる
  • 産廃の収集運搬業者・処分業者等は、許可に係る保管と同等の保管について特例がある(再生業の特例は処分業者等に限られる)
  • 無許可営業は5年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金、法人は3億円以下の罰金
  • 施行日前でも許可の申請ができ、施行時に審査中であれば処分までは許可を受けたものとみなされる

三澤行政書士事務所では、政令・省令の公表状況を確認しながら、新制度の許可申請や、産廃処理業の許可の取得・範囲の見直しのご相談をお受けしています。東海エリアでスクラップの保管・再生を行う事業者様は、お早めにご相談ください。


出典:

  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(令和8年9月16日施行)(第17条の2、第30条)
  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(令和8年法律第43号による改正後の条文)(第2条第7項〜第9項、第24条の7〜第24条の29、第25条、第26条、第29条、第30条、第32条)
  • 令和8年6月19日法律第43号 附則(第1条、第2条、第5条、第6条)
  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(第16条の2)