こんにちは、行政書士の三澤です!
「代表者や本店が変わったけど、手続きって必要?」「許可を取った後は、特に何もしなくていいんじゃないの?」
そんな疑問やお悩みを感じていませんか?
この記事では、
・すでに産業廃棄物収集運搬業の許可をお持ちの建設業者の方
・代表者変更や本店移転、法人名変更などの予定がある方
・組織変更や法人化を検討している個人事業主の方
といった皆さまを対象に、許可取得後に必要となる「変更届」や「許可証の書換え手続き」について、実務の視点でわかりやすく解説していきます。
この記事を読むことで、
・どんな変更に届出や書換えが必要かがわかる
・怠った場合のリスクやペナルティを知ることができる
・地域ごとの対応の違いや、手続きの流れが把握できる
といった具体的な知識が得られます。
「自社も対象かも?」「何から始めればいいの?」とお悩みの方の道しるべとなるよう、ポイントを絞ってお伝えします。
それでは、さっそく見ていきましょう!
第1章:変更届と書換え申請の違いって?
産業廃棄物収集運搬業の許可を取得した後も、事業の継続とともに「変更」が生じることは珍しくありません。 その際に重要なのが、法律で義務付けられている「変更届」と、実務上ほぼ必須とされる「許可証の書換え申請」の違いを正しく理解することです。
「変更届」は法律で定められた義務
「変更届」は、事業者の代表者や所在地、法人名などに変更があった場合に、法律に基づいて届け出なければならない手続きです。 これは廃棄物処理法施行規則第10条の10などに根拠があり、 原則として変更後10日以内、登記を伴うものについては30日以内に提出が必要です。
「書換え申請」は実務上の必須対応
一方、「許可証の書換え申請」は、変更届を提出した際に、実際の許可証に記載されている情報が変更される場合に行う手続きです。 この手続き自体は明確に法令で義務付けられているわけではありませんが、 許可証の写しを車両に備え付ける義務や、委託契約時に最新の許可証を添付する必要があることから、実務上は書換えをしないと支障が生じるケースがほとんどです。
書換えを怠るとどうなる?
書換えが必要な変更を放置してしまうと、次のようなリスクが生じます:
- 行政処分の対象(届出義務違反や虚偽記載)
- 契約不備(委託契約が無効とされるおそれ)
- 立入検査での指摘(許可証と実態が一致しない)
- 更新申請時のトラブル(変更未届が発覚し、更新拒否の可能性も)
変更があった際は、「変更届」と「書換え申請」をセットで考えることが、リスク回避の鉄則といえます。
第2章:書換えが必要な主なケース一覧
以下は、産業廃棄物収集運搬業の許可に関して、変更届・許可証の書換え・新規申請の要否を一覧にした早見表です。
変更内容 | 変更届の提出 | 書換え申請 | 新規許可申請 |
---|---|---|---|
代表者の変更 | 必要(30日以内) | 必要 | 不要 |
本店所在地の移転 | 必要(30日以内) | 必要 | 不要 |
法人名称の変更 | 必要(30日以内) | 必要 | 不要 |
法人成り(個人→法人) | 不要(個人は廃止届) | 不可(許可は承継不可) | 必要(法人で新規) |
吸収合併(許可業者が存続) | 必要(10日/30日以内) | 場合による | 不要 |
吸収合併(許可業者が消滅) | 不要(失効) | 不可 | 必要 |
新設合併 | 不要(失効) | 不可 | 必要 |
会社分割 | 不要(失効) | 不可 | 必要 |
株式譲渡 | 必要(10日/30日以内) | 通常不要 | 不要 |
※詳細な判断は各自治体の運用により異なる場合があります。実際の変更手続きに入る前には、必ず管轄の担当窓口や専門家に確認しましょう。
このように、「変更届」だけで済むケースもあれば、「許可証の書換え」が必要なケース、あるいは「新規申請」が必要となるケースもあります。特に、法人格が変わるような変更(法人成り、合併、会社分割など)では、原則として許可の承継は認められず、新規取得が必要となる点に注意が必要です。
第3章:ケース別でわかる!手続きの流れと必要書類
3-1 代表者変更
- 書換えの要否:必要(許可証に代表者名が記載されているため)
- 提出期限:変更から30日以内
- 主な書類:
- 変更届出書
- 登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
- 新代表者の住民票(本籍記載)
- 登記されていないことの証明書
- 誓約書(欠格要件非該当)
- 役員等新旧対照表
- 印鑑証明書(印鑑変更がある場合)
- 旧許可証(原本)
- 補足:書換え申請は変更届とセットで扱われる自治体が多く、様式に「書換希望」欄の記載が必要な場合もあります。
3-2 本店所在地の移転
- 書換えの要否:必要(許可証に本店所在地が記載されているため)
- 提出期限:変更から30日以内
- 主な書類:
- 変更届出書
- 登記事項証明書
- 新所在地の地図(必要に応じて)
- 旧許可証(原本)
- 補足:移転先の営業実態や営業許可の範囲との関係を確認されるケースもあります。
3-3 法人名称の変更
- 書換えの要否:必要(許可証記載事項の中でも重要情報)
- 提出期限:変更から30日以内
- 主な書類:
- 変更届出書
- 登記事項証明書
- 新名称を記載した定款または寄付行為(必要に応じて)
- 旧許可証(原本)
3-4 組織変更(合併/法人成りなど)
- 書換えの要否:原則不可(新法人は新規申請が必要)
- 提出期限:
- 個人事業主 → 法人:個人は廃止届提出/法人は新規申請(できれば並行で準備)
- 吸収合併:許可業者が存続する場合、役員変更等の届出を10日/30日以内に提出
- 主な書類例:
- 廃止届出書(個人)
- 新規許可申請書一式(法人)
- 合併契約書や関連議事録、登記事項証明書など
- 補足:許可の承継は原則認められない。手続き漏れがあると無許可営業とみなされ、重い罰則の対象になる。
第4章:書換えを怠るとどうなる?リスクを正しく理解しよう
変更届や書換えをうっかり忘れていた――その一つの見落としが、事業継続に深刻な影響を与えることがあります。 ここでは、手続き不履行によって生じうる主なリスクを整理して解説します。
行政処分のリスク
変更届の提出義務を怠った場合、軽微な違反であっても、行政指導→改善命令→許可取消へと処分が段階的に進む可能性があります。 たとえば、役員変更や代表者変更を届け出ていないまま放置していた場合、法令違反と判断されると、事業そのものの継続が困難になることもあります。
罰金刑と欠格要件
変更届義務違反(未提出・虚偽記載など)が発覚し、30万円以下の罰金刑を受けると、廃棄物処理法に基づく欠格要件に該当してしまいます。 欠格要件に該当すると、許可の更新が認められないばかりか、現在の許可も取り消されるリスクがあります。
これは、「たった1枚の届出を忘れただけ」とは片付けられない、非常に重い結果をもたらす可能性があります。
実務上の支障
- 許可証の記載内容が最新でない場合、
- 車両に携帯する許可証写しが不備とみなされる
- 委託契約書への添付書類として認められない
- 立入検査や元請・排出事業者とのトラブルの原因になる
実務の現場では「許可証の記載と現状が一致していること」が信頼の土台です。 書換えを怠ることは、行政だけでなく、取引先との信頼関係を損なう重大な要因となり得ます。
この章でお伝えしたように、「後回しにしていた」だけで済まされないのが変更手続きの怖さです。 次章では、変更を予定・検討されている方に向けて、実務的なアドバイスをお届けします。
第5章:変更を検討している方へのアドバイス
「変更届が必要と知らずに放置していた」「書換えはいつやればいいのか迷っている」――そんな事態を防ぐために、ここでは実務的なアドバイスをお伝えします。
変更が決まったら「まず許可の確認」
変更が確定したら、まずは現在の許可証の内容を確認しましょう。 どの情報が記載されているかにより、書換えの必要性が決まります。 特に代表者名、本店所在地、法人名などは許可証に明記されているため、変更届と書換えがセットになることが多いです。
変更届+書換えはセットで進める
「変更届だけ出して終わり」では不十分なケースがほとんどです。 届出内容が許可証に記載されている事項であれば、書換え申請も必須。 ほとんどの自治体では、変更届を提出した際にそのまま書換えの手続きが進む形をとっていますが、許可証の返納や返信用封筒の準備など、自治体ごとの細かい運用に注意しましょう。
組織変更は「そもそも許可が引き継げない」ことも!
個人事業から法人への移行や合併・分割といった法人格そのものが変わる組織変更の場合、許可は基本的に承継されません。 そのため、新たに許可を取り直す必要があることを前提に、スケジュールを立てて早めに動くことが重要です。 「許可を引き継いだつもり」が無許可営業とみなされるリスクがあるため、絶対に注意が必要です。
自治体によって様式・対応が違うため、早めに調べるのが鉄則
愛知県、名古屋市、岐阜県、三重県、静岡県など、管轄自治体によって必要書類の様式や提出方法、注意点が異なります。 チェックリストが用意されている場合もあれば、独自の申請フォームがあるケースも。 自治体によっては事前予約制や返信用封筒の指定がある場合もありますので、 「変更が決まった時点で、まず自治体のホームページと担当窓口に確認する」ことが、トラブルを避ける第一歩です。
まとめ ~トラブルを未然に防ぐなら、行政書士に相談を~
許可を取得した後も、事業の変化に応じて定期的な確認や手続きが求められるのが産業廃棄物収集運搬業の特徴です。
「変更届」や「許可証の書換え」は、忘れがちですが法的義務や実務上の信用に直結する大切な手続きです。
知らずに放置してしまうことで、行政処分や罰金、最悪の場合は許可の取り消しといった重大な結果を招くことも。
事業に集中したい経営者の皆さまにとって、こうした変更手続きは「つい後回し」にしがちですが、だからこそ行政書士のサポートを活用することで、リスクと負担を同時に軽減できます。
産業廃棄物に関する手続きで、こんなお悩みはありませんか?
・代表者や本店が変わったけど、何をすればいいかわからない… ・自治体によって様式が違いすぎて混乱している… ・元請業者から急に「最新の許可証出して」と言われて焦っている…
そんなときは、建設系産業廃棄物業界出身の行政書士が対応する 三澤行政書士事務所にぜひご相談ください。
当事務所は、愛知県を中心に中小企業・個人事業主の建設業者様をサポートしており、 許可申請から更新・変更届、関連する各種制度(例:CCUSや経審など)まで幅広く対応可能です。
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