こんにちは、行政書士の三澤です! 「清掃施設工事業の建設業許可について知りたい」「そろそろ許可申請の準備を始めないと…」 そんな疑問やお悩みを感じていませんか?

この記事では、 ・清掃施設関連の工事を請け負っている建設業者の方 ・許可が必要かどうか判断がつかず悩んでいる方 ・今後、公共工事や高額工事を視野に入れている方 といった方に向けて、清掃施設工事業の一般建設業許可取得について、初めての方でもわかりやすいよう実務の視点で丁寧に解説していきます。

この記事を読むことで、

  • 清掃施設工事業とは何かが明確になる
  • 許可が必要なケースや必要書類がわかる
  • 愛知県での申請手続きの流れや注意点がわかる など、実際の申請に必要な知識が一通り整理できます。

「うちでも取得できるの?」「まず何をすればいいの?」と迷われている方の道しるべとなるよう、ポイントを絞ってご紹介します。

それでは、さっそく見ていきましょう!

清掃施設工事業とは?【定義と対象工事の具体例】

建設業法における定義

清掃施設工事業は、建設業法において「し尿処理施設またはごみ処理施設を設置する工事」と定義されています。つまり、家庭や事業所などから出る廃棄物やし尿を安全かつ衛生的に処理するための設備を新たに設ける工事が該当します。

この業種に該当するかどうかを判断する際には、施設の目的機能に着目することが大切です。単に配管や設備を設置するだけでなく、それらが”清掃施設”に分類されるかどうかが許可の判断ポイントになります。


対象となる代表的な工事例

具体的に清掃施設工事業に該当する代表的な工事として、以下のようなものが挙げられます。

  • ごみ処理施設(清掃センター)におけるごみ焼却炉の建設工事
  • 地方自治体が整備するし尿処理プラントの建設工事
  • 廃棄物のリサイクル施設である破砕処理施設や圧縮梱包施設の設置工事

これらはいずれも、大量の廃棄物やし尿を処理するための施設であり、公衆衛生・環境保全の観点から高度な設計・施工が求められることから、専門の建設業許可が必要となります。


他業種との違い・注意点

清掃施設工事業と混同されやすい他の業種もいくつか存在します。特に注意すべきは次のようなケースです:

  • 単独の排水処理設備(例えばビルや工場の排水処理設備) → これは「管工事業」に該当する可能性が高く、清掃施設工事業ではありません。
  • 集塵設備・焼却炉の機械設置のみ → 「機械器具設置工事業」に分類される場合があります。
  • 浄化槽を用いたし尿処理施設の工事 → 「管工事業」に該当します。
  • 公共下水道や流域下水道の処理設備の構築 → 「水道施設工事業」または「土木一式工事」に該当するケースがあります。

このように、処理の方式・施設の規模・設置対象の違いによって、許可が必要な業種が異なるため、注意が必要です。


【表】よく間違えやすい業種との比較一覧

工事の内容該当する業種注意点
ごみ焼却炉・し尿処理プラントの新設清掃施設工事業許可取得が必要な本命業種
浄化槽によるし尿処理管工事業規模に関わらず清掃施設工事業ではない
排水処理設備・集塵設備の設置管工事業または機械器具設置工事業設備単体での設置に限定される
公共下水道の処理施設(複合施設)水道施設工事業清掃施設工事とは別区分
下水道配管工事や敷地造成工事土木一式工事インフラ整備目的の大規模工事

上記の表を参考に、「自社の工事が本当に清掃施設工事業に該当するか?」をしっかり見極めることが大切です。間違った業種で許可申請をすると、審査で不許可となるリスクがあるため、行政書士への相談も検討しましょう。

一般建設業許可が必要になるケースとは?

「500万円以上の工事を請け負うと必要」な理由

建設業法では、請負金額が税込500万円以上(建築一式工事の場合は1,500万円以上)の工事を請け負う場合、その工事を行うための建設業許可が必要とされています。

つまり、どれだけ小規模な工事であっても、請負金額が500万円(税込)を超える場合は、清掃施設工事業の許可を取得していなければその工事を合法的に請け負うことはできません。

なお、材料費込みの金額で判断されるため、「人件費だけだから大丈夫」といった誤解には注意が必要です。


一般許可と特定許可の違い(図解付き)

建設業許可には「一般建設業許可」と「特定建設業許可」の2種類があります。違いは以下の通りです。

区分一般建設業許可特定建設業許可
対象となる契約元請・下請問わず、500万円以上の工事元請として、1件の下請契約が4,500万円(税込)以上の場合

大半の中小建設業者の場合、「一般建設業許可」で十分なケースが多いです。ただし、将来的に大規模な公共工事を狙う場合や、発注元から求められる場合には「特定建設業許可」が必要となることがあります。


このように、金額の基準と契約形態によって必要な許可の種類が変わってくるため、まずは自社が請け負う工事の内容・規模を正確に把握することが重要です。

許可取得の要件(5つの審査ポイント)

建設業許可を取得するには、次の5つの要件を満たす必要があります。


(1)経営業務管理責任者の要件

経営業務管理責任者とは、建設業の経営を適切に管理する能力と経験を持つ者のことです。法人であれば役員、個人事業主であれば本人が該当します。

以下のいずれかの条件を満たす必要があります:

  • 建設業に関し、5年以上の経営業務管理責任者としての経験
  • 経営業務に準ずる立場(取締役など)としての5年以上の経験
  • 経営業務の補佐経験6年以上 など

また、近年の法改正により「補佐者を置くことで要件を充足する方式」も認められるようになっています。


(2)専任技術者の要件

専任技術者とは、営業所ごとに配置が義務付けられる技術責任者で、その業種に関する資格や実務経験を持っている必要があります。

清掃施設工事業の場合、次のいずれかに該当する必要があります:

  • 技術士(衛生工学部門、または総合技術監理:廃棄物管理)
  • 指定学科(例:土木・建築・機械・衛生工学など)卒業+3~5年以上の実務経験
  • 学歴・資格がない場合、10年以上の実務経験

これらを証明するためには、契約書・請求書・健康保険証・雇用記録などが必要になります。


(3)財産的基礎(自己資本・預金証明など)

請負工事を適切に履行するための経済的な基盤があることも求められます。以下のいずれかを満たすことで証明します:

  • 直前の決算において自己資本が500万円以上ある
  • 申請時に500万円以上の預金残高証明を提出できる
  • 直近5年以内に継続して建設業許可を有していた実績がある

(4)誠実性・社会的信用

不正や不誠実な契約行為などがなく、事業者として信用に足る人物・法人であることが求められます。過去に重大な違法行為がないか、暴力団との関係がないか等が審査対象となります。


(5)欠格要件

申請者(法人の場合は役員等)が以下のいずれにも該当しないことが必要です:

  • 破産して復権を得ていない
  • 禁錮以上の刑を受け、執行後5年を経過していない
  • 建設業許可を取り消され、5年を経過していない
  • 暴力団員、もしくはその関係者である

これらは、公共性の高い建設業において、健全な経営を維持するための基本的な条件です。


以上の5つの要件をすべて満たしたうえで、必要書類を整えて申請を行うことで、建設業許可を取得することができます。

清掃施設工事業ならではの専任技術者のハードル

清掃施設工事業で許可を取得する際、多くの事業者が直面するのが「専任技術者の要件」です。特にこの業種は、専門性が高く、対応できる資格や実務経験の幅が比較的狭いため、注意が必要です。


衛生工学技術士などの難易度

専任技術者として最もストレートな資格は、衛生工学部門の技術士または総合技術監理部門(衛生工学:廃棄物管理)です。

これらの資格は国家試験によって認定され、取得には高度な知識と経験が必要です。合格率も低く、専門的な勉強や長期間の実務経験を経る必要があります。そのため、資格での要件充足はハードルが高いと感じる方も多いです。


学歴・実務経験で代替可能なルートの解説

資格がない場合でも、次のような学歴+実務経験の組み合わせでも専任技術者になることができます:

学歴実務経験年数
大学・短大・高専(指定学科)卒業3年以上
高校・中等教育学校(指定学科)卒業5年以上
学歴・資格がない場合10年以上の実務経験

指定学科には、土木工学・建築学・衛生工学・都市工学・機械工学などが含まれます。専門学校の「専門士」「高度専門士」も条件によっては大学卒業相当として認められる場合があります。


【例】どんな工事を何年経験していればOK?

例として、次のような経歴がある場合、実務経験として認められる可能性があります:

  • 民間の廃棄物処理会社で10年以上、焼却炉の据付工事に関わっていた
  • 地方自治体発注のし尿処理施設整備工事に、施工管理技術者として5年以上関与
  • ごみ処理施設の整備で、下請け企業の現場責任者として継続して勤務(期間が10年以上)

重要なのは、その経験を裏付ける証拠書類(契約書・請求書・工事写真など)をしっかり残していることです。経験年数だけでなく、どのような工事にどの立場で関わっていたかを明確にできるかどうかが審査の分かれ目です。


以上のように、清掃施設工事業の専任技術者には高度な専門性が求められますが、資格がなくても実務経験が豊富であれば許可取得は可能です。自身の経歴を一度棚卸しし、書類化できるものを揃えることから始めましょう。

提出方法(郵送・窓口・投函)

愛知県では、建設業許可の申請は原則として以下の方法で提出できます:

  • 郵送による提出(控え書類の返信用封筒を同封)
  • 窓口への持参(仮受付)
  • 県庁所定の投函ボックスへの提出

※いずれの方法でも、書類に不備がある場合は「補正」の連絡が来ますので、提出前に書類をよく確認しましょう。

営業所の所在地提出先(建設事務所等)
名古屋市内都市・整備局 都市基盤部都市総務課 建設業・不動産業室 建設業第二グループ
〒460-8501
愛知県名古屋市中区三の丸3-1-2(自治センター2階)
瀬戸市、春日井市、小牧市、尾張旭市、豊明市、日進市、清須市、北名古屋市、長久手市、愛知郡及び西春日井郡尾張建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒460-0001
愛知県名古屋市中区三の丸2-6-1(三の丸庁舎5階)
一宮市、犬山市、江南市、稲沢市、岩倉市及び丹羽郡一宮建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒491-0053
愛知県一宮市今伊勢町本神戸字立切1-4
津島市、愛西市、弥富市、あま市及び海部郡海部建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒496-8533
愛知県津島市西柳原町1-14(海部総合庁舎6階)
半田市、常滑市、東海市、大府市、知多市及び知多郡知多建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒475-0828
愛知県半田市瑞穂町2-2-1
岡崎市、西尾市及び額田郡西三河建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒444-0860
愛知県岡崎市明大寺本町1-4(西三河総合庁舎6階)
碧南市、刈谷市、安城市、知立市、高浜市知立建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒472-0026
愛知県知立市上重原町蔵福寺124
豊田市、みよし市豊田加茂建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒471-0867
愛知県豊田市常磐町3-28
新城市及び北設楽郡新城設楽建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒441-1354
愛知県新城市片山字西野畑532-1
豊橋市、豊川市、蒲郡市、田原市東三河建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒440-0801
愛知県豊橋市今橋町6

審査期間と補正の可能性

  • 審査期間の目安:通常、申請から許可交付までは1〜2ヶ月程度。
  • 補正が発生した場合:申請書類に不備や不足があると「補正通知」が届き、追加資料の提出や訂正が必要となります。

※補正が繰り返されると大幅に許可取得が遅れるため、事前のチェックが非常に重要です。


営業所の基準(独立性・専用性など)

営業所の場所は、許可取得において「物理的実体があること」「事業運営にふさわしいこと」が審査されます。

愛知県では、次のような基準が設けられています:

  • 独立した事務スペースが確保されていること(居住スペースや他業種と明確に分離)
  • 机・椅子・キャビネット・パソコン等の業務備品が整っていること
  • 固定電話番号・ポストが設置されていること
  • シェアオフィスでも「専用ブース」であれば認められるケースあり

なお、これらは写真添付などで実態を証明する必要があります。


愛知県での許可申請は、単に書類を整えるだけでなく、営業実態や常勤性を示す証拠を確実に準備することが求められます。不安がある場合は、行政書士などの専門家に事前相談することをおすすめします。

許可取得のメリット

清掃施設工事業の建設業許可を取得することで、事業者にとって大きなメリットが得られます。ここでは、主な3つの利点についてご紹介します。


大きな工事の受注が可能に

許可を取得することで、請負金額500万円以上(税込)の工事を合法的に受注できるようになります。

清掃施設工事はもともと規模が大きく、自治体や公共団体からの受注が中心となることが多いため、許可の有無がビジネスチャンスに直結します。無許可では受注できなかった高額工事にもチャレンジできるようになる点が、大きな魅力です。


社会的信用がつく(入札・融資・大手下請け)

建設業許可は、法令を遵守し、一定の経営基盤と技術力を有することの「公的な証明」でもあります。

  • 公共工事の入札参加資格(経営事項審査などと併用)
  • 金融機関からの融資審査でのプラス評価
  • 大手建設会社からの下請け契約条件

このように、許可を取得することで「信頼される事業者」として対外的な評価が向上し、取引の幅が広がります。


無許可での罰則リスクを回避

500万円以上の工事を無許可で請け負った場合、建設業法により「懲役または罰金」「営業停止命令」「再申請の制限」などの厳しいペナルティが科される可能性があります。

事業の継続性を守るためにも、必要な許可を確実に取得しておくことがリスク回避の第一歩です。


このように、建設業許可の取得は「取れると有利」ではなく、「取らなければならない」ケースが多く、事業運営における重要な基盤となります。

よくある質問Q&A

ここでは、清掃施設工事業の建設業許可取得を目指す事業者の方から寄せられる、代表的な質問とその回答をまとめました。


Q1. 小規模な工事でも許可は必要?

A. 請負金額が税込500万円未満の工事であれば、原則として許可は不要です。

ただし、許可がないと信頼性に欠けると判断され、取引先が見つかりにくくなるケースもあります。また、将来的に規模を拡大したいと考えている場合には、早めに取得しておくのが安全です。


Q2. 専任技術者と現場監督は兼任できる?

A. 原則として、営業所に配置する専任技術者と現場の主任技術者・監理技術者は兼任できません。

ただし、工事現場が営業所と同一敷地内であるなど、一定の条件を満たす場合に限っては、兼任が認められる例外もあります。愛知県の場合、申請時にその合理性を示す必要がありますので、個別相談をおすすめします。


Q3. 資格がないと絶対にダメ?

A. 資格がなくても、実務経験によって専任技術者の要件を満たすことができます。

例えば、清掃施設工事に関して10年以上の継続的な実務経験があれば、資格や学歴がなくても認められる可能性があります。証明書類(契約書・請求書・雇用証明など)の整備が重要です。


このように、誤解されやすい点について正確な理解を持つことが、スムーズな許可取得への近道です。気になる点があれば、行政書士などの専門家へ早めに相談しましょう。

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