こんにちは、行政書士の三澤です!
「建設業許可の“誠実性”ってどういう意味?」「過去に少しトラブルがあっても許可は取れるのかな…」
そんな疑問やお悩みを感じていませんか?
この記事では、
・建設業許可をこれから取得したいと考えている方
・過去の経歴や社内の人材に不安があり、審査に通るか心配な方
・安心して事業を続けるため、法令遵守や信頼性を高めたいと考えている方
といった建設業者様向けに、「誠実性」の要件について、初めての方でもわかりやすいよう実務の視点で丁寧に解説していきます。
この記事を読むことで、「誠実性」とは何か、どんな行為がNGなのか、誰が対象となるのか、そして不安がある場合の対処法まで、許可取得に向けて必要な知識と準備がしっかりと身につきます。
「うちでも許可が取れるの?」「過去に問題があった社員がいて不安…」と感じている方の道しるべとなるよう、ポイントを絞ってご紹介します。
それでは、さっそく見ていきましょう!
1. はじめに:この記事の目的と対象読者
建設業を営むには、一定規模以上の工事を請け負う場合、都道府県知事などから建設業許可を取得する必要があります。愛知県で事業を行う建設業者にとっても、これは避けて通れない重要なステップです。
その建設業許可を取得するうえで満たさなければならない要件のひとつが、「誠実性(せいじつせい)」です。
あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、簡単にいえば「過去に不正や契約違反をしていないか」「ちゃんと契約を守る人か」という点をチェックする項目です。建設業界では、発注者との信頼関係がとても大切なため、「誠実性」は許可を出すかどうかを判断する上で、非常に重視されているポイントなのです。
本記事では、
- 「誠実性」とは何か?
- どんな行為が問題になるのか?
- 自分や会社が満たしているかどうかの見分け方
- 誠実性を疑われるケースとその対応策
といった内容を、愛知県で建設業許可を目指す方に向けて、わかりやすく解説していきます。
また、申請に不安がある方に向けて、行政書士がどのようなサポートを行えるかについてもご紹介します。特に中小企業や個人事業主の方にとって、「自分のケースでも大丈夫かな?」という不安が少しでも解消される記事になれば幸いです。
2. 「誠実性」とは?ざっくり言うとこういうことです
建設業の許可における「誠実性」とは、簡単にいえば「その会社や人がウソをつかず、契約をきちんと守る人かどうか」をチェックするための要件です。
もう少し具体的にいうと、次のようなことを見られています:
- 過去に法律に反するようなこと(詐欺や横領など)をしていないか
- 契約通りに仕事をきちんとやってきたか
- ずさんな工事をしたり、工期を守らなかったことはないか
つまり、「この人(会社)なら、建設工事をまかせても大丈夫だ」と行政が判断できるかどうかがポイントです。
建設業は、お客様(発注者)からの信頼の上に成り立っている業種です。もし信頼を裏切るようなことがあれば、業界全体の信用にも関わってきます。そのため、行政としても「誠実に仕事をしてくれる業者にだけ許可を出したい」と考えているのです。
許可申請のときに「誠実性に問題がある」と判断されると、たとえ他の要件(財産や技術者など)を満たしていても、許可が下りないことがあります。だからこそ、「誠実性」はとても大切なチェックポイントなのです。
3. 誠実性がないと判断される行為とは?
では、どのような行為が「誠実性を欠いている」と判断されるのでしょうか。ここではまず、「不正な行為」について見ていきます。
3-1 不正な行為とは(法律違反)
「不正な行為」とは、請負契約の締結や工事の実施に関して、法律に違反するような行為をしたケースを指します。具体的には、以下のようなものが該当します:
- 詐欺:工事の内容や費用についてウソをつき、相手をだまして契約を結ばせたり、お金をだまし取ったりする行為。
- 例:実際には工事を行っていないのに、請求書を出して代金を受け取る。
- 横領:本来は会社や依頼主のものを、勝手に自分のもののように扱って使ってしまう行為。
- 例:預かった工事資金を別の用途に流用する。
- 文書偽造:契約書や請求書、領収書などの書類をウソの内容で作ったり、改ざんする行為。
- 例:実際には施工していない部分について「完了」と記載した報告書を作成する。
- 脅迫:契約を無理やり結ばせるために、相手を威圧するような行為をする。
- 例:「契約しないと困ったことになるぞ」と言って工事を押し付ける。
これらの行為はすべて、刑法などの法律に違反する重大な問題です。ひとつでも該当すれば、建設業の許可が下りないだけでなく、すでに許可を持っていたとしても取り消される可能性があります。
許可を取るためには、「こうした問題を過去に起こしていないこと」「今後も起こすおそれがないこと」が大前提になります。
3-2 不誠実な行為とは(契約違反など)
不正な行為が「法律違反」にあたるのに対し、「不誠実な行為」は契約違反や信頼関係を損なうような行為のことを指します。
以下のようなケースは「誠実性に欠ける」と判断される可能性があります:
- 手抜き工事:契約内容に反して、材料や工程を省いて工事を済ませる。
- 工期を守らない:正当な理由がないのに、約束した工期を大幅に遅らせる。
- 契約内容と異なる施工:図面や仕様書と違う工事を勝手に行う。
- 一方的な追加請求:事前の説明や合意なく、あとから追加費用を請求する。
- 責任逃れ:自社に責任がある不具合を、天候や他社のせいにする。
こうした行為は、「ルールを守らず、自分勝手に動く業者」として見られるおそれがあります。
✅ チェックリスト:ウチは大丈夫?
以下のチェック項目に心当たりがある場合は、注意が必要です。
□ 工事完了後、よく「クレームが多いな」と感じる
□ 工期にいつも追われていて、遅れがちになる
□ 施工内容を現場で勝手に変更してしまうことがある
□ 追加請求の説明を事後にしてしまっている
□ 問題が起きた時、つい責任を押し付けてしまいがち
いくつか当てはまる場合は、「不誠実な行為」と見なされる可能性があるため、改善の余地があります。申請前に専門家に相談することも選択肢のひとつです。
4. どんな人が対象になる?誰の「誠実性」を見るのか
「誠実性」は、会社や代表者だけを見ているわけではありません。建設業許可では、関係する“人”の広い範囲が対象になります。
法人の場合
以下のすべての人の誠実性が審査対象になります:
- 法人そのもの
- すべての役員(常勤・非常勤問わず)
- 支配人
- 建設業法施行令第3条に定められる「使用人」
- たとえば、支店長や営業所長など現場責任者が該当します。
個人事業の場合
個人事業主であっても、次のような人も対象になります:
- 事業主本人
- 支配人や法定代理人(未成年者の場合など)
- 支店長や営業所長(使用人)など
つまり、「自分ひとりでやっているつもり」でも、実際に現場や契約に関わる人がいれば、その人の過去の行為や人柄も含めてチェックされるということです。
家族経営の場合の注意点
特に家族経営の場合、次のような点に注意が必要です:
- 兄弟や配偶者が役員に入っているケースでは、その人の誠実性も審査対象になります。
- 過去に何らかの処分歴(免許取消など)がある場合、その内容によっては許可に影響することもあります。
「家族だから大丈夫」と油断せず、経歴やトラブル履歴などを正確に把握しておきましょう。
いずれの場合も、何か懸念事項がある場合は、事前に行政書士など専門家に相談して対処法を検討しておくと安心です。
5. こんなケースは要注意!許可が取れない/取り消される例
建設業許可における「誠実性」の審査では、過去の行為や現在の状況から「この業者は信頼できないかもしれない」と判断されると、許可が下りなかったり、すでに取得している許可が取り消されたりすることがあります。
以下のようなケースに該当する方は、注意が必要です。
暴力団との関係がある場合
- 現在、暴力団の構成員である
- 暴力団の元構成員で、5年を経過していない
- 暴力団員と密接な関係がある、または実質的な支配を受けている
このような場合、申請者自身だけでなく、役員や営業所長などが該当していてもNGです。
昔の免許取消処分を受けている(5年以内)
過去に以下のような処分を受けていた場合、原則としてその最終処分の日から5年間は、誠実性がないと判断されることがあります:
- 建設業許可の取消処分
- 建築士法、宅建業法などの他の業法による免許取消
- 営業停止などの行政処分を受けた場合
5年経てば申請可能になりますが、経緯の説明や反省の姿勢が問われることもあります。
書類にウソがあった場合(虚偽記載)
- 許可申請書に事実と異なる内容を記載した
- 添付書類を改ざん、または重要な事項を意図的に省略した
一度でも虚偽が見つかると、「この人は信用できない」という評価につながり、許可が下りにくくなります。書類は正確・丁寧に作成しましょう。
労働法違反などがある場合
- 労働者に違法な長時間労働を強いていた
- 強制労働や中間搾取など、重大な違反があった
- 労働基準法や労働安全衛生法に反して罰金以上の刑を受けた
これらも、「労働者を大事にしない業者」と見られる原因になります。
誠実性の判断は、「この会社・人に公共インフラや民間の大切な工事を任せられるか?」という視点で行われます。上記のような事情がある場合は、正直に相談し、リスクがあればその説明や対処方針を整理しておくことが重要です。
必要であれば、行政書士に相談して、事前にリスクの洗い出しと対応策を検討するのがおすすめです。
6. 行政はどうやってチェックしてるの?「誠実性」の審査方法
「誠実性」の要件は、他の要件(例えば財産や技術者の有無)のように、提出書類だけで判断されるものではありません。行政は、申請内容の裏付けを確認するため、さまざまな方法で調査を行います。
過去の処分歴や関係機関への照会も
- 行政は、申請者や役員、営業所長など関係者の氏名・生年月日・役職などをもとに、過去の行政処分や犯罪歴の有無を確認します。
- 暴力団との関係が疑われる場合は、警察との情報共有も行われます。
- 必要に応じて、他の行政庁・監督機関に照会をかけることもあります。
つまり、「書類に問題がなければ大丈夫」というわけではなく、申請者の背景そのものがチェック対象になるということです。
「正直に話す」姿勢が評価される
もし、過去に気になるトラブルがあった場合でも、
- 正直に申告する
- 経緯を説明し、現在は改善されていることを示す
という姿勢があれば、審査側も柔軟に対応してくれることがあります。
逆に、隠そうとしたり、虚偽の記載があったりすると、それだけで「誠実性がない」と判断されてしまいます。
✅ポイントまとめ
- 「誠実性」は目に見える書類だけでは判断されない
- 関係者全員の過去の経歴もチェックされる
- 不安な点があれば事前に相談し、正直に対応することが大切
行政の視点では、「隠しごとなく、真摯に仕事をしてくれる業者かどうか」が一番大切なのです。
7. 「誠実性」をクリアするために、今できること
特に、過去に少しでも気になる出来事があった方や、「ちゃんと申請できるか不安…」という方は、以下を参考に準備を進めておきましょう。
リスクがある人はどう対応すればいい?
もし以下のような心当たりがある場合は、あらかじめ対策をしておくことが重要です:
- 過去に行政処分を受けたことがある
- 警察沙汰や裁判に関わったことがある
- 関係者にそうした経歴のある人がいる
このようなケースでは、
- 隠さずに申告する
- 経緯や現在の状況を説明する文書を添える
といった対応が考えられます。一定の期間を経ていない限り許可が下りるのは難しいでしょうが、現在の姿勢は必ず確認されますよ。
記載ミス・経歴の誤解釈を防ぐコツ
意外と多いのが、記載ミスや思い込みによる「経歴の誤り」です。たとえば:
- 役員の氏名の漢字や生年月日の誤記
- 昔の処分歴を忘れていて、申告漏れになる
- 他人の経歴を「自社のこと」と思い込んでしまう
こうしたミスを防ぐには、
- 古い書類(許可、処分、登記簿など)を見直す
- 家族や共同経営者と経歴を確認し合う
- わからない点は必ず専門家に確認する
という作業をしておくと安心です。
✅ 自社でできるチェックリスト(簡易診断)
以下の項目に心当たりがあれば、一度専門家への相談を検討しましょう。
□ 会社や役員に、過去5年以内の行政処分歴がある
□ 役員や使用人の中に、過去に逮捕歴のある人がいる
□ 申請書類の作成を一人で進めていて、第三者の確認がない
□ 経歴や書類について、うろ覚えのまま進めている
□ 書類に「とりあえずこう書けば通るだろう」と思って書いた箇所がある
一見すると小さなことでも、審査では「信頼できるかどうか」が問われます。不安な点は早めに洗い出し、安心できる形で申請に臨みましょう。
8. まとめ:許可取得に向けて、信頼される体制を整えよう
建設業の現場は、発注者との信頼関係がすべての基盤となっています。
「誠実性」は単なる形式的な要件ではなく、事業を長く続けていくための信用の土台です。そして、それは申請者本人だけでなく、役員・営業所長・現場責任者など関係者全員に問われるものです。
不安なことがある方も、まずは正直に向き合い、できる対策を早めに講じることで、建設業許可取得の道は必ず開けます。
私たち三澤行政書士事務所は、愛知県で事業を展開される皆さまが、自信を持って許可申請できるよう全力でサポートいたします。
お困りのことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。皆さまの事業の発展と信頼構築を、心から応援しています。
建設業許可の申請で、こんなお悩みはありませんか?
・「誠実性」に関する要件がよくわからず、過去の経歴が不安…
・役員や家族に該当する人がいて、許可が取れるか心配…
・どこまで正直に申告すればいいのかわからない…
そんなときは、建設系産業廃棄物業界出身の行政書士が対応する
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