こんにちは、行政書士の三澤です!
「とび・土工・コンクリート工事業の建設業許可ってどんな条件が必要?」「そろそろ500万円を超える案件も受けられるようにしておきたい…」
そんな疑問やお悩みを感じていませんか?

この記事では、
・元請から「建設業許可を取ってほしい」と言われた中小の施工業者の方
・今後、500万円を超える工事を請け負いたいと考えている方
・足場や基礎工事を行う中で、許可取得によって取引の幅を広げたい方

といった【とび・土工・コンクリート工事業】を営む事業者様向けに、建設業許可の取得に必要な要件や手続きの流れを、初めての方でもわかりやすいよう実務の視点で丁寧に解説していきます。

【この記事を読むことで得られること】
・自社が建設業許可の対象になるかどうかの判断基準がわかる
・専任技術者や経営経験など、要件を満たすための条件と証明方法がわかる
・許可取得までの流れと、愛知県での申請の注意点がつかめる

「うちでも取得できるの?」「まず何をすればいいの?」と迷われている方の道しるべとなるよう、ポイントを絞ってご紹介します。

それでは、さっそく見ていきましょう!


目次

1. はじめに

なぜ建設業許可が必要なのか?

建設業を営む上で、一定の金額以上の工事を請け負う場合には「建設業許可」が法律で義務づけられています。無許可のままで工事を請け負うと、行政処分の対象となるだけでなく、信用失墜や契約トラブルの原因にもなりかねません。

とくに「とび・土工・コンクリート工事業」は、足場の組立てや地盤改良、コンクリート構造物の築造など、あらゆる建設工事の基盤となる重要な工事を扱います。そのため、安定的に受注を増やしていくためにも、建設業許可の取得は避けて通れないステップといえるでしょう。

「とび・土工・コンクリート工事業」の特徴と重要性

この業種は、文字通り「とび(足場工事など)」「土工(掘削や地盤改良など)」「コンクリート工事(基礎や構造物の施工など)」といった、建設現場で欠かせない“土台づくり”に関わる工事をまとめたものです。

  • とび工事:足場の組立や解体、鉄骨の組立てなど
  • 土工工事:掘削、盛土、地盤改良など
  • コンクリート工事:型枠の施工やコンクリートの打設など

いずれも、建物や構造物の「基礎」に関わるため、安全面・品質面からも専門性が高く、一定の経験や技術が求められる分野です。

この記事では、この「とび・土工・コンクリート工事業」で一般建設業許可を取得したいと考えている方向けに、必要な知識や手続き、注意点をわかりやすくまとめています。

2. 「とび・土工・コンクリート工事業」とは?

定義と該当する工事内容

建設業法における「とび・土工・コンクリート工事業」は、主に以下のような工事を指します:

  • 足場の組立て・解体・変更
  • 重量物(鉄骨や建設機械など)の運搬や配置
  • 土砂の掘削や盛土、地盤の締固め
  • コンクリートによる構造物の築造
  • くい打ち・くい抜き、場所打ぐい工事
  • 解体工事や薬液注入による地盤安定工事

つまり、建物を支える「基礎づくり」「準備工事」を広くカバーしている業種であり、現場の安全や効率を支える土台とも言える仕事です。

他業種との違い・区別のポイント

一見似ている業種も多くありますが、以下のような区別が大切です:

鋼構造物工事:鉄骨の製作・加工から設置までを一貫して行う場合はこの業種。既製品の鉄骨を現場で組立てるだけなら「とび・土工・コンクリート工事業」に該当します。

土木一式工事業:ダムや橋などの大規模構造物を元請として施工するような総合的な土木工事は、こちらに分類されます。

解体工事業:建物の全部または一部を取り壊す工事のみを行う場合は、専用の「解体工事業」の登録が必要です。

タイル・れんが・ブロック工事業石工事業:ブロックを積み上げるような装飾・外構的な工事はこれらに分類されることがあります。

とび・土工・コンクリート工事業は「何をどう施工するか」で分類が変わるため、ご自身の業務内容に即して、正しい業種選択をすることが大切です。

許可取得の前提として、この業種の定義と範囲をしっかり理解することで、後々のトラブルや申請ミスを防ぐことができます。

3. 建設業許可が必要なケースと不要なケース

許可が必要になる金額の目安

建設業許可が必要となるかどうかは、請け負う工事の「金額」で判断されます。次のいずれかを超える工事を請け負う場合には、建設業許可が必要です:

  • 建築一式工事:税込で1,500万円以上、または木造住宅で延べ面積150平方メートル以上
  • 建築一式以外の工事(とび・土工・コンクリート工事を含む):税込で500万円以上

「500万円以上」というのは、材料費や外注費を含めた工事全体の請負金額のことです。仮に工事をいくつかの契約に分割しても、合計で500万円を超える場合は許可が必要です。

無許可でできる「軽微な工事」とは?

一方、上記の金額に満たない工事については、「軽微な工事」として許可が不要とされています。

  • 500万円未満の工事(建築一式工事を除く)
  • 材料費込みで計算することに注意

ただし、例外があります。たとえば、解体工事を単独で請け負う場合、金額が500万円未満でも「解体工事業の登録」が必要なことがあります。また、公共工事や元請との取引条件で「建設業許可が必須」とされる場合もあります。

また、「軽微だから許可は要らない」としていた事業者が、知らず知らずのうちに複数の工事契約で500万円を超えてしまい、結果的に無許可営業となってしまう例も少なくありません。許可の必要性については慎重に判断し、必要があれば行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。

4. 一般建設業許可を取得するための要件(全体像)

一般建設業の許可を取得するには、次の5つの要件をすべて満たす必要があります。どれか一つでも欠けていると許可が下りないため、ひとつずつ確認していきましょう。

(1)経営業務の管理責任者の配置

代表者または役員の中に、建設業の経営に5年以上携わった経験を持つ人が必要です。この「経営業務の管理責任者」は、会社や事業を適切に運営できる体制が整っているかを確認するための要件です。

個人事業主の場合も、本人が5年以上の経営経験を証明できればOKです。証明には、工事請負契約書や確定申告書などが使われます。

(2)専任技術者の配置

営業所ごとに、専任で勤務する「専任技術者」が必要です。これは、現場の技術的な指導・監督ができる人を常駐させるための制度です。

資格(例:2級施工管理技士)を持っていれば実務経験は不要な場合もありますが、資格がない場合は10年以上の実務経験などで代替できます。このあたりの詳細は、次章でさらに深掘りします。

(3)財産的基礎(いわゆる500万円ルール)

建設工事を請け負うに足る資金力があるかを証明するため、以下のいずれかが必要です:

  • 自己資本額が500万円以上
  • 金融機関から500万円以上の預金残高証明書または融資証明書を取得

新設法人などで決算書がない場合は、預金残高証明書での証明が一般的です。

(4)誠実性・欠格要件

過去に建設業法違反や不正行為を行っていないか、暴力団関係者がいないかといった、「誠実な運営」ができる体制であることも確認されます。役員全員に対して、法務局などで発行される証明書類の提出が求められます。

(5)社会保険への適正加入

従業員がいる場合は、健康保険・厚生年金・雇用保険の3つすべてに加入していることが必要です。未加入の場合は許可が下りないケースもあります。

とくに小規模事業者の場合、「うちは社会保険に入っていない」というケースもありますが、現在は厳格にチェックされるポイントなので、事前に対応が必要です。

5. 「とび・土工・コンクリート工事業」における専任技術者の詳細

専任技術者は、許可を受けようとする建設業種に応じた専門的な知識と実務経験を持つ人物でなければなりません。ここでは「とび・土工・コンクリート工事業」における専任技術者の認定要件について詳しく解説します。

満たす方法:資格/学歴+経験/実務経験のみ

専任技術者の要件は、大きく分けて次の3パターンで満たすことができます。

(1)国家資格で要件を満たす場合

以下のいずれかの資格を保有していれば、追加の実務経験は不要(または少なくて済む)です。

  • 2級土木施工管理技士(種別:土木または薬液注入)
  • 2級建築施工管理技士(種別:躯体)
  • 2級建設機械施工技士
  • 技能検定(型枠施工/とび・土工・コンクリート圧送施工/ウェルポイント施工)の合格者
  • 技術士(建設部門 等)

※技能検定は、合格年度によって追加の実務経験が必要なケースがあります。

(2)学歴+実務経験で満たす場合

建築学や土木工学に関する学科を修了している場合は、次のように短縮された実務経験年数で要件を満たせます。

  • 高校卒業(関係学科)+5年以上の実務経験
  • 大学・短大・高専卒業(関係学科)+3年以上の実務経験
  • 専門学校卒業(関係学科)+5年以上の実務経験

(3)実務経験のみで満たす場合

資格や学歴がなくても、10年以上の実務経験があれば要件を満たすことができます。 ただし、この場合は「とび・土工・コンクリート工事」に直接関係する内容である必要があり、経験の内容を工事契約書や請求書などで具体的に証明しなければなりません。

実務経験の考え方(按分に注意)

実務経験のみで要件を満たす場合に注意したいのが、「複数業種での経験年数の按分」です。

たとえば、10年間のうち5年は「とび工事」、残り5年は「内装工事」に携わっていた場合、それぞれの業種での経験は5年とカウントされ、どちらの業種でも専任技術者の要件を満たしていないことになります。

したがって、「10年」と書類に記載できても、それが複数の業種にまたがっていれば、各業種ごとの実務経験としては不十分と判断されることがあります。とび・土工・コンクリート工事業に特化した経験が10年分必要という点は、しっかり押さえておきましょう。

なお、実務経験を証明するには、以下のような書類が必要になります:

  • 工事請負契約書
  • 発注書・請求書
  • 工事写真や日報など

これらの書類を組み合わせて、経験の期間や工事内容を具体的に示すことが重要です。

6. 財産的基礎の証明方法(法人・個人別)

建設業許可を取得するには、一定の資金力があることを証明する必要があります。これを「財産的基礎」と呼び、次のいずれかの方法でクリアできます。

自己資本500万円以上/資金調達能力の証明方法

以下のいずれかを満たすことで、財産的基礎の要件を満たします。

(1)自己資本額が500万円以上

  • 法人の場合:直前の決算書(貸借対照表)の「純資産の部」が500万円以上あること。
  • 個人事業主の場合:青色申告決算書の「期末残高」などをもとに確認します。

(2)500万円以上の資金調達能力を証明する

決算書で500万円を満たさない、または新設法人で決算がまだない場合は、預金残高証明書などで証明します。

  • 金融機関が発行した預金残高証明書(申請日前4週間以内)
  • 金融機関の融資証明書(借入枠の証明も可能)

※残高証明書は「500万円ちょうど」ではなく、余裕を持った金額にするのが無難です。

個人事業主の場合でも、名義が申請者本人であれば、個人口座での残高証明でもOKとされるケースが多いですが、事前に役所へ確認すると安心です。


7. 愛知県での許可申請手続きの流れ

愛知県での一般建設業許可申請は、ステップを押さえて順番に進めていくことが重要です。

準備から申請、許可取得までのステップ

  1. 事前相談・要件チェック
    • 行政書士や愛知県の建設業許可窓口で、現在の状況が許可要件を満たしているか確認。
  2. 必要書類の収集・作成
    • 営業所の状況、経営経験や実務経験、財務状況などに応じて、該当書類をそろえます。
  3. 申請書類の提出
    • 主たる営業所を管轄する愛知県の建設事務所に提出。
    • 愛知県では「郵送」「窓口での投函」「仮受付」のいずれかの方法で受付されます(※対面審査なし)。
  4. 審査・補正対応
    • 書類審査が行われ、不備があれば補正指示があります。
  5. 許可の取得
    • 審査が通れば、建設業許可通知書が交付され、許可業者として営業可能に。
  6. 登録免許税の納付
    • 許可証の交付後、5万円の登録免許税を納付します。

申請先(知事許可)と提出方法

  • 愛知県知事許可:営業所所在地を管轄する県の建設事務所へ
  • 提出方法:原則は郵送・仮受付(窓口で預ける)・ポスト投函
営業所の所在地提出先(建設事務所等)
名古屋市内都市・整備局 都市基盤部都市総務課 建設業・不動産業室 建設業第二グループ
〒460-8501
愛知県名古屋市中区三の丸3-1-2(自治センター2階)
瀬戸市、春日井市、小牧市、尾張旭市、豊明市、日進市、清須市、北名古屋市、長久手市、愛知郡及び西春日井郡尾張建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒460-0001
愛知県名古屋市中区三の丸2-6-1(三の丸庁舎5階)
一宮市、犬山市、江南市、稲沢市、岩倉市及び丹羽郡一宮建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒491-0053
愛知県一宮市今伊勢町本神戸字立切1-4
津島市、愛西市、弥富市、あま市及び海部郡海部建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒496-8533
愛知県津島市西柳原町1-14(海部総合庁舎6階)
半田市、常滑市、東海市、大府市、知多市及び知多郡知多建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒475-0828
愛知県半田市瑞穂町2-2-1
岡崎市、西尾市及び額田郡西三河建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒444-0860
愛知県岡崎市明大寺本町1-4(西三河総合庁舎6階)
碧南市、刈谷市、安城市、知立市、高浜市知立建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒472-0026
愛知県知立市上重原町蔵福寺124
豊田市、みよし市豊田加茂建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒471-0867
愛知県豊田市常磐町3-28
新城市及び北設楽郡新城設楽建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒441-1354
愛知県新城市片山字西野畑532-1
豊橋市、豊川市、蒲郡市、田原市東三河建設事務所 総務課 総務・建設業グループ
〒440-0801
愛知県豊橋市今橋町6

申請書類は原本・写しを含めて膨大になるため、チェックリストを用いて漏れなく準備することが重要です。

必要書類一覧(法人・個人別)

書類名法人個人事業主備考
建設業許可申請書必須必須様式は愛知県HPよりDL可能
履歴事項全部証明書必須発行後3ヶ月以内のもの
定款の写し必須コピー可
登記されていないことの証明書役員全員分本人分法務局発行
身分証明書(本籍地の市区町村)役員全員分本人分
納税証明書(県税)必須必須愛知県税事務所で取得
財務諸表(直近3期)必須
確定申告書(直近5年分)必須青色申告書・収支内訳書など
社会保険加入を証明する書類必須該当者のみ健康保険被保険者証など
預金残高証明書/融資証明書必須必須金融機関発行、4週間以内
雇用保険・労災保険関連書類該当者のみ該当者のみ
営業所の写真必須必須外観・入口・内観の3点セット
経営業務の管理責任者の経験証明書類必須必須工事請負契約書・請求書など
専任技術者の資格証・経験証明書類該当者のみ該当者のみ

書類の形式や記載内容については、提出先の建設事務所や行政書士に事前確認することを強くおすすめします。

8. よくあるつまずきポイント・注意点

許可申請では、形式的な書類提出だけでなく、実務に根ざしたポイントが審査対象となります。以下に、申請者がよくつまずく代表的なポイントをまとめました。

実務経験の証明書類の不足

実務経験のみで専任技術者の要件を満たす場合、経験内容を証明する書類(契約書・請求書・日報など)が極めて重要です。経験年数が十分にあっても、証明資料が不足していれば不許可の対象になります。

また、工事内容が曖昧だったり、他業種との兼業経験が混ざっていたりすると、「按分」されて年数不足と判断されることもあります。しっかりした証明資料をそろえましょう。

営業所要件(自宅兼事務所など)

営業所として認められるためには、以下の点が確認されます:

  • 事務所としての実体があるか(机・パソコン・資料棚など)
  • 看板や表札などに屋号・商号が表示されているか
  • 自宅兼用の場合、居住スペースと明確に区分されているか

これらが曖昧だと、「実態のない営業所」と判断されてしまう可能性があります。

社会保険未加入による不許可リスク

建設業許可において、社会保険への加入は「必須項目」です。具体的には:

  • 健康保険(協会けんぽや建設国保など)
  • 厚生年金保険
  • 雇用保険

いずれも未加入では審査に通らないことが多く、特に法人は厳しくチェックされます。未加入の方は、申請前に速やかに整備しておきましょう。

許可取得後の義務(年度終了届、更新など)

許可を取った後も、「取ったら終わり」ではありませんです。以下のような義務があります:

  • 毎事業年度終了後の「事業年度終了届」の提出(決算終了後4ヶ月以内)
  • 5年ごとの許可更新申請
  • 変更があった場合の届出(役員変更・営業所移転など)

これらを怠ると、許可の失効や営業停止の原因となるため、注意が必要です。

建設業に関する手続きで、こんなお悩みはありませんか?

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