育成就労制度には、地方で事業を営む企業にとって見逃せない優遇的な仕組みがあります。それが「指定区域」制度です。大都市圏への人材集中を防ぐための配慮として設けられたもので、地方の事業者が優良な体制を整えれば、受入れ人数枠の拡大というメリットを受けられる可能性があります。

この記事では、出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」の記述に基づき、指定区域とはどのような制度なのか、対象となる地域はどこか、そしてどのように判断されるのかを解説します。

「指定区域」とは何か

出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」によると、「指定区域」とは、育成就労外国人が地方から大都市圏に流出することなどにより、大都市圏その他の特定の地域に過度に集中して就労することとならないよう、地方に対する配慮として、法務大臣及び厚生労働大臣による告示で定められた地域を指します。

技能実習制度でも、人材が都市部に偏って地方の人手不足が解消されにくいという課題が指摘されてきました。育成就労制度では、こうした偏在を防ぐための制度的な手当てとして、指定区域という考え方が導入されています。

指定区域の対象地域はどこか

同Q&Aによれば、告示により、次の8都府県「以外」の道県と、この8都府県のうちの一部の地域が、指定区域=地方として位置づけられています。

  • 東京都
  • 神奈川県
  • 千葉県
  • 埼玉県
  • 愛知県
  • 大阪府
  • 京都府
  • 兵庫県

つまり、これら大都市圏を中心とする8都府県の「外」にある道県は、基本的に指定区域(地方)として扱われるということです。また、これらの8都府県の中にも、一部の地域は指定区域として含まれる場合があるとされています。詳細な地域区分については、出入国在留管理庁が公表している「育成就労制度の関係省令等について(概略図)」の該当ページで確認できます。

指定区域に該当するかどうかの判断基準

指定区域にあたるかどうかは、「受入れ機関(育成就労実施者)の本店所在地」または「育成就労外国人の就労先」のどちらで判断されるのか、疑問に思う企業も多いでしょう。

この点について、同Q&Aでは明確に「指定区域にあるかどうかは、育成就労実施者の本店所在地によって判断されます」と説明されています。

つまり、たとえ育成就労外国人の実際の就労場所(事業所や現場)が指定区域内にあったとしても、受入れ機関の本店所在地が大都市圏にある場合は、指定区域の優遇措置の対象にはならないということになります。逆に、本店が地方にあれば、支店や事業所の所在地にかかわらず指定区域の対象となる可能性があります。企業の登記上の本店所在地がどこにあるかが判断の分かれ目になるため、自社の状況を確認しておく必要があります。

指定区域にいる企業が受けられるメリット

指定区域にあることの最大のメリットは、受入れ人数枠の拡大です。同Q&Aでは、指定区域にある「優良な育成就労実施者」が「優良な監理支援機関」の監理支援を受ける場合、受入れ人数枠が拡大されると説明されています。

この点は、監理支援機関に関するQ&Aの中でも触れられており、優良な監理支援機関から地方に所在する優良な受入れ機関が監理支援を受ける場合、当該受入れ機関の受入れ人数枠は、基本人数枠の3倍になるとされています。

つまり、地方の企業が

  1. 自社が「優良な育成就労実施者」として認められる体制を整え、
  2. あわせて「優良な監理支援機関」から監理支援を受ける

という2つの条件を満たすことで、通常よりも大幅に多くの育成就労外国人を受け入れられるようになる可能性があるということです。地方の人手不足に悩む企業にとっては、大きなインセンティブになり得る仕組みと言えるでしょう。

今後の実務上の注意点

優良な育成就労実施者・優良な監理支援機関として認定されるための具体的な基準については、決まり次第、運用要領の中で示される予定とされています。現時点では詳細な基準が確定していないため、今後の公表情報を継続的にチェックしていく必要があります。

また、指定区域の該当・非該当は本店所在地で機械的に判断されるため、これから地方に本店を移転して育成就労外国人の受入れ体制を整えようとする企業は、法人登記の状況も含めて計画的に準備を進めることが望ましいでしょう。

まとめ

育成就労制度の「指定区域」制度は、大都市圏への人材偏在を防ぐための仕組みであり、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・愛知県・大阪府・京都府・兵庫県以外の道県(および一部地域)が対象となります。該当の判断は受入れ機関の本店所在地によって行われ、優良な受入れ機関が優良な監理支援機関の支援を受けることで、受入れ人数枠が基本人数枠の3倍まで拡大される可能性があります。地方の事業者にとっては積極的に活用を検討したい制度です。

指定区域の該当性の確認や、優良な受入れ機関としての体制整備についてご相談がある企業様は、外国人材の在留手続に詳しい行政書士までお問い合わせください。