「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人社員が転職してきた場合、企業の人事担当者が必ず確認しなければならないのが、「転職後の業務内容が、この在留資格で認められる活動に該当するかどうか」という点です。在留期限にまだ余裕があるからといって安心してしまうと、実は在留資格に該当しない業務をさせてしまっていた、という事態になりかねません。本記事では、出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」の内容に基づき、転職者の在留資格該当性を確認する方法について解説します。
転職と在留資格の関係
まず前提として、外国人が転職すること自体は問題ではありません。重要なのは、転職後に従事する業務内容が、現在保有している在留資格に基づいて行うことができる活動に含まれているかどうかです。
出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」Q35では、「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格を持っており、在留期限が近いのですが、まもなく転職する予定です。どのような手続をすればよいのでしょうか」という質問に対し、次のように回答されています。
- 転職後の活動が現在の在留資格に基づく活動と変わらない場合は、在留期間更新許可申請を行う
- 転職後の活動が現在の在留資格に基づく活動から変わる場合には、在留資格変更許可申請を行う
- いずれの場合も、必ず在留期限までに行う
在留期限が近い場合には、このように更新または変更のいずれかの手続を通じて、業務内容の適合性が審査される仕組みになっています。
在留期限にまだ余裕がある場合の確認方法
問題となるのは、Q36で取り上げられているようなケースです。出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」Q36では、「日本で働いており、○○(例:『技術・人文知識・国際業務』、『技能』)の在留資格を持っていて在留期限は2年先なのですが、転職しました。仕事内容は前の仕事と同様ですが、『技術・人文知識・国際業務』の在留資格で行うことができる活動に含まれるかどうかを確認したいのです」という質問が想定されています。
このように、在留期限にまだ余裕があり、すぐに更新や変更の手続を行う予定がない場合には、転職後の業務内容が在留資格に該当するかどうかを確認する公的な手続が別途用意されています。それが「就労資格証明書」の交付申請です。同Q&Aの回答では、就労資格証明書の交付申請を行うことで証明を受けることができるとされています。
就労資格証明書の詳しい内容や取得の要否については、別記事「就労資格証明書とは?取得は必須か」でも解説していますので、あわせてご参照ください。
「技術・人文知識・国際業務」該当性の考え方
出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」Q33では、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の活動について、本邦の公私の機関との契約に基づいて行う活動であることが要件とされている点が説明されています。この契約は雇用契約に限られず、委任、委託、嘱託等の契約も含まれますが、在留活動が継続して行われることが見込まれる必要があるため、これらの契約は特定の機関(複数でもかまわない)との継続的なものでなければならないとされています。
転職の場面では、新しい勤務先との間で、こうした契約に基づいて理学、工学その他の自然科学の分野もしくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術・知識を要する業務、または外国の文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務に従事することになっているかどうかが、審査上のポイントとなります。単に「前職と同じような仕事だから大丈夫だろう」と自己判断せず、公式な確認を得ておくことが望ましいといえます。
就労資格証明書の申請先
就労資格証明書の申請先についても注意が必要です。出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」Q37によると、就労資格証明書は住居地を管轄する地方出入国在留管理局等に申請する必要があり、勤務先所在地を管轄する地方出入国在留管理局では申請できません。転職先の会社の所在地とご本人の住居地が異なる管轄区域にある場合には、この点を見落とさないようにしましょう。
転職時に人事担当者が押さえておきたい流れ
転職者を受け入れる企業の人事担当者としては、次のような流れで確認を進めるとよいでしょう。
- 転職後に従事させる業務内容を具体的に整理する
- 現在保有している在留資格(例:「技術・人文知識・国際業務」)の活動範囲と業務内容を照らし合わせる
- 在留期限が近い場合は、在留期間更新許可申請または在留資格変更許可申請のいずれが必要かを判断し、期限内に手続を行う
- 在留期限にまだ余裕がある場合は、必要に応じて就労資格証明書の交付申請を案内し、業務内容の適合性を公式に確認する
- なお、所属機関に関する届出(転職の事実そのものの届出)が別途必要になる場合があります。この点は別記事「外国人従業員の転職・出向・二重就労と所属機関届出の関係」で詳しく解説しています
よくある質問
Q. 転職後も業務内容がまったく同じであれば、何もしなくてよいですか。
業務内容が全く同じであっても、在留期限が近づいている場合は在留期間更新許可申請が必要です。また、転職の事実自体について、所属機関に関する届出が必要になる場合がありますので、手続を怠らないようにしましょう。
Q. 就労資格証明書を取らずに転職後の業務を続けても問題ないですか。
就労資格証明書の取得は義務ではありませんが、業務内容が在留資格に該当するかどうかの判断に迷う場合は、取得しておくことで本人・雇用主双方にとって安心材料となります。
まとめ
転職した外国人社員の「技術・人文知識・国際業務」該当性を確認するには、在留期限が近い場合は在留期間更新許可申請または在留資格変更許可申請を通じて確認し、在留期限に余裕がある場合は就労資格証明書の交付申請を活用するという2つのルートがあります。いずれの場合も、業務内容と在留資格の活動範囲を照らし合わせて慎重に判断することが重要です。個別の判断に迷う場合は、行政書士等の専門家にご相談されることをおすすめします。
