「高度専門職」の在留資格を持つ外国人が転職する場合、通常の就労資格とは異なる特有のルールがあります。高度専門職の在留資格は、法務大臣が指定する特定の機関において活動することを前提とした資格であるため、転職に伴い在留資格変更許可申請が必要になるケースが多くあります。本記事では、出入国在留管理庁「所属機関等に関する届出・所属機関による届出Q&A」の内容に基づき、高度専門職1号・2号それぞれの転職時の取扱いについて解説します。
高度専門職の在留資格の特徴
高度専門職の在留資格は、高度の専門的な能力を有する人材を対象とした在留資格で、1号(イ・ロ・ハ)と2号に区分されています。出入国在留管理庁「所属機関等に関する届出・所属機関による届出Q&A」では、所属機関に関する届出の対象者を「A」「B」「C」の3グループに分けて整理しており、高度専門職1号ハと高度専門職2号(ハに掲げる活動に従事する場合に限る)はAグループに、高度専門職1号イ・ロと高度専門職2号(イまたはロに掲げる活動に従事する場合に限る)はBグループに分類されています。
高度専門職1号は、法務大臣が指定する本邦の公私の機関において、次のいずれかの活動を行う人材を対象としています。
- イ:研究、研究の指導もしくは教育をする活動
- ロ:自然科学もしくは人文科学の分野に属する知識もしくは技術を要する業務に従事する活動
- ハ:貿易その他の事業の経営を行い、もしくは当該事業の管理に従事する活動
高度専門職2号は、1号の活動を行った者であって、その在留が我が国の利益に資するものとして法務省令で定める基準に適合する者が対象です。
高度専門職1号ハの場合:転職には在留資格変更許可申請が必要
出入国在留管理庁「所属機関等に関する届出・所属機関による届出Q&A」Q27では、「高度専門職1号ハの在留資格を有していますが、どのような場合に届出が必要ですか」という質問に対し、次のように回答されています。
活動機関から離脱した場合には、離脱の届出が必要です。また、高度専門職1号の在留資格を持つ方は、所属機関が法務大臣によって指定されるため、転職して所属機関が変わる場合は在留資格変更許可申請を行う必要があります。
つまり、高度専門職1号の在留資格は、法務大臣が指定した特定の機関における活動を前提として許可されているため、転職によって所属機関そのものが変わる場合には、単なる届出だけでは済まず、在留資格変更許可申請という正式な手続が必要になるということです。これは、通常の「技術・人文知識・国際業務」等の在留資格とは異なる、高度専門職ならではの特徴といえます。
一方で、同Q&Aでは、主たる活動を行いながら、指定された会社以外に子会社を設立して経営するような場合は、届出不要とされています。あくまで「主たる活動を行う機関」が変わらない限りは、追加的な活動について届出は不要という整理です。
高度専門職2号(ハ)の場合:機関の変更があった場合は届出が必要
一方、高度専門職2号(ハ)については、少し異なる取扱いが示されています。出入国在留管理庁「所属機関等に関する届出・所属機関による届出Q&A」Q28では、「高度専門職2号(ハ)の在留資格を有していますが、どのような場合に届出が必要ですか」という質問に対し、次のように回答されています。
所属する活動機関に変更(消滅、名称変更、所在地変更、離脱、移籍)があった場合には、届出が必要です。高度専門職2号の在留資格を持つ方は、所属機関が2か所以上になる場合がありますので、その際は全ての所属機関について届出を行うことが求められています。
高度専門職2号は、1号と異なり、複数の機関に所属して活動することが認められている点が特徴です。そのため、所属機関が複数になった場合には、そのすべての機関について届出を行う必要がある点に注意が必要です。
1号と2号の違いのポイント
高度専門職の在留資格を持つ外国人が転職する際の対応の違いを整理すると、次のようになります。
- 高度専門職1号(イ・ロ・ハ):所属機関は法務大臣によって指定されているため、転職により所属機関が変わる場合は在留資格変更許可申請が必要。活動機関から離脱した場合には、離脱の届出も必要
- 高度専門職2号(ハ):所属機関に変更(消滅、名称変更、所在地変更、離脱、移籍)があった場合には届出が必要。複数の機関に所属する場合は、すべての機関について届出が必要
このように、高度専門職2号は1号と比べて活動の自由度が高く設計されている一方、複数の所属機関を持つ場合の届出管理はより煩雑になる可能性があります。
人事担当者が注意すべき点
高度専門職の在留資格を持つ外国人を受け入れている企業では、次の点に注意が必要です。
- 対象の外国人が高度専門職1号(イ・ロ・ハ)なのか、2号(イ・ロ・ハ)なのかを正確に把握する
- 1号の方が転職する場合には、単なる届出だけでなく在留資格変更許可申請が必要になる可能性があるため、早めに手続の準備を進める
- 2号の方が複数の機関に所属する場合には、すべての所属機関について届出が漏れないよう管理する
- 高度専門職1号の方が、主たる活動先とは別に子会社を設立して経営に携わるようなケースでは、届出が不要となる場合があるため、活動の実態を踏まえて個別に判断する
よくある質問
Q. 高度専門職1号の方が転職する場合、在留資格変更許可申請と届出の両方が必要になりますか。
活動機関から離脱した場合の離脱の届出と、所属機関が変わる場合の在留資格変更許可申請は、それぞれ別の手続として必要になる可能性があります。個別の状況に応じて、どの手続が必要かを確認することが重要です。
Q. 高度専門職2号への移行を考えていますが、転職時の届出ルールは変わりますか。
高度専門職2号は1号と異なる届出ルールが適用されるため、在留資格の区分が変わるタイミングで、あらためて届出の要否を確認することをおすすめします。
まとめ
高度専門職の在留資格を持つ外国人が転職する際は、1号か2号かによって必要な手続が異なります。1号の場合は、所属機関が法務大臣によって指定されているため、転職に伴い在留資格変更許可申請が必要になる点が大きな特徴です。2号の場合は、所属機関の変更について届出が必要であり、複数機関に所属する場合はすべての機関について届出を行う必要があります。手続を誤ると在留資格に関わる重大な問題につながりかねないため、個別の状況については行政書士等の専門家に相談することをおすすめします。
