特定技能1号の外国人を受け入れる企業は、一号特定技能外国人支援計画を自社で実施することが難しい場合、その支援業務を「登録支援機関」に委託することができます。この登録支援機関になるためには、出入国在留管理庁長官の登録を受ける必要があり、一定の欠格事由に該当しないことが条件となります。本記事では、出入国管理及び難民認定法(入管法)第19条の23から第19条の26までの条文内容に基づき、登録支援機関になるための要件と欠格事由について解説します。
登録支援機関の登録制度とは
入管法第19条の23第1項は、契約により委託を受けて適合一号特定技能外国人支援計画の全部の実施の業務(支援業務)を行う者は、出入国在留管理庁長官の登録を受けることができるとしています。この登録を受けた者が「登録支援機関」と呼ばれます。
登録の有効期間については、入管法第19条の23第2項が、登録は5年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によってその効力を失うと定めています。つまり、一度登録を受ければ永続的に効力を持つわけではなく、5年ごとに更新の手続を行う必要があります。また、同条第3項では、登録(更新を含む)を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納付しなければならないとされています。
登録の申請に必要な事項
入管法第19条の24第1項は、登録を受けようとする者が、法務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を出入国在留管理庁長官に提出しなければならないと定めています。
一 氏名または名称および住所ならびに法人にあっては、その代表者の氏名 二 支援業務を行う事務所の所在地 三 支援業務の内容およびその実施方法その他支援業務に関し法務省令で定める事項
また、同条第2項では、この申請書には、登録を受けようとする者が後述する欠格事由(入管法第19条の26第1項各号)のいずれにも該当しないことを誓約する書面その他の法務省令で定める書類を添付しなければならないとされています。
登録拒否事由(欠格事由)
登録支援機関になるためには、法律で定められた欠格事由に該当しないことが必要です。入管法第19条の26第1項は、出入国在留管理庁長官は、登録を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当するとき、または申請書・添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、もしくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならないと定めています。主な欠格事由は以下のとおりです。
- 拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
- 入管法もしくは技能実習法の規定その他出入国・労働に関する一定の法律の規定またはこれらに基づく命令の規定により、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
- 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定(一部を除く)により、または刑法の一定の罪(傷害罪、傷害現場助勢罪、暴行罪、凶器準備集合・結集罪、暴力行為等処罰に関する法律の罪など)を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
- 健康保険法、船員保険法、労働者災害補償保険法、厚生年金保険法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律または雇用保険法の一定の規定により、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
- 心身の故障により支援業務を適正に行うことができない者として法務省令で定めるもの
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 登録を取り消され、当該取消しの日から起算して5年を経過しない者
- 登録を取り消された者が法人である場合において、当該取消しの処分を受ける原因となった事項が発生した当時現に当該法人の役員であった者で、当該取消しの日から起算して5年を経過しないもの
- 登録の申請の日前5年以内に出入国または労働に関する法令に関し不正または著しく不当な行為をした者
- 暴力団員(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員)または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
- 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者であって、その法定代理人が上記各号のいずれかに該当するもの
- 法人であって、その役員のうちに上記各号のいずれかに該当する者があるもの
- 暴力団員等がその事業活動を支配する者
- 支援業務を的確に遂行するための必要な体制が整備されていない者として法務省令で定めるもの
出入国在留管理庁長官は、登録を拒否したときは、遅滞なく、その理由を示して、その旨を申請者に通知しなければなりません(入管法第19条の26第2項)。
登録拒否事由をどう読むか
これらの欠格事由を見ると、大きく次のような観点から登録支援機関としての適格性が審査されることが分かります。
- 一定の犯罪歴(刑事罰)がないこと(傷害・暴行等の刑法犯、社会保険関係法令違反、出入国・労働関係法令違反など)
- 破産等の経済的な信用状況に問題がないこと
- 過去に登録を取り消された経歴がないこと(法人の役員として関与していた場合も含む)
- 反社会的勢力(暴力団員等)と関係がないこと
- 支援業務を適切に遂行できる体制が整っていること
特に「登録の申請の日前5年以内に出入国または労働に関する法令に関し不正または著しく不当な行為をした者」という要件は、幅広い法令違反行為を対象としうるため、支援業務を受託しようとする事業者は、自社の労務管理体制やコンプライアンス体制を十分に点検しておく必要があります。
登録後の変更届出や登録簿の閲覧
登録を受けた者(登録支援機関)は、申請書に記載した事項に変更があったときは、法務省令で定めるところにより、その旨を出入国在留管理庁長官に届け出なければなりません(入管法第19条の27第1項)。また、出入国在留管理庁長官は、登録支援機関登録簿を一般の閲覧に供しなければならないとされています(入管法第19条の28)。登録の有無や登録内容は公開されているため、受入れ機関が登録支援機関に委託する際にも、この登録簿を確認することができます。
まとめ
登録支援機関になるためには、出入国在留管理庁長官の登録を受ける必要があり、登録は5年ごとの更新制です。申請に当たっては、氏名・名称、住所、支援業務を行う事務所の所在地、支援業務の内容などを記載した申請書を提出するとともに、刑事罰の有無、破産の有無、過去の登録取消し歴、反社会的勢力との関係の有無、業務遂行体制の整備状況など、多岐にわたる欠格事由に該当しないことが求められます。登録支援機関としての活動を検討している事業者は、自社がこれらの欠格事由に該当しないかを事前にしっかり確認しておくことが重要です。登録申請の具体的な準備については、行政書士等の専門家にご相談されることをおすすめします。
