留学生をアルバイトとして雇用する飲食店や小売店、企業は多くありますが、「週に何時間まで働かせてよいのか」を正確に把握していないケースも見受けられます。留学生の在留資格は本来「留学」であり、就労を目的とした在留資格ではありません。そのため、アルバイトをするには「資格外活動許可」を受ける必要があり、その許可には就労時間の上限が定められています。本記事では、出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」の内容に基づき、留学生アルバイトの就労時間のルールについて解説します。
留学生アルバイトの原則:資格外活動許可が必要
出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」Q40によると、外国人の方が本来の活動を行う傍ら、アルバイト等の収入を得る活動を行う場合には、地方入国管理官署において資格外活動許可を受ける必要があるとされています。「留学」の在留資格を持つ学生が学校の授業が終わった後にアルバイトをしたい場合も、この資格外活動許可が前提となります。
通常期の就労時間は週28時間以内
出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」Q65では、「『留学』の在留資格を持った学生をアルバイトとして雇おうと思っていますが、就労時間に制限はありますか」という質問に対し、次のように回答されています。
留学生については、包括的な資格外活動許可を受けている場合には、1週について、28時間以内(夏期・冬期休業等の教育機関の長期休業中は、1日8時間以内)の就労(風俗営業等への従事を除き、教育期間に在籍している場合に限る。)が可能とされています。
つまり、通常の学期中は「1週間当たり28時間以内」という制限がかかります。この「1週間」の数え方について特段の定めは示されていませんが、複数のアルバイト先で働く場合には、すべての勤務先での労働時間を合算して28時間以内に収める必要がある点に注意が必要です。雇用主としては、自社での勤務時間だけを見て「大丈夫だろう」と判断せず、本人に他のアルバイトの有無を確認することが望ましいでしょう。
なお、この包括的な資格外活動許可には「風俗営業等への従事を除き」という条件が付されている点にも注意が必要です。風俗営業等に関連する業務への従事は、包括的な許可の範囲外とされています。
長期休業中は1日8時間以内に緩和
出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」Q66では、「夏休み期間中1か月、『留学』の在留資格を持った学生をアルバイトとして雇おうと思っていますが、就労時間に制限はありますか」という質問が取り上げられています。この回答では、「留学」の在留資格の方が資格外活動許可を持っている場合、夏休み等の教育機関の長期休業期間にあっては、1日について8時間以内の資格外活動が可能とされています。
つまり、長期休業期間中は「週28時間」という上限ではなく、「1日8時間以内」というルールに切り替わります。単純計算すれば、週5日勤務であれば週40時間まで働くことが可能になるということです。夏休みなどの繁忙期に留学生アルバイトをフルタイムに近い形で活用したい飲食店などにとっては、重要なポイントといえます。
個別の資格外活動許可を受けている場合の確認方法
留学生の中には、包括的な資格外活動許可ではなく、個別の資格外活動許可を受けている方もいます。出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」Q65によれば、個別的な資格外活動許可を受けている場合には、旅券に貼付されている証印に許可された活動内容等が記載されているとされています。また、Q66でも、就労時間等の資格外活動許可の条件については、旅券に貼付された資格外活動許可の証印または資格外活動許可書に記載されているため確認するよう案内されています。
したがって、雇用する留学生がどちらのタイプの許可を受けているのかを確認し、個別許可の場合はその証印や許可書に記載された条件(時間数や業務内容)を必ず確認する必要があります。
雇用主が押さえておくべきポイント
留学生をアルバイトとして雇用する際、雇用主として確認・管理すべき事項を整理すると、次のとおりです。
- 在留カードで在留資格が「留学」であることを確認する
- 資格外活動許可を受けているかどうかを確認する(包括許可か個別許可かも含めて)
- 学期中は週28時間以内、長期休業中は1日8時間以内という時間制限を遵守する
- 複数のアルバイト先を掛け持ちしている可能性がある場合、合算した労働時間が上限を超えないよう配慮する
- 風俗営業等に該当する業務には従事させない
- 卒業後は、包括的な資格外活動許可の効力がなくなる点にも注意する(教育機関に在籍している間に限り有効)
なお、留学生がアルバイトの面接に来た場合の在留資格・在留カードの確認方法全般については、別記事「外国人採用の面接で確認すべき在留資格・在留カードのチェックポイント」もあわせてご参照ください。
よくある質問
Q. 留学生が卒業した後も、在留期限が残っていればアルバイトを続けられますか。
出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」Q45によれば、留学生に対する包括的な資格外活動許可は教育機関に在籍している間に限り有効であるため、卒業後いずれの教育機関にも在籍していない場合には、アルバイトをすることは認められません。卒業予定の留学生を雇用している場合は、この点への注意が必要です。
Q. 週28時間を超えて働かせてしまった場合、どうなりますか。
資格外活動許可の範囲を超えた就労は不法就労に該当するおそれがあり、雇用主側にも不法就労助長罪が成立するリスクがあります(詳しくは別記事「不法就労助長罪とは?知らずに雇っても罰せられるのか」をご参照ください)。時間管理は徹底することが重要です。
まとめ
留学生アルバイトの就労時間は、学期中は週28時間以内、夏休みなどの長期休業期間中は1日8時間以内というルールが定められています。雇用主としては、在留カードや資格外活動許可の証印・許可書の内容をしっかり確認し、時間管理を徹底することが不可欠です。個別の事情によって判断が異なる場合もありますので、不明な点は行政書士等の専門家にご相談ください。
