はじめに

海外から外国人経営者や管理者を日本に招へいする場合、まず取得すべきなのが在留資格「経営・管理」に係る「在留資格認定証明書」です。この証明書を取得することで、在外公館でのビザ発給や上陸審査がスムーズに進みます。

ところが、この在留資格認定証明書の交付申請は、外国人本人が国外から日本の地方出入国在留管理局に直接出向いて行うことはできません。そこで問題になるのが「誰が代わりに申請できるのか」という点です。この記事では、出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」のQ32の内容をもとに、経営・管理ビザの在留資格認定証明書交付申請ができる代理人について解説します。

在留資格認定証明書とは何か

まず前提として、在留資格認定証明書がどのような制度かを確認しておきましょう。出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」によると、在留資格認定証明書とは、上陸のための条件のうち「日本で行おうとする活動が虚偽のものでなく、かつ在留資格に該当すること」について、あらかじめ適合していることを証明するものとされています。

この証明書を上陸審査の際に提示することで、上陸審査が円滑に進みます。もっとも、証明書を所持しているだけで入国できるわけではなく、在外公館で証明書を提示してビザ(査証)の発給を受ける必要があります。また、証明書の有効期間は交付日から3か月とされており、この期間内に上陸申請をしないと効力を失う点にも注意が必要です。

在留資格認定証明書は誰が申請するのか(原則)

同Q&Aでは、在留資格認定証明書は「入国しようとする外国人本人若しくは、その代理人の方」が申請できるとされています。外国人本人はまだ日本国外にいるケースがほとんどですので、実務上は代理人による申請が一般的です。

代理人となる者は在留資格の種類によって異なります。たとえば、日本で就労しようとする場合の代理人は、受入れ機関となる企業の職員です。日本人と結婚して入国しようとする場合には、外国人の配偶者である日本人が代理人となります。

経営・管理ビザの代理人は誰がなれるのか

それでは、経営・管理の在留資格に係る在留資格認定証明書交付申請については、具体的に誰が代理人となれるのでしょうか。出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」のQ32では、次の2つのパターンが示されています。

  • 入国しようとする外国人が勤務する本邦の事業所の職員の方が申請できる
  • 本邦で新たに事業所を設置し、そこで経営を行う若しくは管理に従事する場合には、当該事務所の設置について委託を受けている方(法人である場合にはその職員)が申請することも可能

つまり、すでに存在している会社に外国人経営者・管理者を迎える場合は、その会社の職員が代理人として申請できます。これに対し、これから新たに会社を設立して外国人が経営者として来日するようなケースでは、まだ会社(法人)自体が存在していないため、「事務所の設置について委託を受けている方」が代理人となれる、という整理です。実務上は、設立準備を任された行政書士事務所や、設立を委託されたコンサルティング会社の担当者などがこの立場に該当することが多いといえます。

なぜこのような取扱いになっているのか

経営・管理ビザは、他の就労系在留資格と異なり、「これから会社を作る外国人自身」が申請の当事者になろうとするケースが少なくありません。しかし、会社設立前の段階では受入れ機関としての法人が存在しないため、通常の就労ビザのように「受入れ企業の職員」を代理人とすることができません。

そこで、事務所設置の委託を受けている者(個人事業として受託している人、または委託先が法人であればその職員)を代理人として認めることで、起業準備段階の外国人であっても、国内の協力者を通じて円滑に手続を進められるようにしていると考えられます。

在留資格認定証明書交付申請はどこに行うのか

なお、同Q&AのQ4によると、在留資格認定証明書の申請先は、原則として代理人となる受入れ機関の所在地や親族の住所地を管轄する地方出入国在留管理局または支局とされています。経営・管理ビザの場合は、事業所(または設置予定の事業所)の所在地を管轄する官署が申請先になると考えられますので、あらかじめ管轄区域を確認しておくことが大切です。

実務上のポイントと注意点

経営・管理ビザの在留資格認定証明書交付申請では、代理人適格の確認に加えて、事業計画書や資金の出所を示す資料、事業所の賃貸借契約書など、事業の実態を裏付ける多くの書類の提出が求められます。特に新規設立のケースでは、法人登記が完了していない段階で申請準備を進めることになるため、設立手続と在留資格申請の手続を並行して進めるスケジュール管理が重要になります。

また、代理人として申請を行う場合でも、申請書類の内容について外国人本人と十分にすり打ち合わせを行い、事実と異なる記載がないよう注意する必要があります。虚偽の申立てや偽造書類の提出は、在留資格の取消しや退去強制手続の対象となる重大なリスクを伴います。

さらに、弁護士や行政書士は、地方出入国在留管理局長への届出を行うことで、申請取次者として申請書類の提出等の手続を代わりに行うことができます。会社設立と在留資格取得を同時に進める場合、事業計画の策定段階から専門家に相談することで、要件の充足状況を確認しながらスムーズに準備を進めることができます。

まとめ

経営・管理ビザに係る在留資格認定証明書交付申請の代理人となれるのは、(1)入国しようとする外国人が勤務する本邦の事業所の職員、または(2)新たに事業所を設置する場合はその設置について委託を受けている方(法人であればその職員)です。既存企業への招へいか、新規起業かによって代理人の立場が変わる点が、他の就労ビザとの大きな違いといえます。

会社設立と外国人経営者の招へいを同時に検討されている方は、代理人適格の判断や必要書類の準備で迷うことも多いかと思います。経営・管理ビザの申請でお困りの際は、外国人在留手続に詳しい行政書士までお気軽にご相談ください。