「高度専門職」の在留資格をもって日本で働く外国籍の方が増える中、その配偶者の就労や、子育てを支援する親の呼び寄せについてのご相談も増えています。高度専門職外国人には、一般の就労系在留資格にはないさまざまな優遇措置が用意されており、その一つが今回ご紹介する「特定活動」の枠組みを使った配偶者の就労と、親による子育て支援活動です。
今回は、出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の規定に基づく特定活動告示のうち、第33号(配偶者の就労)と第34号(親の子育て支援活動)の内容を確認しながら、それぞれの要件を解説します。
特定活動告示第33号:高度専門職外国人の配偶者の就労
特定活動告示第33号は、次のように定められています。
三十三 高度専門職外国人の配偶者(当該高度専門職外国人と同居する者に限る。)が、本邦の公私の機関との契約に基づいて、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けて行う別表第五に掲げるいずれかの活動(特定活動告示 第三十三号)
この規定により、高度専門職外国人と同居する配偶者は、日本人が従事する場合と同等額以上の報酬を受けることを条件に、告示の別表第五に掲げる活動に従事することができます。別表第五に掲げられている活動には、次のようなものが含まれます。
- 研究を行う業務に従事する活動
- 小学校・中学校・高等学校・特別支援学校・専修学校・各種学校などで語学教育その他の教育をする活動
- 自然科学若しくは人文科学の分野に属する技術若しくは知識を必要とする業務、又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動
- 商品や事業の宣伝、放送番組や映画の製作、商業用写真の撮影、レコードやビデオテープ等への録音・録画といった、興行以外の芸能活動
一般的な就労系の在留資格(たとえば「技術・人文知識・国際業務」)では、あらかじめ定められた基準に個別に適合する必要がありますが、高度専門職外国人の配偶者については、この特定活動告示に基づくことで、比較的幅広い分野の業務に就労できる道が用意されているのが特徴です。ただし、あくまで「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受ける」ことが条件となっている点には注意が必要です。
特定活動告示第34号:親による子育て支援活動
もう一つ、高度専門職外国人の世帯に関わる重要な規定が、親による子育て支援に関するものです。特定活動告示第34号では、次のように定められています。
三十四 高度専門職外国人(申請の時点において、世帯年収が八百万円以上の者に限る。)と同居し、かつ、当該高度専門職外国人若しくはその配偶者の七歳未満の子を養育し、又は当該高度専門職外国人の妊娠中の配偶者若しくは妊娠中の当該高度専門職外国人に対し介助、家事その他の必要な支援をする当該高度専門職外国人の父若しくは母又は当該高度専門職外国人の配偶者の父若しくは母(当該高度専門職外国人及びその配偶者のうちいずれかの父又は母に限る。)として行う日常的な活動(特定活動告示 第三十四号)
この規定は、高度専門職外国人本人またはその配偶者の父母(つまり、高度専門職外国人から見た自分の親、または配偶者の親)が、日本に在留して子育てを支援するための活動を認めるものです。対象となる活動は次の2種類に整理できます。
- 高度専門職外国人またはその配偶者の7歳未満の子を養育する活動
- 高度専門職外国人の妊娠中の配偶者、または妊娠中の高度専門職外国人本人に対して、介助・家事その他の必要な支援を行う活動
これはいわゆる「里帰り出産」や「産前産後のサポート」「未就学児の育児支援」といった、家族による子育てサポートを制度的に後押しする内容といえます。出入国審査・在留審査Q&AのQ56でも、「高度外国人材に対する優遇措置として、『高度専門職』の在留資格をもって在留する外国人の7歳未満の子の養育を行うなど、当該高度外国人材の親が在留資格『特定活動』に係る法務省告示に該当する場合には、『特定活動』の在留資格による入国・在留を認めています」と説明されており、原則として外国人の親を理由とする在留資格が存在しない中で、高度専門職外国人については例外的にこうした優遇措置が設けられていることがわかります。
世帯年収などの要件に注意
特定活動告示第34号では、「申請の時点において、世帯年収が800万円以上の者に限る」という条件が明記されています。この世帯年収の要件を満たさない場合には、この特定活動の対象とはなりません。また、対象となる父・母は「当該高度専門職外国人及びその配偶者のうちいずれかの父又は母に限る」とされており、双方の親が同時にこの活動を行うことを想定した規定ではない点にも留意が必要です。
実務上のポイント
- 配偶者の就労(第33号)は、同居していること、そして日本人が従事する場合と同等額以上の報酬を受けることが条件です。就労先の契約内容や報酬額が要件を満たしているか、事前に確認しておく必要があります。
- 親の子育て支援活動(第34号)は、世帯年収800万円以上という明確な基準があるため、申請時点での世帯の収入状況を正確に把握しておくことが重要です。
- いずれも高度専門職外国人本人との同居が前提となっているため、居住の実態を示す資料の準備も欠かせません。
まとめ
- 特定活動告示第33号により、高度専門職外国人と同居する配偶者は、日本人と同等額以上の報酬を条件に、告示別表第五に掲げる幅広い分野の活動に従事することができます。
- 特定活動告示第34号により、世帯年収800万円以上の高度専門職外国人と同居する父母は、7歳未満の子の養育や、妊娠中の配偶者・本人への支援を目的とした在留が認められます。
- いずれも高度専門職外国人に対する優遇措置として設けられた特例であり、一般的な就労系在留資格にはない柔軟な仕組みとなっています。
高度専門職の在留資格を持つ方やそのご家族で、配偶者の就労やご両親の呼び寄せを検討されている方は、要件を正確に確認したうえで手続きを進めることが大切です。ご不明な点があれば、お気軽に当事務所へご相談ください。
出典:出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動を定める件(第三十三号・第三十四号)、出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」Q56