「日本人の配偶者等」の在留資格を持って日本に住んでいる外国籍の方から、「離婚したのですが、在留資格はどうなるのでしょうか」というご相談を受けることがあります。結婚生活の破綻は当事者にとって大きな出来事ですが、それと同時に在留資格の継続という現実的な問題にも向き合わなければなりません。
出入国在留管理庁の「出入国審査・在留審査Q&A」Q78では、まさにこの点が取り上げられています。今回はこのQ&Aをもとに、「日本人の配偶者等」の在留資格が取り消される場合の基本的な考え方を解説します。なお、この記事で扱うQ78は「出入国審査・在留審査Q&A」のものであり、「退去強制手続・出国命令制度・上陸拒否期間の短縮決定Q&A」のQ78とは別の資料ですのでご注意ください。
配偶者としての活動を6か月以上行っていないと取消しの対象になりうる
出入国審査・在留審査Q&AのQ78では、次のような質問が取り上げられています。
日本人と結婚し、「日本人の配偶者等」の在留資格をもって日本に住んでいる外国人が、在留期間の途中で、日本人と離婚したなどの後に、その配偶者としての活動を6か月以上行っていない場合でも、「正当な理由」があるときは、在留資格は取り消されないとの話を聞きましたが、本当でしょうか。(出入国審査・在留審査Q&A Q78より)
これに対する回答の骨子は次のとおりです。
「日本人の配偶者等」(日本人の子及び特別養子を除く。)又は「永住者の配偶者等」(永住者等の子として本邦で出生した者を除く。)が、その配偶者としての活動を継続して6か月以上行っていない場合でも、その活動を行わないで在留していることについて「正当な理由」があるときは、在留資格の取消しの対象とはなりません。(出入国審査・在留審査Q&A Q78より)
この回答からわかるとおり、離婚などによって配偶者としての活動が6か月以上行われていない状態が続くと、原則として在留資格が取り消される可能性があります。これは、出入国審査・在留審査Q&AのQ69でも説明されている在留資格取消制度の一類型で、「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の在留資格をもつ方が、配偶者としての活動を継続して6か月以上行っていない場合が該当します。
そもそも在留資格取消制度とは
出入国審査・在留審査Q&AのQ69では、在留資格が取り消される場合として大きく4つの類型が示されています。
- 偽りその他不正な手段により許可を受けた場合
- 本来の在留資格に基づく活動を行っておらず、かつ他の活動を行い又は行おうとしている場合
- 本来の在留資格に基づく活動を継続して一定期間行っていない場合
- 中長期在留者が住居地の届出を行わない場合又は虚偽の届出をした場合
このうち3の類型に、「日本人の配偶者等」(日本人の子及び特別養子を除く)または「永住者の配偶者等」(永住者の子として本邦で出生した子を除く)の在留資格をもつ方が、配偶者としての活動を継続して6か月以上行っていない場合が含まれています。「配偶者としての活動」とは、婚姻関係にある夫婦として共に生活すること全般を指すと考えられ、離婚や長期の別居などによってこの活動が実質的に行われていない状態が続くと、取消しの検討対象になり得るのです。
「正当な理由」があれば取り消されない
ただし重要なのは、6か月以上活動を行っていないというだけで自動的に在留資格が取り消されるわけではない、という点です。「正当な理由」があると認められる場合には、取消しの対象とはなりません。
どのようなケースが「正当な理由」にあたるのかについては、次の記事「離婚・DVがあっても在留資格が取り消されない『正当な理由』とは」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。DV(配偶者からの暴力)を理由に避難・保護を必要としている場合や、離婚調停・離婚訴訟中である場合なども、正当な理由として考慮され得ることが示されています。
実務上の注意点
- 離婚した、あるいは事実上の別居状態が続いているという場合でも、慌てて手続きを進める前に、自分のケースが「正当な理由」に当てはまるかどうかを整理することが大切です。
- 取消しの手続きが始まる場合、入国審査官による意見の聴取が行われ、本人や代理人が意見を述べたり証拠を提出したりする機会が与えられます。
- 離婚後の生活の見通しが立っている場合は、「定住者」など他の在留資格への変更を検討することも選択肢の一つです(永住者の配偶者・子の在留資格の扱いについては別記事で解説しています)。
まとめ
- 「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」の在留資格を持つ方が、配偶者としての活動を継続して6か月以上行っていない場合、在留資格取消しの対象となり得ます。
- ただし「正当な理由」があると認められれば、取消しの対象とはなりません。
- 離婚やDV被害など、デリケートな事情を抱えている場合は、早めに専門家に相談し、今後の在留資格をどうするか一緒に検討することをおすすめします。
離婚や別居といった状況にある方は、一人で抱え込まず、まずは行政書士など専門家に現状をお話しください。状況に応じた最適な手続きをご案内します。
出典:出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」Q69、Q78