「留学」の在留資格で日本語学校に通う場合、どの学校でもよいわけではなく、法務大臣が告示で定めた日本語教育機関に在籍する必要があります。この告示に定められた学校は「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の留学の在留資格に係る基準の規定に基づき日本語教育機関等を定める件」(平成二年法務省告示第百四十五号)という告示にまとめられています。
本記事では、個別の学校名を網羅的に紹介するのではなく、この告示がどのような構成になっているのか、その考え方や分類の仕組みを解説します。日本語学校選びの参考にしてください。
告示が定める教育機関の全体構成
この告示は、上陸基準省令が定める「留学」の在留資格の基準のうち、日本語教育を行う教育機関等に関する部分を具体化するもので、次の4つの別表から構成されています。
- 別表第一:上陸基準省令の留学の項の下欄第五号イの規定による日本語教育を行う教育機関、および同項下欄第六号の規定による日本語教育を行う教育機関
- 別表第二:削除(現在は使用されていません)
- 別表第三:上陸基準省令の留学の項の下欄第五号イの規定による日本語教育を行う教育機関のうち、別表第一とあわせて対象となる教育機関
- 別表第四:上陸基準省令の留学の項の下欄第八号の規定による教育機関(アニメ・マンガ・ゲーム・ファッションデザイン分野等の専修学校の特定課程)
つまり、告示は単に「日本語学校の名簿」というだけでなく、どの上陸基準省令の条項に基づいて、どのような性質の教育機関として認められているのかという法的な位置づけに応じて、複数の別表に分けて整理されているのです。
別表第一・別表第三の違い
別表第一と別表第三は、いずれも日本語教育を行う教育機関を列挙したものですが、根拠となる上陸基準省令の号が異なります。
- 上陸基準省令の留学の項下欄第五号イは、専修学校又は各種学校において教育を受けようとする場合(専ら日本語教育を受けようとする場合を除く)の要件のうち、「告示日本語教育機関」または「認定日本語教育機関」に置かれた留学のための課程で一定期間の日本語教育を受けた者であることなどを定めています。
- 別表第一は、このような「告示日本語教育機関」に該当する学校(および上陸基準省令留学項下欄第六号にもとづく専ら日本語教育を行う教育機関)を列挙したものです。
- 別表第三には、これに加えて認められる日本語教育機関がさらに列挙されています。
いずれの学校も、都道府県ごとに分類され、名称と所在地が一覧表の形式で整理されているのが特徴です。全国各地に多数の学校が掲載されており、北海道から沖縄まで、日本語学校のほか、専修学校や大学に付属する日本語教育センターなども含まれています。
別表第四の位置づけ
別表第四は、他の別表とは性質が異なり、日本語教育そのものではなく、上陸基準省令の留学の項下欄第八号にもとづく特定の教育機関を定めたものです。具体的には、アニメーション、マンガ、ゲームプログラム、ファッションデザインといった分野の専門課程を持つ専修学校の特定のコースが列挙されており、これらの分野を学ぶために「留学」の在留資格で来日する場合の受け皿となる教育機関を定めています。日本語教育を目的とした留学とは異なる文脈で活用される別表であることを押さえておきましょう。
学校選びで確認すべきポイント
告示に列挙された学校であれば、いずれも法務大臣が認めた日本語教育機関ですが、実際に進学先を選ぶ際には、次のような観点から比較検討することをおすすめします。
- 自分が学びたい内容・目的に合っているか:進学準備を主目的とするコースなのか、日常会話中心のコースなのかなど、学校ごとにカリキュラムの特色が異なります。
- 所在地・生活環境:告示の別表は都道府県ごとに整理されているため、希望するエリアにどのような学校があるかを確認する際の手がかりになります。
- 出席状況等の管理体制:上陸基準省令では、留学生を受け入れる教育機関が、出席状況や届出の遵守状況、学習状況等を適正に管理する体制を整備していることも要件のひとつとされています。学校選びの際は、こうした管理体制がしっかりしているかどうかも確認するとよいでしょう。
- 卒業後の進路支援:進学や就職を目指す場合は、学校が推薦状の発行や進路指導にどの程度対応してくれるかも、実務上重要なポイントになります。
告示は定期的に改正される
この告示は、対象となる教育機関の追加や削除に応じて随時改正されています。学校を選ぶ際は、必ず最新の告示や出入国在留管理庁の公表情報を確認し、志望する学校が現時点で告示に掲載されているかどうかをチェックすることが大切です。掲載されていない教育機関に入学してしまうと、「留学」の在留資格に該当しないなどの問題が生じるおそれがあります。
まとめ
「留学」の在留資格で日本語学校に通う場合、法務大臣告示に定められた日本語教育機関に在籍する必要があります。この告示は、根拠となる上陸基準省令の号に応じて別表第一・第三(日本語教育機関)、別表第四(アニメ・マンガ等の特定課程を持つ専修学校)といった形で整理されており、それぞれ法的な位置づけが異なります。学校選びの際は、告示に掲載されているかどうかの確認に加え、カリキュラムの内容や所在地、管理体制、進路支援の充実度などを総合的に比較検討することが大切です。個別の学校が告示の対象になっているかどうかの確認方法に不安がある場合は、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。