日本の大学だけでなく、専修学校(専門学校)を卒業して日本での就職を目指す留学生も数多くいます。「大学を出ていないと就労ビザは取れないのでは」と不安に思う方も少なくありませんが、専修学校の専門課程を修了した方であっても、一定の条件を満たせば「技術・人文知識・国際業務」への在留資格変更が認められます。
本記事では、出入国在留管理庁の「出入国審査・在留審査Q&A」Q42の内容をもとに、大学卒業が必須かどうか、専修学校卒業者がどのような場合に要件を満たすのかを整理します。
大学卒業者・短大卒業者の場合
出入国在留管理庁のQ&Aでは、まず大学・短大卒業者について次のように説明しています。
「本邦での就職を理由として『技術・人文知識・国際業務』の在留資格への変更許可を受けようとする場合、従事しようとする業務に必要とされる技術又は知識に関連する科目を専攻して大学や短大を卒業した外国人については、出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令に規定する学歴要件を満たします。なお、海外の大学を卒業している場合も、学歴要件を満たします。」(出入国審査・在留審査Q&A Q42より)
つまり、日本国内の大学・短大に限らず、海外の大学を卒業している場合であっても、従事しようとする業務に関連する科目を専攻していれば、学歴要件を満たすことになります。
専修学校の専門課程を修了した場合
では、専修学校(いわゆる専門学校)の専門課程を修了した方はどうでしょうか。この点についても、Q&Aで明確に説明されています。
「我が国の専修学校の専門課程を修了した外国人のうち『専門士』の称号(『専修学校の専門課程の修了者に対する専門士の称号の付与に関する規程』(平成6年文部省告示第84号)参照。)を有しているものについても、本邦において行おうとする活動が在留資格『技術・人文知識・国際業務』に該当し、かつ、従事しようとする業務に必要とされる技術又は知識と専修学校の専門課程における専攻科目との間に、関連性があると認められる場合には、学歴要件を満たします。」(出入国審査・在留審査Q&A Q42より)
つまり、大学卒業でなくても、次の2つの条件を満たせば「技術・人文知識・国際業務」への変更が認められる可能性があるということです。
- 専修学校の専門課程を修了し、「専門士」の称号を有していること
- 本邦で行おうとする活動が「技術・人文知識・国際業務」に該当し、かつ、従事しようとする業務に必要とされる技術又は知識と、専修学校で専攻した科目との間に関連性が認められること
つまり結論として、大学卒業は絶対的な必須条件ではなく、専門士の称号を持つ専修学校卒業者であっても、専攻内容と就職先での業務内容に関連性が認められれば、学歴要件を満たすことができます。
「関連性」がポイントになる
この制度で特に重要なのが、「専攻科目と業務内容との関連性」です。たとえば、情報処理系の専門学校でプログラミングを専攻した方が、IT企業でシステムエンジニアとして働く場合は、専攻科目と業務内容の関連性が認められやすいといえます。一方で、専攻内容と実際の業務内容がかけ離れている場合には、関連性が否定され、学歴要件を満たさないと判断される可能性があります。
就職活動を行う際は、内定先での具体的な業務内容が、自分が専修学校で学んだ専攻科目とどのように結びつくのかを整理し、必要に応じて説明できるようにしておくことが大切です。
「同等以上の教育」についての補足
なお、上陸基準省令でいう「大学」には外国の大学も含まれ、また「同等以上の教育」とは、教育制度上は正式には大学に当たらないものの、教育水準や編制の点から大学と同視できるような機関で教育を受けた場合などが該当するとされています。その該当性は、各国の教育制度や当該教育機関の性格、教育内容及び水準を踏まえて個別に判断されます(同Q&A Q38参照)。海外の教育機関を卒業している場合は、この点もあわせて確認しておくとよいでしょう。
実務上のポイント
- 専門士の証明書類の準備:専修学校卒業者が申請を行う際は、専門士の称号を取得していることを証明する書類(専門士称号授与証明書等)の準備が必要になります。
- 専攻科目と業務内容の関連性を説明できる資料:シラバスや成績証明書、業務内容説明書などを用いて、専攻と業務の関連性を客観的に示せるよう準備しておくと審査がスムーズになります。
- 在留資格変更許可申請のタイミング:就職が内定した段階で早めに準備を進め、在留資格変更許可申請を行いましょう。
まとめ
「留学」から「技術・人文知識・国際業務」への在留資格変更にあたって、大学卒業は必須条件ではありません。専修学校の専門課程を修了し「専門士」の称号を有している方であっても、従事しようとする業務内容と専攻科目との間に関連性が認められれば、学歴要件を満たすことができます。専門学校卒業予定の留学生の方は、内定先での業務内容と自分の専攻分野との関連性を意識しながら就職活動を進め、必要な証明書類を早めに準備しておくとよいでしょう。判断に迷う場合は、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。