「特別永住者証明書は常に持ち歩かなくてもよい」という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。実はこれは正しい理解ですが、携帯義務がないからといって何も注意しなくてよいわけではありません。

本記事では、出入国在留管理庁「Q&A特別永住者の制度について!よくある質問」の内容に基づき、特別永住者証明書の携帯義務の有無と、提示を求められた場合の対応、受領義務違反の罰則について解説します。

特別永住者証明書に常時携帯義務はない

同資料によると、特別永住者証明書は常時携帯する必要はありません。これは、一般の中長期在留者が携帯を義務付けられている在留カードとは異なる、特別永住者に対する特別の配慮によるものです。

ただし、次の点には注意が必要です。同資料は「入管職員等から特別永住者証明書の提示を求められた場合には、例えば、保管場所まで同行するなどして、提示することが必要です」としています。つまり、携帯していなくても、求められれば速やかに提示できるようにしておく必要があるということです。

提示を求められたのに自宅に置いてきていた場合はどうなるか

住居地が大阪の方が所用で東京に来ていた際、警察官の職務質問で証明書の提示を求められたものの、証明書を自宅に置いてきていたため提示できなかった――このようなケースについて、同資料では次のように説明しています。

刑事罰を科すべきか否かは、まず捜査機関において判断されます。そのうえで、一般的には提示拒否罪が成立するのは、権限を有する者から提示を求められたにもかかわらず、

  • 提示を拒否する旨の意思を外形的に明らかにしたり
  • 合理的期間内にあえて提示をしない

など、その意思をもって提示を拒んだといえる場合です。単に手元になかったというだけで、直ちに罰則の対象になるわけではないということです。

この「合理的期間」がどれくらいかは、個別事情に応じて判断されます。判断材料の例としては、

  • 提示を求められた場所と証明書の保管場所との位置関係
  • 提示の支障の有無及びその程度

などが挙げられています。また、証明書でなくとも身分関係等の確認が可能な他の代替的な手段がある場合には、あえて証明書の提示を求めないことも考えられるとされています。

とはいえ、これはあくまで「悪意なく提示できなかった場合の救済的な考え方」であり、提示を求められること自体は珍しくありません。トラブルを避けるためにも、日常的に携帯するかどうかは別として、すぐに取りに行ける場所に保管しておくなど、実務上の備えをしておくことが望ましいでしょう。

証明書を受け取らなくてもよいのか―受領義務と罰則

「運転免許証や特別永住許可書といった別の身分証明書があるので、特別永住者証明書は不要ではないか」と考える方もいるかもしれません。しかし、同資料では、この考え方は認められないとされています。

その理由として、不法滞在者が多数存在する状況においては、本邦に在留する特別永住者についても、他の外国人と同様に身分関係等を把握する必要が生じる場合があることから、特別永住者証明書を交付することとし、その受領義務が課せられていると説明されています。

そして、入管特例法において、特別永住者証明書の受領義務に違反した者に対する罰則が定められています。つまり、「携帯義務がないから受け取らなくてよい」という考えは誤りであり、証明書自体は必ず受け取らなければならない点に注意が必要です。

実務上のポイント

  1. 常時携帯は不要だが、保管場所はすぐに分かるようにしておく。求められたときに速やかに提示できる状態にしておくことが望ましいでしょう。
  2. 提示を拒む意思がないことを明確にする。もし手元になくても、拒否の意思を示さず、合理的な範囲で速やかに対応する姿勢が重要です。
  3. 証明書自体の受け取りは義務であり、拒否すると罰則の対象になる。交付通知を受けたら、速やかに市区町村窓口で受領しましょう。

まとめ

特別永住者証明書には常時携帯の義務はありませんが、提示を求められた場合には速やかに対応する必要があり、また証明書そのものの受領は義務であるため、これを拒否すると罰則の対象となります。「携帯しなくてよい」という情報だけが独り歩きしないよう、正確な理解を持っておくことが大切です。ご不安な点があれば、行政書士など専門家への相談もご検討ください。