宅建業免許は、申請すれば誰でも受けられるわけではありません。宅建業法には「欠格事由」というものが定められており、これに該当すると免許を受けられなかったり、既に受けた免許を取り消されたりします。本記事では、愛知県の手引きをもとに、どのような場合が欠格事由に当たるのかを整理します。

欠格事由とは何か

欠格事由とは、宅建業免許の新規取得・更新・変更のいずれについても、該当すると免許を受けられなくなる事由のことです。審査の対象になるのは申請者本人だけではありません。法人の場合は代表者、役員(取締役・監査役・理事・監事など)、相談役・顧問、株主、政令使用人(事務所の代表者で契約締結権限を持つ使用人)、そしてこれらの人の法定代理人まで含まれます。個人の場合は、申請者本人、政令使用人、法定代理人が対象です。

なお「役員」には、業務を執行する社員や取締役、執行役だけでなく、これらと同等以上の支配力を持つ人も含まれます。名刺や案内状に会長・相談役・顧問といった肩書を使っている人も対象になり得る点に注意が必要です。

免許申請や変更届出の際には、「免許申請書」に添付する誓約書で、これらの欠格事由に該当しない旨を誓約することになっています。この誓約をしたにもかかわらず、実際には欠格事由に該当することが判明した場合は、免許の新規取得・更新・変更が拒否されます。また、免許を受けた後に欠格事由に該当することになった場合には、免許が取り消されます。

宅建業に関する非行歴による欠格事由

過去の宅建業の営み方に問題があった場合の欠格事由です。

  • 過去に宅建業免許を受けていた者で、監督処分により免許の取消を受けた場合
  • 監督処分による免許取消の聴聞通知を受けたが、取消処分の決定前に自ら廃業した場合
  • 過去に宅建業に関し不正または著しく不当な行為を行った場合

これらに該当する場合、該当した日から5年間は免許を受けられません。

犯罪歴による欠格事由

  • 刑事裁判で有罪判決を受け、禁錮以上の刑に処せられた場合
  • 宅建業法、暴力団員による不当行為防止法、暴力行為等処罰に関する法律、刑法上の暴力事犯の違反により罰金刑に処せられた場合

こちらも該当から5年間は免許を受けられません。なお、法人自身についてはこの2つの欠格事由の対象にはなりません(法人という組織そのものが有罪判決や罰金刑を受けることは想定されていないためです)。

制限能力・破産による欠格事由

  • 心身の故障により宅建業を適正に営むことができない場合
  • 破産手続開始の決定を受けて、復権を得ていない場合

これらも法人自身は対象外で、代表者や役員、個人事業主本人などが対象となります。

そのほかの欠格事由

  • 宅建業に関し不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな場合
  • 暴力団員である場合、または暴力団員でなくなった日から5年を経過していない場合
  • 暴力団員等がその事業活動を支配している場合
  • 免許申請書やその添付書類のうち、重要な事項の記載が欠けている場合、または虚偽の記載がなされている場合

これらは、法人自身も含めて幅広い立場の人が審査対象となります。

欠格事由に該当しなくても免許が拒否されることがある

欠格事由に該当しない場合でも、審査の結果、宅建業法上備えるべき免許要件(事務所の実態や専任の宅地建物取引士の設置など)が具備されていない場合、その立証ができない場合、あるいは他の法令に違反する事実が発見された場合には、免許が拒否されることがあります。補正可能な事項については、担当窓口から補正の指示があるため、その指示に従うことになります。

まとめ

宅建業免許の欠格事由は、申請者本人だけでなく、役員や政令使用人など事業に関わる幅広い人が対象になります。過去の宅建業に関する処分歴、犯罪歴、破産、暴力団関係、申請書類の不備・虚偽記載などが該当し、これらに当てはまると原則5年間は免許を受けられません。

これから宅建業を始める場合は、代表者だけでなく役員や政令使用人になる予定の人についても、欠格事由に該当しないかを事前にしっかり確認しておくことが大切です。