「元請けから工事を依頼されたけれど、うちで請け負って法的に問題ないだろうか?」
建設業許可や各種登録を持たずに事業を営んでいる方にとって、こうした不安は珍しくありません。むしろ、まじめに事業を続けているからこそ感じる疑問だとも言えます。
今回は、看板の撤去作業に関するコンプライアンス相談において、法的な根拠をもとに違法リスクを未然に防ぎ、元請け業者様への説明をサポートした事例をご紹介します。
ご相談の背景
ご相談者様: 看板デザイン・施工会社様(建設業許可・解体工事業登録ともに未取得)
ある日、元請け業者から「古い野立て看板の撤去だけをお願いしたい」という依頼が舞い込みました。新しい看板を設置する工事とは別に、撤去作業のみを切り離して発注したいというご要望です。
元請け様からは「コンプライアンス上、問題ないか確認してほしい」と求められていましたが、ご相談者様ご自身では法的な確証が持てず、当事務所にご連絡いただきました。
「撤去のみ」は、どんな工事に当たるのか
ご依頼内容を丁寧にヒアリングしたうえで、建設業法および建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)と照らし合わせて法的見解を整理しました。
ここで鍵になるのが、「撤去の目的」という視点です。
建設業法第4条は、許可を受けた建設業に係る主たる工事を施工するために必要となった他の工事を「附帯工事」として認めており、一連一体での請け負いを許容しています。たとえば、新しい看板を設置するための準備として古い看板を取り外す場合は、この附帯工事に該当し、建設業許可がなくても施工できるケースが多いです。
しかし今回は、新設工事を伴わない「独立した撤去のみ」のご依頼でした。
この場合、当事務所の判断は明確でした。
この撤去作業は、独立した「解体工事」に該当します。
建設業法上、請負代金が500万円未満の工事は「軽微な建設工事」として建設業許可なしに請け負うことができます。ところが、建設リサイクル法第21条には重要な例外規定があります。建築物やその他の工作物の解体工事を行う場合、たとえ軽微な工事であっても、「解体工事業登録」が必須とされているのです。
つまり、「金額が小さいから大丈夫」という判断は通用しません。現在の無登録の状態では、本件を適法に請け負うことはできないと判断しました。
ご相談者様が下した決断
法的な結論をお伝えしたうえで、今後の対応を一緒に検討しました。
解体工事業の登録には「技術管理者の選任」など厳格な要件があり、すぐに登録できる状況ではありませんでした。仮に無登録のまま解体工事を請け負えば、建設リサイクル法に基づき「1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」という重い罰則が科されるリスクがあります。
状況を正確に把握されたご相談者様は、迷うことなく決断されました。
「法令遵守のため、撤去のみの案件は今回お受けできません」
この言葉を元請け様に伝える際、ただ「できない」と断るのではなく、当事務所が整理した「建設リサイクル法上、軽微な工事であっても解体工事業登録が必要となる法的根拠」を添えて、論理的にご説明いただきました。
その結果、元請け様からは「コンプライアンス意識が非常に高い、信頼できる会社だ」とかえって高い評価をいただいたとのことです。
この相談が生み出した「本当の価値」
今回の案件そのものは辞退という形になりましたが、ご相談者様にとって得たものは決して小さくありません。
違法リスクの完全回避はもちろんですが、もう一つ重要なことがあります。今回の調査を通じて、「どのケースなら適法に受注できるか」という基準も明確になったことです。
具体的には、看板の新設・改修に伴う附帯工事としての撤去であり、全体の請負代金が500万円未満であれば、建設業許可なしに適法に請け負えるという根拠もあわせてお伝えしました。
「何がNGか」を知ることは、同時に「何がOKか」を知ることでもあります。今後の営業活動に、自信を持って臨んでいただける結果となりました。
「せっかくの仕事だから」と、要否が曖昧なまま案件を請け負ってしまうのは、会社にとって非常に大きなリスクです。罰則による制裁だけでなく、取引先からの信用失墜という代償も見逃せません。
当事務所では、むやみに許可取得や登録をお勧めすることはしません。まず大切にしているのは、お客様の業務内容を丁寧に紐解き、「今の自社の状況で、この仕事を受けて法的に問題ないか?」という白黒のラインを明確に引くことです。
「断るための論理的な根拠」が分かるだけでも、元請け様との信頼関係を守ることができます
「この案件、うちの会社で請けても本当に大丈夫?」と迷ったら
建設業法や建設リサイクル法のルールは複雑で、「バレないだろう」「金額が小さいから平気だろう」という自己判断は、時に会社の存続を揺るがす大きなリスクとなります。
当事務所では、「まずは今の状況で請け負えるかどうかの診断(白黒の判断)」を丁寧に行います。無理に許可や登録の手続きを売り込むことは決していたしません。
元請け様からコンプライアンスの確認をされてお困りの方、今後の受注基準をはっきりさせたい方は、手遅れになる前にぜひ一度、当事務所の初回無料相談をご活用ください。
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