道路法許可ガイド

足場の設置や重機の搬入に、どの道路許可が必要か迷っていませんか?道路交通法と道路法の違いや、申請窓口(警察・県庁等)の見分け方、面倒な保安図・経路図作成のコツを行政書士が解説。現場の時間を奪う複雑な複数申請をワンストップで乗り切るためのガイドです。

主な法令
道路法・道路交通法
更新日
2026年5月1日
目次

「足場を組もうとしたら、警察と役所の両方に申請が必要だと言われた」 「通行禁止の道路に重機を入れたいが、どの窓口に何を出せばいいかわからない」

じつは、これには明確な理由があります。工事現場や資材運搬に伴う道路関係の許可は、複数の法律にまたがり、申請窓口も複数に分かれているからです。大きく整理すると、①警察署長に申請する「道路交通法」に基づく許可と、②国や都道府県等の道路管理者に申請する「道路法」に基づく許可の2本柱が複雑に絡み合っています。

さらに現場を悩ませるのが、これらの許可が「単独では完結しないケースが多い」という点です。たとえば、道路上に工事用の仮囲いや足場を設置する場合には、道路法に基づく道路占用許可(道路管理者)と、道路交通法に基づく道路使用許可(警察署長)の両方が同時に必要になります。

本記事では、「工事現場で必要な道路関係許可の全体像」を体系的に解説します。道路使用許可から通行禁止道路通行許可、制限外積載・牽引許可、そして道路占用許可まで——現場をスムーズに動かすための実務マニュアルとしてお役立てください。

第1章:建設業者・産廃業者のための道路関係許可の全体像

工事現場に関わる道路関係の許可は、管轄する法律も申請窓口も複数に分かれています。まず全体像を把握することが、スムーズな申請への第一歩です。

「道路交通法(警察署)」と「道路法(道路管理者)」——2つの法律の違い

現場で必要となる道路関係の手続きには、主に以下の2つの法律が絡んできます。

「道路管理者」とは、道路の種類によって異なります。国が管理する国道であれば国土交通省の国道事務所等、都道府県道であれば各都道府県の建設事務所等が窓口となります。申請前に、工事対象道路の管轄を正確に確認することが手続きの出発点です。

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現場で複数の許可が同時に必要になるケースとは

実際の現場では、1つの窓口への申請だけでは完結せず、複数の許可・承認が同時に必要になる場面が少なくありません。

典型的な例を挙げると——

現場の状況に応じて必要な手続きの組み合わせを的確に判断し、複数窓口と並行して調整を進めることが、着工遅れを防ぐための重要なポイントとなります。

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第2章:道路使用許可(道路交通法第77条)——工事・足場・搬入搬出

工事現場において必須となる道路使用許可の要件と、申請実務のポイントを解説します。

1号許可(道路工事等)と2号許可(工作物設置)の違い

道路交通法第77条に基づく道路使用許可には、行為の内容に応じた区分があります。建設現場で特に関わりの深いのが「1号許可」と「2号許可」です。

区分対象となる行為具体例
1号許可道路において工事・作業を行う行為道路工事、管路埋設工事、建設資材の搬出入作業、クレーン・レッカー車を使った作業 など
2号許可道路に工作物を設ける行為工事用仮囲い・足場の設置 など

現場によっては、足場の設置(2号)とその搬入・組み立て作業(1号)を同一の行為者が行う場合に、1号・2号を「包括申請」として1件にまとめて申請できるケースもあります。

申請先・申請期限と必要書類

申請先は、道路を使用する場所を管轄する警察署(警察署長)です。

愛知県警察の場合、申請から許可証が交付されるまでの標準的な期間はおおむね7日程度(行政庁の休日を除く)です。現場の着工スケジュールに合わせ、余裕を持った申請手配が不可欠です。

申請時には、道路使用許可申請書(2通)のほか、工程表・保安図・交通量調査・迂回路略図などを各通に添付する必要があります。

図面作成の実務ポイント

警察署の審査をスムーズに通過するには、正確でわかりやすい図面の準備が欠かせません。

特に迂回路略図については、迂回ルートを示すだけでなく、工事看板等の設置位置・内容を明確に記載する必要があります。愛知県独自の「道路工事保安設備設置基準」に沿った保安設備の配置計画も求められます。また、添付書類はすべて鮮明に判読できるものを用意することが実務上の基本です。

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第3章:通行禁止道路通行許可——工事現場への搬入・搬出

工事現場が通行規制のかかった区域に面している場合、資材の搬入や廃材の搬出のために車両を乗り入れるには、別途「通行禁止道路通行許可」が必要です。

工事現場が通行禁止道路に面している場合の実務

道路標識等によって車両の通行が禁止されている道路(歩行者専用道路など)であっても、管轄の警察署長がやむを得ない理由があると認めた場合には、例外的な通行が許可されます(道路交通法の規定に基づく)。

このような現場では資材の搬入や重機の乗り入れが原則できません。業務上の必要性から車両を通行させるためには、管轄警察署長に対して「通行禁止道路通行許可」の申請が必要となります。

「やむを得ない理由」として認められるケース・認められないケース

許可を受けるためには、社会生活上やむを得ない理由があることが求められます。

申請にあたっては、迂回路が存在しないことを確認した上で、申請区間を規制区間内の必要最小限にとどめることが、審査通過の重要なポイントとなります。

申請先・必要書類・注意点

申請先は、通行禁止道路を管轄する警察署(交通課窓口)です。近年ではe-Gov(電子政府の総合窓口)を利用したオンライン申請も導入されています。

愛知県の場合、本許可申請に手数料はかかりません。

なお、許可を受けた車両を運転する際には、交付された許可証を必ず携帯した状態で通行しなければならないという法的義務があります。現場の運転手への周知を徹底してください。

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第4章:制限外積載許可・制限外牽引許可——重機・長大資材の運搬

重機や長尺鋼材など長大資材の運搬では、通常の積載・サイズ制限を超えることがあります。そのような運搬に際して警察から取得しなければならないのが「制限外積載許可」と「制限外牽引許可」です。

制限外積載許可が必要な基準

トラックの荷台に建設資材や機械を積載する際、以下のいずれかに該当する場合は制限外積載許可が必要です。

制限外牽引許可が必要な基準

大型重機や変圧器等をポールトレーラー等で運搬する場合、牽引する自動車の前端から牽引される車両の後端までの全長が25メートルを超えるときなどは、「制限外牽引許可」の申請が必要です。

長大車両での運搬は交差点の右左折や狭路の通行に大きな支障をきたすため、通行経路・通行時間帯等に条件が付されることが一般的です。また、重機運搬では警察への許可申請とは別に、道路管理者への道路法に基づく特殊車両通行許可(特車)も必要となるケースが多く、両制度の関係を正確に把握しておくことが欠かせません。

申請先と経路図の作成

申請先は、運搬の出発地を管轄する警察署(警察署長)です。

申請書に加え、以下の書類の添付が求められます。

近年の実務では、複数の運転者が交替で運転する場合に、運転者一覧表と合わせて免許証番号やマイナンバーカードを利用した免許情報記録の番号を記載する運用も始まっています。

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第5章:道路占用許可(道路法第32条)——工作物・仮設物の設置

道路上に足場や仮囲いなどの工作物を継続して設置する場合には、警察ではなく「道路管理者」への申請が必要です。

道路使用許可との違いと申請先

「道路使用許可(道路交通法第77条)」が一時的な工事・作業のための許可であるのに対し、「道路占用許可(道路法第32条)」は工作物等を道路上に設け、継続して占用するための許可です。

申請先は警察署ではなく、その道路を管理する道路管理者(国、都道府県、市区町村など)となります。足場の設置のように両方の許可が必要な場面では、それぞれの窓口・手続きを正確に把握した上で並行して進める必要があります。

足場・仮囲い等の占用許可の実務

工事用の足場や板囲いを設置する場合は、道路占用許可申請書に必要書類を添付して道路管理者へ提出し、許可を得た上で占用料を納入してから施工に着手します。

愛知県における道路占用許可申請では、申請書(2部)に加えて以下の書類が必要です。

管路埋設など道路を掘削する場合には、層ごとの埋め戻しや適切な締め固めによる原状回復も求められます。

申請から許可までの標準処理期間は概ね16日間(土日・祝祭日・年末年始を除く)です。着工スケジュールに余裕を持った申請準備を心がけてください。

なお、足場設置に伴い道路使用許可も必要な場合は、道路管理者の窓口に両方の申請書を一括提出し、道路管理者から警察署へ協議してもらう「経由申請」制度の活用も検討できます。

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第6章:複数の許可が同時に必要なケース——ワンストップ申請のすすめ

実際の工事現場や運搬業務では、一つの作業に対して管轄の異なる複数の許可が同時に必要になることが珍しくありません。全体像を把握せずに着手すると、着工直前になって「もう一つ許可が必要だった」という事態になりかねません。

よくある「複数許可が必要なケース」

申請を効率化する制度と実務上のノウハウ

複数の許可が必要な場合でも、負担を軽減する制度や実務上の工夫が存在します。

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