大型機械の販売・設置を手がける企業が、気づかないうちに建設業法違反の瀬戸際に立っている。このような事例は、製造業の集積地である愛知県において、決して珍しいことではありません。今回は、自動車メーカー向け設備を扱う企業様からのご相談を例に、コンプライアンス上の問題を解消し、「機械器具設置工事業」の許可取得までをサポートした事例をご紹介します。
相談のきっかけ——「どこから許可が必要なのか」という素朴な疑問
愛知県内で自動車メーカー向け製造設備の販売・納入を行っているこちらの企業様は、設備の導入時にアンカー固定や機械組立などの設置作業が必ず発生していました。
「機械を売っているだけのつもりだが、設置工事まで含めると建設業の許可が必要になるのではないか」——そういったコンプライアンス上の懸念から、当事務所にご相談をいただきました。結論から申し上げると、この懸念は極めて的確なものでした。
見落としやすい落とし穴——「機械本体の代金」も500万円の計算に含まれる
建設業法において許可が不要とされる「軽微な建設工事」とは、建築一式工事以外の工事では1件の請負代金が500万円(消費税・地方消費税込み)未満の工事と定められています。
ここで多くの企業が犯しがちな誤解があります。「設置作業の費用は100万円程度だから、許可は要らないだろう」という思い込みです。
しかし、建設業法施行令第1条の2第3項は、この解釈を明確に否定しています。同条項では、「注文者が材料を提供する場合においては、その市場価格又は市場価格及び運送賃を当該請負契約の請負代金の額に加えたものを第一項の請負代金の額とする」と規定されています。
平たく言えば、発注者が支給する機械本体の市場価格も請負代金に合算して判断しなければならないということです。大型製造設備ともなれば、機械本体だけで数百万円に達することは珍しくありません。結果として500万円の基準をはるかに超えてしまい、建設業許可が必要になるケースが非常に多いのです。
もう一つの落とし穴——外注への「丸投げ」は建設業法違反になりうる
「自社は許可を持たずに元請けとして受注し、許可を持つ設置業者に工事をすべて委託すればよい」と考える企業も少なくありません。しかし、これもまた法的に重大なリスクを孕んでいます。
建設業法第22条は、いかなる方法によっても、請け負った建設工事を一括して他者に請け負わせる「一括下請負(丸投げ)」を原則として明確に禁止しています。元請負人であるからには、自ら施工計画の作成・工程管理・品質管理・安全管理等に実質的に関与することが求められます。
実態を伴わない形式的な契約や、主任技術者を配置しないまま下請けに丸投げする行為は、建設業法違反として厳しく問われます。「許可を持つ業者に任せているから大丈夫」という認識は、残念ながら通用しません。
当事務所の対応——まず「適法な商流」への再構築から
コンプライアンス違反を確実に回避するため、当事務所がまず提案したのは商流の整理・分離です。
具体的には、「純粋な機械の物品売買契約」と「ユーザー様が許可業者へ直接発注する工事請負契約」に明確に分けるスキームへの再構築です。自社が違法な工事請負人にならないよう、契約書・約款の抜本的な見直しと社内ルールの整備をサポートしました。
抜本的な解決へ——「機械器具設置工事業」許可の取得
商流の適法化という初期対応を終えた後、次のステップとして浮かび上がったのが、中長期的な事業戦略の問題です。「機械の納入から設置まで、ワンストップでサービスを提供し続けたい」というご要望に応えるためには、自社で「機械器具設置工事業」の許可を取得することが最善の道でした。
ただし、機械器具設置工事の業種区分は、実務上非常に複雑です。たとえば工場内で使用される投資財機械を単に工作物に緊結する工事は、「機械器具設置工事」ではなく「とび・土工・コンクリート工事」に区分されるケースがあります。また、電気工事・管工事など各種専門工事に該当するものはそちらに区分され、それらのいずれにも該当しない複合的な機械器具の設置こそが「機械器具設置工事」に当たる、というのが基本的な考え方です。
当事務所では、建設業法の専門家の視点から企業の施工実態を詳細に分析し、最適な業種での許可申請スキームを構築しました。
【愛知県のトピック】専任技術者の要件緩和で、許可が取りやすくなっています
許可取得における最大のハードルは、営業所に配置する技術者の要件を満たせるかどうかです。愛知県では令和8年4月版の手引きより、この担当者は「営業所技術者等」と呼称が変更されています。
近年、この要件が大幅に緩和されました。令和5年5月の施工技術検定規則等の改正により、1級の第1次検定合格者は大学指定学科卒業者と同等に、2級の第1次検定合格者は高校指定学科卒業者と同等にみなされることになり、必要な実務経験年数が短縮されるケースが生じています。
「社内に条件を満たす人材がいない」と最初から諦めてしまっている企業様も、改正後の基準であれば要件を満たすケースが出てきています。当事務所では最新の愛知県の審査基準を踏まえ、社内の適任者を一緒に精査することで、スムーズな許可取得を実現しました。
許可取得後の変化
「機械器具設置工事業」の許可取得後、この企業様は自動車メーカーからの大型案件を、コンプライアンス上の不安を抱えることなく「機械納入+据付工事」のワンストップで堂々と受注できるようになりました。
クライアント様からは、「グレーだった商流を適法化できただけでなく、自社の営業力強化・信頼性向上に直接つながった」というお声をいただいています。
設備納入・設置工事のコンプライアンスや建設業許可でお悩みの企業様へ
大型機械の納入に伴う設置工事は、気づかないうちに「500万円の壁」を超えてしまったり、不適切な下請け構造(丸投げ)によって建設業法違反に陥っているケースが少なくありません。
「自社の現在の商流に違法性はないか?」「機械器具設置工事業の許可要件を満たす人材が社内にいるか?」と少しでも不安を感じられましたら、建設業法に精通した当事務所の無料相談をご利用ください。貴社の施工実態を詳細に分析し、商流の適法化から許可取得まで、最適な解決策をご提案いたします。業様は、建設業法に精通した当事務所にお気軽にご相談ください。貴社の実態に即した最適な解決策をご提案いたします。
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