「農地転用の申請くらい、自社でできるのでは?」――大手ハウスメーカーの担当者様が、最初にそうお考えになるのは自然なことです。しかしメガソーラー案件は、通常の農地転用とはまったく異なるステージの話です。対象となる農地は広大かつ複数筆にまたがり、農業委員会・都道府県・関係機関いずれの審査も格段に厳しくなります。
今回ご紹介するのは、太陽光発電事業者様が推進された非営農型太陽光発電事業(農地法第5条許可)の案件です。大規模案件に潜む「3つの見えない地雷」を事前にすべて撤去し、着工・融資スケジュールに一日の遅れも生じさせることなく許可証をお渡しできた事例をご紹介します。
課題① 登記地目と現況の不一致―「現況主義」の壁
なぜ大規模案件で頻発するのか
広大な開発用地を精査すると、「登記簿上は『ため池』や『山林』だが、実際は『田』である」という筆が必ずといってよいほど混在しています。
農地法において、ある土地が「農地」に該当するかどうかは、登記簿の地目ではなくその土地の現況によって判断されます(現況主義)。たとえ登記上の地目が農地でなかったとしても、現実に田や畑であれば、農地と判断されます。
こうした現況農地である筆を、登記簿上は農地ではないし役所の農地台帳にも登録がないから申請書には載せない、ということをしてしまうと、現地調査の段階で農業委員会から指摘を受け、申請書を出し直すことになってしまいます。もし仮に農業委員会の審査を(なぜか)通過してしまったとしても、今度は法務局で登記ができず、一から農転申請をやり直しすることになります。結果として、現況主義を見誤ると、事業が数ヶ月単位でストップするリスクが生じます。
当事務所の対応
申請前に、現地の状況と公図・登記簿を一筆ずつ照合しました。現況に疑義のある筆については、農業委員会と事前協議を行い、「この部分はどのような扱いで申請・図面作成すべきか」という行政側の判断基準を事前に確認。その基準に沿った正確な配置図・申請書を作成することで、現地調査での指摘事項をゼロに抑え込み、補正なく審査を通過しています。
課題② 土地改良区(水土里ネット)との綿密な調整
「意見書」なしでは申請が成立しない
対象地が土地改良区の区域内にある場合、パネル設置が周辺の農業用水路・排水施設の機能に悪影響を与えないかという点について、慎重な審査が求められます。
農地法第5条の許可基準は、転用によって「農業用用排水施設の有する機能に支障を及ぼすおそれがある場合」を不許可事由の一つとして厳格に定めています。加えて、対象地が土地改良区の地区内にある場合、許可申請書への「土地改良区の意見書」の添付が法令上の義務とされており(農地法施行規則第47条等参照)、これを欠いた申請は受理されません。
当事務所の対応
農地法の書類作成にとどまらず、土地改良区の担当者と図面ベースで排水計画の事前協議を実施しました。周辺農地への支障がないことを確実に証明した上で、地区除外申請および意見書交付の申請をワンストップで代行。インフラ側の手続きを迅速に完了させることで、本体申請のスケジュールを一切乱しませんでした。
課題③ 自治体独自の太陽光条例――「たらい回し」を防ぐロードマップ
他法令の協議が未完了では、許可は下りない
近年のメガソーラー開発では、農地法に加えて各自治体独自の「太陽光条例」、景観条例、防災に関するローカル規制など、多岐にわたる許認可・協議が必要となります。
農地法施行規則は、他法令の許認可等が必要な場合に「これらの処分がされる見込みがないこと」を不許可事由とするとともに、「法令により義務付けられている行政庁との協議を現に行っている(完了していない)こと」も審査上の支障として扱います。つまり、関係各課との協議が終わっていない状態では、いかに農地法の書類が整っていても許可は下りません。
「まずはあっちの窓口へ」とたらい回しにされ続ける状態は、事業者にとって時間とコストの浪費であるだけでなく、審査そのものが前に進まない致命的な状況を生み出します。
当事務所の対応
本件で当事務所が受任したのは「農地法許可申請」でしたが、農地法の書類だけを整えるという発想は最初からありませんでした。事前にその自治体固有の規制を徹底的に調査し、「どの部署と、どのような目的で、どういう順番で協議すれば最短ルートになるか」という全体ロードマップを構築。事業者様と二人三脚で窓口調整を進め、他部署での協議完了を「事業の確実性」を裏付ける資料として農地転用申請に反映させることで、審査を一切滞らせることなく完結させました。
結果――補正ゼロ、予定通りの許可取得
現況の不一致への対処、土地改良区の意見書取得、関係各課との事前協議完了。これら3つの「見えない地雷」を法令の審査基準に照らして事前にすべて撤去した結果、行政から補正(再提出)を求められることなく一発で審査を通過しました。
お客様が設定されていた着工スケジュールに一日の遅れも生じさせることなく、許可証を納品しています。
まとめ――メガソーラーの農地転用は「現場・インフラ・他法令」の総合力
大規模な農地転用は、指定された書類を埋める作業ではありません。現地のリアルな状況を現況主義に照らし合わせる目、土地改良区とのインフラ協議を主導する実務経験、他法令の許認可まで俯瞰した全体設計力――これらが同時に求められます。
メガソーラー開発や大規模物流施設など、農地転用を伴う事業をご計画の事業者様は、大規模案件の実績が豊富な当事務所まで、まずはお気軽にご相談ください。
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