こんにちは、行政書士の三澤です!

「自宅の一室を事務所として使っているが、建設業許可は取れるのだろうか?」 「バーチャルオフィスやシェアオフィスで会社登記をしているが、営業所として認められる?」

建設業許可の取得を検討されている経営者様から、こうした「営業所(事務所)」に関するご相談を非常に多くいただきます。

建設業許可における「営業所」は、登記上の住所や現場のプレハブ作業所、郵便物を受け取るだけの連絡所では認められません。建設業法第3条に基づき、「常時、建設工事の請負契約を締結する実態のある場所」であることが厳格に求められます。

具体的には、独立した事務スペースや電話・机といった「設備」が整っていること、そして契約や見積もりなどの実務を担う「人」が常駐していること——これらを、写真や賃貸借契約書といった客観的な資料によって証明しなければなりません。

また、愛知県の最新の審査基準(令和8年版手引き)では、従来「専任技術者」と呼ばれていた役職が「営業所技術者等」へと名称変更されたほか、テレワークを活用した場合の「常勤性」の考え方についても実務上のルールがアップデートされています。

本記事では、建設業専門の行政書士が愛知県の最新基準に基づき、営業所として認められるための「場所・設備・人」の条件から、審査で差し戻しになりやすい「写真撮影の注意点」まで徹底解説します。設備投資やレイアウト変更の前に、ぜひ最後までお読みください。

1. 建設業許可における「営業所」の定義【建設業法第3条】

建設業許可の取得を目指すにあたり、最初につまずきやすいのが「営業所」の概念です。「登記上の本店だから、当然営業所として認められる」「現場近くにプレハブを設置したから大丈夫」——こうした認識は、許可審査において大きな落とし穴になりかねません。

法令と愛知県の審査基準(手引き)に基づき、正しい「営業所」の定義を確認しましょう。

「常時請負契約を締結する事務所」とはどういうことか

建設業法第3条第1項では、営業所を「本店又は支店若しくは政令で定めるこれに準ずるもの」と規定しています。ここでいう「政令で定めるこれに準ずるもの」は、建設業法施行令第1条により「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」と明確に定義されています。

つまり、法人登記簿に記載されているかどうかという形式的な問題ではなく、見積り・入札・契約締結といった実体的な行為を常時行っている事務所であることが問われるのです。なお、契約書の名義人がその事務所の代表者かどうかは問われません。

また、仮に本店や支店で直接請負契約を締結していない場合でも、他の営業所への指導監督など建設業の営業に実質的に関与している場合には、「営業所」に該当します。

「主たる営業所」と「従たる営業所」の違い

愛知県の手引きでは、建設業の営業所は役割に応じて次の2種類に区分されます。

チェック
  • 主たる営業所:建設業を営む全営業所を統括し、指揮監督する権限を持つ1か所の営業所。通常は本社・本店が該当します。
  • 従たる営業所:主たる営業所以外で、常時建設工事の請負契約を締結する事務所(支店・営業所など)。

愛知県内にのみ営業所を設ける場合は「愛知県知事許可」で足りますが、愛知県内に主たる営業所を置きつつ他の都道府県にも従たる営業所を設ける場合は「国土交通大臣許可」が必要になります。

「作業所」「連絡事務所」は営業所に含まれない

建設業許可の審査は「実態重視」です。請負契約の締結といった実体的な行為を行わない以下の場所は、建設業法上の営業所には含まれません。

  • 現場の作業所・現場詰所
  • 単なる連絡事務所
  • 建設工事以外の兼業事業のみを行う営業所

「その場所で、日常的に建設工事の請負契約に関する実務が行われているか」——これが、審査における最大のポイントです。

2. 愛知県で求められる営業所の「設備」要件

営業所の「場所」が確保できていても、それだけでは不十分です。愛知県の審査では「そこで実際に建設工事の請負契約等の事務作業が行える環境」が整っているかどうかが、書面だけでなく「写真」によっても厳格に確認されます

独立した事務スペースの確保と必要な事務用品

営業所には、机・椅子・固定電話・パソコンなど、建設業の業務を行うための事務用品が備えられている必要があります。愛知県への許可申請では、直近3か月以内に撮影した「営業所の内部写真」を提出することでこれを証明します。

愛知県の手引きでは、提出する内部写真について「来客対応用の応接室ではなく、建設業で使う事務用品や電話などを含む事務スペースを撮影すること」と明確に指定されています。単なる打ち合わせスペースではなく、日常的に契約業務などの実務を行っている実態が視覚的に伝わる写真であることが求められます。

自宅兼事務所・シェアオフィスを利用する場合の注意点

自宅の一部を事務所として使う場合や、シェアオフィス・レンタルオフィスを利用する場合に特に注意すべきは、「他のスペースとの独立性」と「対外的な表示」です。

愛知県の審査では、ビル内のテナントに所在する場合、外観写真のほかに「建物入口部分」や「テナント表示」の写真提出が必要です。テナント表示がない場合は、商号(会社名等)が判読できる集合郵便受けの写真を追加で提出しなければなりません。

また、テレワークを活用している場合であっても、「ICTの活用により営業所等で職務に従事している場合と同等の職務を遂行でき、かつ常時連絡を取ることが可能な環境」であることが必要です。さらに、発注者等から対面での対応を求められることも想定されるため、営業所には対面での打ち合わせが可能な環境を整えておくことが求められます。郵便物の受け取りのみを目的としたバーチャルオフィスは、営業所として認められません。

建物の「使用権原」と賃貸借契約書の確認

営業所として使用する建物について、申請者は正当な「使用権原」を有している必要があります。愛知県への申請では、写真台紙等に建物の権利関係(「自己所有」または「賃貸借」等)を記載することが義務付けられています。

特に注意が必要なのは、賃貸借契約書の使用目的が「住居専用」となっているケースです。この場合、そのままでは営業所として認められないことがあります。貸主から「事務所として使用してよい」旨の使用承諾書を追加取得するなどの対応が必要になりますので、契約書の内容は事前にしっかり確認しておきましょう。

3. 営業所に配置すべき「人」の要件【人的体制の確保】

適切な場所・設備が整っていても、それだけでは許可は取れません。営業所には、所定の経験・権限・常勤性を備えた「人」の配置が義務付けられています。

常勤役員等(経営業務の管理責任者等)【建設業法施行規則第7条】

建設業の営業所には、経営体制を適切に管理できる者——法令上「常勤役員等(経営業務の管理責任者等)」——の配置が求められます。法人の場合は常勤の役員、個人の場合は事業主本人または支配人が原則として該当します。

要件として、建設業に関し5年以上、経営業務の管理責任者としての経験を有する者などが求められます(建設業法施行規則第7条第1号)。

ここでいう「常勤」とは、休日等を除き、一定の計画のもとに毎日所定の時間中、その職務に従事している実態があることを指します。

「専任技術者」から「営業所技術者等」へ——最新の名称変更と要件【建設業法第7条第2号】

法改正により、従来「専任技術者(専技)」と呼ばれていた役職は「営業所技術者等」へと名称が変わりました。建設業法第7条第2号に基づき、営業所ごとに「専任の者」として、建設工事の請負契約の締結・履行に関する技術上の管理をつかさどる者の配置が義務付けられています。

「専任」とは、その営業所に常勤し、専らその職務に従事することを要する状態を意味します。

テレワーク実施時の注意点
ICTを活用したテレワークは一定程度認められていますが、以下の点に留意が必要です。

  • 通勤が不可能な遠方からのテレワークはNG:緊急時の対面説明や現場確認が想定されるため、「常識上通勤不可能な場所(例:北海道の営業所に対して沖縄県在住の者が就任する等)」でのテレワークは「専任」要件を満たさないと判断されます。
  • 対面打ち合わせ環境の確保が必須:従業員全員がテレワークを実施すること自体は可能ですが、発注者等から対面での対応を求められることに備え、営業所には対面での打ち合わせが可能な環境を整えておくことが求められます。

建設業法施行令第3条に規定する使用人(支配人・支店長等)

本社(主たる営業所)以外の支店を「従たる営業所」として登録する場合、その営業所の代表者として「建設業法施行令第3条に規定する使用人」を配置する必要があります。支配人・支店長・営業所長など、請負契約の締結および履行にあたり一定の権限を有すると判断される者が該当します。

この使用人についても、当該営業所において休日等を除いて毎日所定の時間中、職務に従事していること(常勤性)が求められます。

4. 審査をクリアする「写真」の撮り方——よくある不備事例と対策

愛知県の建設業許可審査では、営業所の実態を証明するために「写真」の提出が非常に重視されます。単に部屋を撮影すれば良いわけではなく、愛知県の手引きには厳格な撮影ルールが定められています。要件を満たしていない場合、申請窓口で差し替えを求められ、許可取得の遅延につながります。

求められる写真は主に4パターンです。それぞれの注意点と不備事例を確認しましょう。

① 外観写真(建物の全景がわかるもの)

営業所が入っている建物の全体を撮影します。

よくある不備:建物の一部しか写っていない。寄りすぎた写真は全体像が判断できないため差し替え対象になります。

テナント等の場合:ビル内等に所在する場合は、外観写真に加えて「建物入口部分」「テナント表示」の写真が必要です。テナント表示がない場合は、商号が判読できる集合郵便受けの写真を必ず追加してください。

② 入口写真(営業所の名称が確認できる入口付近)

営業所の入り口ドア付近を撮影します。

よくある不備:表札や看板がない。入り口で営業所の名称(会社名等)が確認できない場合、差し替えが必要になることがあります。商号がわかる看板や表札を設置してから撮影してください。

③ 内観写真(事務スペースの様子がわかるもの)

建設業の業務で実際に使用している事務用品(机・椅子・パソコン)や固定電話が配置された事務スペースを撮影します。

よくある不備:来客対応用の応接室・ミーティングスペースのみを撮影している。これはNGです。日常的に事務作業を行っている実態がわかるスペースを必ず撮影してください。

④ 建設業の許可票(標識)の写真【建設業法第40条】※許可がある場合のみ

更新申請や業種追加申請など、すでに建設業許可を受けている事業者様の場合は、建設業法第40条に基づき店舗への掲示が義務付けられている「建設業の許可票(いわゆる金看板)」の写真が必要です。

よくある不備:文字が読み取れない。標識の掲示状況だけでなく、許可番号・許可年月日など記載内容までくっきり判読できるよう**撮影してください。

まとめ:「場所」+「設備」+「人」の三要素を写真で証明する

本記事では、建設業許可における「営業所」の定義から、愛知県が求める設備の要件・人的体制・写真の撮り方まで、最新の審査基準に基づいて解説しました。

要点を整理すると、次のとおりです。

  • 「営業所」とは登記上の住所ではなく、常時建設工事の請負契約を締結する実態のある場所(建設業法施行令第1条)
  • 独立した事務スペース・必要な事務用品を備え、写真で実態を証明する必要がある
  • 常勤役員等・営業所技術者等(旧:専任技術者)の配置が営業所ごとに義務付けられている
  • テレワークは一定条件のもとで認められるが、対面対応が可能な環境の確保が必須
  • 写真の不備(建物全景の欠如・看板の未設置・応接室のみの撮影等)が許可取得の遅れに直結する

自宅兼事務所の動線の問題や、賃貸借契約書の使用目的の確認、テナントビルの郵便受け表記の対応など、愛知県のローカルルールに基づいた細かな審査基準は、ご自身での判断が難しいポイントも少なくありません。

「今のレイアウトで営業所として認められるか不安だ」 「賃貸借契約書の使用目的が『住居』になっているが、どう対処すればよいかわからない」

そのようなお悩みをお持ちの愛知県の経営者様は、まずは当事務所へお気軽にご相談ください。令和8年版手引きをはじめとする最新の法令・審査基準を熟知した行政書士が、事前の現地確認から写真撮影のアドバイス、必要書類の収集まで一括サポートします。貴社の許可取得を最短ルートで実現します。

その事務所、写真を撮る前に確認してください。

入口の看板がない、応接室しか撮っていない、賃貸契約の使用目的が「住居」のまま——これだけで愛知県の審査は差し戻されます。
自宅兼事務所やシェアオフィスでも許可は取れますが、レイアウトや書類の整え方に細かなローカルルールがあります。
現状を見せてもらえれば、無料で対応可否を確認します。

三澤祐喜 行政書士

三澤 祐喜|三澤行政書士事務所(愛知県)

行政書士

産廃処理業者に10年以上勤務した、おそらく日本でただ一人のバックグラウンドをもつ行政書士。
建設業・不動産業・運送業・廃棄物処理法・農地法——複雑に絡み合う法規制の現場にいたからこそ、他の事務所が手を引くほど複雑な案件に、私は静かに燃えます。
「他で断られた」「難しいと言われた」「複雑すぎて整理できない」——まず、ご連絡ください。
言われた書類を作るだけの「代行屋」ではなく、絡み合った法務課題を根本から解きほぐす社外パートナーとして、愛知県の経営者様の隣に立ち続けます。

愛知県行政書士会所属|第24191550号