こんにちは!愛知県を中心に、建設業者様の許可取得・更新をサポートしている三澤行政書士事務所の三澤です!
「社長の自分は10年以上建設業をやっているんだけど、要件は問題なくクリアできるよね?」
「『経管』という言葉が最近変わったと聞いたんだが、何がどう変わったの?」
「令和7年から保険証が使えなくなるらしいけど、役員の常勤性ってどうやって証明すればいいの?」
こうしたご相談を、日々多くの事業者様からいただきます。建設業許可の申請で最も多くの方が壁にぶつかるのが、会社の経営トップに関する要件――いわゆる「適切な経営体制」です。
かつては「経営業務の管理責任者(経管)」という名称で、特定の個人の経験に大きく依存する要件でした。しかし法改正を経た現在は、個人の経験だけでなく、会社組織として適正に経営管理を行える体制が整っているかという視点で評価される仕組みへと変わっています。
さらに、令和2年の法改正により「適切な社会保険への加入」が許可の絶対条件として組み込まれ、愛知県では令和7年12月2日以降、健康保険証の新規発行終了に伴う常勤性確認書類の変更も生じています。「昔はこの書類で通ったから」という感覚で申請に臨むと、窓口で書類を突き返され、大きなタイムロスを招くことになりかねません。
本記事では、愛知県で多数の建設業許可申請をサポートしてきた専門の行政書士が、最新の法令と愛知県の申請手引に基づいて、「適切な経営体制」の要件から証明書類の実務、社会保険の加入要件まで、一つひとつ丁寧に解説します。「自社の要件を正確に把握したい」という事業者様に、最後までお読みいただける内容を目指しました。
はじめに:「適切な経営体制」とは何か
建設業許可を取得するための要件は複数ありますが、最初の関門となるのが「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力」を持つ者がいること(建設業法第7条第1号)です。
愛知県の「建設業許可申請の手引」でも筆頭に掲げられているこの要件は、実務上「適切な経営体制」と呼ばれています。建設工事は一品ごとの注文生産であり、資金調達・技術者の配置・下請業者との契約管理など、工事の完成に至るまで多岐にわたる経営判断が求められます。国がこの要件を設けているのは、そうした経営能力を持つ者が現場を管理することで、施主や下請業者の保護を図るためです。
旧「経管」制度から何が変わったのか
「許可を取るには経管が必要」とご存じの方は多いと思います。実は令和2年(2020年)10月の建設業法改正(令和元年法改正)により、この要件の考え方は大きく変わりました。
改正前は、法人なら常勤役員のうち1人が、個人事業主なら本人または支配人が、「建設業に関して5年以上の経営業務の管理責任者としての経験」を持っていることが必須でした。つまり、特定の1人の経験に全てを依存する仕組みだったのです。
しかしこの要件は実務上、多くの問題を引き起こしていました。「経験豊富な役員が退任して更新ができなくなった」「許可を新規取得したいが、要件を満たす人材を確保できない」といった声が多く寄せられていたのです。
こうした課題を受け、法改正によって要件が拡張されました。現在は「1人のスーパーマン的な個人の経験」ではなく、「会社組織として経営管理を適切に行える体制が整っているか」という視点で審査されます。
また、この改正と同時に「適切な社会保険(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)への加入」が、「適切な経営体制」の必須条件として完全に組み込まれました。社会保険への加入状況は、今や許可取得の可否に直結します。
「適切な経営体制」を満たす2つのパターン
では、具体的にどのような状態であれば要件を満たすのでしょうか。
建設業法第7条第1号は、「国土交通省令で定める基準に適合する者であること」と規定しています。この「基準」の具体的な内容は建設業法施行規則第7条第1号に定められており、大きく「単独で満たすパターン(規則第7条第1号イ)」と「チーム体制で満たすパターン(規則第7条第1号ロ)」の2つがあります。
パターン1:常勤役員等が単独で要件を満たす場合(規則第7条第1号イ)
最も一般的なパターンです。会社の常勤役員(個人事業主の場合は本人または支配人)のうち1名が、以下のいずれかの経験を持っていることが必要です。
① 建設業に関し5年以上、経営業務の管理責任者としての経験(規則第7条第1号イの1)
法人の取締役や個人事業主として、5年以上建設業を経営した経験を指します。多くの事業者様がこのケースに該当します。ここで重要なのは、条文に「建設業に関し」とある通り、許可を取ろうとする業種(例:内装仕上工事)以外の建設業での経験であっても合算して5年あれば認められるという点です。
② 建設業に関し5年以上、経営業務の管理責任者に準ずる地位(権限委譲を受けた執行役員等)として経営業務を管理した経験(規則第7条第1号イの2)
取締役会設置会社において、取締役会決議を経て具体的な権限委譲を受けた執行役員などとして、5年以上経営業務を管理した経験を指します。
③ 建設業に関し6年以上、経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験(規則第7条第1号イの3)
役員に次ぐ職制上の地位(建設会社の支店長・営業所長など)として、資金調達・技術者配置・下請契約の締結といった経営全般を6年以上補佐した経験を指します。
パターン2:チーム体制(常勤役員等+補佐する者)で満たす場合(規則第7条第1号ロ)
令和2年の法改正で新設された規定です。「役員経験はあるが、建設業での役員経験が5年に満たない」というケースでも、財務管理・労務管理・業務運営の3つの業務経験を持つ者を「補佐する者」として配置することで、組織として要件を満たすことができます。
このパターンでは、以下の「要件A」と「要件B」を両方とも満たす必要があります。
【要件A:常勤役員等の経験(以下のいずれか)】
- 建設業の役員経験が2年以上あり、かつ他産業の役員経験等と合わせて5年以上の経験があること
- 他産業の役員経験が5年以上あり、かつ建設業の役員経験が2年以上あること
つまり、「建設業の役員経験2年以上」と「役員経験のトータル5年以上」の両方が必須です。
【要件B:補佐する者の配置】
許可を受けようとする建設業者において、以下の業務経験をそれぞれ5年以上持つ者を、常勤役員等を直接に補佐する者として配置すること。
- 財務管理の業務経験(資金調達・下請代金の支払い管理など)
- 労務管理の業務経験(勤怠管理・社会保険手続きなど)
- 業務運営の業務経験(会社の経営方針の策定・実施など)
なお、これらの経験を持つ人材を個別に配置することも、1人が複数の経験を兼ねる場合にその方を1名で配置することも可能です。
パターン2(チーム体制)は、他業界から建設業へ新たに参入する企業様や、先代の急逝により経験の浅い後継者様が事業を引き継ぐ場合などに有効な規定です。ただし、愛知県の審査窓口ではこのパターンへの審査は非常に厳格です。過去の組織図・業務分掌規程・稟議書・人事発令書など、膨大な社内文書の提出が求められます。「どちらのパターンで申請できるか」「何を証明書類として集めればよいか」と迷われた場合は、最新の法令と愛知県の審査基準に精通した行政書士への相談をお勧めします。
【愛知県の実務】「経験」と「常勤性」はこう証明する
要件を満たしていることは、行政庁(愛知県)に対して客観的な書面で証明しなければなりません。建設業法施行規則第3条は、許可申請書の添付書類として「要件を満たしていることを証する書面」の提出を義務付けています。具体的に何が必要かは各都道府県のローカルルールによる部分が大きく、ここでは愛知県の「建設業許可申請の手引(令和7年4月版等)」に基づいた実務要件を解説します。
審査の最大の難所は、「5年以上の経営経験」と「現在の常勤性」をどう証明するか、この2点に集約されます。
5年以上の「経営経験」を証明するための書類
許可を受けていない事業者(無許可業者)で積んだ役員・個人事業主としての経験を証明する場合、愛知県では「その期間、本当に建設業を営んでいたのか」を厳格に審査します。必要なのは、以下の「a」と「b」を原則5年分揃えることです。
a:役員・事業主であったことの証明
- 法人の役員経験: 登記事項証明書(履歴事項全部証明書等)で、目的欄に建設業の記載があり、継続して役員であったことを証明します。
- 個人の事業主経験: 確定申告書の控え(第一表から収支内訳書等一式)と市区町村発行の所得証明書の両方(原則)が必要です。
b:建設工事の請負実績の証明(該当年に施工したもの)
- ① 契約書(写し)
- ② 注文書(写し)+ 対応する請書控(写し)
- ③ 注文書・請書控・請求書のいずれか(写し)+ 入金が明確に分かるもの(通帳・預金取引明細票等の写し)
請負実績証明の落とし穴
実務で最も苦労するのが「b:請負実績の証明」です。古い工事の契約書・注文書・請書が完璧に残っている事業者様はほとんどいらっしゃいません。多くの場合「③請求書の控え」で証明を試みることになりますが、愛知県の審査では請求書単体では証明として認められず、必ず通帳の入金記録とセットでの提示が必要です。さらに、振込手数料や安全管理費の差し引きにより請求額と入金額が1円でも合わない場合は、その差額を説明する別資料(支払明細書等)まで求められます。また、「応援」「人工出し」などの常用工事や単なる資材販売は、請負工事の経験として認められませんのでご注意ください。
【令和7年最新】健康保険証廃止に伴う「常勤性」確認書類の変更
常勤役員等が現在貴社の営業所に「常勤」していることを証明する書類も重要です。これまでは健康保険被保険者証(事業所名が印字されたもの)の写しが一般的に使われていました。しかし令和7年12月2日以降の健康保険被保険者証の新規発行終了に伴い、愛知県の常勤性確認書類の取り扱いが変更されています(愛知県「健康保険被保険者証に代わる常勤性の確認書類について」通知・令和7年11月)。
令和7年12月2日以降は、以下の①から順に確認を行い、最初に当てはまった資料(申請時直近のもの)を提出します。
- 健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書の写し(建設国保等加入者は「厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書」の写し)
- 住民税特別徴収税額通知書(特別徴収義務者用)の写し
- 所得証明書(市区町村発行)+源泉徴収票の写し
- 雇用保険被保険者証の写し+雇用保険被保険者資格取得等確認通知書の写し(被保険者区分が「1」のものに限る)
保険証の経過措置について
「今手元にある保険証はもう使えないの?」とご不安の方もいらっしゃると思いますが、有効期限前の健康保険被保険者証(事業所名記載あり)の写しは引き続き確認書類として使用可能です。ただし愛知県のルールでは、「12月1日以前に仮受付が完了していた場合であっても、仮受付時に保険証が添付されておらず12月2日以降に追加提示した場合」は、保険証を確認書類として用いることができないとされています。申請タイミングによって求められる書類が変わる非常にデリケートな時期ですので、最新の動向を把握している専門家のサポートを活用することを強くお勧めします。
見落としがちな必須条件:「社会保険への加入」
「適切な経営体制」というと、役員経験などの人的要件ばかりが注目されがちです。しかし現在は「社会保険への加入」も許可取得の絶対条件であることを、改めてご確認ください。
未加入では許可が下りない:法令の根拠
令和2年(2020年)10月施行の改正建設業法により、「適切な社会保険への加入」が建設業許可の要件として厳格化されました。
建設業法第7条第1号が求める「国土交通省令で定める基準」を受けた建設業法施行規則第7条第2号において、以下の3つの保険すべてについて、適用事業所に該当する全営業所で加入手続き(届書の提出)が完了していることが必要と定められています。
- 健康保険(規則第7条第2号イ)
- 厚生年金保険(規則第7条第2号ロ)
- 雇用保険(規則第7条第2号ハ)
愛知県の審査では、これらへの加入を客観的に証明する資料(保険料の領収証書・保険料納入告知額及び領収済額通知書・納入証明書等)の提出が求められます。仮に加入義務があるにもかかわらず未加入の保険がある場合、どれだけ豊富な経営経験や立派な資格があっても許可を受けることはできません。
「適用除外」のケース:うちは加入しなくていいの?
「個人事業主で従業員もいないけど、厚生年金に入らないと許可が取れないの?」というご相談もよくいただきます。
結論からいえば、法令上、社会保険の加入義務がない「適用除外」の事業所であれば、未加入であっても許可の取得は可能です。愛知県の申請実務において、以下のようなケースは「適用除外」として扱われます。
健康保険・厚生年金保険の適用除外例
- 従業員が4人以下の個人事業主
- (健康保険について)年金事務所長の承認を受けて建設国保(全国土木建築国民健康保険組合等)に加入している場合
雇用保険の適用除外例
- 法人で、役員(取締役等)以外の従業員を雇用していない場合
- 個人事業主で、事業主本人および同居親族以外の従業員を雇用していない場合
適用除外の判断は慎重に
自社が本当に「適用除外」に該当するかどうかの判断は、思いのほか複雑です。「従業員はいない」と思っていても、実態としてパートやアルバイトを雇用しているとみなされれば加入義務が発生します。また、建設国保加入時の手続きや、適用除外を愛知県の審査窓口に証明するための書類準備は煩雑になりがちです。ご自身の判断で申請を遅らせる前に、行政書士にご相談ください。
まとめ:愛知県での建設業許可は三澤行政書士事務所へ
「適切な経営体制」は、単に「建設業の社長を5年以上やっていた」という事実だけでは認められません。その事実を、確定申告書・契約書・注文書+通帳の入金記録といった客観的な資料で完璧に裏付ける必要があります。
さらに、令和7年12月以降の保険証廃止に伴う新たな常勤性確認書類(標準報酬決定通知書等)の準備と、社会保険の厳格な加入要件も同時にクリアしなければなりません。
万が一、社長ご自身の役員経験が5年に満たない場合でも、財務・労務・業務運営の経験を持つ者を配置する「チーム体制(補佐する者)」という方法が使える可能性があります。
「自分の過去の経験で要件をクリアできるか診断してほしい」 「昔の契約書が残っていないが、通帳や注文書でなんとか証明できないか」 「保険証に代わる新しい証明書類の集め方が分からない」
そのようなお悩みをお持ちの事業者様は、ぜひ三澤行政書士事務所の初回無料相談をご活用ください。
当事務所は貴社の「社外法務部」として、要件の精密な診断から、愛知県のローカルルールに基づいた書類の収集・作成、そして行政窓口との折衝まで、ワンストップで完全代行いたします。
三澤 祐喜|三澤行政書士事務所(愛知県)
行政書士
産廃処理業者に10年以上勤務した、おそらく日本でただ一人のバックグラウンドをもつ行政書士。
建設業・不動産業・運送業・廃棄物処理法・農地法——複雑に絡み合う法規制の現場にいたからこそ、他の事務所が手を引くほど複雑な案件に、私は静かに燃えます。
「他で断られた」「難しいと言われた」「複雑すぎて整理できない」——まず、ご連絡ください。
言われた書類を作るだけの「代行屋」ではなく、絡み合った法務課題を根本から解きほぐす社外パートナーとして、愛知県の経営者様の隣に立ち続けます。
愛知県行政書士会所属|第24191550号
