こんにちは!愛知県を中心に建設業者様の許認可手続きを専門に取り扱っている、三澤行政書士事務所の三澤です!

「岐阜県にも営業所を出したいので、大臣許可に切り替えたい」 「本店を他県から愛知県に移転することになった」 「県外の拠点を整理して、愛知県内だけでの営業に集約したい」

事業が成長し、組織体制が変化していく中で、このような”営業所の所在地をめぐる変更”は珍しくありません。しかし、ここで多くの事業者様が見落としがちな落とし穴があります。

「場所が変わるだけなら、変更届を出せば済む」——これは大きな誤解です。

営業所の新設・廃止・移転によって許可を管轄する行政庁が変わる場合、単なる変更届では対応できません。建設業法第9条の規定により、「許可換え新規申請(きょかがえしんきしんせい)」という、実質的なゼロからの新規申請が必要になります。

申請手数料は9万円(場合によっては18万円)。要件の証明も一からやり直しです。さらに、手続きを進める中で必ずといっていいほど寄せられるご相談があります。

「審査中に今の許可の有効期限が切れたら、うちは無許可業者になってしまうのか?」

この記事では、愛知県での許可換え新規申請について、法的根拠・手続きの流れ・必要書類から、令和7年4月改訂の最新ローカルルールまで、実務に即した視点で丁寧に解説します。営業所の移転・新設を検討されている建設業者様は、ぜひ最後までお読みください。

1. どんな場合に「許可換え新規申請」が必要になるのか

建設業許可の「2つの区分」を整理する

建設業の許可は、営業所の設置状況によって次の2種類に区分されています(建設業法第3条第1項)。

  • 知事許可:1つの都道府県内のみに営業所を設けて営業する場合
  • 大臣許可:2つ以上の都道府県に営業所を設けて営業する場合

なお、同一の建設業者が知事許可と大臣許可を重複して受けることはできません。

許可換え新規申請が必要になる3つのパターン

この区分が変わるとき、すなわち許可を管轄する行政庁(許可行政庁)が変わるときに、建設業法第9条の規定に基づき「許可換え新規申請」が必要になります。具体的なケースは以下の3つです。

パターン①:他県知事許可 → 愛知県知事許可 主たる営業所を他県から愛知県へ移転し、営業所が愛知県内のみになった場合。 (例:静岡県に本店があった会社が、愛知県へ本店を移転した)

パターン②:愛知県知事許可 → 国土交通大臣許可 愛知県外に新たな営業所を設け、営業所が複数都道府県にまたがることになった場合。 (例:愛知県内のみで営業していた会社が、三重県に営業所を新設した)

パターン③:国土交通大臣許可 → 愛知県知事許可 他県の営業所を廃止し、営業所が愛知県内のみになった場合。 (例:愛知県・岐阜県に営業所があった会社が、岐阜県の営業所を閉じた)

なぜ「変更届」では対応できないのか

「営業所が増えるだけなら変更届で済むのでは?」と思われる方も多いのですが、法律の仕組みはそれほど単純ではありません。

許可行政庁が変わるということは、これまでとは別の行政機関が、あらためて御社の経営業務管理体制・専任技術者・財産的基礎など、許可要件のすべてを一から審査し直すということです。だからこそ、名称も「許可換え新規申請」とされており、通常の変更届とはまったく異なる書類量・審査の厳格さが求められます。

「変更届で済むと思っていたら、実は許可換え新規が必要だった」という事態は、準備期間の大幅なロスを招きます。営業所の移転・新設を検討した段階で、早めに行政書士へご相談されることをお勧めします。

2. 最大の疑問:申請中に許可の有効期限が切れたらどうなる?

許可換え新規申請を検討される際、事業者様から圧倒的に多く寄せられるのがこのご不安です。

「審査中に今の許可の有効期間が満了したら、無許可業者になってしまうのか?」

公共工事の入札参加や、元請け業者からの受注において許可の維持は絶対条件です。1日たりとも「許可の空白期間」は作れない——その切実さは、行政書士として十分に理解しています。

結論:適正に申請していれば「空白期間」は生じない

建設業法第3条第4項では、同一の許可行政庁への更新申請において、審査中に有効期間が満了しても「新たな処分が下されるまでの間は従前の許可が有効とみなされる」旨が規定されています。

許可行政庁が変わる「許可換え新規申請」においても、実務上これと同様の法的保護が機能します。すなわち、新たな許可行政庁(例:愛知県知事)に対して適正に申請が受理されていれば、それ以前の許可行政庁(例:他県知事・国土交通大臣)の許可の有効期間が経過したとしても、新たな処分(許可または不許可)が下されるまでの間は従前の許可が引き続き有効であり、無許可営業にはなりません。

「申請中に許可が切れて工事が受けられなくなるのでは」と過度に心配される必要はありません。

ただし、ここで絶対に忘れてはならない前提条件があります。申請書類の不備などで窓口に「受理」されなかった場合は、この保護は適用されません。 提出ギリギリの準備では書類に不備が生じるリスクが高まるため、余裕をもった申請スケジュールの設定が不可欠です。

新たな許可が下りたあと、従前の許可はどうなるのか

無事に新たな許可行政庁から許可が交付された時点で、従前の許可は自動的に効力を失います。新旧の許可が二重に存在することはなく、新しい許可証が交付された日から新たな許可番号での営業がシームレスに始まる仕組みです。

また、建設業法第9条第2項の規定により、許可換え新規申請の際には工事経歴書等の一部書類について添付省略が認められるケースがあります。しかし省略が認められる場合でも、新たな許可行政庁は従前の許可行政庁と連携のうえ、これまでの提出内容を把握した厳格な審査を行います。「管轄が変わるのだから、過去の実績は適当でよい」という認識は厳に慎まなければなりません。

3. 費用・必要書類と愛知県のローカルルール

申請手数料:9万円または18万円

愛知県知事に対して許可換え新規申請を行う場合、建設業法第10条の規定に基づき、以下の手数料の納付が必要です。

申請の種別手数料
一般建設業 または 特定建設業(どちらか一方)90,000円
一般建設業 と 特定建設業(両方を同時に申請)180,000円

「新規」という名称のとおり、通常の新規申請と同額の手数料が必要になります。

【令和7年4月からの実務ポイント】 これまで愛知県での手数料納付は「愛知県収入証紙」による方法が原則でしたが、令和7年4月改訂の最新手引よりキャッシュレス決済による納付方法が追加されました。窓口での手続きがよりスムーズになっています。

必要書類:「法律の原則」と「愛知県の運用」は異なる

許可換え新規申請では、新たな許可行政庁に対して許可要件をすべて一から証明するための書類が必要になります。ここで行政書士として強く注意喚起したいのが、「建設業法の原則」と「愛知県の実際の運用(ローカルルール)」のあいだにある重要な差異です。

建設業法第9条第2項は、同法第6条第2項を準用しています。同法第6条第2項には、「許可の更新を受けようとする者は(中略)工事経歴書や直前3年の各事業年度における工事施工金額を記載した書面、使用人数を記載した書面を添付することを要しない」と定められており、法解釈上は許可換え新規申請においてもこれらの省略が認められています。

しかし——愛知県の窓口では、法律上は省略可能と読める書類であっても、実際には提出が求められます。

愛知県「建設業許可申請の手引」において申請区分2(許可換え新規)の必要書類一覧を確認すると、「工事経歴書(様式第2号)」および「直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号)」には、提出必須を示す「○」が明確に付されています。愛知県内での工事実績がまだない場合であっても、「実績なし」として所定の様式を作成・提出しなければなりません。

さらに、許可換え新規申請に固有の添付書類として、「申請時点で有効な他行政庁の許可書の写し」の提出も必須です。

「国のガイドラインに省略できると書いてあったから省いた」という判断は、愛知県の窓口では書類不備として受理を拒否される原因になります。各都道府県の運用手引を熟知した行政書士への依頼が、スムーズな許可取得への最短ルートです。

4. 【必読】令和7年4月改訂の最新変更点

建設業許可の実務ルールは毎年のように更新されます。令和7年4月には愛知県の「建設業許可申請の手引」が改訂され、許可換え新規申請にも直接影響する重要な変更が行われました。

①「常勤性確認書類」の抜本的な変更

建設業法第7条は、許可要件として「経営業務の管理責任者(常勤役員等)」および「専任技術者(営業所技術者等)」が営業所に常勤していることを求めています。この「常勤性」を証明するための書類ルールが、令和7年4月の改訂で大きく変わりました。

従来は健康保険証(事業所名記載のもの)の写しで対応できていましたが、令和6年12月2日以降の健康保険被保険者証の新規発行終了(マイナ保険証への移行)を受け、愛知県の手引では常勤性確認書類の優先順位が以下のとおり明確に定められました(①から順に確認し、最初に当てはまった書類の直近のものを使用)。

  1. 健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書の写し
  2. 住民税特別徴収税額通知書(特別徴収義務者用)の写し
  3. 所得証明書(市区町村発行のもの)+源泉徴収票の写し
  4. 雇用保険被保険者証の写し+雇用保険被保険者資格取得等確認通知書の写し(被保険者区分が「1」のものに限る)

「保険証のコピーを添付すればよい」という実務は過去のものになりました。会社の労務管理・税務申告に関わる公的書類を日頃から適切に管理・保管しておくことが、今後の申請手続きの前提条件となります。許可換え新規申請の準備を始める際は、これらの書類の有無と最新性を最初に確認してください。

②経営業務管理責任者の確認資料に関する整理

令和7年4月の改訂では、経営業務管理責任者(常勤役員等)の経験を確認するための資料一覧についても整理が行われました。手引における確認資料一覧から「新規・許可換え新規以外」の欄が削除され、要件が整理されています。

許可換え新規申請においては、従前の許可行政庁(他県・国)での許可実績があったとしても、あらためて愛知県に対して、建設業法第7条第1号が定める経営業務の管理体制を所定の確認資料により厳格に証明しなければなりません。

他県では不要だった資料が愛知県では必要になるケースも少なくありません。特に、会社設立時の定款の目的欄の記載内容や、過去の工事における請負契約書・注文書等の保管状況によっては、「経験が証明できず許可換え新規申請が止まってしまう」という最悪の事態も起こりえます。

最新の法令と愛知県のローカルルールを把握していないままでは、せっかくの事業拡大の機会に「許可が下りない」「無許可期間が生じてしまう」というリスクを抱えることになります。

5. まとめ

「許可換え新規申請」は、単なる住所変更の手続きではありません。管轄する行政庁が変わることに伴い、許可要件の一切をあらためて証明しなければならない実質的な再審査です。

本記事でご説明したとおり、適正に申請が受理されていれば、審査中に従前の許可の有効期限が到来しても新たな処分が下されるまでは従前の許可が有効とみなされ、空白期間(無許可期間)は生じません。この点はご安心ください。

一方で、油断は禁物です。愛知県の窓口では、国が「省略可能」としている書類であっても提出が求められるローカルルールが存在します。また、令和7年の手引改訂により、健康保険被保険者証の新規発行終了に伴う「標準報酬決定通知書等による常勤性証明の厳格化」など、最新の実務ルールへの対応が求められています。

  • 他県から愛知県へ本店を移転するが、愛知県のローカルルールに対応できるか不安だ
  • 大臣許可への切り替えを検討しているが、複数営業所の要件を満たせるかプロに確認してほしい
  • 健康保険証が使えなくなるが、新しい常勤性確認書類の収集方法がわからない

そのような事業者様は、ぜひ三澤行政書士事務所の「初回無料相談」をご利用ください。

当事務所では、愛知県および中部地方整備局の最新ルールに完全対応した書類作成から行政窓口との折衝まで、貴社の「社外法務部」としてワンストップで対応いたします。事業拡大・組織再編を、安全かつ確実に実現するお手伝いをさせていただきます。

三澤祐喜 行政書士

三澤 祐喜|三澤行政書士事務所(愛知県)

行政書士

産廃処理業者に10年以上勤務した、おそらく日本でただ一人のバックグラウンドをもつ行政書士。
建設業・不動産業・運送業・廃棄物処理法・農地法——複雑に絡み合う法規制の現場にいたからこそ、他の事務所が手を引くほど複雑な案件に、私は静かに燃えます。
「他で断られた」「難しいと言われた」「複雑すぎて整理できない」——まず、ご連絡ください。
言われた書類を作るだけの「代行屋」ではなく、絡み合った法務課題を根本から解きほぐす社外パートナーとして、愛知県の経営者様の隣に立ち続けます。

愛知県行政書士会所属|第24191550号