こんにちは!愛知県を中心に、建設業者様の事業拡大を支える、三澤行政書士事務所の三澤です。
「許可の更新書類を見ていたら、見慣れない言葉が出てきて混乱してしまった」 「健康保険証が使えなくなると聞いたけれど、技術者の常勤性はどう証明すればいい?」 「テレワーク中心の社員を、営業所の技術者として登録することはできるの?」
こういったご相談が、令和7年に入ってから特に増えています。いずれも、今年の法改正と愛知県の手引改定が直接の原因です。
長年「専任技術者(専技)」と呼ばれてきた役職が、令和7年の建設業法改正を受けて「営業所技術者等」という名称へと改められました。しかし変わったのは名前だけではありません。テレワーク時の専任要件の取り扱い、そして健康保険証の廃止に伴う令和7年12月以降の常勤性確認書類の刷新——これらのルール変更が、実務の現場に直接影響を与えています。
「以前はこの書類で通ったから大丈夫」という過去の経験や、更新されていないネット上の情報を頼りに申請窓口へ向かうと、書類を差し戻されてタイムロスが生じます。最悪の場合、変更届の提出期限(事実発生後2週間以内)を超過し、建設業法違反となるリスクすらあります。
本記事では、愛知県で多数の建設業許可申請を手がけてきた専門の行政書士が、令和7年の最新法令と愛知県独自のローカルルールをもとに、「営業所技術者等」をめぐる最新の実務要件と、証明書類の正しい揃え方を体系的に解説します。ぜひ自社の許可管理のマニュアルとしてお役立てください。
1. 「専任技術者」から「営業所技術者等」へ——何がどう変わったのか
名称変更の経緯と法令上の根拠
令和7年の建設業法改正にともない、愛知県が公表した「令和7年4月版 建設業許可申請の手引」において、「専任技術者」という名称が「営業所技術者等」へと改められました。
法令の条文を確認すると、改正後の建設業法では、一般建設業の営業所に置く技術者を「営業所技術者」(建設業法第7条第2号)、特定建設業の営業所に置く技術者を「特定営業所技術者」(同法第15条第2号)と定義しています。愛知県の手引や各種変更届の様式では、これらをまとめて「営業所技術者等」と総称するようになりました。
長年「専技(せんぎ)」の略称で親しまれてきた呼び名が変わります。今後の申請・届出の際には、書類の様式や窓口でのやり取りの中で戸惑わないよう、早めに慣れておくことが大切です。
「専任」の要件そのものは変わっていない
名称から「専任」という言葉が外れたことで、「兼任が認められるようになったのでは?」と期待される方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、「専任」の要件に変更はありません。
国土交通省の「建設業許可事務ガイドライン(【第7条関係】2. 営業所技術者等について)」において、「専任」とは従来どおり「その営業所に常勤して専らその職務に従事することを要する者」であると明確に規定されています。名称が変わっても、引き続き営業所に常勤し、請負契約の適正な締結等の職務に専念する体制が求められる点は不変です。
2. テレワークは認められるのか——愛知県の最新ルールを確認する
「営業所技術者等はテレワークができるか?」というご相談は、近年急増しています。
結論から申し上げると、一定の要件を満たせば、テレワークは認められます。
国土交通省の「建設業法の各基本事項や法令違反に関するよくあるご質問」においても、営業所技術者等の常勤にはテレワークを含むことが明記されています。ただし無条件ではなく、愛知県が公表する「営業所専任技術者等のテレワークに関するQ&A」において、具体的な要件が定められています。
求められるICT環境
テレワーク中であっても、単に「自宅で待機している」というだけでは専任性を満たしません。愛知県のQ&A(問1)では、「ICTの活用により、営業所等で職務に従事している場合と同等の職務を遂行でき、かつ、所定の時間中において常時連絡を取ることが可能な環境」であることが条件とされています。
具体的には、次の環境が総合的に求められます。
- メールの送受信・確認ができること
- 契約書・設計図書等の書面が確認できること
- 電話が常時つながること
営業所にいる時と変わらず職務を遂行できる通信環境の整備が前提となります。
営業所が無人になる場合の取り扱い
「全員がテレワークをして営業所が無人になってもいいのか?」という点についても、よくお問い合わせをいただきます。
愛知県のQ&A(問3)によれば、営業所が一時的に無人となること自体は直ちに違反ではありません。ただし、テレワーク中の連絡先等を発注者が把握できる状態にしておくことが必要であり、発注者から対面での対応を求められる可能性に備え、対面での打ち合わせが可能な環境を整えておくことが求められます。
遠隔地からのフルリモート勤務は認められない
テレワークが認められるようになったからといって、常識的に通勤できない遠方からの勤務は対象外です。愛知県のQ&A(問4)および国土交通省の「建設業許可事務ガイドライン(【第7条関係】2.(1))」において、「営業所に常識上通勤不可能な遠距離に居住する者」については「専任」の要件を満たさないと規定されています。
緊急時等に対面での説明や現場確認が求められるケースがある以上、勤務時間中は通常の通勤が可能な範囲内にいることが前提となります。「テレワークOKなら居住地はどこでもいい」という解釈は誤りですので、ご注意ください。
3. 令和7年12月から変わる「常勤性確認書類」——保険証が使えなくなる
本記事でとりわけ重要なのが、この確認書類の変更です。令和7年12月2日以降、実務の手続きが大きく変わります。
健康保険証の新規発行終了による影響
これまで、営業所技術者等の常勤性を証明するために最もよく使われてきた書類が、事業所名の印字された「健康保険被保険者証の写し」でした。
しかし、マイナ保険証への移行にともない、令和7年12月2日以降、現行の健康保険被保険者証の新規発行が終了します。これを受け、愛知県都市・交通局都市基盤部より「健康保険被保険者証に代わる常勤性の確認書類について(令和7年11月)」という重要通知が発出され、確認書類の取り扱いが刷新されることになりました。本件は「令和7年4月版 建設業許可申請の手引」においても、改定の主要変更点として明記されています。
新しい確認書類の優先順位
愛知県の通知によれば、令和7年12月2日以降の常勤性確認書類は、以下の①から順番に確認し、最初に該当したもの(申請時直近のもの)を提出するルールとなります。
① 健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書の写し
- 70歳以上の場合:「健康保険・厚生年金保険70歳以上被用者該当および標準報酬月額相当額のお知らせ」の写し
- 建設国保等加入者の場合:「厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書」の写し
② 住民税特別徴収税額通知書(特別徴収義務者用)の写し
③ 所得証明書(市区町村発行)+源泉徴収票の写し
④ 雇用保険被保険者証の写し+雇用保険被保険者資格取得等確認通知書の写し(被保険者区分が「1」のものに限る)
これまで保険証のコピー一枚で完結していた手続きが、今後は標準報酬決定通知書などの書類準備を要することになります。顧問税理士・社労士と連携して、①〜④の書類をいつでも用意できる体制を整えておくことを強くお勧めします。
「仮受付」の経過措置に潜む落とし穴
移行期の経過措置として、「令和7年12月1日以前に仮受付が完了した書類に、有効期限前の健康保険被保険者証が添付されている場合は、引き続き確認書類として用いることができる」という措置が設けられています。
しかし、ここに重大な落とし穴があります。
愛知県の通知には、「12月1日以前に仮受付が完了していた場合であっても、仮受付時に健康保険被保険者証が添付されていなかった等の理由で、12月2日以降に後から提示した場合は、確認書類として用いることができない」と明記されています。
つまり、「12月1日中に書類だけ先に出して仮受付をとり、保険証のコピーは後日提出する」という対応は通用しません。12月2日以降に提出・補完する場合は、必ず新しい①〜④の書類が必要になります。年末の繁忙期と重なりますので、許可期限が近い事業者様は特にスケジュール管理にご注意ください。
4. 変更届の「2週間ルール」——気づいたときには手遅れになる前に
営業所技術者等に変更が生じた場合、速やかに許可行政庁(愛知県知事など)への変更届を提出しなければなりません。
変更届の提出期限と法令上の根拠
建設業法第11条第4項では、「営業所に置く営業所技術者が当該営業所に置かれなくなつた場合…これに代わるべき者があるときは、国土交通省令の定めるところにより、二週間以内に…提出しなければならない」と定められています。また、建設業法施行規則第7条の2第1項により、営業所技術者等の「氏名を変更したとき」も同様に2週間以内の届出が義務付けられています。
愛知県の「建設業法による変更届等の手引(変更届出書編)」でも、以下のすべてのケースで「事実発生後2週間以内」の届出が必要と明記されています。
- 営業所技術者等の氏名の変更
- 担当業種または有資格区分の変更(同一営業所内)
- 営業所技術者等の追加
- 交替にともなう削除
- 配置される営業所のみの変更
- 後任がいない場合の削除・欠格要件への該当
遅延が招く最悪のシナリオ
「2週間」という期限は、通常の業務スケジュールの中では想像以上に短く、気づいたときにはすでに超過していた——というケースが後を絶ちません。
期限を過ぎると、始末書等の追加書類を求められるだけでなく、建設業法違反として行政指導の対象となるおそれがあります。さらに深刻なのは、後任の技術者が不在のまま放置してしまうケースです。営業所技術者等が不在となれば、建設業法第7条第2号に定める許可基準を満たさなくなったと判断され、最悪の場合には建設業許可の取消し処分に発展するリスクがあります。
社内で人事異動や退職の予定が出た段階で、直ちに要件を満たす後任者を選定し、変更届の準備に着手することが、実務上の鉄則です。
まとめ——複雑化した建設業許可の管理は、早めの専門家への相談を
令和7年は、名称変更・テレワーク要件の明確化・常勤性確認書類の刷新と、建設業者様を取り巻く手続きルールが一度に複数変化した年です。特に、年末に迫る確認書類の切り替えと、退職・異動時の2週間以内の変更届は、日常の現場業務に追われる中で見落としやすい落とし穴です。
書類に少しでも不備があれば窓口で差し戻され、最悪の場合は期限超過による法令違反リスクを抱えることになります。
「うちのテレワーク体制で、営業所技術者等として認められるか確認してほしい」 「保険証に代わる新しい常勤性証明書類の揃え方が分からない」 「技術者が急に退職してしまった——至急、変更届を出したい」
こうしたお悩みをお持ちの事業者様は、ぜひ三澤行政書士事務所の初回無料相談をご利用ください。
当事務所が貴社の「社外法務部」として、愛知県の最新ルールに完全対応した書類作成から行政窓口での折衝まで一括代行し、貴社の大切な建設業許可を適法・確実にお守りします。
三澤 祐喜|三澤行政書士事務所(愛知県)
行政書士
産廃処理業者に10年以上勤務した、おそらく日本でただ一人のバックグラウンドをもつ行政書士。
建設業・不動産業・運送業・廃棄物処理法・農地法——複雑に絡み合う法規制の現場にいたからこそ、他の事務所が手を引くほど複雑な案件に、私は静かに燃えます。
「他で断られた」「難しいと言われた」「複雑すぎて整理できない」——まず、ご連絡ください。
言われた書類を作るだけの「代行屋」ではなく、絡み合った法務課題を根本から解きほぐす社外パートナーとして、愛知県の経営者様の隣に立ち続けます。
愛知県行政書士会所属|第24191550号
