こんにちは!愛知県の建設業者様の許可申請を専門に扱う、三澤行政書士事務所の三澤です!
「元請けから『500万円以上の工事を任せたいから、早く許可を取ってくれ』と言われている」 「足場工事も基礎工事も外構もこなしているが、どの業種で許可を取ればいいのかわからない」
こうしたご相談を、日々多くいただきます。
建設現場を根底から支える「とび・土工・コンクリート工事業」は、29ある建設業の許可業種の中でも、特に守備範囲が広い業種です。事業が拡大し、1件あたりの請負金額が税込500万円以上の工事を受注するには、建設業法上の許可取得が不可欠になります。
ところが実際に申請準備を始めると、思わぬ壁にぶつかることが少なくありません。とりわけ多いのが、業種区分の判断ミスです。「うちのブロック積みはとび・土工? 石工事?」「鉄骨の組立てを頼まれたけど、鋼構造物工事業が必要なの?」——こうした迷いから、10年分の実務経験書類を集め終わってから「業種が違う」と窓口で指摘されるケースも実際に起こっています。
さらに、見落としてはならないのが制度改正の動きです。令和7年4月に改定された愛知県の手引では、これまで「専任技術者」と呼んでいた役職の名称が「営業所技術者等」へ変わりました。また、健康保険証の新規発行終了に伴い、役員や技術者の「常勤性」を証明するための書類ルールも厳格化されています。
この記事では、愛知県での建設業許可申請を数多く手がけてきた行政書士が、令和7年の最新法改正・愛知県の最新手引に完全対応した内容で、許可取得に必要な5つの要件、他業種との区別のポイント、解体工事との経験重複という実務上の特例、そして申請後に必要な継続手続きまでを、体系的にお伝えします。
「自社に許可が取れる要件が揃っているか確認したい」という方は、ぜひ最後までご覧ください。
「とび・土工・コンクリート工事業」とは?建設業法上の定義と工事例
建設業許可を取得するにあたり、自社が請け負う工事がどの業種に該当するのかを正確に把握することは、申請の大前提です。業種の判断を誤ると、要件を満たしていても許可が下りないばかりか、すでに持っている許可で請け負えない工事を受注してしまうリスクもあります。まずは法律の定義から確認しましょう。
建設工事の内容と具体的な工事例
建設業法(別表第一)に基づく「とび・土工・コンクリート工事業」は、昭和47年建設省告示第350号において、「イ」から「ホ」の5区分で定義されています。また、国土交通省の「建設業許可事務ガイドライン」では、各区分に応じた具体的な工事例が示されています。
イ:足場の組立て、機械器具・建設資材等の重量物のクレーン等による運搬配置、鉄骨等の組立て等を行う工事 → とび工事、ひき工事、足場等仮設工事、重量物のクレーン等による揚重運搬配置工事、鉄骨組立て工事、コンクリートブロック据付け工事
ロ:くい打ち、くい抜き及び場所打ぐいを行う工事 → くい工事、くい打ち工事、くい抜き工事、場所打ぐい工事
ハ:土砂等の掘削、盛上げ、締固め等を行う工事 → 土工事、掘削工事、根切り工事、発破工事、盛土工事
ニ:コンクリートにより工作物を築造する工事 → コンクリート工事、コンクリート打設工事、コンクリート圧送工事、プレストレストコンクリート工事
ホ:その他基礎的ないし準備的工事 → 地すべり防止工事、地盤改良工事、ボーリンググラウト工事、土留め工事、仮締切り工事、吹付け工事、法面保護工事、道路付属物設置工事、屋外広告物設置工事、捨石工事、外構工事、はつり工事、切断穿孔工事、アンカー工事、あと施工アンカー工事、潜水工事
迷いやすい!他業種との境界と区別のポイント
とび・土工工事業は工事範囲が広いぶん、石工事・鋼構造物工事・左官工事などとの境界が曖昧になりがちです。国土交通省の「建設業許可事務ガイドライン」が示す区別の基準を、実務でよく問題になる4パターンで整理します。自社の工事が「本当にとび・土工に該当するか」を、以下の基準でご確認ください。
① コンクリートブロック工事(石工事・タイル工事との違い)
「とび・土工・コンクリート工事」になるのは、根固めブロックや消波ブロックの据付けなど、土木工事における規模の大きいコンクリートブロックの据付けや、プレキャストコンクリート部材(柱・梁など)の設置工事です。
一方、建築物の内外装として擬石等を張る工事や、法面処理・擁壁としてブロックを積む工事は「石工事」、ブロックで建築物を建設する工事(エクステリア含む)は「タイル・れんが・ブロック工事」となります。
② 鉄骨工事(鋼構造物工事との違い)
すでに加工された鉄骨を現場で組み立てることのみを請け負う「鉄骨組立工事」は、とび・土工・コンクリート工事です。しかし、鉄骨の製作・加工から現場での組立てまでを一貫して請け負う場合は「鋼構造物工事」になります。「加工」が入るかどうかが分岐点です。
③ 吹付け工事(左官工事との違い)
法面処理等のためにモルタルや種子を吹き付ける工事はとび・土工・コンクリート工事ですが、建築物に対するモルタル等の吹付けは「左官工事」です。施工対象が「法面(土木)」か「建築物」かで判断します。
④ 屋外広告物設置工事(鋼構造物工事との違い)
現場での設置のみを行う場合はとび・土工・コンクリート工事ですが、現場で屋外広告物の製作・加工から設置までを一貫して行う場合は「鋼構造物工事」になります。
建設業許可が必要なケース・不要なケース
建設業を営む場合、公共工事・民間工事を問わず、また元請・下請を問わず、原則として建設業法上の許可が必要です。ただし、例外として政令で定める「軽微な建設工事」のみを請け負う場合は、無許可でも営業が認められています。
許可が必要な金額の目安:500万円が基準線
とび・土工工事業(建築一式工事以外の専門工事)で許可が不要な「軽微な建設工事」とは、工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事です(建設業法施行令第1条の2第1項)。言い換えると、税込500万円以上のとび・土工工事を受注するためには、元請・下請にかかわらず「とび・土工工事業」の許可が必須となります。
なお近年は、金額が500万円未満であっても、元請企業側のコンプライアンス対応として「許可業者でないと現場に入れない」と求めるケースが増えています。事業拡大を目指す事業者様にとって、建設業許可の早期取得はもはや任意の選択ではなくなりつつあります。
「500万円未満だから大丈夫」の落とし穴
「500万円未満なら許可は不要」という基準は、実務上で誤解されやすいポイントをいくつか含んでいます。
消費税を含む金額で判断する 請負代金の額の算定は、消費税及び地方消費税を含めた税込額で行わなければなりません。税抜で480万円の契約でも、消費税を加えて500万円を超えれば許可が必要です。
発注者支給の材料費も加算する 注文者から材料の提供を受けた場合は、その材料の市場価格と運送費を請負代金に加算した合計額で判断します(建設業法施行令第1条の2第3項)。「手間請け(労務のみ)だから関係ない」という認識は危険です。発注者支給の材料費を含めると500万円を超えるケースは珍しくありません。
契約の分割は原則として認められない 500万円という基準をかわす目的で1つの工事を複数の契約に分割した場合、正当な理由がない限り各契約の請負代金の合計額で判断されます(建設業法施行令第1条の2第2項)。
許可取得に必要な5つの要件(建設業法第7条・第8条)
とび・土工工事業の許可(一般建設業)を取得するには、建設業法で定められた5つの要件をすべて満たさなければなりません。令和7年4月の手引改定・社会保険に関する最新の法改正も踏まえ、各要件の実務的なポイントを解説します。
要件①:経営業務の管理を適正に行う能力(常勤役員等)と社会保険の適正加入
建設業法第7条第1号は、「建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する」ことを求めています。具体的には、法人の常勤役員または個人事業主として「建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者としての経験」を持つ者(常勤役員等)が、最低1名いることが原則です。
社会保険への適正加入は「絶対条件」
近年の法改正により、建設業法施行規則第7条の規定のもと、適用事業所である場合は健康保険・厚生年金保険・雇用保険のすべてに加入し届出を完了していることが、許可取得の絶対条件となっています。社会保険の加入状況は必ず事前に確認してください。
要件②:営業所技術者等(旧・専任技術者)の配置
建設工事の適正な施工と安全を確保するため、建設業法第7条第2号により、各営業所には許可を受けようとする業種に関する専門的な知識・経験を持つ技術者を「専任」で配置することが義務付けられています。
令和7年4月から「専任技術者」→「営業所技術者等」へ名称変更
長年「専技(専任技術者)」として定着していた呼称ですが、令和7年4月改定の愛知県の手引から「営業所技術者等」に変更されました。名称は変わりましたが、要件の実質的な内容はほぼ同様です。営業所技術者等になるには、①国家資格、②指定学科卒業+実務経験、③10年以上の実務経験、のいずれかを満たす必要があります(詳細は次章で解説します)。
要件③:誠実性
建設業法第7条第3号により、法人・役員等・個人事業主・営業所長(令第3条に規定する使用人)が「請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと」が求められます。
「不正な行為」とは詐欺・脅迫・横領・文書偽造などの違法行為を、「不誠実な行為」とは工事内容・工期・損害負担等について請負契約に違反する行為を指します。
要件④:財産的基礎・金銭的信用(500万円ルール)
建設工事は資材費・人件費など着工から完成まで多額の資金が動くため、請負契約を確実に履行するための財産的基礎または金銭的信用を有していることが必要です(建設業法第7条第4号)。
一般建設業許可の場合、以下のいずれかを満たせば要件を充足します。
- 直前の決算において自己資本の額が500万円以上であること
- 500万円以上の資金を調達する能力があると認められること(金融機関発行の預金残高証明書または融資証明書で証明)
要件⑤:欠格要件に該当しないこと
許可を受けようとする法人・役員等・個人事業主が、建設業法第8条に定められた欠格要件のいずれかに該当する場合、許可は下りません。主な欠格要件は以下のとおりです。
- 破産手続き開始の決定を受けて復権を得ていない者
- 禁錮以上の刑、または建設業法・暴力団対策法・刑法の一部等に違反して罰金刑を受け、その執行が終わってから5年を経過していない者
- 暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過していない者、あるいは暴力団員等が事業活動を支配している者
- 精神の機能の障害により、建設業を適正に営むにあたって必要な認知・判断・意思疎通を適切に行うことができない者
営業所技術者等(とび・土工工事業)になるための3つのルート
各営業所への「営業所技術者等」の配置は許可取得の核心です。とび・土工工事業の営業所技術者等になるには、建設業法第7条第2号に定められた「イ・ロ・ハ」のいずれかの要件を満たす必要があります。
ルート①:国家資格による証明(法第7条第2号ハ該当)
最も確実で、審査もスムーズに進むルートです。建設業法施行規則第7条の3および愛知県の最新手引に基づき、とび・土工工事業の営業所技術者等として認められる主な資格・技能検定は以下のとおりです。
- 1級・2級土木施工管理技士(2級は「土木」「薬液注入」の種別に限る)
- 1級・2級建築施工管理技士(2級は「躯体」の種別に限る)
- 1級・2級建設機械施工管理技士(2級は「第1種〜第6種」)
- 技能検定「とび」「型枠施工」「コンクリート圧送施工」「ウェルポイント施工」(1級、または2級合格後3年以上の実務経験が必要)
- 技術士(建設部門等の特定部門)
資格があれば、過去の契約書等を大量に集める手間が大幅に省けます。自社の従業員が該当する資格を保有していないか、まず確認することをお勧めします。
ルート②:指定学科卒業+実務経験(法第7条第2号イ該当)
国家資格がなくても、指定学科を卒業し一定期間の実務経験があれば要件を満たせます。
建設業法施行規則第1条により、とび・土工工事業の指定学科は「土木工学又は建築学に関する学科」と定められています。必要な実務経験期間は以下のとおりです。
- 高等学校・中等教育学校を卒業した場合:卒業後5年以上
- 大学・高等専門学校・専門職大学の前期課程を修了した場合:修了後3年以上
卒業証明書に加え、規定年数分の「とび・土工工事」に関する実務経験証明書類(契約書、請求書+入金確認資料など)が必要です。
ルート③:10年以上の実務経験のみ(法第7条第2号ロ該当)
資格も指定学科の卒業歴もない場合でも、とび・土工工事に関する10年以上の実務経験があれば営業所技術者等になれます。
【知っておきたい】解体工事との実務経験重複の特例
10年の実務経験を証明する際に活用できる重要な特例があります。
平成28年6月の「解体工事業」新設以前は、工作物の解体もとび・土工工事業の範囲内でした。そのため、建設業許可事務ガイドラインおよび愛知県の手引において、「平成28年5月31日までにとび・土工工事業の許可で請け負った解体工事の実務経験は、同年6月1日以降、とび・土工工事業と解体工事業の双方の実務経験として二重に計算できる」という救済措置が設けられています。
かつて解体工事を数多く手がけていた事業者様にとっては、2業種の許可を同時に取得できる可能性を秘めた、非常に重要な特例です。
財産的基礎の証明方法(法人・個人別)
建設業法第7条第4号が求める財産的基礎・金銭的信用は、「自己資本500万円以上」または「資金調達能力の証明」のいずれかで満たします。法人と個人事業主で証明方法が異なりますので、それぞれ解説します。
自己資本額が500万円以上であることの証明
法人の場合 直前の決算における貸借対照表の「純資産合計の額」が500万円以上かどうかで判断します。資本金が500万円未満でも、利益剰余金の積み上げによって純資産合計が500万円以上になっていれば問題ありません。
個人事業主の場合 直前の確定申告書の決算書をもとに、「(期首資本金+事業主借勘定+事業主利益)-事業主貸勘定+負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金」という計算式で算出した額が500万円以上である必要があります。「個人の口座に500万円ある」こととは意味が異なりますので、ご注意ください。
直前決算で500万円に満たない法人様へ 増資手続きを申請日までに行い、資本金が500万円以上となった場合は、法務局で取得した「履歴事項全部証明書」で増資の事実を証明することで、要件を満たすものとして取り扱われます。諦める前に一度ご相談ください。
500万円以上の資金調達能力の証明(残高証明書等)
設立直後で決算を迎えていない場合や、直前決算の純資産が500万円未満の場合は、金融機関が発行する以下のいずれかの書類で証明します。
- 500万円以上の預金残高証明書
- 500万円以上の融資証明書(融資の残高ではなく、融資可能額の証明)
愛知県独自の厳格なルールに注意してください
愛知県では、残高証明書等を取得する際に手引で定められた以下のルールを守らないと、窓口で書類の取り直しを求められます。
- 有効期限は「申請直前4週間以内」 — 証明書の「基準日」または「発行日」が、許可申請日(本受付日)から遡って4週間(28日)以内(初日算入)のものでなければ有効と認められません。
- 複数口座を合算する場合は「基準日」を完全に一致させる — 複数の金融機関の残高証明書を合算して500万円以上とすることは可能ですが、すべての証明書の基準日が同一日でなければなりません。
- 預金残高証明と融資証明の合算は不可 — 「残高300万円+融資可能額200万円」のように異種の証明書を組み合わせることは認められていません。必ずどちらか一方で500万円以上を証明してください。
愛知県での許可申請手続きの流れと最新ルール
要件を確認できたら、いよいよ申請手続きです。愛知県知事許可(一般建設業)の新規取得における実務的なポイントを解説します。
申請窓口と電子申請(JCIP)の活用
愛知県知事許可の申請窓口は、主たる営業所の所在地によって異なります。
- 名古屋市内に主たる営業所がある場合:愛知県庁(自治センター2階)「都市・交通局 都市基盤部 都市総務課 建設業・不動産業室」
- 名古屋市以外の場合:所在地を管轄する各建設事務所(尾張・一宮・海部・知多・西三河・知立・豊田加茂・新城設楽・東三河)
書類の量は膨大で、従来の紙申請では正本・副本の2部を印刷・製本する必要があります。現在は国土交通省の「建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)」によるオンライン申請も導入されており、窓口に出向くコストや書類準備の手間を大幅に削減できます。
申請に必要な主な書類
建設業法第6条および同法施行規則第2条・第4条等の規定に基づき、多数の書類を作成・収集しなければなりません。
共通して必要な主な法定書類
- 建設業許可申請書(様式第一号)
- 工事経歴書(様式第二号)
- 直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第三号)
- 誓約書(様式第六号)
- 常勤役員等証明書(様式第七号等)
- 営業所技術者等証明書(様式第八号)
法人・個人で異なる財務関係書類
- 法人:貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・注記表、法人税の納税証明書、定款、登記事項証明書など
- 個人:個人事業主用の貸借対照表・損益計算書、所得税の納税証明書など
愛知県独自の「確認資料」が審査の鍵
法定申請書類に加え、その内容の真実性を裏付ける「確認資料」の提示が求められます。たとえば、営業所の実態を証明するための「建物の外観・内部・看板等の写真(直近3ヶ月以内撮影)」や、営業所技術者等の常勤性を証明するための社会保険関係の通知書などです。確認資料に不備があると申請自体を受理してもらえません。
申請手数料と納付方法
愛知県知事許可(一般建設業)の新規申請手数料は90,000円です(建設業法施行令第4条)。
令和7年4月からキャッシュレス決済に対応
令和7年4月改定の手引より、従来の「愛知県収入証紙」に加えて、窓口でのキャッシュレス決済による納付が可能となりました。また、JCIPを使った電子申請ではインターネットバンキングによる電子納付(Pay-easy)も選択できます。
申請が本受付されてから許可通知書が発行されるまでの標準処理期間は、書類に一切不備がない場合で概ね30日程度です。補正が生じると、それ以上の時間がかかります。
よくあるつまずきポイントと注意点
要件を満たしていても、書類準備の段階で思わぬ落とし穴にはまるケースは少なくありません。実務から見えてくる、特に注意すべきポイントを整理します。
① 実務経験の証明書類の不足(工事名の曖昧さに注意)
「10年の実務経験ルート」で営業所技術者等を目指す場合、過去10年分の工事の裏付け資料が必要です。愛知県の審査で認められる主な資料は以下のとおりです。
- 請負契約書
- 注文書+請書(控え)
- 請求書(または注文書・請書控)+入金が確認できるもの(通帳・預金取引明細票など)
とび・土工工事業特有の問題として、過去の請求書に「〇〇邸工事」「雑工事」「外構工事一式」としか記載されていない場合、「本当にとび・土工工事だったのか」が審査窓口で判断できず、実務経験としてカウントしてもらえないことが多発しています。また、現金取引で通帳に入金記録がない場合も証明資料として認められません。実務経験ルートでの申請を検討している方は、まず過去の書類が審査に耐えうるか、専門家による事前診断を受けることをお勧めします。
② 健康保険証廃止に伴う「常勤性」証明ルールの変更
常勤役員等や営業所技術者等については、本当にその会社で毎日勤務しているかを確認するための「常勤性の証明」が厳格に行われます。これまでは健康保険被保険者証のコピーを提出するのが一般的でしたが、令和7年12月2日以降の健康保険証新規発行終了に伴い、愛知県の運用ルールが変更されました。
現在の申請では、申請時直近の以下のいずれかの書類(優先順位順)が必要です。
- 健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書の写し
- 住民税特別徴収税額通知書(特別徴収義務者用)の写し
- 所得証明書(市区町村発行)+源泉徴収票の写し
- 雇用保険被保険者証の写し+雇用保険被保険者資格取得等確認通知書の写し
古い保険証で通ると思っていると窓口で受理されません。最新ルールに合わせた書類の手配が不可欠です。
③ 営業所の独立性要件(写真撮影のルール)
建設業の営業所は、他の法人や個人の居住スペースから明確に独立し、業務用の設備が整っている実態を証明しなければなりません。愛知県では直近3ヶ月以内に撮影された以下の写真提出が求められます。
- 建物の全景(外観)
- 営業所の名称(看板・表札等)が確認できる入口付近
- 事務用品や電話等を含む事務スペースの内部
自宅兼事務所の場合、生活空間との明確な間仕切りがない、看板の文字が判読できないといった不備があると、撮り直しを求められます。
④ 社会保険未加入による不許可リスク
かつては社会保険未加入でも指導を受けるだけで許可が下りることがありましたが、建設業法施行規則第7条の改正により、現在は「適切な社会保険に加入していること」が許可取得の絶対要件となっています。適用事業所であるにもかかわらず未加入の場合、許可は取得できません。
さらに、国土交通省のガイドラインにより、元請企業に対して「社会保険未加入企業を下請として選定しない」よう指導が行われています。適正な加入手続きの完了は、許可取得のみならず今後の事業継続のためにも欠かせません。
⑤ 許可取得後の継続義務(年度終了届・変更届・更新)
許可を取得したあとも、継続的な法的義務を果たさなければ許可が失効します。主な義務は以下のとおりです。
毎年の「事業年度終了届」 建設業法第11条第2項により、毎事業年度経過後4ヶ月以内に、決算内容と1年間の工事実績をまとめた「事業年度終了届」を提出する義務があります。これを怠ると、更新申請が受け付けてもらえません。
各種変更届 役員や営業所技術者等に変更があった場合は2週間以内に、商号や営業所の所在地に変更があった場合は30日以内に、建設業法第11条に基づく変更届出書を提出しなければなりません。
5年ごとの更新 建設業許可の有効期間は5年です(建設業法第3条第3項)。更新を受けるためには、建設業法施行規則第5条の規定により、有効期間満了の日の30日前までに更新申請書を提出しなければなりません。1日でも期限を過ぎると許可は失効し、再度「新規申請」からやり直すことになります。
まとめ:とび・土工工事業の許可取得は、三澤行政書士事務所へ
とび・土工・コンクリート工事業の建設業許可は、500万円以上の工事を受注できるようになるという実務上の効果にとどまりません。元請企業や金融機関に対して、自社の技術力と信頼性を客観的に証明できる「看板」にもなります。
しかし、この記事でお伝えしたとおり、許可取得までの道のりには複数のハードルがあります。「自社の工事がとび・土工に該当するのかの業種判断」「営業所技術者等の要件を過去の契約書等で客観的に証明すること」「平成28年5月31日以前の解体工事の実務経験を二重計算できるという特例の活用」——これらをすべて自社だけで正確に進めるのは、現場で多忙な経営者様にとって大きな負担です。加えて、令和7年の法改正による呼称変更や健康保険証廃止に伴う証明書類の変更など、制度は常に動いています。
「自社の経験で、とび・土工の営業所技術者等になれるか診断してほしい」
「元請から急かされているので、愛知県のルールに沿って最短で申請してほしい」
「許可取得後の毎年の事業年度終了届や5年ごとの更新も、まとめて任せたい」
そのようなお悩みをお持ちの事業者様は、ぜひ三澤行政書士事務所の「初回無料相談」をご利用ください。書類収集から行政との折衝まで、許可取得に関わる手続き全般を完全代行し、経営者様が本業に専念できる環境をご提供します。
三澤 祐喜|三澤行政書士事務所(愛知県)
行政書士
産廃処理業者に10年以上勤務した、おそらく日本でただ一人のバックグラウンドをもつ行政書士。
建設業・不動産業・運送業・廃棄物処理法・農地法——複雑に絡み合う法規制の現場にいたからこそ、他の事務所が手を引くほど複雑な案件に、私は静かに燃えます。
「他で断られた」「難しいと言われた」「複雑すぎて整理できない」——まず、ご連絡ください。
言われた書類を作るだけの「代行屋」ではなく、絡み合った法務課題を根本から解きほぐす社外パートナーとして、愛知県の経営者様の隣に立ち続けます。
愛知県行政書士会所属|第24191550号
