【行政書士が解説】開発予定の農地が青地か白地か調べる方法|法人向け農地転用の法規制と実務対応

開発予定の農地が「青地(農用地区域内)」か「白地」かを調べる実務方法を法人向けに解説。農振除外の6要件や農地法上の立地基準(第1種〜第3種)など、事業用地取得の鍵を握る規制を網羅。プロジェクトの遅れを防ぐための調査のポイントをまとめたガイドです。

分野
農地転用
主な法令
農地法
公開日
2025年7月8日
更新日
2026年11月2日
目次

「事業用地として検討している土地が農地なのだが、そもそも開発の見通しはあるのか」「『青地』と聞いているが、農振除外の手続きでプロジェクトはどのくらい遅れるのか」

設計事務所、ハウスメーカー、不動産開発事業者の方が新規プロジェクトを立案する際、こうした問いに直面することは珍しくありません。農地を取り巻く法規制は複雑であり、手続きの見極めを誤ると大幅なスケジュール遅延、最悪の場合は事業そのものの頓挫につながります。

農地転用において「青地(農用地区域内農地)」か「白地」かの判別は、単なる手続き上の分類ではありません。「その事業が成立するか否か」を左右する重大な分岐点です。青地の場合、農地転用は原則として不許可であり(農地法第4条第6項第1号イ)、例外的に開発を認めてもらうための「農振除外」は、農振法第13条第2項に定められた厳格な6要件をすべてクリアしなければ通りません。

また、仮に「白地」であったとしても、農地法上の立地基準(第1種〜第3種)による審査や「代替性」の検討など、行政と折衝しながらクリアすべきハードルが数多く残ります。「白地なら開発できる」という理解は、実務上は危険な思い込みです。

本記事では、「青地・白地」の法的定義、eMAFF農地ナビを活用した効率的な事前調査、そして開発スケジュールへの影響を、根拠法令とともに解説します。事業計画の立案と円滑な土地取得のために、ぜひ実務の参考としてお読みください。

1. 開発プロジェクトの明暗を分ける「農地」の法規制

農地を事業用地として検討する際、真っ先に把握すべきなのは、農地を規律する法律の構造です。対象地がどの法律のどの規制下に置かれているかを見誤ると、後工程での修正が効かなくなります。

農地法と農振法——2つの法律が二重に規制する

農地を開発(非農地化)するためには、主に2つの法律の規制をクリアする必要があります。

「青地」か「白地」か——開発可否を決める最初の分岐点

開発予定地が農地であることがわかった段階で、まず確認すべきなのが「青地」か「白地」かという区分です。この区分によって、開発の可否と手続きに要する期間が根本的に変わります。

2. 青地(農用地区域内農地)——原則転用不可の厳しい現実

開発予定地が青地であった場合、事業者は極めて高いハードルに直面します。法的な位置づけと、実際に開発を進めるために必要な手続きの内実を整理します。

法的根拠と定義(農振法第8条第2項第1号)

「青地」の正式名称は農用地区域内農地です。農振法第8条第2項第1号に基づき、市町村が定める農業振興地域整備計画の「農用地利用計画」において、農業上の利用を確保すべき土地として指定されます。

農用地区域内の土地の農業上の利用が確保されるよう努めることが国および地方公共団体の責務とされており(農振法第1条の2第3項)、農地法第4条第6項第1号イにより、原則として農地転用の許可が下りません。青地の状態のままでは、例外を除き、どれほど精緻な開発計画を立てても転用の許可を受けることはできません。

農振除外——開発への入口と、その高いハードル

青地を開発用地とするためには、農地転用許可の申請に先立ち、その土地を農用地区域から除外する「農振除外(農用地利用計画の変更)」を市町村に申し出る必要があります。

農振除外は行政計画の例外的な変更に当たるため、審査は非常に厳格です。農振法第13条第2項に規定される以下の6つの要件をすべてクリアしたうえで、市町村が都道府県知事に協議してその同意を得なければなりません(農振法第13条第4項において準用する第8条第4項)。

スケジュールリスクは長めに見込む

法人事業者が特に警戒すべきなのは、農振除外にかかる期間と不確実性です。

農振除外の手続きには、法定の縦覧(公告の日からおおむね30日間)と異議の申出の期間(縦覧期間満了の日の翌日から15日以内)、都道府県知事との協議と同意が含まれます(農振法第13条第4項において準用する第8条第4項・第11条)。農振除外の後に農地転用許可(標準的な事務処理期間は5〜6週間。4haを超える事案は、その間に農林水産大臣への協議の手続きが入る)を受けることになるため、土地取得の意思決定から工事着工まで、長期のスケジュールを見込む必要があります。申出の方法・受付の時期・期間の目安は、申出先の市町村に確かめてください。

さらに、農振法第13条第2項の要件を満たせず「除外不可」となれば、それまでに費やした時間は回収できません。事業用地として青地を選定すること自体が、プロジェクト全体にとっての重大なリスクファクターである点を、初期段階で認識しておく必要があります。

3. 白地(農用地区域外の農地)——開発の可能性はあるが、安心は禁物

開発予定地が白地であれば、農振除外という時間のかかるハードルは回避できます。しかし「白地=無条件で転用可能」という理解は、実務上は危険な誤解です。

白地の法的位置づけ

「白地」とは、都道府県が指定する農業振興地域内にはあるものの、市町村の農用地利用計画において農用地区域(青地)には指定されていない農地の通称で、実務上「農振白地」とも呼ばれています。青地のような農振法による強力な利用制限がかかっておらず、比較的手続きが進めやすい土地です。

農地法の立地基準——転用許可審査の本番はここから(農地法第4条・第5条)

白地であっても、農地を事業用途に転用するには農地法第4条または第5条に基づく転用許可が必要です。許可権者(都道府県知事または指定市町村の長)は、農地の営農条件や市街地化の状況に応じて対象農地を区分し、許可の可否を審査します。

第2種農地の関門——「代替性の検討」(農地法第4条第6項第2号)

開発予定地が第2種農地に区分された場合、最も注意が必要なのが「代替性の検討」です。農地法第4条第6項第2号(権利移転を伴う場合は第5条第2項第2号)は、「申請に係る農地に代えて周辺の他の土地を供することにより当該申請に係る事業の目的を達成することができると認められるとき」は原則として不許可と定めています。

つまり「なぜこの農地でなければならないのか」「周辺の非農地や第3種農地では事業目的を達成できないのか」を、行政に対して合理的に説明・立証できなければ、白地であっても許可は下りません。

都市計画法との交差——手続き難易度を大きく左右する「区域区分」

農地法の審査と並んで、都市計画法上の区域区分も手続きの難易度に直結します。

4. 「青地」と「白地」の規制・手続き比較表

開発予定地が青地か白地かによって、事業スケジュールと法的手続きの難易度は大きく異なります。以下の比較表で、実務上のポイントを整理します。

比較項目青地(農用地区域内農地)白地(農用地区域外の農地)
法的根拠農振法第8条第2項第1号農振法に基づく農用地区域に指定されていない農地
転用の原則原則不許可(農地法第4条第6項第1号イ、第5条第2項第1号イ)立地基準により許可の可能性あり(農地法第4条第6項第1号ロ等、第5条第2項)
主な手続き①農振除外(農振法第13条第2項)→ ②農地転用許可(農地法第4条・第5条)①農地転用許可(農地法第4条・第5条)※市街化区域内は届出のみ(農地法第4条第1項第7号、第5条第1項第6号)
立地基準の審査なし(農振除外の可否が先決)第1種・第2種・第3種農地等に区分して審査(農地法第4条第6項、第5条第2項)
期間の目安長期(農振除外の縦覧と異議の申出の期間だけで公告から約45日。これに市町村の審査・知事の同意と転用許可の期間が加わる)転用許可の標準的な事務処理期間は5〜6週間(農業委員会の意見書の送付まで3〜4週間+知事等の処分まで2週間。4haを超える事案は、この2週間の間に大臣への協議の手続きが入る)※届出は、届出書の到達から2週間以内に受理・不受理を通知
事業リスク極めて高い。要件が厳格で不許可による事業頓挫リスク、長期スケジュール遅延リスクがある中程度〜低い。ただし第1種農地に該当した場合や第2種農地で代替性を証明できない場合は不許可リスクあり

5. 青地・白地の調査方法

事業用地の選定段階で対象農地の区分を正確に把握しておくことは、プロジェクトを適法かつスケジュール通りに進めるための前提条件です。

eMAFF農地ナビの活用と、その限界

候補地が出た段階での初期調査には、インターネットを活用した「eMAFF農地ナビ(旧:全国農地ナビ)」が有効です。農地法第52条の3第1項・第2項の規定に基づき、農業委員会は農地台帳に記録された事項や農地に関する地図をインターネット等で公表する義務を負っており、eMAFF農地ナビはその全国的な提供システムです。対象地が農業振興地域(青地・白地)に含まれるかどうかの大まかな状況を、まずウェブ上で確認することができます。

🔗 eMAFF農地ナビ

ただし、インターネット上の情報をそのまま最終判断の根拠にすることは避けてください。

農地法第52条の3第1項には、個人の権利利益を害するおそれのある情報などは非公開とする旨が規定されており、一部情報は表示されません。また、行政のデータ更新にはタイムラグがあり、最新の農振計画変更(農振除外の結果等)が反映されていないケースもあります。eMAFF農地ナビはあくまで「初期スクリーニングの目安」であり、数千万〜数億円規模のプロジェクトの最終的な用地判断に使うには根拠として不十分です。

行政窓口への直接照会——最終的な確認は窓口で

対象地の区分の最終的な確認は、管轄の市町村窓口(農業委員会および農業振興地域制度担当部局)への直接照会で行います。

農業委員会は農地法第52条の2に基づく「農地台帳」を作成し、市町村は農振法第8条第1項に基づく「農業振興地域整備計画(農用地利用計画)」を定めています。対象地が農用地区域(青地)に含まれているか、白地であれば立地基準上どの区分に該当するかを、担当窓口で直接確認しておくことが、事業計画の精度を高めることにつながります。

6. まとめ

  • 青地(農用地区域内の農地)は、原則として転用の許可を受けられません(農地法第4条第6項第1号イ)。開発するには先に農振除外が必要で、農振法第13条第2項の6つの要件をすべて満たさなければなりません
  • 白地でも、農地法の立地基準で審査されます。甲種農地・第1種農地は原則不許可、第2種農地は周辺の他の土地で事業の目的を達成できると認められると原則不許可、第3種農地は原則として許可される区分です
  • 市街化区域内の農地は、あらかじめ農業委員会に届け出れば、許可を受けずに転用できます(農地法第4条第1項第7号・第5条第1項第6号)
  • 農振除外には法定の縦覧(おおむね30日間)と異議の申出の期間(15日以内)、知事の同意があり、その後の転用許可の標準的な事務処理期間は5〜6週間(4haを超える事案は大臣への協議の手続きが入る)です
  • インターネットで公表されている農地の情報は初期調査の目安とし、地番を特定したうえで、市町村の窓口(農業委員会・農業振興地域制度の担当部局)で確かめます

出典と確認日

次の資料にもとづいて書き、2026年10月28日に資料と照らして内容を確かめました。

制度は改正されることがあります。最新の内容は、各資料の発行元でご確認ください。

この分野のトップへ