「解体現場から出るがれきや木くずを、自社で破砕してリサイクルしたい」
「混合廃棄物を選別して、処分コストを下げたい」

収集運搬業の許可を取った建設業者様から、次のステップとして「中間処理(処分業)への参入」のご相談をいただくことが増えています。ただ、処分業の許可は、収集運搬業に比べて施設に関する審査がはるかに具体的で、「重機で砕けばいい」「手選別で分ければいい」という発想では許可が取れません。

この記事では、愛知県の手続きQ&Aで示されている破砕・選別施設の具体的な基準を中心に、建設業者が破砕・選別の処分業許可を目指すときに押さえておきたい施設面の注意点を解説します。処分業許可の要件全般は「産業廃棄物処分業許可の要件とは?」、処理施設の設置許可の手続は「産業廃棄物処理施設設置許可の手続き」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

第1章|破砕・選別は「処分業」の許可が必要

処分業の許可の基本

産業廃棄物の処分を業として行おうとする者は、業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の許可を受けなければなりません(廃棄物処理法第14条第6項)。処分業の施設基準として、中間処理を業として行う場合には、産業廃棄物の種類に応じ、その処分に適する処理施設を有することが求められます(廃棄物処理法施行規則第10条の5第1号イ)。例えば、廃プラスチック類であれば破砕施設・切断施設・溶融施設・焼却施設その他の処理施設、その他の産業廃棄物であればその種類に応じた処分に適する処理施設です(同(4)(6))。

代表的な処分方法

愛知県は、代表的な処分方法として、廃棄物を砕く「破砕」、混合廃棄物を単品目ごとに分ける「選別」、汚泥中の固形分と液体分を分離させる「脱水」、廃棄物を燃焼させる「焼却」などを挙げています。そのうえで、処理対象の廃棄物、目的、施設の構造等により個別に判断することとなるため、必ず事前に所管の県民事務所等に相談するよう求めています(愛知県「廃棄物関係の許可及び自動車リサイクル法 手続きQ&A」Q26)。

愛知県の審査体制

愛知県では、処分業と破砕業について、受付時に各県民事務所等の担当者が形式審査(内容について指摘することもある)を行い、実質的な審査は本庁(資源循環推進課産業廃棄物適正処理推進室)で行うため、本庁から内容について指摘が入る場合があるとされています(愛知県「手続きQ&A」Q1〜4の注記)。処分業の標準処理期間は52日(土日祝日を除く執務日で数え、補正期間は含まない)です(同Q6)。

第2章|重機による処理は「処分施設」と認められない

愛知県の考え方

建設業者様が最もつまずきやすいのがこの点です。愛知県は、油圧ショベル、ブルドーザー、ホイールローダー等の重機を処分業の用に供する施設として許可を取得できるかという問いに対し、次のように回答しています(愛知県「手続きQ&A」Q27)。

重機を用いた処理は、重機が処分に適する処理施設とは認めておりませんので、許可はできません。なお、事業場内における廃棄物の移動等に重機を使用することなどを禁止するものではありません。

つまり、「バックホウのアタッチメントでがれきを砕く」「重機で木くずを押し潰す」といった方法だけでは、破砕の処分業許可は取れないということです。破砕を行うのであれば、破砕機などの処理施設を設ける必要があります。一方、事業場内で廃棄物を移動させる、破砕機に投入するといった用途で重機を使うこと自体は問題ありません。

第3章|選別施設の具体的な基準

機械的作用を伴う施設であること

選別施設を処分の用に供する施設として使用する場合、愛知県は次の基準を示しています(愛知県「手続きQ&A」Q29)。

  • 機械的作用を伴って混合廃棄物を単品目ごとに分けることができる施設であること
  • ベルトコンベア型の施設であれば、ベルトコンベア、投入装置、磁選機等で構成される必要がある

「作業員が床に広げて手で分ける」だけの選別は、この基準を満たしません。

選別ラインの人員配置・速度・積み上げ高さ

さらに、適切に選別可能なベルト幅、ベルト搬送速度、積み上げ高さであることが求められ、具体的には次のとおりとされています(同Q29)。

選別品目作業員1人あたり2品目まで
ベルト幅と配置ベルト幅が75cmを超える場合は、作業員の手が届く範囲が限られるため、原則として両側に作業員を配置
搬送速度選別ベルトコンベアの搬送速度は10m/分以下
積み上げ高さ(フラットコンベア)ベルト幅90cm未満は側角20°まで、90cm以上は10°まで

この基準から、選別ラインの設計段階で「何品目を何人で選別するか」「ベルト幅と速度をどうするか」を決めておく必要があります。例えば、1本のラインで6品目を選別するなら、少なくとも3人の選別作業員の配置が前提になります。人員計画は、処理能力の計算や事業計画にも影響します。

行政書士の実務ポイント

選別施設の基準は、設備を購入・設置した後から変えるのが難しい項目ばかりです。メーカーと仕様を詰める前に、ベルト幅・搬送速度・作業員の配置を審査基準に照らして確認し、図面の段階で県民事務所等に事前相談しておくことをおすすめします。

第4章|処理能力は「能力計算書」で示す

パンフレットの数値は使えない

処分業の申請では、施設の処理能力を示す必要があります(施行規則第10条の4第1項第4号)。愛知県は、処理能力について、メーカーのパンフレットではなく、構造及び仕様に基づいて計算した能力計算書を添付するよう求め、能力計算で係数を用いる場合は係数の根拠を明記するよう求めています(愛知県「手続きQ&A」Q28)。

処理能力は設置許可の要否を左右する

処理能力は、処分業の許可とは別の「産業廃棄物処理施設の設置許可」が必要かどうかにも直結します。建設業者に関係の深い破砕施設では、次の規模を超えると設置許可が必要です(廃棄物処理法第15条第1項、施行令第7条)。

  • 廃プラスチック類の破砕施設:1日当たりの処理能力が5トンを超えるもの(第7号)
  • 木くず(建設業等から生じたもの)またはがれき類の破砕施設:1日当たりの処理能力が5トンを超えるもの(第8号の2)

国の通知では、処理能力は1日当たりの実稼働時間における定格標準能力を意味し、実稼働時間が1日8時間に達しない場合は、稼働時間を8時間とした場合の定格標準能力とするとされています(「産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務等の取扱いについて(通知)」(令和2年3月30日環循規発第2003301号。以下「許可事務通知」)第2の1(1)④)。「1日2時間しか動かさないから日量5トン以下」という計算は認められない、ということです。

設置許可が必要な場合は、生活環境影響調査書の添付、設置後の使用前検査などの手続も必要になり(廃棄物処理法第15条第3項、第15条の2第5項)、スケジュールが大きく変わります(なお、破砕施設は告示・縦覧等の手続の対象施設には含まれていません(施行令第7条の2))。

第5章|環境保全措置の記載

処分業の施設については、生活環境の保全上支障を生ずるおそれのないよう、処理施設の特性、用途地域や周辺の土地利用状況を踏まえて、周辺の施設・住宅・環境へ影響がないようにすることが求められます。愛知県は、一般的な例として次のような措置を挙げています(愛知県「手続きQ&A」Q30)。

  • 粉じん対策:集塵機の設置、散水
  • 騒音対策:防音壁の設置、低騒音型の機器の導入
  • 振動対策:防振ゴムの設置
  • 悪臭対策:脱臭設備の設置
  • 降雨時・散水に伴う汚水対策:沈砂池の設置(排水が生じる場合は排水処理施設の設置)
  • 油が付着している場合の油対策:防油堤、油水分離槽の設置
  • 地下浸透の防止:床面のコンクリート舗装

破砕・選別施設は、粉じん・騒音・振動が問題になりやすい施設です。屋根や壁で囲うのか、散水設備をどこに設けるのかといった点も、施設計画の段階から検討しておきましょう。

第6章|保管量の上限と特例

処分業者が処分・再生のために保管する場合、保管量は原則として処理施設の1日当たりの処理能力の14日分を超えてはならないとされています(施行令第6条第1項第2号ロ(3))。ただし、建設工事に伴って生じた木くず、コンクリートの破片(石綿含有産業廃棄物を除く)、アスファルト・コンクリートの破片で、分別されたものを再生する処理施設では、処理能力の28日分(アスファルト・コンクリートの破片は70日分)まで保管できる特例があります(施行規則第7条の8第1項第4号)。

「分別されたもの」が特例の要件になっている点がポイントです。混合廃棄物を受け入れて選別する施設では、選別前の混合廃棄物にはこの特例は使えないと考えて、保管スペースと処理能力のバランスを設計する必要があります。保管場所には、処分等のための保管上限を表示した掲示板の設置も必要です(施行規則第7条の5)。

第7章|申請書類と許可後の注意点

処分業特有の申請書類

処分業の許可申請では、施設の種類・数量・設置場所・設置年月日・処理能力、処理方式・構造・設備の概要を記載し、施設の平面図・立面図・断面図・構造図・設計計算書や、処分後の産業廃棄物の処理方法を記載した書類などを添付します(施行規則第10条の4)。愛知県では、処分業関係の申請書は3部(うち1部は申請者控え)を提出します(愛知県「手続きQ&A」Q10)。申請手数料は、新規許可100,000円です(同Q9)。

事業の範囲の書き方

許可証の事業の範囲では、処分の方法(破砕、選別など)と取り扱う産業廃棄物の種類が示されます。施設によって取り扱えない性状がある場合は、限定を付けて許可されることがあります(許可事務通知第1の1)。取り扱いたい品目と処分方法を、施設の能力と合わせて申請段階で整理しておきましょう。

講習会・経理的基礎

処分業の許可申請には、日本産業廃棄物処理振興センターの処分課程の講習会修了証が必要で(愛知県「産業廃棄物処分業の審査基準」(令和6年1月31日改正)2(2)ア)、経理的基礎の審査も行われます。設備投資を伴う処分業では、資金計画の妥当性が重視されます(愛知県「産業廃棄物処分業の経理的基礎に関する審査基準」(令和3年9月6日改正))。

第8章|破砕・選別の処分業許可は行政書士へ

ポイントをまとめます。

  • 破砕・選別を業として行うには処分業の許可が必要で、処分に適する処理施設を有することが求められる
  • 愛知県では、重機による処理は処分施設と認められず、重機のみの処理では許可が取れない
  • 選別施設は機械的作用を伴う構成が必要で、1人2品目まで、ベルト幅75cm超は両側配置、搬送速度10m/分以下、積み上げ角度の基準がある
  • 処理能力はパンフレットではなく能力計算書で示す。破砕施設は日量5トン超(8時間換算)で設置許可が必要
  • 保管量は原則14日分。分別された建設系廃棄物を再生する施設は28日分(アスコンは70日分)の特例

出典:

  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(第14条第6項、第15条第1項)
  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(第6条、第7条、第7条の2)
  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(第7条の5、第7条の8、第10条の4、第10条の5)
  • 産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務等の取扱いについて(通知)(令和2年3月30日環循規発第2003301号)
  • 愛知県「産業廃棄物処分業の審査基準」(令和6年1月31日改正)
  • 愛知県「産業廃棄物処分業の経理的基礎に関する審査基準」(令和3年9月6日改正)
  • 愛知県「廃棄物関係の許可及び自動車リサイクル法 手続きQ&A」