「現場が狭いので、廃材をいったん自社の資材置場に集めてから処分場に出している」
「複数の現場のがれきを、会社のヤードにまとめて保管している」
建設業者様にとってはよくある運用ですが、この「現場の外での保管」には、一定の規模を超えると事前の届出が必要になるルールがあります。知らないまま運用していると届出義務違反として罰則の対象になりかねません。
この記事では、事業場外保管の届出が必要になる条件、届出の手続き、変更・廃止の手続き、そして違反した場合の罰則を解説します。
第1章|事業場外保管の届出制度とは
条文上のルール
廃棄物処理法は、次のように定めています(廃棄物処理法第12条第3項)。
事業者は、その事業活動に伴い産業廃棄物(環境省令で定めるものに限る。)を生ずる事業場の外において、自ら当該産業廃棄物の保管(環境省令で定めるものに限る。)を行おうとするときは、非常災害のために必要な応急措置として行う場合その他の環境省令で定める場合を除き、あらかじめ、環境省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。その届け出た事項を変更しようとするときも、同様とする。
特別管理産業廃棄物についても同様の規定があります(同法第12条の2第3項)。
制度の目的
排出事業者が自ら行う保管は、処理業の許可が不要なため、行政が保管場所を把握しにくいという面があります。事業場の外で大規模に保管する場合を届出制とすることで、行政が保管の実態を把握できるようにする仕組みです。
第2章|届出が必要になる条件
届出が必要になるのは、次の条件をすべて満たす場合です。
条件1:建設工事に伴い生ずる産業廃棄物であること
届出の対象となる産業廃棄物は、建設工事に伴い生ずる産業廃棄物とされています(廃棄物処理法施行規則第8条の2)。ここでいう建設工事は、土木建築に関する工事(建築物その他の工作物の全部または一部を解体する工事を含む)です(廃棄物処理法第21条の3第1項)。つまり、この届出制度は、実質的に建設業者向けの制度です。
条件2:事業場(工事現場)の外で、自ら保管すること
産業廃棄物を生ずる事業場、つまり工事現場の外で、排出事業者が自ら保管する場合が対象です。建設工事では、原則として元請業者が排出事業者(事業者)となるため(同法第21条の3第1項)、届出義務を負うのも原則として元請業者です。
条件3:保管場所の面積が300㎡以上であること
届出の対象となる保管は、保管の用に供される場所の面積が300平方メートル以上である場所で行われる保管です(施行規則第8条の2の2)。
対象外となる保管
面積が300㎡以上であっても、次の保管は届出の対象外です(施行規則第8条の2の2各号)。
- 産業廃棄物処理業の許可に係る事業の用に供される施設(保管の場所を含む)において行われる保管
- 産業廃棄物処理施設の設置許可に係る施設において行われる保管
- 二以上の事業者による処理の特例の認定を受けた者が行う、その認定に係る産業廃棄物の保管
- PCB特別措置法の届出に係るPCB廃棄物の保管
自社が収集運搬業の許可を持ち、許可を受けた積替え保管施設で保管している場合は、この届出は不要です(積替え保管については「積替え保管あり・なしの違いとは?」参照)。
行政書士の実務ポイント
よくあるのが、「収集運搬業の許可は持っているが、積替え保管なしの許可」というケースです。この場合、自社の資材置場は許可に係る保管の場所ではないため、元請として自社現場の廃棄物を300㎡以上の資材置場で保管すれば、届出が必要になる可能性があります。自社の許可の内容(積替え保管の有無)と、保管場所の位置づけを確認しておきましょう。
第3章|届出の手続
事前に届け出る
届出は、保管を行おうとするときに「あらかじめ」行う必要があります(廃棄物処理法第12条第3項)。届出書は様式第2号の4で、次の事項を記載します(施行規則第8条の2の4第1項)。
- 氏名または名称、住所、法人の場合は代表者の氏名
- 保管の場所の所在地
- 保管の場所の面積
- 保管する産業廃棄物の種類
- 積替えのための保管上限または処分等のための保管上限
- 屋外で容器を用いずに保管する場合は、その旨と、積み上げ高さのうち最高のもの
- 保管の開始年月日
添付書類
届出書には、次の書類を添付します(施行規則第8条の2の4第2項)。
- 届出をしようとする者が保管の場所を使用する権原を有することを証する書類
- 保管の場所の平面図及び付近の見取図
変更の届出も「事前」に
届け出た事項を変更しようとするときも、あらかじめ届出が必要です(廃棄物処理法第12条第3項後段)。変更の届出書(様式第2号の5)には、変更の内容・理由・変更予定年月日などを記載し、保管場所の所在地や面積を変える場合は、変更後の場所の使用権原を証する書類、平面図、付近の見取図を添付します(施行規則第8条の2の5)。
保管をやめたときの届出
届出に係る保管をやめたときは、保管をやめた日から30日以内に、様式第2号の6による届出書を提出する必要があります(施行規則第8条の2の6)。
第4章|非常災害時の特例(事後届出)
非常災害のために必要な応急措置として保管を行う場合は、事前の届出は不要です(施行規則第8条の2の3)。ただし、その場合でも、保管をした日から起算して14日以内に届け出なければなりません(廃棄物処理法第12条第4項)。届出書の記載事項・添付書類は、事前届出とほぼ同じです(施行規則第8条の2の7)。
災害時の廃棄物の扱いについては「非常災害時の産業廃棄物処理の特例とは?」もご覧ください。
第5章|保管基準も守る必要がある
届出をすれば自由に保管できるわけではありません。排出事業者は、産業廃棄物が運搬されるまでの間、産業廃棄物保管基準に従って保管しなければなりません(廃棄物処理法第12条第2項)。主な基準は次のとおりです(施行規則第8条)。
- 周囲に囲いを設ける(荷重がかかる囲いは構造耐力上安全なもの)
- 縦横60cm以上の掲示板に、保管の場所である旨、廃棄物の種類、管理者の氏名・連絡先、屋外で容器を用いない場合は最高の高さを表示する
- 屋外で容器を用いずに保管する場合は、積み上げ高さの制限を守る
- 汚水が生ずるおそれがある場合は、排水溝等を設け、底面を不浸透性の材料で覆う
- 石綿含有産業廃棄物は仕切り・覆い・梱包等の措置を講ずる
保管基準の詳細は「産業廃棄物の保管基準とは?」で解説しています。なお、建設工事で下請負人が行う保管については、下請負人もまた事業者とみなされ、保管基準と改善命令の規定が適用されます(廃棄物処理法第21条の3第2項)。
第6章|届出をしなかった場合の罰則
事前届出・変更届出をしなかった場合
事業場外保管の届出をせず、または虚偽の届出をした者は、6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象です(廃棄物処理法第29条第1号)。法人にも罰金刑が科されます(同法第32条第1項第2号)。
非常災害時の事後届出をしなかった場合
非常災害時の応急措置としての保管について、14日以内の届出をせず、または虚偽の届出をした者は、20万円以下の過料の対象です(廃棄物処理法第33条第1号)。
保管基準違反
保管基準に適合しない保管が行われた場合は、改善命令の対象となり(廃棄物処理法第19条の3)、生活環境の保全上の支障が生じるおそれがあれば措置命令の対象にもなります(同法第19条の5)。
第7章|資材置場での保管は行政書士に相談を
ポイントをまとめます。
- 建設工事に伴い生ずる産業廃棄物を、工事現場の外で、300㎡以上の場所で自ら保管する場合は、事前に都道府県知事へ届出が必要
- 処理業の許可に係る保管場所(積替え保管施設など)や処理施設での保管は対象外
- 届出事項の変更も事前に届出が必要。保管をやめたら30日以内に届出
- 非常災害時の応急措置は、14日以内の事後届出
- 届出違反は6月以下の拘禁刑・50万円以下の罰金。保管基準も守る必要がある
三澤行政書士事務所では、資材置場での保管が届出の対象になるかの判断や、届出書の作成、積替え保管を含む収集運搬業許可への切替えのご相談をお受けしています。東海エリアの建設業者様は、お気軽にご相談ください。
出典:
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(第12条第2項〜第4項、第12条の2第3項・第4項、第19条の3、第19条の5、第21条の3、第29条、第32条、第33条)
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(第8条、第8条の2〜第8条の2の7)