こんにちは、行政書士の三澤です!
「自社のダンプで現場の残土を運んでいるだけなのに、元請けから『白トラじゃないか』と言われた」「繁忙期だけ、一人親方に自社のダンプを運転してもらっているが、これは法的に問題ないのだろうか」
愛知県内の建設業者・産廃業者の方から、このようなご相談を日常的にいただきます。一見すると「自分の現場の荷物を自分で運んでいるだけ」に思えても、運用方法を一歩間違えると、重大な法令違反——いわゆる「白トラ」——に該当してしまう危険があります。
さらに令和7年(2025年)4月に施行された改正法により、運送を依頼する元請け(荷主)側にも厳しい規制が及ぶようになりました。「今まで問題なかったから」という感覚だけで運搬体制を続けることは、もはや許されない時代です。
本記事では、建設業における「ダンプ運搬の白トラ問題」について、国土交通省の最新通達をもとに、許可が必要・不要となる境界線を明確に解説します。
そもそも「白トラ」とは何か——法律上のリスクを正確に理解する
貨物自動車運送事業法第2条第2項は、一般貨物自動車運送事業を次のように定義しています。
「他人の需要に応じ、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車を除く。)を使用して貨物を運送する事業」
この事業を営もうとする者は、国土交通大臣の許可(緑ナンバー)を取得しなければなりません(同法第3条)。
無許可でこれを行った場合、同法第70条により「三年以下の拘禁刑もしくは三百万円以下の罰金、またはその両方」という重い刑事罰が科されます。これが、いわゆる「白トラ(違法運送)」です。
摘発されれば、建設業許可や産廃許可の取消しリスクはもちろん、公共工事の指名停止・社会的信用の失墜など、事業の根幹を揺るがす事態に直結します。
令和7年の法改正で「荷主(元請け)」も規制対象に
自社が直接白トラ行為を行うリスクだけではありません。
令和7年(2025年)4月1日に施行された改正貨物自動車運送事業法により、運送を委託する側——すなわち元請けの建設業者(荷主)——に対する規制が大幅に強化されました。
国土交通省および環境省が発出した最新の事務連絡でも、「いわゆる違法『白トラ』に運送委託を行った荷主等に対する規制が新たに適用される」と明記されています。
つまり、緑ナンバーを持たない下請けの一人親方に有償で残土や資材の運搬を委託した元請け業者も、勧告・企業名公表等の処分対象となりえます。「今まで通りの発注で問題ない」という前提は、この法改正により完全に崩れています。
自家用(白ナンバー)ダンプカーで「許可不要」となる2つのケース
では、建設業者が日常的に行うダンプ運搬の中で、合法的に運送業許可なしで行えるのはどのような場合でしょうか。
国土交通省が令和8年2月10日付で発出した通達「自家用ダンプカーの貨物自動車運送事業法における取扱いについて」によれば、以下の2つのケースに該当し、かつ各要件をすべて満たす場合に限り、許可が不要と解釈されます。
ケース1:自社が所有する貨物を、自ら運送する場合
自社の荷物を自社のダンプで運ぶ場合、「他人の需要に応じ」「有償で」という要件に該当しないため、緑ナンバーは不要です。
典型例: 土砂の販売業者が、販売先への納品のために自社所有の土砂を、自社と雇用関係にある従業員(期間雇用・日雇い含む)に運搬させるケース。
ケース2:本来の事業(生業)と「密接不可分」な付帯業務として運送する場合
運ぶ荷物が他者の所有物(例:発注者の残土)であっても、建設工事という「本業」に不可分に付随する運搬であれば、以下の3要件をすべて満たす場合に限り、許可不要と解釈されます。
- 生業と密接不可分であること——本来の事業(建設工事など)に付帯して行われる運送であること
- 自ら運送行為を行うこと——工事(生業)と運送を、同一の主体が一貫して行っていること
- 運送行為そのものへの対価(運賃)がないこと——名目の如何を問わず、運送に対する報酬を受け取っていないこと
典型例: 建設工事を請け負った業者が、その工事の付帯業務として、現場で発生した残土を自社の雇用従業員に運搬させるケース。
ケース1・ケース2のいずれにおいても、「自社と雇用関係にある従業員が運転していること」が大前提です。この点を曖昧にしているケースが、実務上最も多いトラブルの原因となっています。
最大の落とし穴——「自ら運送している」と認められるための雇用関係の壁
「雇用関係」は実態で厳格に判断される
国土交通省の通達では、「自ら運送を行っている」と認められるために、「当該会社等と雇用関係にある従業員たる運転者(期間雇用または日雇い雇用等の場合を含む)に運送行為を行わせることが必要」と明記されています。
自社のダンプカーであっても、雇用関係のない第三者に有償で運転させた場合は、白トラとして違法になるリスクが高まります。
「雇用関係があるか否か」は、口約束や形式上の契約名称だけでなく、以下のような使用従属性の実態によって厳格に判断されます。
- 労働契約の締結:会社と運転者の間で適切な労働契約が結ばれているか
- 労働条件通知書の交付:書面で労働条件が運転者に通知されているか
- 給与としての支払い:報酬が「外注費・請負報酬」ではなく「給与」として支払われているか
- 社会保険等への適切な対応:要件を満たす場合、社会保険等への加入措置が講じられているか
一人親方への外注・車両持ち込みは特に要注意
建設業界では、下請けの一人親方に自社ダンプを運転させたり、一人親方が自前のダンプを持ち込んで業務に当たるケースが少なくありません。
こうしたケースで適法な「自社による運送」と認められるためには、
- 車両の業務上使用契約書を締結していること
- 明確な指揮命令関係があること(単なる業務委託・請負ではないこと)
の両方が必要です。
これらの実態が伴わず、独立した個人事業主として運搬を請け負っていると判断されれば、委託した元請け業者もまた、改正法に基づく処分の対象となります。
まとめ——ダンプ運搬の適法性を判断する3つのチェックポイント
自社のダンプ運搬が「白トラ」にならないためには、以下の3点をすべてクリアしている必要があります。
| チェック項目 | 確認内容 |
|---|---|
| ① 荷物の帰属 | 自社の荷物か、または本業(生業)と密接不可分な荷物か |
| ② 有償性 | 運送行為そのものへの対価(運賃)を受け取っていないか |
| ③ 運転者の雇用関係 | 自社と適正な雇用関係にある従業員が運転しているか |
この3点のうち一つでも曖昧な状態であれば、現在の運搬体制の見直しを強くお勧めします。
「今の運搬フローが適法かどうか、専門家の目でチェックしてほしい」「一人親方を活用する場合の、適法な契約書の整備方法がわからない」「元請けから緑ナンバーを要求されているが、自社運搬が適法であることを示す書面(法令確認書)を作成したい」
このようなお悩みをお持ちの建設業者様・産廃業者様は、ぜひ当事務所にご相談ください。愛知県内の建設・物流実務に精通した行政書士が、現在の体制を迅速に診断し、契約書の整備から必要な許認可(一般貨物自動車運送事業・利用運送など)の取得まで、最適な解決策をご提案いたします。
元請から「緑ナンバーがなくて大丈夫なのか」説明を求められていませんか?
産廃収集運搬業の許可を持つ事業者が、収集・処分と一体的に産廃を運搬する場合、一般貨物自動車運送事業の許可(緑ナンバー)は法的に不要です。
ただし「法的に不要」と口頭で説明しても、元請け担当者が納得しないケースがあります。
当事務所では、国土交通省・環境省の公式見解に基づいた「法令確認書」を作成いたします。元請けへの説明資料としてそのままご活用いただけます。
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三澤 祐喜|三澤行政書士事務所(愛知県)
行政書士
産廃処理業者に10年以上勤務した、おそらく日本でただ一人のバックグラウンドをもつ行政書士。
建設業・不動産業・運送業・廃棄物処理法・農地法——複雑に絡み合う法規制の現場にいたからこそ、他の事務所が手を引くほど複雑な案件に、私は静かに燃えます。
「他で断られた」「難しいと言われた」「複雑すぎて整理できない」——まず、ご連絡ください。
言われた書類を作るだけの「代行屋」ではなく、絡み合った法務課題を根本から解きほぐす社外パートナーとして、愛知県の経営者様の隣に立ち続けます。
愛知県行政書士会所属|第24191550号