こんにちは、行政書士の三澤です!

「自社のダンプで、協力会社の資材も一緒に運んでいるけど、これって問題ないんだろうか……」

そんな不安を抱えたまま、今日も現場を走らせていませんか?

愛知県で事業を展開する建設業者・産廃業者の皆様にとって、「運送・物流」にまつわる許認可は、事業拡大の過程で必ずぶつかる壁です。しかも、間違えたまま放置すると、建設業許可や産廃許可そのものを失いかねない、致命的なリスクをはらんでいます。

さらに、令和7年(2025年)施行の法改正では、下請けの運送業者に仕事を頼む「元請事業者(荷主)」への規制が大幅に強化されました。これまで通りの口頭・電話での発注では、法律違反になる可能性があります。

本記事では、運送・物流法務を専門とする行政書士が、建設・産廃業者が押さえるべきコンプライアンスの境界線から、車両を持たずに運送収益を得る「利用運送」の仕組み、そして最新の法改正への実務対応まで、一気に解説します。

まず確認|自社の運搬は「許可不要」の範囲に収まっているか

許認可の話に入る前に、多くの建設業者・産廃業者から寄せられる、最も切実な疑問にお答えします。

「白トラ(無許可運送)」になってしまうのはどんなケース?

「自社の工事で出た残土を、自社のダンプで運ぶ」——これは原則として、運送業の許可(緑ナンバー)は不要です。

貨物自動車運送事業法において、運送業とは「他人の需要に応じ、有償で貨物を運送する事業」と定義されています。自社の生業(建設工事・産廃処理)と密接不可分な運搬であれば、事業法の規制対象には入りません。

しかし、次のようなケースは要注意です。

チェック
  • 運送行為のみを独立して請け負う場合(本来の建設工事とは別に、運搬だけを引き受けるケース)
  • 名目を問わず、運送の対価(運賃)を受け取っている場合
  • 自社と雇用関係にない者(下請けの個人事業主など)に自社のダンプを運転させる場合

これらに該当すると、実質的な「運送業」とみなされます。緑ナンバー(一般貨物自動車運送事業許可)なしに有償で運搬を行えば、それは違法な「白トラ」です。

そして令和7年改正により、違法な白トラに運送を委託した荷主(元請けの建設業者など)にも新たな規制と罰則が適用されるようになりました。「頼んだ相手が白トラだと知らなかった」では済まされない時代になっています。

自社の運搬がどのラインに属するか、まずはここで正確に把握しておきましょう。

  • 建設業のダンプ運搬における白トラの境界線はこちら
  • 産廃の収集運搬と運送業の境界線についてはこちら
  • ▼ 自社に必要な手続きがすぐにわかるセルフチェックはこちら
    [(※公開前)【愛知県の建設・産廃業者向け】事業拡大に必要な運送・物流の許認可がわかるセルフチェック]

1|一般貨物自動車運送事業(緑ナンバー)の許可

「本格的に運送業に参入して、収益の柱を増やしたい」——そのためには、貨物自動車運送事業法に基づく許可(いわゆる「緑ナンバー」)の取得が必要です。

許可取得のための5つの要件

緑ナンバーの許可には、「人・物・金・場所・法令遵守」という5つの要件をすべて満たす必要があります。いずれか一つでも欠ければ、申請は通りません。

特に注意が必要なのが「金(資金)」の要件です。事業開始に要する資金の総額と調達方法を記載した書類を提出し、十分な自己資金を銀行残高証明書等で証明しなければなりません。また、役員に過去の許可取消歴がある場合には欠格事由に該当するため、事前の確認も欠かせません。

車両・車庫・運行管理者の要件

準備に最も時間がかかるのが「物と場所」と「人」の要件です。

チェック
  • 車両と車庫・営業所については、原則として5台以上の事業用自動車を確保し、全車両を収容できる規模の自動車車庫と営業所・休憩施設を用意する必要があります。建設業の資材置き場と兼用したい場合は、明確なスペースの区分けが求められるため、物件の選定段階から慎重な検討が必要です。
  • 運行管理者については、国家資格(運行管理者試験合格者)の保有者を車両数に応じて配置することが義務付けられています(貨物自動車運送事業法第18条)。自社での資格取得か有資格者の採用かを早めに検討しておきましょう。

愛知県での申請先(中部運輸局)と審査期間

愛知県で緑ナンバーを取得する場合、申請窓口は中部運輸局(書類提出先:愛知運輸支局)です。申請から許可まで数ヶ月の標準処理期間がかかるため、事業開始予定日から逆算したスケジュール管理が不可欠です。

なお、提出書類は事業計画書のほか、施設の平面図・写真、運行管理・点検整備体制に関する書類など多岐にわたります。

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2|特殊車両通行許可(大型重機・重量物運搬の際の道路通行)

ショベルカーやクレーンを積んだセミトレーラを走らせる前に、必ず確認してほしいのが「特殊車両通行許可」です。

どんな車両が対象になるのか

道路法および車両制限令によって、一般道を通行できる車両の「一般的制限値」が定められています。原則として、幅2.5メートル・長さ12メートル・高さ3.8メートル(高さ指定道路は4.1メートル)・総重量20トン(重さ指定道路等は25トン)を超える車両は「特殊車両」として許可が必要です。

重量物運搬用セミトレーラやトラッククレーンは、車両の構造や積載物の特性上、この制限値を超えることが多く、建設業・産廃業者との関わりは特に深いです。

無許可走行のリスクは「企業名公表」まで

無許可のまま走行したり、許可条件に違反した場合、行政指導にとどまらず、悪質なケースでは警察への告発に至ることもあります。さらに、国土交通省のウェブサイトへの企業名公表というペナルティも設けられており、コンプライアンス違反が対外的な信用問題に直結する時代です。

便利なオンライン申請と「未収録道路」の注意点

申請先は通行経路を管理する道路管理者(国道事務所・都道府県・市区町村)です。複数の管理者にまたがる経路でも、いずれかの窓口への「一括申請」が可能です。

インターネットを使ったオンライン申請システムを活用すれば、窓口に出向くことなく24時間申請でき、過去のデータを流用した更新申請や、通行可否の簡易算定なども行えます。

ただし、国のデータベース(道路情報便覧)に収録されていない市町村道(未収録道路)を経路に含む場合は、各道路管理者との個別協議が必要となり、通常(新規申請で約3週間)より許可取得に時間がかかります。現場への重機搬入スケジュールは余裕をもって組んでおきましょう。

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3|倉庫業の登録(資材置き場・保管倉庫を他社に貸す場合)

「自社の遊休地や空きスペースを、他社の資材置き場として貸したい」——この発想は合理的ですが、やり方を間違えると倉庫業法違反になります。

倉庫業法第3条では、倉庫業を営むには国土交通大臣の登録が必要と定めており、無登録で倉庫業を営んだ場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金(倉庫業法第42条)という重い罰則が科されます。

「倉庫業」に該当するかどうかの判断基準

倉庫業法が規制するのは、他人の物品を有償で預かる「寄託」という行為です。したがって、自社の建設資材や重機の「自家保管」であれば登録不要です。また、特定の物品を修理・加工するために付随して預かる場合や、運送契約に基づく運送途上の一時的な保管(積替保管など)も、倉庫業の対象外とされています。

自社スペースの活用が「他人の物品の寄託」にあたるかどうか——これが登録要否を分ける境界線です。

「資材置き場」を「営業倉庫」にするための施設設備基準

既存の資材置き場をそのまま営業倉庫として使えるわけではありません。倉庫業登録を受けるには、建築基準法・消防法への適合はもちろん、保管する物品の種類に応じた厳格な施設設備基準を満たす必要があります。

一般的な屋内倉庫(1〜3類倉庫)では、壁・床の強度、防湿措置、防鼠措置、消火設備、防犯設備などが求められます。屋外保管の「野積倉庫」であっても単なる空き地は認められず、高さ1.5メートル以上の塀や柵などの防護施設と、夜間の防犯に必要な照明設備の設置が義務付けられています。

登録手続きの要点

倉庫業の登録申請は、主たる営業所の所在地を管轄する地方運輸局長(国土交通大臣)に対して行います。最大のハードルは施設要件を証明する書類の準備で、建築基準法に基づく建築確認済証・完了検査済証の提出が必須です。詳細な建築図面(平面図・立面図・矩計図等)も求められます。

また、倉庫管理主任者(倉庫業法第11条)を倉庫ごとに選任することも義務付けられており、施設と人の両面から体制を整える必要があります。

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4|第一種貨物利用運送事業(自社トラックを持たない運送ビジネス)

「顧客から資材運搬を頼まれるが、自社にはトラックがない」「運送業務は下請けに任せて、自社はコーディネートだけで利益を得たい」——そんなニーズに応えるのが第一種貨物利用運送事業です。

車両もドライバーも抱えずに運送事業へ参入できる、リスクの低い事業モデルとして、建設業者からの関心が高まっています。

「利用運送」とはどんな仕組みか

貨物利用運送事業法に基づく第一種貨物利用運送事業とは、他人の需要に応じ、有償で実運送事業者(緑ナンバーのトラック運送業者)を利用して貨物を運送する事業です。

たとえば、元請けの建設業者が荷主から建設資材の運搬依頼を有償で引き受け、実際の運送は協力会社の緑ナンバー業者に委託してマージンを得るケースが、これに該当します。

注意すべきは、無登録のまま継続的に他社の貨物運送を手配して手数料を得る行為(いわゆる「水屋」営業)は違法だという点です。正規の事業として展開するには、国土交通大臣への登録が必須です。

登録要件のポイント——「純資産300万円以上」

利用運送の登録要件は緑ナンバーほど厳格ではありませんが、いくつかの重要な基準があります。

最大のハードルとなりやすいのが財産的基礎(資金要件)です。直近の貸借対照表において、純資産(資産の総額から負債の総額を控除した額)が300万円以上であることが求められます。

また施設要件として、使用権限のある営業所の確保が必要です。貨物の保管体制を有する場合は、盗難等に対する適切な予防措置を講じた保管施設の確保を事業計画に明記し、証明しなければなりません。さらに申請時には、実際に運送を委託する実運送事業者との間で交わした「運送に関する契約書の写し」の提出が求められる点も見落とせません。

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5|【令和7年法改正】元請建設業者が下請運送業者を使う際の新たな義務

令和7年に施行された貨物自動車運送事業法等の改正は、下請けの運送業者(緑ナンバー)に運搬を委託する荷主・元請け事業者に対して、大きな義務を課すものです。

「今まで電話一本で頼んでいた」という慣行は、もはや通用しません。現場の配車担当者から経営層まで、早急な対応が求められます。

① 書面交付義務——口約束・口頭発注の禁止

運送業者に運送を依頼する際には、契約内容を明確にした「書面の相互交付」が義務化されました。記載すべき内容は、運送する役務の内容や運賃だけではありません。荷待ち時間や荷役作業などの付帯業務が発生する場合は、その内容と対価も書面に明記する必要があります。

なお、相手方の事前承諾を得ることで、メール等の電磁的方法(電子交付)に代えることも認められており、実務上の事務負担を軽減することが可能です。

② 実運送体制管理簿の作成・備え置き義務

元請けとして受けた貨物運送を下請けに委託する場合、委託する貨物の重量が1.5トン以上であれば、「実運送体制管理簿」の作成と備え置きが義務付けられます。

この管理簿には、実際にトラックを走らせる実運送事業者の名称や、多重下請けの構造(請負階層)を記載しなければなりません。また、完了後は1年間、営業所に保存する必要があります。

さらに、下請け業者に対して元請けの連絡先や真荷主の名称を通知する義務も生じます。現場の配車業務フローを根本的に見直す必要があります。

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まとめ|「物流の適法化」が、次のステージへの扉を開く

本記事でご紹介した通り、建設業・産廃業と「運送・物流」は切り離せない関係にあります。しかしその許認可制度は、貨物自動車運送事業法・道路法・倉庫業法・貨物利用運送事業法と多岐にわたり、どれひとつとして簡単ではありません。

「自社の運搬業務を適法化して、大手の一次下請けとして胸を張れる体制を作りたい」 「令和7年の法改正に対応した書面・管理体制を整えておきたい」

こうした法務整備を、現場業務や営業に追われながら自力で進めるのは、非常に困難です。要件の確認ミスや書類の不備があれば、せっかくの事業計画が数ヶ月単位で遅れることもあります。

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