こんにちは、行政書士の三澤です!

「自社でトラックを持たずに、物流ビジネスを始めたい」「荷物を受けている元請けとして、第一種と第二種のどちらに該当するのかが分からない」——そんなご相談を、事務所に数多くいただいています。

トラックドライバー不足が深刻化するいま、自らは運送手段を持たずに実運送事業者を手配して荷物を届ける「貨物利用運送事業」への関心が急速に高まっています。しかしこの事業、適法に始めるためにはビジネスモデルに応じた行政手続きが欠かせません。無登録・無許可のまま営業を続ければ、厳しい罰則の対象となります。

また、いわゆる「2024年問題」への対応を目的とした大規模な法改正により、利用運送事業者に対しても「運送契約時の書面交付義務」や下請けへの「健全化措置(発注の適正化)」が新たに義務化されました。許可・登録を取って終わり、という時代ではなくなっています。

この記事では、これから利用運送ビジネスへの参入を検討されている経営者様に向けて、第一種・第二種の決定的な違いから、実務でつまずきやすい「純資産300万円の壁」、そして令和7年4月施行の最新法規制まで、わかりやすく網羅的に解説します。

貨物利用運送事業とは?「実運送」との違いから理解する

まず、制度の根幹にある「実運送」と「利用運送」の区別を整理しておきましょう。

実運送とは、船舶運航事業者・航空運送事業者・鉄道運送事業者・貨物自動車運送事業者が、自ら所有・管理する運送手段を使って貨物を運ぶことを指します。

これに対して利用運送とは、自らは運送手段(トラック・船舶・航空機など)を保有せず、実運送事業者の輸送力を「利用」することで荷物を届ける事業です(貨物利用運送事業法第2条)。

具体的には、荷主から貨物を預かり、実際の輸送を協力会社(下請けの運送事業者)に委託し、運賃の差益などで利益を得るビジネスモデルです。いわゆる「水屋」「運送取扱業」と呼ばれる業態がこれにあたります。

そして、この貨物利用運送事業は法律上「第一種」と「第二種」に分類されており、それぞれ求められる手続きと要件がまったく異なります。

第一種と第二種—決定的な違いはここだ

第一種貨物利用運送事業(登録制)

第一種は、有償で利用運送を行う事業のうち、第二種に該当しないもの全般を指します(貨物利用運送事業法第3条)。実務上は、他社のトラック(一般貨物自動車運送事業者)の輸送力を利用して荷物を届けるケースが最も多く見られます。

事業を始めるには、国土交通大臣の「登録」が必要です。

第二種貨物利用運送事業(許可制)

第二種は、船舶・航空・鉄道のいずれかの運送機関を利用しながら、かつその前後のトラックによる集荷・配達(集配)まで一貫して引き受ける事業を指します(貨物利用運送事業法第20条)。いわゆる「ドア・ツー・ドア」の複合一貫輸送がこれにあたります。

荷主に対してより広範かつ高度な責任を負うビジネスモデルであるため、登録よりも審査が厳格な国土交通大臣の「許可」が必要です。

自社に必要なのはどちら? 判定の3つのポイント

当事務所でも「うちは第一種と第二種、どちらになりますか?」というご相談が後を絶ちません。次の3点で判断してください。

ポイント1:利用する運送手段が「トラックのみ」か? 荷主から預かった荷物を、最初から最後まで他社のトラックだけで運ぶ場合は、第一種(登録)で問題ありません。

ポイント2:鉄道・航空・船舶を使い、かつ前後の集配まで自社が運送人として引き受けるか? たとえば「東京の工場からトラックで集荷し、鉄道コンテナで大阪へ送り、大阪からトラックで納品先まで届ける」という一貫輸送をすべて自社の責任で請け負う場合は、第二種(許可)が必要です。

ポイント3:既に実運送事業者(緑ナンバー等)の許可を持っているか? 一般貨物自動車運送事業の許可を有する事業者が、その事業の枠内で他社トラックを利用する場合は、別途、第一種の登録は不要です(ただし事業計画変更の届出等が別途必要になる場合があります)。

この判断を誤ると、「申請要件を満たせず最初からやり直し」という事態にもなりかねません。ビジネスプランの策定段階から、専門家である行政書士へご相談されることをお勧めします。

第一種:登録の要件と申請手続き

国土交通大臣の登録を受けるには、法律が定める施設・財産・欠格事由の3つの要件をすべて満たす必要があります。

施設要件(営業所・保管施設)

事業を遂行するための施設として、以下が必要です。

  • 営業所: 業務を遂行するために必要な事務所・営業所を有していること。
  • 保管施設: 荷主の貨物を一時的に保管するビジネスモデルの場合、必要な保管能力を有し、かつ盗難等に対する適切な防止措置を講じた施設を有していること。

財産的基礎要件(基準資産額300万円以上)

登録申請における最大のハードルが、この「財産的基礎」の要件です(貨物利用運送事業法第6条第1項第4号、同法施行規則第4条)。

具体的には、直近の貸借対照表(個人の場合は財産に関する調書)における「資産の総額から負債の総額を控除した額(純資産)が300万円以上」でなければなりません。ただし、資産総額の計算においては「創業費その他の繰延資産」および「営業権(のれん)」を除外して算定する点に注意が必要です。

「資本金が300万円あればいい」「口座に現金が300万円あればいい」と誤解されるケースが多いのですが、そうではありません。直近期の決算書の内容に基づいた厳密な計算が審査されます。赤字決算が続いている法人や設立間もない法人は、申請前に専門家による財務状況の確認を強くお勧めします。

欠格事由

申請者(法人の場合は役員を含む)が以下のいずれかに該当する場合、登録は拒否されます(貨物利用運送事業法第6条第1項第1号〜第3号)。

  • 1年以上の拘禁刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
  • 第一種の登録または第二種の許可を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者
  • 申請前2年以内に貨物利用運送事業に関し不正な行為をした者

法人の場合、役員のうち一人でも該当者がいれば登録を受けることができません。

申請時の必要書類

登録申請書に加え、以下の書類を管轄の運輸支局・地方運輸局に提出します。

  • 実運送事業者との「運送に関する契約書の写し」(必須)
  • 施設に関する書類(保管施設がある場合は面積・構造・附属設備の概要等)
  • 法人の場合:定款、登記事項証明書、最近の事業年度の貸借対照表、役員名簿・履歴書
  • 個人の場合:財産に関する調書、戸籍抄本、履歴書

なかでも重要なのは、「実運送事業者との契約書の写し」が申請時点で必須である点です。登録申請の前に、荷物の運送を委託する緑ナンバー事業者をあらかじめ確保し、委託契約を締結しておく必要があります。「委託先が決まったら申請する」のではなく、「委託先を決めてから申請する」という順序が正しい進め方です。

第二種:許可の要件と特有のハードル

第二種の許可申請は、第一種の登録要件(施設・財産・欠格事由)をすべてクリアしたうえで、さらに以下の独自要件を満たす必要があります。

「集配事業計画」の策定義務

第二種申請の最大の特徴が、通常の「事業計画」に加えて「集配事業計画」の策定と提出が義務付けられている点です(貨物利用運送事業法第35条)。

  • 事業計画: 利用運送の区域・区間、営業所の位置、利用する運送機関の種類、業務の範囲、保管施設の概要など。
  • 集配事業計画: 一貫輸送を円滑に実施するための集配拠点・集配地域・集配に係る営業所の位置などを詳細に定めた計画。

許可基準においては「実運送により定時かつ定量で提供される輸送力の利用効率の向上に資すること」および「貨物の集配を利用運送と一貫して円滑に実施するための適切な集配事業計画であること」が求められます(同法施行規則第34条)。単なる書類の記載ではなく、ビジネスモデルの整合性が厳しく審査されます。

自社トラックで集配を行う場合の追加要件

末端の集荷・配達(集配)は他社のトラック事業者に委託することも可能ですが、自社のトラックを使用して集配を行う場合は、輸送の安全確保に関する高度な要件が課されます。

  • 施設要件: 営業所ごとに配置する事業用自動車の台数、全車両を収容できる「自動車車庫」の位置・収容能力、乗務員のための「休憩または睡眠施設」の位置・収容能力の確保(同法施行規則第35条)。
  • 安全管理体制: 一般貨物自動車運送事業者と同水準の運行管理者の選任、点呼の実施、過労運転防止体制の構築など。

一般貨物自動車運送事業の許可を持たない事業者が自社トラックによる集配を行う場合、これらをすべて整備しなければならない点は特に注意が必要です。

許可までの期間とスケジュール管理

「登録」である第一種の標準処理期間は概ね数ヶ月ですが、「許可」である第二種の審査はより慎重かつ時間を要します。事業開始希望時期から逆算して、余裕を持ったスケジュールで準備を進めることが不可欠です。

「第一種から始めるか、最初から第二種で挑むか」「集配を自社で担うか他社に委託するか」——この事業設計の判断が、後の許可取得の難易度を大きく左右します。

【令和7年4月施行】利用運送事業者にも課される新たな義務

運送業界の「2024年問題」に対応するため、貨物自動車運送事業法などの大規模改正が行われ、令和7年(2025年)4月1日より施行されています。

「トラックを持つ運送会社だけの問題だろう」と誤解されがちですが、そうではありません。多重下請け構造の是正を目的とするこの改正では、自らはトラックを持たない貨物利用運送事業者にも、明確に新たな義務が課されています。事業を始めてから「知らなかった」では済まされない重要な変更点です。

書面交付義務(運送契約締結時)

これまで、運送の依頼を電話や口頭で処理する商慣行が広く残っていました。しかし改正後は、荷主・元請・下請を問わず、運送契約を締結する際には「運送の役務の内容および対価等を記載した書面を相互に交付すること」が義務化されました(改正貨物自動車運送事業法第17条の2等)。

利用運送事業者も例外ではありません。

  • 荷主から直接依頼を受ける立場の場合: 委託先のトラック事業者等に対して書面を交付する義務があります。
  • 多重下請け構造の中にいる場合: 委託先の運送事業者や他の利用運送事業者に対して書面を交付する義務があります。

交付する書面(電子メール等での提供も相手方の承諾があれば可)には、以下の項目を区分して記載しなければなりません。

  1. 運送そのものの対価(基本運賃)
  2. 荷役作業・附帯業務等、運送以外の役務が含まれる場合はその内容と対価
  3. 燃料サーチャージや有料道路利用料等の特別に生じる費用

健全化措置の努力義務

自らは実運送を行わず下請けを利用する場合、委託先の健全な事業運営を確保するための「健全化措置を講ずる努力義務」が課されます(改正貨物自動車運送事業法第17条の4等)。

具体的には、以下の取り組みが求められます。

  1. 適正費用の把握と反映: 利用する運送に要する費用の概算額をあらかじめ把握し、それを勘案して発注を行うこと。
  2. 荷主への運賃交渉: 荷主から提示された運賃が、下請けへ支払うべき適正費用の概算額を下回る場合には、荷主に対して運賃・料金の交渉を申し出ること。
  3. 多重下請けの制限: 委託先がさらに別の事業者へ再委託する「二以上の段階にわたる委託(再々委託)」を制限する条件を契約に盛り込むこと。

「規程作成・管理者選任義務」は専業の利用運送事業者には適用外

法改正に関して当事務所に多く寄せられるご質問があります。「年間100万トン以上の利用運送を行うと、『運送利用管理規程の作成』と『運送利用管理者の選任』が義務になると聞いたが、自社も対象か?」というものです。

結論を申し上げます。この義務は、原則として一般貨物自動車運送事業者などの「実運送事業者(自社でトラックを保有・運行する事業者)」が対象です(改正貨物自動車運送事業法第23条の3等)。多重下請けを可視化するための「実運送体制管理簿の作成義務」も同様です。

したがって、トラックを一切保有しない専業の第一種・第二種貨物利用運送事業者は、取扱規模にかかわらず、これらの規程作成・管理者選任等の義務付け対象にはなりません。

ただし、先に述べた「書面交付義務」および「健全化措置の努力義務」は専業の利用運送事業者にも当然に適用されます。実務上は、書面交付用のフォーマット整備や社内の運用ルール策定など、コンプライアンス体制の構築が急務です。

まとめ:登録・許可の取得からコンプライアンス管理まで、ぜひご相談ください

本記事では、第一種と第二種の違い、それぞれの申請要件、そして令和7年4月施行の最新法改正までを解説しました。

第一種における「基準資産額300万円以上」の要件確認、第二種で求められる「集配事業計画」の策定、さらには法改正への実務対応——利用運送事業をめぐる手続きは、専門知識なしに対処するには非常に複雑です。

「自社の決算書で基準資産額の要件をクリアできているか確認してほしい」 「実運送事業者と結ぶ運送契約書が最新の法令に違反していないかチェックしてほしい」 「書面交付義務への対応を含め、許可取得後のコンプライアンス管理をサポートしてほしい」

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