こんにちは!愛知県の三澤行政書士事務所、三澤です!

「身分証明書って、マイナンバーカードのコピーじゃダメなんですか?」 「誓約書は、名前を書いてハンコを押すだけで大丈夫ですよね?」

古物商許可の申請をお考えの方から、こういったご相談をよくいただきます。どちらも「なんとなく分かったつもり」になりやすい書類なのですが、実は大きな落とし穴が潜んでいます。知らずに窓口へ行くと、ほぼ確実に差し戻しを食らうことになります。

この記事では、申請者の多くがつまずく「市町村長の証明書(身分証明書)」「誓約書」について、法令の根拠をおさえながら実務的な観点で徹底解説します。読み終えた後には、「自分が何を、どこで、どのように取得・作成すればいいか」が明確にイメージできるはずです。

1. 「市町村長の証明書」とは何か――免許証とは全くの別物です

まず大前提として、古物商許可申請で求められる「身分証明書」は、運転免許証やマイナンバーカードのコピーではありません。これを誤解したまま警察署へ向かう方が後を絶たないのですが、必要なのは本籍地の市区町村役場が発行する公的な証明書のことです。

では、この書類は何を証明するためのものなのでしょうか。根拠条文を見てみましょう。

古物営業法施行規則第1条の3第3項第1号ハ 「民法の一部を改正する法律(平成十一年法律第百四十九号)附則第三条第三項の規定により従前の例によることとされる準禁治産者又は破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しない旨の市町村(特別区を含む。)の長の証明書」

要するに、「自己破産して復権していない状態でないこと」「準禁治産者でないこと」を、本籍地の役所の公的記録に基づいて証明してもらう書類です。申請者が古物営業法の欠格事由に該当していないことを、客観的な記録で裏付けるための、極めて重要な書類となっています。

窓口で必ず伝えるべき一言――「破産要件の記載漏れ」に注意

市町村長の証明書を取得する際、本籍地の役所の窓口(または郵送)で単に「身分証明書をください」と伝えるだけでは不十分な場合があります。

自治体によっては、「禁治産・準禁治産に関する証明」のみが記載され、「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しない」という記載が欠落した証明書が発行されるケースがあるからです。

この状態で証明書を持って警察署へ行くと、「破産に関する証明が含まれていないため、役所で取り直してください」と返されてしまいます。二度手間を防ぐためにも、窓口では必ず「古物商許可申請に使用します。破産の通知を受けていないことの証明も含めてください」と明確に伝えることが大切です。

平成12年4月1日以降生まれの方への特例

実務上、見落とされがちな重要な特例があります。愛知県警察の許可申請案内には、以下のように明記されています。

愛知県警察ホームページ「古物商許可申請」添付書類(注4) 「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しないこと及び、準禁治産者に該当しないことを証明するものです。但し、平成12年4月1日以降に生まれた方については、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しないことの証明のみでも可能です。

民法改正の経緯から、平成12年(2000年)4月1日以降に生まれた方については、制度上「準禁治産者」に該当する可能性がありません。そのため、その部分の証明は不要とされており、破産要件の証明のみで申請が可能です。

なお、外国籍の方については、この市町村長の証明書の提出自体が求められません(外国籍の方に関する対応は、後述の誓約書の項目で詳しく解説します)。

2. 「誓約書」の基本と3つの様式――自分の立場に合ったものを選ぶ

市町村長の証明書が「役所の記録による客観的な証明」であるのに対し、誓約書は申請者自身が「古物営業法で定められた欠格事由のいずれにも該当していない」と自ら誓い、署名する書類です。

誓約書は白紙に自由書式で作成するものではなく、各都道府県警察が指定した様式を使用します。そして、この様式には申請者の立場に応じた3種類が存在します。

様式使用する対象者
個人用個人事業主として申請する本人
法人役員用法人申請における代表取締役・取締役・監査役など役員全員
管理者用各営業所の管理者として選任される者

なぜ立場によって様式が異なるのかというと、古物営業法上、許可を受ける事業者の欠格事由は法第4条に、管理者の欠格事由は法第13条第2項に、それぞれ別の条文で規定されているからです。

たとえば未成年者の扱いひとつとっても、事業者(法第4条第9号)には相続等による例外規定がある一方、管理者(法第13条)には例外が一切なく、未成年者は絶対に就任できません。このように、審査される法的基準が根本的に異なるため、様式も分かれているのです。

また、誓約書の作成にあたり、愛知県警察の申請案内では次のように明示されています。

愛知県警察ホームページ「古物商許可申請に必要な書類等」注3(抜粋) 「ご本人が内容を確認の上、ご本人の署名又は記名してください。」

代表者が他の役員や管理者の分を代筆することは認められません。誓約する本人が、記載された欠格事由の内容をきちんと確認したうえで署名してください。

3. 代表者と管理者を兼任する場合の「2枚提出」ルール

ここからが、自分で申請される方が最も多く引っかかる実務上の罠です。

個人で古物ビジネスを始める場合、申請者本人がそのまま営業所の管理者を兼ねるケースが大半です。法人申請でも、代表取締役が管理者を兼任することは珍しくありません。

このとき、「自分一人なんだから誓約書も1枚でいいはず」と考えるのは自然なことですが、これが窓口での差し戻しに直結します。兼任の場合でも、誓約書は必ず「2種類・2枚」の提出が必要です。

具体的な組み合わせは以下の通りです。

  • 個人事業主が管理者を兼任する場合:「個人用の誓約書」+「管理者用の誓約書」の計2枚
  • 法人の役員が管理者を兼任する場合:「法人役員用の誓約書」+「管理者用の誓約書」の計2枚(他の役員は法人役員用1枚のみ)

なぜ同一人物でも2枚必要なのか

「同じ人間がサインするのに、なぜ2枚も必要なのか」と疑問を持たれる方もいます。行政の縦割りルールのように見えますが、これには明確な法的根拠があります。

繰り返しになりますが、古物営業法において事業者の欠格事由は法第4条、管理者の欠格事由は法第13条第2項と、全く別の条文に定められています。警察署の審査においては、「事業者としての条件(法第4条)を満たしている」という誓約と、「管理者としての条件(法第13条第2項)を満たしている」という誓約は、それぞれ独立した審査事項として扱われます。

そのため、たとえ同一人物であっても、それぞれの立場において別々に内容を確認し、2枚の誓約書にサインして提出することが実務上の要件となっているのです。

4. 外国籍の方が申請に関わる場合の「誓約書の特別ルール」

外国籍の方であっても、適法な在留資格があれば古物商許可を取得することは可能です。法人の役員や営業所の管理者に就任することも問題ありません。

ただし、日本語を十分に読み書きできない外国籍の方が誓約書を作成する場合、警察署から非常に厳格な対応が求められます。

日本語が理解できない場合は「通訳人の一筆」が必須

誓約書は「記載された欠格事由の内容を本人が理解したうえで署名するもの」です。日本語が読めない状態で、ただ署名だけしてある書類は受理されません。

この点について、愛知県警察の申請案内には以下の通り具体的なルールが示されています。

愛知県警察ホームページ「許可申請に必要な書類等」注3(抜粋) 「外国人の方で外国語版の誓約書の無い場合は、日本語版の誓約書に母国語の訳文を付けるか、誓約書の本人署名欄に、『上記誓約内容を○○語で通訳し、理解した上、本人が署名しました 通訳人○○○(署名)』と記載してください。」

つまり、日本語が理解できない外国籍の役員や管理者がいる場合は、単に本人にサインをもらうだけでは不十分です。「母国語の翻訳文を別途添付する」か「内容を通訳した第三者(通訳人)が、その旨を一筆書き添えて自らも署名する」、いずれかの対応が必要となります。

法人の役員に海外在住の外国籍の方が含まれているケースでは、このルールを知らずにサインだけもらってしまい、後から通訳人の署名を追加するために国際郵送でやり直し、というトラブルが実際に起きています。事前の確認が不可欠です。

愛知県警が用意する多言語版誓約書

こうした実務的な負担を軽減するため、近年では多くの都道府県警察が外国語版の指定様式を整備しています。愛知県警では現在、以下の7か国語に対応した誓約書フォーマットを公式ホームページで公開しています。

  • 英語
  • 韓国語
  • 中国語
  • ポルトガル語
  • スペイン語
  • ウルドゥ語
  • ベトナム語

外国籍の方が関わる申請では、まず管轄警察署に母国語対応のフォーマットが用意されているかを確認するところから始めましょう。対応言語のフォーマットがあれば、それを使用するのが最も確実な方法です。対応するフォーマットがない場合は、前述の通訳人による署名追記等の対応が必要になります。

まとめ――書類の「落とし穴」を知っておくだけで結果は大きく変わります

ここまで解説してきた通り、「市町村長の証明書」と「誓約書」には、知らなければ確実に窓口で引っかかる実務上のポイントが複数存在します。

  • 本籍地の役所では「破産要件の証明も含めてほしい」と明示する
  • 平成12年4月1日以降生まれの方は、準禁治産の証明は不要
  • 代表者と管理者を兼任する場合は、誓約書を2種類・2枚提出する
  • 外国籍の方が関わる場合は、翻訳文または通訳人の一筆が必要

これらのポイントを事前に把握しておくだけで、窓口での差し戻しをほぼ防ぐことができます。

とはいえ、本籍地が遠方にあって郵送取得の段取りが分からない法人で役員が複数いて誰に何を用意させるべきか整理できない申請書類全体を一括して任せてしまいたい――そういったケースは少なくありません。

三澤行政書士事務所では、市町村長の証明書の代行取得から誓約書の作成・確認、警察署への申請まで、古物商許可申請をワンストップで承っています。「まず相談だけ」でも構いません。お気軽にお問い合わせください。

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三澤祐喜 行政書士

三澤 祐喜|三澤行政書士事務所(愛知県)

行政書士

産廃処理業者に10年以上勤務した、おそらく日本でただ一人のバックグラウンドをもつ行政書士。
建設業・不動産業・運送業・廃棄物処理法・農地法——複雑に絡み合う法規制の現場にいたからこそ、他の事務所が手を引くほど複雑な案件に、私は静かに燃えます。
「他で断られた」「難しいと言われた」「複雑すぎて整理できない」——まず、ご連絡ください。
言われた書類を作るだけの「代行屋」ではなく、絡み合った法務課題を根本から解きほぐす社外パートナーとして、愛知県の経営者様の隣に立ち続けます。

愛知県行政書士会所属|第24191550号